三方よし vs. エゴ 成立するのは

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ブログは企業や個人がウェブ上で集客するためのツールとしての役割である。その意味ではコスモサインの材料マイスターブログの内容は本来のブログ目的からほど遠い。関係者一人の独り言、日記であることと都合よく解釈して、今週もこのブログは脈絡なく始まる。

最近の話だが、展示会で名刺交換するとき、〇〇のご出身だろうなぁと思っていると「甲賀なんです。滋賀は伊藤忠、西武の堤家の出でして。。。。と何気ない会話。滋賀県の人は今や商社首位となった伊藤忠商事を自慢に思っていることは確か。西武は池袋・所沢のイメージがあるが琵琶湖東地区の近江鉄道やバスは西武。ライオンズバスが走行しているとエッ?と思うことがある。

伊藤忠の「三方よし」はあまりにも有名。商売は「買い手よし、売り手よし、社会よし」の三条件が基本。ディーリングが得意な某国大統領であれば当然知っているはず。売り手の圧力だけで残りの2条件が揃わないと長い商売はできない。左ハンドルの欧州でも米国車は極めて少ない。環境・エコ・エネルギー不足の欧州の厳しい消費者から見ると購買意欲が出ないのだろう。

前職で、先端材料と新機構を盛り込んだコンセプトカーを試作すべく欧州のデザイナーに依頼したことがあった。その時の第一優先事項は スモールカーであること。理由は欧州の古い街特有の駐車場問題が指摘された。市内に入るにはナンバープレートが奇数・偶数で分ける都市もあったほどだ。提案されたスモールカーは日本の軽自動車サイズだった。既存の駐車場スペース1台分にコンセプトカーなら2台は可能。今、欧州では日本の軽自動車に熱い視線が注がれているのは理にかなっているのだ。三方よしを満たしている。 米国車で売れているものはJEEP その理由はオフロードに適しているからとニーズの条件に満足しているからだと思う。ただし利用者は2〜3台目でありメインユースではない。

欧州では特にトヨタ叩きもあってEVに猪突猛進したものの、冬場問題、社会インフラ問題もあり頓挫した。肝心の環境問題もLCAで見ると怪しいとの(現状レベルでは)情報も浸透しつつあり、ルール変更すればトヨタを叩けるとの考えが一方的な売り手戦略であり「買い手よし」を補助金で釣ったが、補助金が切れると「買い手条件」を満たしていないとわかりまさに混乱状態。

ところで、米国は日本のクルマ事情を全く知らないのだろうか? いや待てよ! フォードは戦前に横浜(今の新子安)で製造工場を持っていた。生産車はT型フォード。関東大地震では東京から特注生産を担ったほどだ。日本は舗装もされず、細い道路で住宅が密集の中、車サイズは大きくできないなと技術者は思っていたはずだ。戦後は経産省の方針もあり撤退を余儀なくされたものの、マツダに資本参加するなど日本情報には熟知していたはず。よく事情を知っているからこそ、拡大することに躊躇したとも言える。

特にクルマは高価であるから、ディーラーが近くにあり、相談に相談を重ねてわかる営業マンの人柄、ほとんど故障しなく、リセール価格、点検も修理体制など諸事情を考えて購入するのが一般的。 クルマという商品はE-コマース的には日本は向いていない。売り手の合理化都合だけの条件は日本では成立しない。

話が飛躍するが(このブログでは通例ですが)発明をして特許申請を特許事務所に依頼すると、やり取りはFAXがメイン。理由は電話通信回線なので情報漏洩面において圧倒的信頼性があるから。今時FAXなんて時代遅れだとか、ニホンパラバゴスの一つと揶揄されるFAX。発明出願日が1時間遅れても無効になる、その間、情報を抜かれることが一番堪える。パソコンデジタル化がFAXを駆逐したように見えるが、2重ロックでも安心はできない。FAXか紙書類持参しての打ち合わせが最も信用性がある。 一種の三方よし なのだ。日本で絶滅危惧種になったFAXだが、いずれ見直しがくるだろう。 新技術、新コンセプトビジネスが出ると注目するのは当然なのだが、隠れているところを見つけるのは困難だ。

総じて、瞬間的には圧力に堪えきれずに妥協しても、長期的には双方及び社会において満足されないものは、やがて変わりゆく。

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