GW中に半日コースの超近場に出かけた。渋滞が予想される国道246の一部を走行するので、いつでも下車して、あとはウオーキングでもいいか的な考えで路線バスを選択。大袈裟だが目指すは独特の焙煎作業所をもつ珈琲複合店。11時には到着してしまったが、製菓直売、関連商品なども充実していることから焙煎作業所見学の13時まで時間を潰すには程よい。
さて、行ってみたい動機を紹介する。お台場の青海地区には産総研、東京都産業技術研究センターなど研究機関があり、依頼試験や装置借用しての研究など利用している。港湾関係会社が入るビルの一角に早朝から焙煎の香りが漂っている焙煎作業所が同居している。焙煎の香り、煙に誘引されて仕事前の一杯を求めて出勤者が集まってくる。価格が以前は100円(その後に値上げして120円のスタンダードと200円の“高級グレード”もある。90%の人は100円のホットかアイスかのサーバーを選択する。筆者も仕事始め、昼食後は100円珈琲を求めるのがルーチン化している。 ルーチン化には価格にしては味が良いこと、焙煎作業を目の前にすることができ、作業している人との会話が楽しいことも影響している。
ある日、焙煎担当している人が今月末で退社しますと話をしてきた。焙煎の知識と腕を必要としている会社があるのだろうとしてN社ですか?と問えば。当たりっ!と。機会があれば会いましょうとして月日が経過。青海の焙煎は都市ガス燃焼。N社のそれは備長炭燃焼によるもの。ガス燃焼であれば温度調節はバルブの開閉度によりコントロールできるが、備長炭はどうするのかに興味があった。
その前に備長炭焙煎の“豆”知識をレビューすると。
*均一焙煎が可能。 遠赤外線効果により豆の芯まで熱が伝わることで雑味が少ないこと *焙煎時間が長いので中煎りから深煎りの甘味を引き出しやすい *備長炭の香りが微妙に反映して、かつ焦げが少ない。
一方で*時間がかかる。*すぐに火を落とせるかと言えばできない。*作業者の経験に依存するところが大きい などのデメリットがある。
実際、焙煎作業所に足を踏み入れた時、焙煎中であったが煙モクモク、珈琲の香りがしない。なにこれ?と驚いた。その代わり排気ダクトが従来見るよりも違うことに気がついた。焙煎時の1ハゼ、2ハゼ時に少量サンプリングして色目、香りを作業者がチェックしながら備長炭の追加をしている。この時の香りを嗅ぐには煙モクモクは邪魔なのだと。それと焙煎完成後冷却ターンテーブルに排出されると早急に除熱しやすいように排気ダクト能力が設計されていることにも気がついた。喫茶店などのスケールでは電気焙煎も利用できるが、大量生産の場合はこの2つの条件を満足しないといけないのだろうと感じた。
見学後、焙煎豆200gを購入。このチェーン店では豆購入すると珈琲を飲むことができる。都会でいただくより緑多い中での一杯は格別なものであった。味成分には今見た熟練技能も含まれている。
その翌日、知人が起業するに及んで色々な相談を受ける中で、会社の名前、事業性格を反映したロゴをAIで作成していることを知った。今までは名刺デザイナーなどに依頼すると3件ほどの提案があり、その中から選択して費用を支払うシステムであった。AIアプリを開き基本的なやりとりが終わるや否やロゴの候補が続々とアウトプットされてきた。アウトプットの速度もさることながら、デザインの新規性にも驚いた。iPadに向かって呟くだけでいい。どのような仕組みなのか知らないが、デザイナーにとって厳しい時代になったのかと。簡単なプログラミングではSE不要説はよく聞く。
良いのか悪いのか、ますます頭を使わなくても良い時代になった。。。。。と呑気に構えていると自分がやがて・・・不要扱いになる。大宅壮一はTVが出た時は国民総白痴になると警告。今は電車に乗れば8割がスマホ操作に没頭。電車から降りるにも画面眺めつつ、そのあとはエスカレーターに乗りつつスマホ。この流れではAIが人の行動を制御しているとチャップリンが生きていたら言うだろう。
AIではできないことは何か? 備長炭焙煎珈琲をいただきながら考えることにしよう。