AI 時代でも生き残るには

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戦後のカストリ酒場と呼ばれた闇市の雰囲気を残す小さなお店の前を通りかかった。屋根の修理だろうか、有に80歳は超えていそうな小柄の作業者が修理の板金製品を持ちながら梯子を登っていく。梯子を支えているのは30歳前後の若者。作業会社の社員だろうが、どうみても梯子を登るのは若い人だろうと思った。

腕がある人なら年齢に関係なく今後も声がかかるだろう。それに引き換えこの若い人は今後のAI時代に果たして職があるのだろうか?余計なお世話だが心配になった。

大型衣料店に入った。レジには人がいない。自動レジを案内する人がいるだけ。品物をレジ横に置いただけで精算表示があり、お金投入するかスマホ決済で終わり。レジ打ちは主婦のパートとして需要があった。それが今や姿を消すことに。指が早いだけではなく、お釣り計算が見事に早いのもパート主婦の特徴だった。でもポイントカードが流通して、例えば1円など小銭分はカードで精算して下さいとお願いすると、パタッと手が止まる人が出始めた。後ろの列に並んでいる人のことを思って、お客さんの方が悪かったと謝る。いつからだろうか。スマホの計算機能を利用すれば事足りるようになってからのことだろうか。多少の不便さのほうが脳の劣化防止には良さそうだ。

AIが発達すると失職するランキング100などの話題は結構ある。子供の教育をどうするか心配な親御さんはチェックするだろう。

ビル・建物の形は一様ではない、メンテナンスする際の足場を作る様子を見ていると、これはロボットではできない。できたとしても人間より時間がかかる。岡林信康の山谷ブルースではないが、「俺たちゃいなきゃビルや道路も出来やしない」。その通り。

小売店販売員が無くなる職業トップらしい。テナントから派遣されている販売員の話によると紳士服売場では1つも売れない日があるとか。並んでいる商品群から最適なアドバイスをしつつ販売するのだが、それだけではE-コマースに負ける。給料が上がらない、懐事情が以前とは違う、そんな経済の中でド派手な服装が流行だとしても来年には着られない。とすると客が買うとすれば・・・と肌感覚で嗅ぎ取り売れる商品を提案することができる販売員ならば生き残れるであろう。難しいのは色調・柄を決めるタイミングは1〜2年前なので当たらないことが多い。販売員とて経済の動き、外国人の流れなど把握する人は残れる。似合う・似合わないのファクターの他に経済傾向も加味して提案するのが必要か。

無くなる職業4位のセールスマンでも同じ。セールスマンの経験から異業種をリンクすることができる企画マンであれば生き残れる。そのためには専門が一つでは成立しない。大学がダメになっている理由はこの専門を深掘りすればいずれ役に立つはずだとの仮説に基づいて研究をしているのが大部分。当たればノーベル賞でよく粘ったと賞賛される。でもほとんどは若い時の業績。隣の研究室とは異なることをするのが仕事とばかり差異化を図る。が、現実に生き残れるのは自分の専門云々を言っている人ではなく、あらゆる面でのエキスパートか異分野をいつの間にか自分のものにしている人材だ。

それには、学校を出て市場で働き、再度戻って違う分野を専攻するなどフレキシブルなシステムが必要だろう。その方が教授も刺激を受けるだろう。因みに大学教授は無くなる職業ランキング67位。歯科技工はどうか。百人百様の患者の状態を最適化するにはAIはまだまだと思うが、考え続けることは必要かも知れない。その時までに他の業態でのAI進捗を学習しておく必要があろう。

固い話になったので、最後は笑い話を。日用品大手のM印の店内をぶらぶら。すると販売員が声をかけてきた。「本部の方ですね」当方「いや、そういうことは言わないことになっていますので」。潜入覆面監査官と誤解されてしまった。それならば、この流れに乗って、広い店内を隈なくみて、靴下を買ってレジへ。セルフレジがあるが、いかにも対面の人をチェックするような視線で精算。ここで先の販売員が近づいてきたので「よかったと言っておくよ」と告げた。この店員がほっとしたところでネタバラシ。その場にいた他の店員一同大笑い。そうか、このような職業もあるのだなと感じた次第。

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