私流リーダーの見分け方

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徐々に秋も深くなるこの頃、朝方はコート、ダウンを着ても日中は上着が邪魔と温度のアップダウンが激しい。ひんやりするとポケットに手を入れながら歩く人が増加する。

筆者にはリーダーになる人か、なれない人を見分ける指標がある。大袈裟な表現だが、「ポケットに手を入れて歩く人は本物のリーダーではない」。一般的には靴の手入れ、カバンなど持ち物が相応かどうかは判断基準とされる。それより何気ない行動での「ポケットに手」説が当たる確率は高いとみている。特にズボンポケットに両手を“本物の”リーダーがしているのを見たことがない。

その理由は① 姿勢が前屈みで自信がなさげに見える ② リーダーとして重要なコミュニケーションにおいて話しかけづらい ③スーツを大事にしない無神経はその他に対しても通用しているのではないかと推察される ④視野が狭くなり、仕事はルーティンさえやっていれば良いと考えているように見える。クリエイティブ雰囲気は伺えない。など手厳しいが、そういえば、そうだなぁと思い当たるところありませんか?

まさか人前ではポケットに手はしないが、癖になっていると徐々に仕事などへの影響があると思われる。偉そうに言っている筆者は入社直後に注意されたことがある。注意をしてくれた人は当時30人を率いる研究グループのリーダーであったが、その後、事業所長を経て何万人をも率いる会社の役員になられた。筆者は別のグループに属していたが、ポケット手以外にも色々な教えを頂いた。品があり笑顔が絶えないのでこのリーダーは厳しがありつつ人気があった。真似できないがあるべきリーダー像を学んだ(今もできていないことを断りながら)。

そんな些細なこと・・・・ついでにいえば、信号が赤でもクルマが来ないので渡る人、運転免許証がゴールドに一向にならない人、横断歩道では留まらず逆にスピードを上げる人、歩きスマホで道を譲らない人、出張旅費を“ある種の工夫”する人・・・お咎めがないことが積分した結果リーダーとして失格への道を自動選択している。まして会社のトップにその癖があれば会社が被害を受けることになる。

このブログで稲盛和夫氏を取り上げたが、大企業の石川島播磨重工(IHI)、東芝を率い、経団連会長を引き受け、中曽根内閣の目玉である国鉄民営化など辣腕を振るった土光敏夫氏ほど清貧な人はいない。NHK放送で質素な暮らしぶりが紹介された。「メザシの土光」と呼ばれる食事風景、社有車を利用せず、バス・国鉄で通勤などは、難局を打開することができるリーダーとして国民の誰もがその姿を通じて納得した。

その後の東芝はどうなったか? 不正会計の誤魔化しが原因でいまだに迷走している。経営者の個人的性格も反映しているのではないかと個人的には思う。スケールが更に大きい悪はカルロス・ゴーン。日産を食い潰した。給料はトヨタの首脳より4倍でも不足だと文句をつけ、公私混同というより私利私欲に走った。会社の資金を懐に入れて豪遊を繰り返し、豪邸をいくつも有し、不正を追求されると楽器ケースに隠れて国外逃亡。レバノンで国外に出られず国際手配もあり幽閉状態で人生から脱落した。身体的なことを非難するのは避けねばならぬが、日本に登場した時の顔つきに、やり手ではあるが、胡散臭い顔だと筆者は感じた。多くの人も同様に思っただろう。

今はコンプラアンス・ガバメント重視。機能させるにはCEOの個人的な物欲的な癖・保身性が土光さんを見習うのが好ましい。会社に限らず国の運命を決める立場にある国会議員も私利私欲がなく国民に奉仕する意識が必要で、まかり間違っても利権に目が眩んでは議員はもちろん人生から落伍する。政治姿勢が緩むと若手官僚も影響を受けて入省当時の高い意識も萎え物欲に走り、補助金詐欺により逮捕される事態に。小さい時から、些細なことも注意されずにスルーしてきた結果だろうか。

イーロンマスク氏によるtwitter社買収が完了した。と同時にCEOを始め役員は全員解雇された。一部は戻すとの報道もあるが、新役員陣を(政治的スタンスは別として)どのように選択したのだろうか興味がある。雑誌Diamond Harvard business Review11月号にアイーシャ・ディ氏の記事があるのを見つけた「経営者にふさわしくない人材の見極め方」。超要約として「企業はコーポレートガバナンスを経営資源に投入したが、不正行為はなくならない。企業を率いる人に着目し、CEOのライフスタイルを調査。不正行為と相関する資質を2つ特定した」。とある。詳しくは同紙を参照されたい。

軽微な交通違反など規則違反から(金に目が眩んだ)物質主義に溺れたトップのライフスタイルは会社不正と深い関係があるとのこと。我々一般的にはCEOと接触する機会はあまりないので、作業班、チーム、グループ、事業部門のリーダーを眺めてみてはいかがでしょうか。ポケットに手は案外納得されるのでは?と妙な過信の癖。その癖を直せとのお叱りがあれば素直に頂きます。

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