以前(2020.1.15日付)ブログでアルコール分解遺伝子について記載した。アルコールがアルデヒドに変化する際に作用する遺伝子とアルデヒドが酢酸に変化する際に作用する遺伝子の両方があり、それぞれ、祖先時代の遺伝子とその後変性した遺伝子の組み合わせが4種類あることを説明した。そのブログの最後のところで、変異が起こったのは中国南部であったと別の論文を引用して紹介した。現代化学2月号に変異遺伝子の世界マップが掲載されたので、まずそれを紹介する。
ALDH2 はアルデヒド分解変異遺伝子、ADH1Bはアルコール分解変異遺伝子である。
中東地区とアジア地区が変異遺伝子を多く有していることを示している。両方に共通しているのが、葡萄や米から酒を発明?した地域である。酒を発明しておきながらアルデヒド分解が遅い遺伝子をもっていることに疑問を持ち、仮説を立てたのが東大の太田教授。その説によれば、アルデヒドは毒である。二日酔いがアルデヒドのせいであると日頃痛感している人は直ぐに理解するであろう。こともあろうに病原菌も生きられない。この説が正しければ顔が赤くなってアルデヒドが分解しにくく体内に滞留時間の長い人は病原菌に対して強いことになる。祖先型の遺伝子を持つ人は幾らでも酒が飲め、顔色変えないでぐいぐい飲めるのんべいは病気に罹りやすいとも言える。アルコール分解もアルデヒド分解も変異遺伝子をもっている「いわゆる下戸」はそもそもアルコールを口にしないので、それでは病原菌には弱いかもしれない。その説が本当なら、アルコールが飲めない体質であっても、少しは飲むことが好ましいことになる。多くの人は少しではモノ足らないので。。。を続けるとアル中が待っている。両方とも祖先型遺伝子はアル中まっしぐらで、かつアルデヒドがたちどころに酢酸になるので、病原菌耐性は低い。
太田説によれば、稲作が発達して住民が集中して暮らすようになると生活環境(水、排泄物)汚染が激しくなり、それを防止するために強い遺伝子が残ったのであろうとのこと。
サーズ、マース、鳥、豚、新型コロナウイルスの発生地は申し訳ないが中国南部に集中している。新型コロナウイルスに対しての遺伝子変異が将来起こるのではなかろうか。その前にとにかく清潔にすることが最優先される。
【深紫外LEDによる殺菌とは】
弊社では波長265~290までの深紫外LEDを利用した空間除菌装置を居住・来客応接・製品倉庫にに設置した。日機装株式会社 製品名Aeropure である。深紫外LEDはノーベル賞の天野教授と日機装の研究成果である。製品寿命と波長はトレードオフの関係があることを日機装がブレークスルーして石川県白山市で量産化。今回の新型コロナウイルスの影響から、急遽、増産生産している。ただ驚異的な引き合いに生産が追いつかない嬉しいのか哀しいのか悲鳴を上げている状態である。清潔維持に熱心な日本人を誇りに思う。今後はタクシーやカーシェアリングなどへ普及するのは時間の問題であろう。
殺菌の機作(メカニズム)も追求されており、深紫外線を照射すると、効率良く塩基(チミン/シトシン)が二量体となり、細胞分裂阻害などの機能障害を引き起こす。DNAに直接作用するため、耐塩素性の菌にも有効に作用し不活性化する。
歯科ではLED殺菌水での口腔内洗浄や光重合用光源にも利用できる。
深紫外線は樹脂の官能化にも査証して印刷、接着強度、他樹脂との混合分散改良などにも利用できる。分析用光源への応用も期待されている。
さて、閑話休題。
話を戻して、アルコール分解変異遺伝子の図をよくみると、また違う様相を呈してくる。それはアルコール分解変異は中東で起こっている。筆者にはシルクロードを伝って中国及び日本に到達したのではないか????と(これは)妄想。中国南部では人口が急増したのでさらにアルデヒド分解が遅い遺伝子に変異が起こったのではないかと。俗説ではユダヤのヘブライ語と日本語・日本文化との類似点を多く例示している。カタカナに始まり、祭祀、相撲にいたるまでユダヤとの交流が紹介されている。だが、俗説の領域を出ていないと言えば、その説提唱者から叱られるかも知れないが、遺伝子分析などでの解明も一つの方法ではないだろうか。
文献
現代化学2月号 新村義人 お酒が飲めないように進化した日本人
日機装 技術資料及びカタログ