現場感シミュレーション

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10月1日から横浜市の人口が衝撃的に急増した。9月30日からたった1日の出来事にそんなことがあるはずがないが。その理由は次の通り。地下鉄改札出入り口の流れが大混乱しており、あたかも人口が増えたと思わせるからだ。

横浜に限らず他の都市でも老齢者パスが70歳になると配られる。年収により無料〜9000円まであるが地下鉄、バスを利用するには非常な格安システム。

従来は老齢者パスを有人改札で見せるだけでスムーズに出入できたが、10月1日からICカードとなり、特定の読み取り装置①にタッチして○印を確認し、有人改札②で駅員に見せる二度手間システムに変更された。装置は駅の死角しか置けない事情なのか、どこにあるのか案内人を2〜3人配置する必要があり、普通の自動改札から出入りする人の流れを邪魔しないと辿りつけない。

図中の①→②へ移動。この図で左から来る人は2回人の流れを横切ることになる。(図は地下鉄桜木町駅 みなとみらい地区、市役所関係で乗降客は絶えない。)

若い人は押し並べて背が高いので読み取り装置がどこにあるのかウロウロ。改札から吐き出される怒涛のような流れの中で、なおさら高齢者は漂流するのみ。漸く辿り着いたところは一種の集団状態に。Suica、pasmoと同じパスカードに入れないで別にするように注意されているらしく、いざ読み取りになるとパスカードの出し入れに手間取って渋滞している。

係の人に聞いた。高齢者は何も通勤などの時間帯に行動しなくても良いのでは? すると駅員の答えは非常に簡単なもの「通院!」。なるほど。読み取り装置案内の人に話を聞いたところ、高齢者の苦情にホトホト参っている。苦情が的を射ているだけに市役所の意思決定システムが壊れていると思うとまで言い切った。苦情の電話をして下さいとコンタクト先の紙を渡された。ここで役所は現場感がなく適当に決めたのだろうとは推察はできるが、言いたいことは、決めた役所も苦情を電話で受け付けるシステムもこの時代に合っていないのではないだろうか。

先の国葬でデジタル献花が50万人を超えたとのこと。横浜市老齢パスに関する意見をSNSなどを通じて集める方が“統計学を専門とする”市長には有益ではないだろうか。決める方については流動解析エンジニアリングソフトで人の流れの中に方向と速度の違う人物を置いた場合の流れの混乱(乱流・渦)が計算できる。横浜国大をはじめ、横浜には工学部を有する大学が多くある。そこを利用すればシミュレーションできたはず。

最適な読み取り装置の場所も計算で求めることが普通にできる時代。現場感とシミュレーションの重要性の具体的事例を見た

ここまでお読みになられた人は「普通の自動改札を利用できるようにするのが本来やることではないのか?」 全くその通り。 自動改札の改造は不要。子供用のカードで反応しているのだから、それを利用するのだ。子供表示が出るが、高齢者はウイットがあって良いと喜ぶだろう。子供なのだからもっと勉強しなければ・・・と受け止める高齢者は明るくて長生きすると思う。

話はそれるが、ウイットに欠けるマニュアル社員ではユーザーから疎遠にされると明言してもよい。

最近の出来事だが、試験用に500g程の材料が必要となりメーカーに依頼。普通はサンプル程度を所持しており試験結果を聴取し商品戦略に活かす。このメーカーは総合商社の取次店に案件を回した。25kg製品なら販売する。発注書はFAX。時代遅れのアクションに驚いた。と同時に取次店の置かれている立場も分かった。

残りの24.5kgは不要だが、廃棄処分するとSDGs面でも拙い。入荷したことの連絡メールをした文の最後にPSとして、残り24.5kgはSDGs面からもなんとかしないと・・・と記載して送付。その返信が「当社は25kgが最低販売量です。の一行のみ」。この返信で、この会社は当方を一過性ユーザーと判断したとして、次は違う代理店か担当を逆指名する。

次に繋がりそうだからのシミュレーション、ユーザーの履歴など調べた上で対応するのが普通。答えるなら 「A:新用途が見つかったら当方も会社も嬉しいです。B:新用途いいですね〜。出荷ローリーを手当して待っています。」

昔、樹脂袋から竹箒の小片が発見されたと会社にコンプレイン一報があった。時の担当者は平然と「次はチリ取りを入れておきます〜」で相互爆笑。親密度は以前より増した。明日は今日より成長できるとの社会的前向きの時代背景はあっただろうが、ユーモアは時代によらず、人がビジネスをしている間は必要だろう。それも広い意味でのシミュレーション。

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