車の運転と健康管理

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バスやタクシーの運転手さんが突然の体調変化により運転不能になり事故を起こす、又は乗客が懸命にハンドル操作をして寸でのところで回避した報道も目にする。また高速道路の逆走による多重衝突事故も相変わらず多い。前者は乗務時の運行管理者の事前チェックでは見つけられない事案である。また、後者の原因は認知症かスマホナビ不注意であるが、認知症は医者から本人に断定的な宣告をし難いこともあり運転可能・不可能のゾーンが曖昧になっていることにも一理ありそうだ。自動車のハンドルや椅子背もたれにセンサーを埋め込み脈拍数パターンなどを読み取り運転手の平時の状態からシフトして危険ゾーンに入るときには警告するか、通信コネクトを通じて管理できるシステムの開発が産総研を中心のコンソーシアムにて進んでいる。手始めに脳卒中、テンカン、認知症など疾病患者の生理検査データーとドライビングシュミレーター操作時の心拍数、ブレーキタイミング、ハンドル操作、視線などデーターの採取に着手し疾病独特のパターンを抽出しているとのこと。今後疾病種類を増やして実用化が数年後には実用化するとの報道もある。

つい最近不幸な事件が発生した。夜間の高速道路上でのトラブル。ある学者は高速道路の設計が悪いと指摘。それよりも頭に血が上り事の見境ができない運転者を何とかしないといけない。デンソーでは頭部の血流をモニタリングするシステムを開発、ドイツZF社は一歩進んで血流が高くなると警告がでて、それでも従わないと安全なところまで自動運転して停車させるテストを実施している。道路をどう改良するか分からないので、こちらがスマートである。

自動車運転に限らず日頃の健康状態をモニタリングしてかかり付けのドクターに診察してもらう遠隔健康診断システムが来年からスタートする。精緻画面の双方向会話デバイスとしてタブレットで可能になったこと、政府の遠隔診療への後押しも大きい。現在、診断医療費の扱いを準備中とのことだが、これらのシステムが充実するとドクター、看護師の体力負担も軽減されることが期待される。血圧、血中酸素濃度、心拍数などはデバイスを装着する必要があるが、東北大学を中心とする研究グループでは毎日洗面台の鏡の前に立つだけで体調変化を読み取る試みがある。確かに脳梗塞などは顔面の微小な変化に現れるので有力な手法である。

歯科に関しては個人で唾液を採取して試験紙の上にドロップすると疾病毎に試験紙の色濃淡が変化する方式が開発されている。唾液で変色した試験片を歯科医に持参すると、虫歯、歯槽膿漏など口腔内情報が判定できる。どこまで普及するか面白い事業アイテムには違いない。

筆者は15年ほど前に20年後の次世代クルマコンセプトに係わったことがある。炭素繊維複合材による軽量化、EVなどのメカの他にハンドル、背もたれからの信号取り出し健康診断機能を提案などに織り込んだ。現在のIOT時代になって実現化しつつあるのが何より嬉しい。

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