運の相乗作用

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富士フィルムが新型コロナウイルス治療に有効な製薬を有しているとの報道は海外でも話題になっている。富士フィルムが社名から「写真」を削除したときバイオ研究所を小田原に近接する開成町にオープンした。当時、豪華なインフラから何が誕生するのかと富士フィルム城下町でさえ半分信じられない様子であった。今回は傘下の富山化学の製品ではあるが、これが大きな起爆剤となってRDへの投資が進む。優秀な研究員を引きつける魅力が増加したと思われる。あとから整理すると企業が成長するには大きなトレンドに乗り、先行逃げ切りが有利であると言える。バイオに舵を切ったが、まさか新型コロナウイルスがアシストするとは経営者ですら思わぬことだろう。 

 自動車といえば、生産台数=会社規模としてトヨタ>日産>ホンダ>マツダ>スバル>>>三菱の順と誰でも答える。昔は日産=トヨタの時代があったが、現在のグローバル生産台数はトヨタが900万台に対して日産は500万台の6割程度と圧倒的な差がついた。ホンダも500万台でもたもたするとホンダに抜かれる。これを営業利益でみるとトヨタの2兆5000億円に対して、2番目はホンダの7,300億円、次いで2000億円にスズキとスバルが続き、日産は0.8億円。 トヨタはスバル、スズキと提携しており更に盤石に対して日産は0.3億の三菱自動車と組んでいるのは対象的。合理化として人員削減と生産拠点の閉鎖が待ったなし。ホンダは研究所を統合することでサバイバル策をとっている。 

(参考 日経Automotive2019 1Q決算)

 

 

日産は「技術の日産」を標榜し、プリンス自動車を傘下に入れてフェアレディZやケンメリのスカイラインなど都会的センスデザインもあり人気があった。最近は三菱自動車のEV技術をさらに進化させてEVに主軸を置いている。皮肉なことにEV車への参入は自動車専門会社でなくても可能となり、CASEのテクノロジーが差配するようになった。テスラを始め、グーグルもクルマ試作はしている。ソニーはクルマ生産はしないものの自社CASE技術のクルマ実践モデルを発表している。(CASE:繋がる、自律走行、共有、電動)

 トヨタはニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)の適用率の高めつつ、得意の原価低減、グローバル生産による地域事情による凹凸を平準化できる態勢を構築した。今回の武漢で日産とホンダが影響が大きいのに比較してトヨタは中国にも拠点はあるが、世界全体でカバーしている。

運に運がつく。最近の原油価格は20ドル台。これもハイブリッドには追い風となっている。ディーゼルで不正した欧州は一気にEVに傾いたが現実は進展していないようだ。トヨタのハイブリッドの欧州比率は15%程度だが、今後は50%までに拡張すると情報あり。ハイブリッド車の開発当時の狙いはスポーツ車。決して初めからエコではなかった。ゼロヨンのスタートはEVがエンジンより勝り、ロングドライブにはエンジンが請け負う。ディーゼルは燃費が良くEU内ハイウエーをロングドライブできる。これをハイブリッドが置き換えるだけの理屈がある。

 さて、自動車も「写真フィルム」のような時代が来るのではないかとの危機感をもっているのがトヨタ社長。マンションの駐車場が空いている。スマホでタクシーは勿論、バスも来てくれるトライが都市で行われている。世界不況も大袈裟でなくなっている今日この頃、高価なクルマが本当に必要か、見栄でもっていないか?。東京一極集中のみならず、政令都市、中核都市へ人口が集中する時代におけるクルマの存在価値は加速度的に低下すると予想される。駐車場利用料金を高齢者増加となると医療費、介護費負担に回すこともあるだろう。

 多分、トヨタ社長はその場合に人の生活に役立つモノのみならず、役立つソフトを組み合わせた理想的空間がありうると考えたのだろう。裾野にモデル都市をこれからつくると発表している。トヨタが研究インフラの一部を裾野に設けたとき、町の雰囲気が普通とは違うとは思っていただけに、計画が具体化するのが楽しみだ。昨日NTTと共同検討すると発表があった。

 バイクから自動車そして航空機まで発展させたホンダのDNAにも大いに期待する。さて、日産、銀座から生まれ故郷の横浜に帰ってきた。悪運を禊ぎして心機一転頑張って欲しい。

 総括すると 「幸運には更なる運が相乗する。その準備が大事、怠ると不運が」

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