ある日、何気にTVを観た。日本製品製造工程の一部だけをパネラーに開示して「さて、何を作っているのでしょうか?」のMCのナレーション。一発正解では番組が成立しないこともあって本当に分からない~番組盛り上げの珍回答もありのバラエティの中で進行。最後に木管楽器を製造しており欧州では製造会社名〇〇〇〇がリコーダーの代名詞になるほど愛用されているとのことが開示される。知らなかった。社員10人未満の大阪中小企業である。角材を3年養生して反りが収まったモノをNC旋盤でリコーダーの形状に切削する風景から製造工程が理解できる仕組みとなっている。なるほどと感心したのはNC旋盤の操作をしているのは中年女性が荒削りした後、熟練シニアの人が丁寧に磨きを担当。表面粗度Raを計測するまでもなく熟練者の手がセンサー兼研削装置と化していることが分かる。
この場面を観て思わず歯科技工の複雑多岐に亘る工程のかなりのゾーンを機械化することで合理化され、微妙な差を感じ修正仕上ができる熟練技工士が分担することが好ましいのではないかと。CAD/CAM、3Dプリンターがこの場合のNC旋盤に相当する。
ところで、木材の伐採から3年養生は楽器によってはそれ以上の年数をかけることがある。木は動くことができない。太陽光は一定の方向から照射され反対側とは年輪幅からわかるようにセルロース細胞密度が違うので切断すると歪みを解放すべく反るのが自然の摂理。これをコントロールしながら木材、竹製品を丁寧に加工しているのが日本ならではである。話は飛んで、京料理が美味しいのは昆布出汁にある。江戸時代以来、北前回船で北海道から昆布を京都に近い福井県の敦賀で荷揚げして、そこで3年熟成させている。ご存知の旨味成分のアミノ酸が3倍以上に増加するのである。木材・昆布・・・と来たら人材養成もそれなりに年数は必要だなぁと。経営者・上司の優れた部下育成センサー性能が試されるのは言うまでも無い。