スポーツには筋書きがないと言われるが、大逆転の試合などあり、引き込まれる。日本選手の活躍ばかりでなく参加した選手は紛れもなく頂点を極めた人ならではの言葉が発しられ、重ねて感動を与えてくれる。
開会式は一般観客ゼロの静寂な雰囲気ではあったが、入場行進してくる選手の明るい姿に「トレーニングもままならぬ環境のなか、よく来られた」と正直思ったと同時にアレ?この曲ってドラクエ?。道理でノリノリの行進もあった。
ゲーム曲をもってくるとは日本より世界の方がエッ??と思ったであろう。57年前の開会式を覚えているシニア層は古関裕而氏のオリンピックマーチとよく似た行進曲だろうとと思っていただけに意外だったようだ。家族からは日本はゲーム、サブカル、観光で押していくのを主張していると受け取られるだろうとコメントがあった。先端医療・材料・エネルギー、環境、先端モノ作りを組み入れる工夫もあっても良いのでは?とも感想をもらしていた。全くの同感で鋭い解析をする家族にも感心。
演出については普通から辛口まで評価は色々あるが、誰も言及していないのは入場行進の順番だ。あいうえおの国・団体の行進順に何故なんだろうと。普通ならABC順。
筆者の考えは以下のように回りくどいが、こうだ。平安初期までは漢文が主流だったが、中期になると古今和歌集には和文も掲載されるように仮名が発明された。紀貫之の土佐日記でひらがなの文学が登場し、「また男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」と男が女性の立場にたって和歌などと組み合わせてなされたものである。以後、清少納言、紫式部とつづく。ここに日本は女性の立場を1300年前からあるのだとのセレモニーの伏線を敷いたのではと考えた。(和歌なら“いろはに順”でしょと言われるかもしれないが、海外の日本語学習実態からは“あいうえお”が妥当)。
森さんの発言が切りとられ、日本は女性は活躍していないとの報道が浸透していたので、そうでは無い、寧ろ女性の活躍はいにしえからあるのだと主張したのだろうと。
漢文から和文に移行することで庶民の識字率が高くなり、独特の文化が養生された。江戸の火消し、歌舞伎の睨みなどの庶民の暮らしを反映したセレモニーと紐付けされているとみた。世界を駆け巡り活躍しているジャズピアニスト上原ひろみとテニスプレイヤー大阪なおみの登場に主役は女性とも言えた。
庶民を熱狂させた野球のスター三人衆の聖火トーチキスも障碍を支え合う姿を凝縮したものだった。医療介護者の皆様によるオリンピックフラッグ行進も良かった。
ワクチン供給先は未曾有の死者数が多い国に優先的に配布される国際常識にしたがい日本はオトナとしての態度で臨み、そして米国でファイザーと談判し確保、そして超多忙な開会式でも追加ワクチン交渉と派手さは決してないが、なすべき事は実行し、更にワクチン入手困難な国を支援するなど、オリンピックを開催するに相応しいことをしている。イケメンの首相だったら、報道も違ったのだろうと余計なことながら思う。
観客ゼロのなか競技する選手に懸命な“おもてなし以上のオモテナシ”をされているボランティアの皆様に頭が下がる思いだ。キャンプ地での交流や、選手村、交通整理、競技場でのサポートなど活動がこれから本格的に報道されることを期待している。既にtwitter では活動状況が多く報じられている。ほっとする。日本の良心が生きていることが分かって安堵するのだ。
直前にトヨタが国内TVでのオリンピック関連CMはしないと発表した。理由は色々あるだろうが、コア視聴が明確なSNSに軸足を移動したのはTV終焉予感になるほどのインパクトを与えた。今後はトヨタイムズでの広報活動を見て欲しいとのことなので観た。昨年2月の労使交渉編であったが、双方の膿を正直に吐露しあう様に驚いた。さらに豊田社長の締めくくりの言葉「従来はIで語る人・縦割り事業部が多かった。これからはYouで語る人になって欲しい」には腑に落ちるところがある。会社の体質改善とオリンピックCMとは一見関係がなさそうに見えるが、相手の立場、心情をよく理解することが成長の基本であることを端的に表現したとするなら理解できる。
今回は選手や関係者との交流はできないが、日本の良さを持ち帰り、コロナ渦が克服された暁には、あの国に行ってみたいと思って頂けるよう応援しよう。