有機米は浸透するか

ファミレスでは「白米にしますか?雑穀米にしますか?」と聞かれる。iPadでメニュー注文時にご飯の種類をインプットする。お客は健康のためだとして雑穀米を選択することは普通になった。だが、白米の中でも有機米にしますかとは聞かない。ファミレスサイドから見ると有機米の供給量が少なく、価格は高いとなると聞かないのは当然か。環境及びユーザーの健康のため有機米栽培をされている農家は除草・防虫対策など苦労があるにも関わらず生産量(=消費量)が伸びていない。 お客サイドから見れば環境は利他的であり協力したい気分が多少あったとしても、最後の結果は価格とブランドで選択しているのが実態。

自動車に置き換えた時、リサイクル原料を適用した製品であったとしても、ユーザーは従来品と同等品質にして同等価格であるかどうかを見ている。リサイクル利用はLCAからは歓迎すべきところあるが、ユーザーから見れば利他的。品質を落としていいとは言っていない。そこがリサイクル事業の困難なところ。バージン材料での製品化の時に大企業は先端技術を駆使して開発製造しているのに対し、物性を落としかねない材料との混合物で、開発技術体制がやや劣る企業がバージン並みに物性を維持するには先端+更なる先端技術が必要で実質単独企業では困難。大企業が支援する仕組みが好ましい。

話を戻して有機米について三重大学がモニター調査をした。 消費者は米の情報も”味わっている”?!食味評価と購買意欲を向上させる栽培情報の不思議な効果         (2024.12.13 )

超要約は

1)有機栽培に関する情報提供により、同じ米でも食味評価が約 13%ポイント向上

2)生産者情報の開示により、再食意志が約 12%ポイント増加

3)食にこだわりが強い消費者ほど、有機米への評価が厳しいという意外な発見

4)環境意識の高さは必ずしも有機米の評価に結びつかないことも判明

詳しくは次の図を参照してください

三重大によると積極的に有機米であること、米袋に生産者の顔がわかるようにしたら需要は伸びると結論しているが、3)4)の調査結果はそれだけでは不十分。

しかしながら、2025年のインフレ率は14%が見込まれ、その一方で所得が多少上がっても所得税率枠から結局手取りは頭打ちが現実的になるほど、大学の結論通りにはなかなかならないのだろうと予想される。

主婦の財布引き締め策もあるだろうが、白米を美味しく炊き上げるコツをお持ちなので、味や米の艶のコントロールができるからもあってなおさらではなかろうか。

日本が変わる時は外圧か、病原菌など流行がきっかけとなる。有機米については害虫防止薬事噴霧による残留農薬による漁業量の減衰、最終的に個人の疾病に関係がありそうだと判明することがあれば、意識は変わる。その意味で時間はかかるだろう。

紅麹事件に思う

喉元過ぎればでは済まない事件が丁度1年前の2024年1月15日に発生。紅麹事件が発生した日である。この一年間に被害に遭われて亡くなられた人、元の健康体になかなか戻らない人などの実態を日本腎臓学会のお医者様が地道に経過フォローしている。悪玉コレステロールは諸悪の根源だとして紅麹サプリメントを摂った人の気持ちは十分にわかる。

今は悪玉、善玉の区別は意味がないとも言われているが、当時は悪玉・悪玉・悪玉の風潮が強かったので服用した人に同情する。製薬の名前がついているのでサプリも医薬品並みにGMP管理されていると筆者も思っていたが、サプリの管理はGMPより低い基準の食品扱いであることに当時驚いた。

原因は青かび由来のプペルル酸だと厚労省も結論されたが、ブルーチーズ業界にとっては迷惑な結論だったかも知れない。当時、慌てて結論を出した感を思った。本音を言えば1年間原因を追求した結果があればと思う。結論が同じでも構わない。追求する姿勢が信頼を回復すると思う。

さて、日本の研究 リリース資料を見てみよう。

題名 日本腎臓学会会員へのアンケート調査により紅麹関連製品摂取後に生じた腎障害の実態を解明

報告者 大阪大学 掲載日:2025.01.06

内容 紅麹関連製品接種後に生じた腎障害の実態について日本腎臓学会が中間報告に加えその後の調査を実施し実態を詳細の検討

その結果 ファンコニー症候群が腎臓障害の主要な病態であること

接種中止によりファンコニー症候群の多くは改善したが腎機能障害は残存した

ファンコニー症候群の補足説明を引用する「腎臓の機能を理解するに非常な解説がされているので引用します。「腎臓の基本的な機能単位は「ネフロン」と呼ばれ、一つの腎臓に約100万個存在します。このネフロンは、「糸球体」と「尿細管」という二つの主要な部分から構成されています。尿の生成過程では、まず血液が糸球体で濾過され原尿となります。この原尿には、糖やリンなど、生体にとって必要不可欠な成分が含まれています。そのため、これらの重要な成分は尿細管、特に近位尿細管において再吸収され、体内に戻されます。近位尿細管に障害が生じると、本来体内に戻されるべき成分が尿中に漏出してしまう「ファンコニー症候群」という状態になります。」

この解説でなるほどと納得。勉強になります。

調査の総括を図1に示されている。腎機能はほとんど初めから変化がなく、機能障害のままであることがわかる。最後の腎病理初見の項に至ってショッキングである。

研究者の初見として「本研究成果により、紅麹関連製品摂取後に生じた腎障害の病態および摂取中止後約2か月時点での転帰が明らかになりました。フォローアップ調査においても、腎機能障害(eGFR < 60ml/min /1.73m2)が持続している患者さんが多く存在しており、長期に経過を追う必要性が明らかになりました。」とある。

ここで見方を変えて、なぜ小林製薬が事故を起こしたのかを勝手ながら想像した。小林製薬といえば、ネーミングが分かりやすい、印象に残ると消費者は好意的であった。しかし「熱さまシート」「サカムケア」は2001年をピークに成熟しており、後継の有力商品は乏しくなっていた。超大手スーパーがドラックストアを傘下に収めるようになり、仕入れ価格も厳しくなっている背景があるのだろう。株価は麹菌事件発覚の2024年3月にストップ安になっているが、その前から低下傾向は止まっていない。アジア通貨不安やジェネリックの競合の中で、麹菌をM&Aするに際して甘くなったのではないかと勝手ながら推察した。

我々歯科業界に携わる関係者として毎年薬事監査を受け、5年に一度の上位薬事監査を受けて事業を遂行しており、薬事に関する意識はあると自覚をしてはいるものの油断をするとトラブルを発生しかねないと他山の石ならぬ肝に命ずる次第。

肺疾患と腸内細菌叢

長いお年末年始の連休が終わり職場に活気がみなぎってきました。本年もコスモサインを昨年同様ご愛顧されますよう社員一同気を新たにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。このブログは主として健康関係の情報を収集して徒然なるままにアップしております。皆様にとって常識的なところは多々ありますことお詫びしつつ継続して参りたいと考えております。

さて、腸活と脳はリンクしていることは昨年も多くの文献があり、このブログでも取り上げました。今回は喫煙による慢性閉塞肺疾患が腸内細菌叢と関係している文献が年末にリリースされたことを取り上げます。肺の昨日は空気から酸素を取り入れる気―液反応器官ではあるが、気液反応と腸内細菌叢がどのように関係しているのかは予想外だった。

早速文献を見てみよう。(2024.12.26 慶應義塾大、東京農工大)

1)題名 腸内細菌叢とそこから産生される短鎖脂肪酸の慢性閉塞性肺疾患(COPD)への関与の解明に成功 -食物繊維に着目した新規治療戦略開発への期待-

2)目的 腸管と肺疾患の関連、腸内細菌叢および腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸が実際に 慢性閉塞肺疾患に関与しているのかを明らかにする。

3)結果 (注:原文を当方が整理しております)

3-1)喫煙者および非喫煙者の採血検体を用いて、喫煙者では血液中の短鎖脂肪酸濃度が減少しており、同濃度が肺機能と相関していることを明らかにしました

3-2) マウスモデルを用いた実験から、喫煙に曝露することで腸内細菌叢が変化し腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸も減少していることを明らかにしました

3-3) マウスモデルに対して食物繊維を補うことで体内の短鎖脂肪酸が増加し、気道炎症および肺気腫が抑制されることを明らかにしました

3-4) 反対に抗菌薬を投与し腸内細菌を駆逐することで短鎖脂肪酸は著明に減少し、気道炎症および肺気腫が増悪する

具体的データについては元文献を参照されたい。一部を引用します。

 

 

 

最後の図は衝撃的。短鎖脂肪酸が減少するのは理解したが それが肺細胞を破壊するとは驚きだ。てっきりニコチンが肺胞に付着して酸素吸収を減少させるのだろうと思っていたことの小学生並みの考えを恥ずかしく思った。

極端に言えば、喫煙者はそばにいる非喫煙者の肺を破壊している行為であると言える。“道連れ無知キラー”  不幸にして副流煙を吸ってしまったら食物繊維を多く摂る必要がある。欲を言えば、タバコ1本に対して食物繊維をどれだけ摂るべきか参考データがあればとは思うが、無責任な予想ではタバコ1本でブロッコリー大束1個ぐらいだろうか。それより禁煙が手っ取り早いのはいうまでもない。

ふと思うにタバコが日本に入ってきたのはコロンブス時代に欧州経由の16世紀。それまでの日本人は清澄な空気と植物由来食事により、少なくとも肺細胞が破壊するようなことはなかったのであろう。今回の文献が浸透して脱タバコの社会になるには、今がピーク超えの21世紀とすると、あとどのぐらいの期間が必要なのだろうか。

鼻閉塞の悪影響

いっとき「パーカーおじさん」でSNSが炎上した。正式な服装が必要ならTPOを弁えることができるのも「おじさん」なので余計なお世話。ほっといて欲しい。それより気温が下がってきた今日この頃、気になるのは「首周り露出度が多い女性」。

あれでよく風邪をひかないのか、よそごとながら心配だ。体温が36.5℃であれば喉をウイルスが通る時に死滅させることができるが、マフラーもせずに歩いていると喉付近の温度は35℃あるいはそれ以下となってウイルス活動が活発になる。ちなみに道を行き交う女性の首回り薄着の割合は半分はいる。マフラーをしている人もいるが、コートの外側にファッションとして巻いていることもある。

暮れも押し迫った日曜日に外出する必要があり、気温5℃前後にして寒風吹き荒ぶ中ある行事に参加。夕方には風邪ぎみになってしまった。マフラーをしていても底冷えはこたえた。鼻声・鼻水状態。

鼻水はなぜ出るのか? 誰でも知っているが念の為。 ウイルスが鼻の粘膜に侵入してくる → ウイルスを排除しようと鼻の粘膜で炎症を起こす →炎症によって粘膜にある細胞から鼻水が大量に分泌される。→ ウイルスや細菌を洗い流す。

要するに体がウイルスと戦っている結果として鼻水が出る。鼻が炎症のため詰まることもある。対策は加湿(鼻の粘膜感想防止)、水分を摂る、最後は風邪薬服用。

そういえば鼻呼吸に関して東京科学大(東工大と東京医科歯科大の統合)がプレスリリースした記事があったこと思いだした。 2024.11.13プレスリリース記事。以下論文のタイトルは

「鼻呼吸の重要性を解明:発達期の鼻閉塞が脳に与える影響 2024年11月13日 公開 鼻呼吸障害が運動機能や情緒に及ぼす影響を解明」

但し、元論文のタイトルはNasal obstruction during development leads to defective synapse elimination, hypersynchrony, and impaired cerebellar function 「成長期の鼻閉は、シナプス除去の欠陥、過同期、小脳機能障害を引き起こす。」とやや過激な表現だが読めば納得。

過同期hypersynchronyとは、脳波における異常な同期活動を指す言葉で、具体的には、脳の多くの神経細胞が同時に発火し、通常よりも高い振幅と規則性を持つ脳波が観察される現象。これは、てんかん発作、偏頭痛、アルルハイマ病、パーキンソン病などの神経学的疾患と関連している可能性がある。具体的な事例が紹介されている。(図)

A, B P3由来慢性鼻閉マウスの成体期におけるオープンフィールド評価。

A 生後8~10週目のコントロールマウス(CTL)とP3_UNOマウスについて、15分間のオープンフィールド試験におけるマウスの代表的な移動経路。

B CTLマウスとP3_UNOマウスの移動距離とアリーナ中央での滞在時間。

C 社会性テストの図と移動軌跡の代表的なヒートマップ(中央はCTL、右はP3_UNO)。カラースケールは各ターゲット近傍に滞在した時間を表し、暖かい色ほど滞在時間が長いことを示す(0-32秒)。破線の円はドールとソーシャルのターゲットの位置を示す。

D 社会性指数。見知らぬマウスの周囲で過ごした時間に関する算出。

E CTLマウスとP3_UNOマウスの加速ロータロッド試験。落下までの時間測定

F ある日の落下潜時の前日に対する比。

G 強制水泳試験。遊泳時間、もがき時間、不動時間の評価。

以上のように、特に発達期における鼻呼吸障害は無視できない。ここは両親の鋭い観察が極めて重要であると考えらえる。日本人はティッシュで鼻を噛み即捨てるのが身についているが、外国人はハンカチを何回も使っているのを見ると、衛生観念の違いを見る。たかが鼻閉塞と素人判断は危険。

本年もブログを毎週アップしました。累計372通の拙文ばかりで一向に向上しないところありますが、常に移り変わる情報に出会うと、記憶貯金に入れておかねばと思いながらアップしています。本年ふとした機会で読まれた方に感謝申し上げます。

オメガ3・6不飽和脂肪酸

オメガ3の不飽和脂肪酸(亜麻仁油、胡麻油、リノール酸、大豆油など)は心疾患リスクが低いなど健康に良いのは“常識”になっている。

だが、少々化学を履修したものから言えば、不飽和の二重結合部分は熱によりシス型からトランスに変化することもあり、酸素と反応すれば二重結合部分が劣化開始点となって低分子やカルボニル、カルボン酸などを有する化合物を生成する。だとすれば調理温度だとか保管方法なども説明がある方が親切ではないかと思っていた。

飽和脂肪酸のマーガリンは冷蔵庫に収納していても亜麻仁油は室温で保管されていることがある。実際、我が家でも小瓶であれば冷蔵庫に入れるが、大瓶だと暗所であれば良いだろうと安易に考えていた。サプリのDHA、EPAの保管も室温。定期的に購入していると劣化前に次のオーダーがくるが、時として試供品を手にすると、いずれ服用するだろうとして放置することが多い。(厚労省の見解はサプリが有効であるとは現段階は不明であるとしていることに注意)

一方で、タマネギやニンニクも健康食品として重宝されている。信じて疑わない。ところが、といつものパターンである。名城大学が12月6日に発表した記事を見て考えが浅かったと反省した。タイトルは

「ニンニクやタマネギなどに含まれる成分が、調理過程で トランス脂肪酸の生成を促進する事実とその抑制方法を発見!」とある要約すると

1)影響する成分とは含硫化合物 (ポリスルフィド類)、イソチオシアネート類)

2)ニンニク、タマネギ、ブロッコリースプラウトなど野菜類と青魚

3)加熱調理の過程でシス型がトランス型に(図参照)。

4)防止するには180℃以下、短時間が好ましく、酸化防止剤の添加配合が好ましい。オリーブオイルは比較的耐熱性がある。

ただ、著者によると生成量が少ないのでオーバーなアクションする必要はないとのこと。

名城大学と共同研究しているのはニッスイであり「魚の油焼け」に精通されているのであろう。この魚の油焼けはDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が酸化により魚特有の生臭みや不快な臭いを発生させることがあり、魚の鮮度や品質を低下させる原因となっている。特に鯖、いわしなどの青魚は油焼けしやすい。

なお、東北大学がプレスリリースした
「食品に含まれる共役脂肪酸ががん細胞を死滅させるメカニズムを発見 
-食品中成分を活用した新規がん予防・治療法の開発に期待-」(12月13日)
を参考とするならば、なおさら高温・長時間・繰り返し使用することは賢明ではないと思われる。

男もすなる料理とならば、スーパーで主婦に聞くことがある。ブロッコリーの選び方を教えて下さいなど聞くと親切に教えてくれる。茎根っこが割れているとダメとのこと。先日は魚売り場であれこれ品定めをされている主婦がおられたので選ぶコツはなんですか?と聞いた。

するとエラの色や目の濁り、体の弾力などをチェックして新鮮な魚を選び、それがないと冷凍ものを選ぶとのこと。なるほど、上記の条件と奇しくも一致していた。さすがプロ。

冗談だがバナナ売り場で、選択基準は何ですか?と聞いた。一人の主婦は「本数!」ともう一人は「バナナ同士のあたりで変色しているところ」と実用的なお答え。非常に正直。これが男だったらなんと答えるだろうか。無言か屁理屈を並べるかだろう。

なお、ファミリーレストランの油再生にタッチしたことがある。その時の油の管理基準は酸化度、油の色目などであり油劣化に対して厳しく管理されていることを末尾に添えておきます。

だから野菜なのか

健康診断の季節はほぼ終了したが、集合テナントビルの一角で簡易健康調査が行われていた。特にシニア向けの診断メニューが多く絞って参加。まずは日常生活のヒヤリング。喫煙、酒量、睡眠時間・・・。答えていくうちに項目別点数がついて小計。これで終わりかと思いきや、年齢分を追加の合計点数。老齢年齢と加齢年齢では違うのではないかと意見を言いつつ、次の血管年齢測定へ。そこでも年齢補正係数が掛け算された。幸い実年齢より若い結果とはいえ、腑に落ちない算出方法。

推測するに年齢による分布があり、その分布になるように補正でもしているのか?と思った。喫煙は肺癌になる確率分布は確かにある。だがそれは分布であって、マイナス3σに相当する個人であれば関係がない。だからと言って、マイナス3σの人が喫煙は癌とは関係がないと強調しても受け入れられない。有名人であるほど主張しがちのところはある。

血管年齢の以前の測定装置は今回とは違うが相当若く判定されたので気をよくしていたが、今回の結果はそれから一年でそんなに老けるか?として納得がいかなかった。所詮“簡易測定” パソコン画面を当方に向けていないこともあって尚更エビデンス能力に疑問だった。

前回はトマトジュースメーカーと生命保険会社の協賛開催であり、その模様はこのブログでも記載した。当時は野菜採取やや不足と指摘され、トマトジュースを摂るように気を付けたものの3ヶ月ぐらいで続かなかった。所詮トマト販売の企画マターであることも心理的作用をしていた。しかしながら、これをワガママ・怠惰・言い訳と片付けられてしまうほどのインパクトの高いリサーチ発表があった。 新潟大学(プレス発表:2024.11.28)

「野菜や果物の摂取が少ない慢性腎臓病患者(血液透析患者)は10年後の死亡リスクが高い-食事性酸負荷を指標にした新たな知見-」

 資料から本研究成果のポイントを転載すると

  • 血液透析患者において、食事性酸負荷が高い食事がその死亡リスクを上昇させる可能性が示されました。
  • 食事性酸負荷が高いことには、野菜や果物の摂取量が少ないことが影響していました。

慢性腎臓病に罹病する前からも注意する必要がある。他人事ではない。また野菜だけを摂れば良いと誤解されやすいが、タンパク、脂質、炭水化物を食するのが前提。

食事性酸負荷Potential Renal Acid Load(PRAL)について記載するが、まずは次の図を見ると、野菜・果物を摂らないとショッキングなことになることを知った。

 

 

 

 

ここでPRALとは次の算出式による。

 

 

 

 

過剰なタンパク質とリンは腎臓に弊害であることは知られているが、この式ではカリウム、カルシウム、マグネシウムのアルカリ性は調節剤として機能していることがわかる。

腎臓は沈黙の臓器だけに発症後10年以内の寿命と宣告されると非常に辛いものがある。

タンパクと糖はエネルギーの素なのでこれを十分に摂った前提の野菜・果物なので、そこは勘違しやすいので注意が必要。特に高齢者は肉、魚を多く摂る必要はある。その上で野菜・果物のアルカリ性でバランスをとる。そんなことなのかと理解した。そうではあるが、問題はこのPRAL式の各項目にどのように代入すれば良いのか、専門外の人にはさっぱりわからない。

次善の策は当然のことながらアルカリ性野菜・果物をリストにしてみた。整理上和風・洋風に分類したが今や日本食としてお馴染み。結論、和食はバランスが元々取れていたことに落ち着きそう。と安心してはいけない。副菜に1つでも2つでも加えたい。

先日、ポテサラを作った。人参は色合いで入れる程度なので一本丸ごとは利用しない。そこでポテトを高圧スチームで蒸す際に、残りの人参も同居させたところ、非常に甘い人参で何をつけなくとも食べることができた。トマトは今値上がりが激しい。だが湯むきして低温調理すると、これまた美味しいスープ。瓶トマトジュースではない味だと気がついた。確かに、工業部品でも素材は良くても加工法や仕上げが悪いと機能しない。同様に調理の世界も科学的アプローチがあっても良いのでは?と思う。それが冒頭のシニア層における咀嚼不具合向けにも応用ができるが、何事も継続だと家族のコメント。なるほど。

デジタル・デトックス

先日、v-tubeとの共演を見た。ステージではプロピアニストが演奏。演奏の合間にv-tuberの画面と音楽論を交わす。 v-tuberはアバターでピアノ鍵盤上の指を含め顔もアバター。音声は遅延なく相手方に届く。5G、6Gの通信技術ならばこそ実現するやりとりに新しい時代を感じた。

 

昭和の頃は海外からのリポートでは画像と音声がずれることが一般的だった。ずれるならまだしも、音声の強弱が波のように強くなったり、弱くなったりの時代もあった。得られる情報が少ない分、想像・空想で埋め合わせていた。時にはそれが海外への憧れとなった。

それが今や高速大量通信時代となるとスマホの数の情報発散基地が形成されることで、逆に数の面で少ない地上波放送が揺らぎ始めた。SNSは大量ゴミと揶揄するところはあるが、ゴミの中に時として宝物があるように、ゴミと宝物を選別する力も養生されてきた。

先週 横浜パシフィコで電磁波展示会があり、兵庫県から参加した大学、企業の人と知事選の話題になり、若い人ほど元知事一択だったとのこと。

地上波を見ない若者だからかと言えば、そうでもなく、地元だけに元知事の実績を見ての判断だったとのこと。知人に偏差値74と愛媛県屈指の進学校である愛光学園出身の東京在住の人がいる。地上波の影響を受けて「酷い後輩がいるもんだ」と元知事を非難していた。後で真実を知って、あの愛光に限ってないと思っていたと見事な情弱ぶりを披露。彼に限らず遠い地域のシニア層では共通していた。

偏った情報が怒涛のように押し寄せる時には注意が必要なのは戦時中のマスコミがあった。それが形をかえて残っているのだろうか。 としたら解決にうけ手サイドの「デジタル・デトックス」があるのかも。

電車内で暇つぶしのスマホを見るのは許されるが、降車する時も画面を見ながらゆっくりと降りてくるとなると「いい加減にしろ」と言いたくもなる。道を行き交う時も視線はスマホ画面。その人を避けるのは当方。これも「いい加減にしろ、勉強なら許してもいいけど」的なニュアンス感覚がある。

だが、これは当方の身勝手な思いかもしれないと思い始めた。

自分自身パソコン操作時間が長い。メール、試料作成、その間にX、FB、Lineのチェックして、再びパソコンに戻る始末。YouTubeでバックミュージックを流しながら。これをデジタル中毒と言わずしてなんというか。

この流れを一旦止めて、休憩か全くタッチしない日を設けるのもありとデジタルデトックス提唱者は言う。

一般的に言われているのは、ノーベル賞の約40%、世界の金融を抑えているのはユダヤ人であり、成長の背景には徹底した休息日シャバットがあるからだとの説がある。ガムシャラに働いて成長した日本と、取るべき安息日を守って成長したユダヤ人。面白い比較。

働きバチ対策の国民休日を増やせば良いと考えた日本とは確かに本質的に違うところはあるのだろう。 ここで、スマホもパソコンも家に置いて温泉に浸かることができるのは日本。温泉での休暇は神様が与えた日本民族の次なる発展へのツールかもしれない。行きたいなぁと言ってパソコンで調べるようでは、そう簡単には解毒しない。

スピーチ・メールの生成AI判定

このブログでは政治には触れないが、候補者の演説やパンフレット手交の場面によく出くわす。先日は維新の会代表選挙として候補者4名が桜木町駅前で各自10分の持分でスピーチ。桜木町はTV映が良いのか、多くの選挙でNHK、民放のTVカメラの放列がある。

ある候補者は自身でパンフを聴衆の中を掻き分けて配布していた。維新の会には投票したことがないので、暇つぶし的にパンフを見た。公約的な9項目が縦書きで記載されていた。多色刷で凝ったパンフ。しかしながら読む気がしなかった。

まず、公約数が多い。どの公約にも現在状況と目標値を定量的に表現されていないこと、および取り組み作戦など具体性に欠けていた。その前に実績の表示もないのでは議員の力量を図れない。

先の兵庫県知事選挙においてSNSからの情報ソースから選挙民は判断したとあるが、You tubeでも図解のないナレーションだけだとタイパから2倍速かショートを見るのが普通だけに、この候補者は時代に取り残されていると判断した。

最後の演者は大阪府知事。ポイントは2点とあらかじめ話し始め、その過程で具体的な予算額を紹介し、実現するための方策を述べた。中身の妥当性は別として、流石に今時の聴衆の心を把握している。他候補より抜けていると思った

話は変わって

メールを見ると右の帯にスケジューラー、連絡先、To Doリストがあり、本文中に予定が記載されている場合、カレンダーをチェックすると自動的に該当日に登録される。連絡先などもあり、それぞれのアプリを個別に開けなくてもメール上で処理できるようになっている。

今月からさらに生成AIとリンクするようになった。例えばメールが長いと生成A Iが要約例を示してくれる。非常にありがたい。

仲間に非常に丁寧な人がおられ、文章がA4 2〜3枚に及ぶメールを送ってくる。5W2Hで表現すれば長くても5行で済むのだが、長い文章では5W2Hのどれかが落ちていることがある。書いているうちに抜けるのはありうる。かっての会社仲間からは5W2Hの***(名前)と言われていた。そっけないと言えばそっけないが、それでも経営陣からは三行以内にしろと言われていたものだ。

ということで、ここまでの文章を生成AIが要約した。

「この文章は、筆者の日常生活での観察や経験を綴ったブログ記事のようです。大きく分けて3つの話題が書かれています。」

  1. 政治家の演説

筆者は、ある候補者の演説を聞いて、その内容が具体的でなく、時代遅れだと感じました。一方、大阪府知事の演説は具体的で分かりやすく、聴衆の心を掴むのが上手いと評価しています。

  1. メールソフトの新機能

筆者の使っているメールソフトに、生成AIを活用した新機能が追加されました。この機能は、長いメールを要約したり、スケジュールや連絡先を自動的に登録したりするのに役立ちます。

  1. 丁寧すぎるメール

筆者は、非常に丁寧で長いメールを送ってくる人がいることに触れ、5W2Hで表現すれば短く済むことを指摘しています。そして、以前の会社員時代に5W2Hを徹底していた自身の経験を振り返っています。

いやはや 生成AI 恐るべし。わずか2秒で要約された。我ながらこそばゆいところもある。

調子に乗って、今回のブログのタイトルは何が相応しいか?と生成AIに聞いてみたが、いずれも紋切り型で面白くない。

そういえばyou tubeなどで実際の人物ではなくアバターが取り入れられていると、内容がどうあれ興味が削がれる。例えば生成AIの指導により野球をしても勝てないだろう。横浜ベイスターズが勝利したのは情熱底力と団結力。そこには生成AIは1mmも効いていない。生成AI で失職すると恐る人もいるだろうが、恐ることはないのではなかろうか。あくまでも踏み台・参考書程度だと(今は)思う。

玉ねぎの効用 二日酔いに良さそう

玉ねぎに含まれるケルセチンが認知症に良いと農林機構が2018年に発表した。

(https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/senmon/1803_chosa03.html)のも記憶に新しい。植物に含まれるケルセチン同HPから抜粋

当時、ケルセチンは玉ねぎの皮に多く含まれるとあって、玉ねぎの皮を収集する企業があった。粉末にしてお茶として服用する。但し、スーパーで多くの人が触った玉ねぎで試すには躊躇する。企業はおそらく農家出荷選別段階で収集しているのであろう。

今回、岡山大学が「玉ねぎに含まれるポリフェノールの細胞保護作用とその分子機構を解明〜二日酔いの症状軽減やアルコール性疾患の予防効果に期待〜」を発表。(2024.09.26)本文を抜粋すると

「東アジア人特有のALDH2 遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルなどを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノール(ケルセチン)のアセトアルデヒド毒性に対する保護作用とその分子機構を解明しました。さらに、ケルセチンはアセトアルデヒド代謝酵素とともに、抗酸化物質合成酵素の発現増強作用を介して、細胞をアセトアルデヒド毒性から保護することを明らかにしました。」とある。

エビデンスを列挙すると膨大になるので申し訳ないが割愛する。

A LD H2 が不足している日本人の割合については、このブログでも取り上げたことがある。全くの下戸がALDH2不足はわかるが、顔色が赤くなる人もALDH2不足。鍛えて酒に強くなるわけではないので要注意。特に昭和時代の高齢者は酒が飲めて一人前として強制することがあるので、万一そのような場で出会した時は上手な会話と共に玉ねぎを宴会の前後に摂って肝臓障害を回避するのが好ましい。

さて、玉ねぎといえば淡路島が有名だが、関東のスーパーでは北海道産が多い。皆様はどの様に選びますか? 不揃いだが色艶が良いもの、ネットに入っているもの、農家さんのラベルが貼ってあるもの、やや高級スーパーで売っているもの、など。残念ながらケルセチンを多く含む玉ねぎの見分け方は残念ながら外見だけで判断できないとのこと。 一般的だが

  • 品種: ケルセチン含有量が多い品種を選ぶ。(例:クエルゴールドなど)
  • 産地: 北海道産の玉ねぎは、本州産のものよりもケルセチン含有量が多い傾向がある
  • 色: 玉ねぎの外皮の色が濃いもの、特に赤玉ねぎはケルセチンが多い傾向。黄色玉ねぎも白玉ねぎに比べてケルセチンが多い。
  • 重さ: 重量感のある玉ねぎの方が、ケルセチンが多い傾向。
  • 保存状態: 新鮮な玉ねぎの方が、ケルセチン含有量が多い。

なお白玉ねぎについて

白玉ねぎは、ケルセチン含有量が他の玉ねぎに比べて少ない傾向。これは、白玉ねぎが、日光を遮断して栽培されるため、ケルセチンの生成が抑えられるためとのこと。しかし、白玉ねぎにもケルセチンは含まれているので、全く効果がないわけではないとのこと。

いつものスーパーでは3個196円もあれば3個260円、1個 84円からとまちまち。高級スーパーでは1個460円。玉ねぎの顔つきは立派で貫禄がある。誰が買うのだろうか。当方は縁がなく見るだけ。

ケルセチンは調理方法によっては喪失するので要注意。ケルセチンは水溶性ビタミンであるため、水にさらしたり、茹でたりすると水に溶け出すので生食する場合でも、水にさらす時間は短くすること

  • 生食: サラダなど、生で食べる場合は、水にさらす時間を短くするか、全くさらさないようにしましょう。
  • 電子レンジ: 電子レンジは短時間で加熱できるため、ケルセチンの損失を抑える
  • 炒め物: 強火で短時間炒める
  • 蒸し料理: 蒸し料理は、水に溶け出すことがないので、ケルセチンの損失を抑えることができる
  • 揚げ物: 揚げる場合は、衣を付けて短時間で揚げる。

当方はレンチンで加熱し、バター炒めした後でニンニク+ポン酢で味付けした玉ねぎステーキ。及び 玉ねぎをスライサーで粉砕したのち、蜂蜜少々とりんご酢でつけ置きして冷蔵庫に保管。朝食に納豆にブレンドして食している。人の名前が咄嗟に出てこないので食べる量を増やす必要ありだが効果を見るには相当先になりそうだ。

マイクロプラスチックス

不思議な文献を見た。京大が発表したマイクロプラスチックの海洋生態系に関する文献である。―マイクロプラスチック浸出液がマツバガイの捕食者回避に与える影響― (プレスリリース 掲載日:2024.11.08)

元文献が見つからないので、発表資料のみからの印象を言えば、発表を是とする判断には情報が少ない。

その前に、発表内容ポイントを紹介すると

ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ乳酸のマクロプラスチックを海水水槽に入れ、24時間エアレーションしてマクロプラスチック浸出海水を得る。それを海産巻貝類マツバガイに捕食者であるシマレイシダマシを周囲に設置して海産巻貝類マツバガイが防御態勢を取るか否かを観測。

その結果、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドでは防御態勢とる割合が少なく(10%)、バイオ分解樹脂であるポリ乳酸は40%と比較的高いと報告している。

捕食者の出す酸を検知して防御態勢をとるマツバガイ検知能力がマイクロプラスチックス浸出液により低下しているとのこと。

さて、質問をしたいと思われた人はおられるだろう。正直、小生もその一人。

  • マクロプラスチックとマイクロプラスチックを混同(誤植?)
  • マイクロプラスチックは海・海岸から採取したのか、人工的に作成されたのか不明。同質材料を採取するのは非常に困難。工業製品であるマクロプラスチックスをUV照射で劣化させたモデル品と思われる。
  • ブランク(海水エアレーションのみ)データがない。エアレーションにより海水の成分変化(CO2によるp H酸性を帯びたか)の確認がない。
  • ポリエチレン、ポリプロピレンは疎水性で水には馴染まない。添加剤もポリエチレンは無視できる極微量、ポリプロピレンはグレードによるが、疎水性の樹脂中に存在することから海水による抽出は極めて考えにくい

   ポリアミドも膨潤はするが海水成分と反応することはない。塩素と弱いフ   ァンデルワールス的な結合はあるが、海水全体への影響は考えにくい。

  • ポリ乳酸はドライ状態でもマイナス帯電するように親水性であり、カルボニル基の近傍から分子切断して乳酸が分離することは考えられる。

以上のことから、ポリ乳酸由来の酸成分と捕獲者の酸があれば防御するのは理解できるが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドから何成分が析出されたから防御態勢を取れなかったかの、化学物理的な分析とそのモデル化合物による追跡解析が重要だと思われる。現象発見としては面白いが考察が必要だが記載されていない。(元の提出論文で確認は必要)

マイクロプラスチックスに注目した研究は大事であるが、その前に汚染実態の把握に基づいての研究が好ましい。2024年10月号「現代化学」に鈴木剛氏(国立環境研究所)が寄稿されている。

大雑把に言えば

マイクロプラスチックス環境流出量=(プラスチックス生産量)―((製造事業所での分離)+(下水道処理設備))のインフラ能力に強く関係している。(図参照) 

最近、注目されているのはタイヤ摩擦、ブレーキ摩擦、衣類洗濯屑。 比重が水より重いので沈降する分厄介。