発泡PS利用橋梁と構造弾性体

発泡ポリスチレン。白く、軽くて、断熱があり、食品トレー・家電包装ブロックや魚箱などお馴染みである。カップ麺に熱いお湯を注いでも手に持てるのは発泡(熱伝導が低い空気)の為である。季節がら倉庫から扇風機を箱から取り出すときに発泡ポリスチのブロックを急いで外すが、仕舞う段になるとハテ?と戸惑い、ナルホド!と感心する。作った人の知恵に感心する。

建築の断熱ボードでは大型サイズの発泡体を目にすることがあるが、機械的強度は期待していない。 記憶は定かではないが30年ほど前、BASFが発泡スチロールを道路に敷き詰めることを紹介したことがあった。日本なら山があるから、土砂に不足はないが、平地の欧州では発泡体を考えるのだろうなぁと勝手な解釈をしていた。その後、日本でも急斜面の盛り土に発泡スチロールのブロックを積み上げる工法が取り入れられた。そのブロックサイズは大きくはない。製造装置の問題、ニーズ、空気を運ぶ物流コストなど要因もあり限度があるのだろう。。。。。と考えていた。

今回の用途展開には本当に驚いた。 福岡県で埋め立てたアイランドシティから既設路線まで結ぶ橋に発泡ポリスチレンが埋設型枠として採用された。海の上に橋脚をいくつも設置すると、それだけで費用がかかる。橋脚の数を減らすと橋脚間の距離をが長くなり、中間で撓む。その為に鉄筋や高張力鋼板などを多く使用しないといけない。これも費用がかかる。

 これを発泡スチロールの超大型ブロックの上下に鉄筋をセットしてコンクリートで固めることで軽くて、高剛性、費用のバランスの取れた工法が採用された。断面が野球のホームベースで1.8m高さのブロックを4車線敷き詰めた。(写真参照) これにより橋脚の支店間距離を40mとすることができたとある。従来工法では20m~30m。

あのカップ麺の発泡ポリスチレンが補修が簡単ではない橋に採用されるとは思ってもいなかった。鉄筋接合時にバーナーの火花が飛んでも燃えないように材料には工夫がされているが、工事関係者も相当気を遣ったようである。

 曲げ撓み(たわみ変形)は製品の肉厚と強く関係する。肉厚を2倍にすると製品の剛性は3乗の8倍になる。だが素材そのものの剛性が発泡体のように低い場合は8倍になっても橋に利用できるような強度はない。そこで、表層と下層に弾性率の高い材料をサンドイッチするとどうなるか、サンドイッチされた(この場合発泡ポリスチレン)あんこの厚みが寄与して、見かけ上の弾性率が高くなる。

筆者の別の研究では鉄の高い弾性率は60~170GPaに対して航空機に利用されている炭素繊維複合材は80GPa 比重が鉄より1/8軽いこともあり、炭素繊維複合材料は軽量化のエース材料となっている。筆者は炭素繊維複合材よりは弾性率が20GPaと低いが成形性やコスト的に有意な製品を作るべくある製品に炭素繊維複合材料を僅かサンドイッチの上下にもってくることで40~50GPaを達成することができた。炭素繊維複合剤の肉厚より、厚くはなるが、十分使用可能範囲の素型材である。

数字では分かり難いので普通のプラスチックを紹介すると、ポリエチレンでは1.5GPa 、ポリプロピレン 1.8GPa, ポリカーボネート2.3GPa 程度なので、炭素繊維複合材料の80GPaや筆者の素材40~50GPaはトンデモなく高く、比重を考慮すると金属を超えていることから、金属と同じ剛性を得るための製品重量としては炭素繊維複合材では20%で、筆者の材料においても30%の重量となる。80~70%の重量削減ができる。

 職業柄、お菓子や菓子パン、サンドイッチをみると。省材料で美味いなぁと感じさせる複合体があるとしたらどうだろうなんて考えてしまう食いしん坊の顔が出てしまう。(笑)

コンサルと居住ビル

凄く立派な新オフィスビル、やや年季のあるビルも含めて、フロアを小さい小間に分けてベンチャーが起業するときの登記も可能を謳う賃貸シェアオフィスが目立つ。

有名な駅に近いか、海や空港を望む絶好の土地にあるビルも人気だ。セミナーに利用できる会議室も電子機器はフル装備でクーポン制で利用できる。とにかくカッコがよいのである。ひとりベンチャーならオープンルームで共通のデスクを利用。2人~6人程度なら個室利用。パソコンからのアウトプットも共通の複写機が利用できる。パソコン1台あれば会社らしきものはできる。共通フロアにはアルコールカウンターもあり異業種交流も可能である。24時間オープンなので来客と外で会食したあとで、オフィスに戻って仕事をすることが可能。美人コンシェルジェがオフィスのステージが高い雰囲気を醸し出している。

少し前なら、学区内統合で空いてしまった教室を改造してオフィスや簡易ラボとして利用していたことがあった。アクセスが不便だとか、古色蒼然たるイメージもあるので、いわゆるコンサルは入居しない。

 で、筆者も高層ビルのフロアにあるオフィスを見学した。開店間もないオフィスであるが、小間のほとんどは埋まっており、共通フロアーでは大勢の独り起業とおぼしき人がパソコンを叩いている。決してこのオフィスの賃貸料は安くない。年齢層は若い人が多いと見た。本当に採算が合うのか、入居職種は ①大企業内の新規事業立ち上げまでの間借り②コンサル業。③WEB、インスタなどのデザインクリエーター。不思議な空間である。特にコンサルって実業経験がない若い人が稼げる職種なのか不思議。

 コンサルタントは硬直した顧客の組織を大胆に組み直す大鉈の提案力や市場動向を図表データーで整理して新事業への方向を指し示すことだろうと、その手法として研ぎ澄まされた数学的解析能力と論理が武器になる。若いからこそ論理は得意だ。語学にも堪能でモテるイケてる職業のイメージがある。高学歴学生の就職ランキングは高い。

 一方、筆者が関係している会社のオフィスに2フロアを占める中堅規模のコンサル会社がある。山の手線駅近くにあることはある。だが、社員の年齢層は50~60歳前後のオッサン連中である。失礼ながら服装や仕草から判断するに、若い時から論理に磨きを掛けてきたとか、有名な外資系コンサルに在籍したとの風情は感じられない。

正直な感想を言えば、後者の方が顧客の信頼を得るだろう。コンサルは理屈だけではダメで顧客と下手をすると心中するかも知れない危機感を共有し、下働きもし、汗を流すようなことをしないと、対価を支払う気にはならない。労働力の提供は出来ないのなら、投資をすることで、下手なコンサルは火傷しかねない危機感でフォローするようなことをしないとダメだろうと思う。エエカッコシイ資料が通用するとは限らない。パワーポイントでは動かない。実績がモノを言う世界は外の業種と同じ。

だが、ある時、筆者のところに調査に協力して欲しいとコンサル会社の訪問を受けた。オープンになっている話題を少し切り口を変えて話しをした。図書券を置いて行った。 その後、ある企業を訪問した。あなたが普段言っていることは、有名なコンサル会社も言っています。なので、本当ですね。??????。当方の細い目が大きくなったことは言うまでも無い。ついお幾らで買い求めました?と質問すると、なんと図書券の何千倍。現在もそのコンサル会社は存在している。都内一等地に。

皮肉なことだが、(賃貸シェア)オフィスは実力以上にみせるには一等地にあれば効果が倍増する。 よく似たことに、コンサル業にかかわらず経営陣の学歴・留学経験などプロフィールを掲載しているHPを見ると、何を実業でやったのかを知りたいのであって、勘違いしている気の毒な会社と判断している。世界的建築家安藤忠雄氏は中卒・ボクサー経験者であり、東大教授に招聘された。それが本当の実力。タヨリになる。そうでないのは単なるタカリかも。

小豆(あずき)色

630日は和菓子の水無月をいただく。これが京都の習慣になっている。商売は1日では成立しないので、年中販売しているが、6月になると店頭ではエース格の場所に並べられる。山崎の合戦で有名な水無瀬という地名もあり(水無瀬川と淀川の合流地点)、水が豊富なのに何故か水無の名前がある。辞書によれば「無」は連体助詞「の」とある。田に水を張る月が水無月の由来との解説もある。宮中で氷を食べるのを庶民が模して和菓子にしたとも記載されている。

かき氷に小豆をトッピングするのは人気。和菓子の水無月も小豆の層がある。魔除けの意味がある小豆を利用しているとも言える。小豆はお祝い事に欠かせない赤飯も単なる着色だけではない意味で利用されているのだろう。(筆者の責任もてない勝手な解釈です)。

 

さて、6月になると紫陽花が一斉に目を潤してくれる。淡い色合いが上品さを醸し出している。薄い青、薄いピンク、白も混じっている。色素は同じだが土地のアルカリ性、酸性で色が変わるのだと。青はアルカリ、ピンクは酸性の土地の上に咲くと子供のころ教わった。今はこの色素はアントシアニンと分かっているが、アサガオ、梅干しの紫蘇の葉、赤ワイン、イチゴ、黒豆などもアントシアニン化合物。このように青から黒まで範囲が広い化合物なので、小豆もアントシアニン化合物であると長年信じられてきた。

 無理もない、有機合成による染料化学が化学先進国ドイツを追いかけていた日本において天然染料を研究する研究者はほとんどいなかった。化学は今や医薬や樹脂への広く利用されいるが、戦前に大きく発展したのは染料化学による。東工大、福井大学などは繊維産業と深く関係していた。今は機能性材料研究へと変身している。

だが、化学の分析技術の向上は染料化学が切っ掛けではあるが、進歩してきた、赤外・ラマン分光分析、高速液体薄層クロマト、GPC(ゲル浸透クロマト)、NMR(核磁気共鳴)、MS(質量分析)、TOF-MS,PETなど多くの分析装置を今の研究者は利用できる。

 ここに天然色素にこだわり研究を続けた研究者がいた。雑誌「化学」7月号に黒田チカ氏が1913年東北大で研究を開始し、お茶の水教授として83歳でお亡くなるまで、かなり追い詰めたがあと一歩であったと記されている。小豆の皮の内側にある色素含有膜が水に難溶で高温煮沸してようやく僅かを採取できるほど頑固で、その後分かったことは作業中の変化した化合物をみていたこともあった。 名古屋大学の後藤らは5kgからスタートし60kgもの小豆を水に浸漬して洗濯板(表面凸凹)に夾んでゴリゴリ摩擦することで表皮を剥離し比重差で分離し高速液体薄層クロマトで正確な化合物を解明した。その結果、小豆に含まれるアントシアニンは黒豆の1万分の1しかなく、全く別の化合物であると報告。因みに、アントシアニンがPHより色が変化するのに対して、判明したカテキノピラノシアニジンはアルカリ、酸性、中性によらず色は変化しないことが記されている。 

小豆色を企業や大学のカラーに採用しているのは、関西に多いような気がする。阪急電車のマルーン塗装は高級感を与え、神戸発祥の楽天、サッカーのヴィッセル神戸、立命館大アメフトも小豆色。 これも小豆に魔除けの効能があるからだろうか。 伊勢の赤福はお土産として人気が高い。傾けないでの持ち運びは面倒だが、それでも待っている家族へ買っていく。購入動機はもちろん食欲であるが、赤福の餡の形状は「けがれのない女性が指で餡を掬って餅に被せる」から由来している。勿論今は(けがれのない)ロボット。

 話を戻して、ほとんどの研究者が取り組まないところに興味をもち、長い期間に亘って情熱を傾けたその姿勢を短期間での成果を上げることが求められ、つい、スケールの小さい結果に終始している現在は見習うべきであろう。 それにしても名古屋大・後藤チームの分離技術を開発しながら追求していく姿勢は好感がもてる。

協調ロボット・近接近センサー

このブログがアップされる頃には旧聞になるが、横浜地下鉄ブルーライン(湘南台―あざみ野)の始発電車(6両編成)の5両が脱線し復旧まで4日を要した。線路保守の為の装置を線路上に置いたまま始発電車を迎えた。完全なポカミス人災であるが、単独作業ならあり得る。チーム作業なので全員がポカをするとは考えられない。多分、誰かが、いつものようにしている筈だ。との思い込みが始発電車を通すまでの限られた時間では、奇妙な空白ができたのだろう。複数による指差呼称により「ヨシ!」とするのが普通。同じ横浜のシーサイドライン無人車両逆走事案が重なり、より安全を求める声が高くなった。

 対策はそれぞれ原因が違うので異なるが、地下鉄の場合は、JRのように検査軌道車を走行させるなどのチェックも必要だろう。地下鉄は車両とトンネルの間が狭いので線路に車両を持ち上げる作業が困難を極めたとのことで、東急、JRの応援でやっと回復。JRの経験が大きく貢献した。

 化学プラントは危険物・可燃物を高圧・高温の条件下製造。24時間連続運転している。2年に1回プラントを止めて定期修理を1~2ヶ月実施する。それまでのチェックandメンテナンスが徹底しているので大規模事故は発生していない。生産性は産業の中で最も高いのは徹底した制御装置と綿密な現場チェックである。デジタルとマニュアルの複合システム。ピストンや攪拌モーターなどは集中制御室でモニタリングできるが、それだけではダメとして例えば長さ1.5mの細い鉄の棒を耳と装置にあてて異常音を検知する。それもあって定期修理を3年に1回にすることができ、生産性が更に向上する。生産性と安全性は一体なのである。

化学プラントに限らず工場・事業所を訪問するとき横断歩道では右ヨシ左ヨシと指差呼称を訪問客であってもする。時々街角でシニアの方が小さく指さしをしている風景に出会う。微笑ましい光景であるが、最近の交通事故を鑑みると効果的かも知れない。漫画家のはらたいら氏が横断歩道を渡りはじめは左側、終わるころは右側と冗談を話していたことがあった。確かに暴走車の被害を少なくする工夫というか本能的センサーが必要かも。

自動車メーカーの本社事業所を訪問した。この会社の中に工業高校が併設されており、実践的な教育がなされている。この校舎の前に幾つかのメッセージパネルがあり、その一つを紹介する。

 さわありながら、人とロボットが生産現場で一緒に働くことになってきた。協調ロボットが出てきて久しい。隣りあわせのロボットと一緒に作業する。今のロボットは極端なモノでは人にあたると停止する。なので人とロボットの間に仕切りを置いている。少しロボットが進化して、ある距離になると止まるようになってきた。これは先週のブログでも掲載さいたToF (Time of Flight)の採用により距離測定精度が向上したことによる。

 以前のお掃除ロボットは障害物にあたって方向を変えていた。それが今は障害物の距離を測定してあたらずに向きを変えることになっている。但し、対象物の色が黒であると障害物にあたる。なぜならばToFは赤外線を対象物に射て反射時間差で距離を測るが黒い物体は赤外線を吸収するので効果がない。そこでロボットとの仕切りをなくし、かつ作業衣が黒に近い色彩であってもロボットの動作が制御できる装置を開発した研究者がいる。福岡大学・辻聡史助教である。彼はToFセンサーと静電容量センサーを組み合わせ近接する距離によって、ロボットアームの速度を多段階に変化させ、あたる直前に寸止めする装置を提案し幾つかの事例でその効果を発表している。ToFセンサーがX軸、Y軸方向に対して静電容量センサはZ軸に対応することから全方向に利用できる。協調ロボット以外にヒューマノイドや無人搬送に、身近なモノでは車椅子など応用例を挙げておられる。課題もあるが、実用化に期待しましょう。でもヒューマノイドに適用したらそれこそ人当たりのよいロボットで本物の人間より重宝されるかも(笑)。人当たりの良い人は時にキレることがあるがヒューマノイドは電池が切れない限り大丈夫。なんだか手塚治虫・鉄腕アトムの世界に一歩近づいた。

国際センシング・精密加工展から

JR桜木町から、又は地下鉄みなとみらい駅から2色の流れがパシフィコを目指して歩く。スーツ・カバンの流れと中高年ご婦人の流れである。おや?画像センシング・精密加工展を開催しているはずなのに何故華やか?なご婦人ドメインがおられるのか? 画像センシング展では4K8Kの精密画像を競い、一方のご婦人方は深い皺・シミをいかにしてカバーするかのはずだが、、、と思いつつパシフィコに到着すると、やっと分かった。ご婦人向けにアンチエージング展が併設されていたのだ。化粧品やサプリも観察が開発の基本なの共通する。 

 さて、本題に戻って画像センシング・精密加工展からトピックス(筆者が知らないだけであるが)を拾ってみると。

    カメラ撮像向け半導体はCMOS。すでにCCDから切り替わって経過するが、昔はビデオカメラの横にはCCDのロゴが強調されており、初期のCMOSは駆逐されていた。それが最近は復活。ソニーOB名雲氏から勉強会を通じてCMOSは当初のDRAM工程で作成され、低電力・低コストで生産はできたが、低感度で劣悪品だった。スマホが登場するとCCDの感度技術をCMOSに応用し感度向上(東芝)。さらに読み出し速度改善もあり(ソニー)ついにCCDからCMOSに主役交代となったとのこと。3D積層構造などもあり、今どきの感度は0.00Lxでも撮れる理論限界まで来ているとのこと。量販店に暗黒ボックスがあり、その中に模型の家があり、それをボックスの孔からスマホで撮影する仕組みがあり、ほぼ真っ暗でも撮影できることをPRしている風景をみることができる。トライして驚いた。多少輪郭が甘いがカラーで識別できる。(人間の目では真っ暗でもレンズは赤外領域を利用)

 スマホのカメラの距離測定は昔は土木観測のように3点測定法だったが、今の世代は対象物への照射/反射速度差を精密瞬時に測定できる方式に切り替わる予定と3年前に聞いたが今回はほとんどの装置に採用されていた。(ToF. Time of Flight センサー 赤外線反射の時間測定差=距離換算)

     次に面白いなぁと思ったのはカメラが揺れてもカメラ内で処理して画像が安定して見える。例えば、スポーツではランニング併走しながら選手の顔を当方のランニングの上下動に関係なく撮像することができる。大谷がホームランを打つ。カメラマンが重いカメラを腰にあてかがみ込みながらホームやベンチまでの帰還を撮影している。カメラ触れしないのは流石にプロであるが、この揺れ自動修正カメラであればもっとダイナミックな画像が撮れるだろう。横浜ラグビーワールド大会に5Gがトライされる。競技場の多くの地点から、フィールド側から、多くの画像を遅滞なく同時送信される。多角的視点でスポーツを楽しむことが可能である。海上保安、防衛、公安などセキュリティ面でも活躍するだろう。歯科口腔内でのベテラン医師の処置を揺れなく観察できることはありがたい。使い方を考えるのも呆け防止にはなりそうだ。

    時代遅れの脳みそにおや?と刺激を与えてくれたのがリキッドレンズ。レンズの凸部を外部からの電圧・電流で変化させる。概ね各社のリキッドレンズは4段階は変化できる。いちいちレンズ交換しなくても良い利点がある。凸部を変えることは視野深度焦点を変えることができることを意味することから対象物を正確に撮像することが可能である。人間の目もレンズを囲む筋肉への電流値で変化させている訳で理屈は分かったが、それしても面白い。

    熱硬化樹脂の反応に伴い屈折率が変化する。その屈折率をモニタリングすることで重合度が判断できる(島根大学)原理を説明。これは光重合3Dプリンターの開発に応用できそうだ。光重合の場合、光増感剤を配合し、紫外線を照射による反応熱を評価する紫外線示差熱分析DSCが利用されているが、屈折率評価を加えることで、更に精密な材料開発ができるのではないかと想像した。 いつものことであるが異分野の方々との会話は刺激的である。

研究チーム規模と成果&京都企業の特徴

Nature 566, 330-332 (2019) に面白い論文があった。要旨を紹介する。

Small research teams ‘disrupt’ science more radically than large ones

The application of a new citation metric prompts a reassessment of the relationship between the size of scientific teams and research impact, and calls into question the trend to emphasize ‘big team’ science.

The application of a new citation metric prompts a reassess

科学技術の流れを乱して革新をもたらす「破壊度」を引用数指標として用いることで、研究チームの規模と研究の影響度との間に新たな関係性が見いだされ、「大きなチーム」の科学を賞賛する傾向に疑問が投げ掛けられた。

小さな研究チームは新しいコンセプトの提案や科学史上インパクトのある成果をだしている。一方、大きなチームは科学で大きな役割を果たしているとは言えないがコラボなど規模を活かし既存技術の強化において成功している。随分の意訳であるが概ねこのようなことであるが、紳士的でない表現が許されれば「大きな研究チームは過去開発した技術を拡張するか重箱の隅を突くようなことを研究成果としている」と言える。

過去の事例を超える文献、特許などについてWuらは引用指標を設け整理し図に示している。今回のWuらの論文はある発明がそれまでの技術開発の流れを乱すものなのか、それとも現状を強化するものなのかを評価するために最近開発された、特許引用に基づく指標を科学技術の領域へと拡張し「科学技術の破壊度」という指標を提案している。

論文だけでなく、特許、ソフトウエア開発にも適用でき、論文の場合は生物科学から物理科学、さらには社会科学まで当てはまることが示された。筆者の感想では会社組織などは参考になるのではと思う。

 

 

 

図-1 小さなチームは科学に対して大きなチームよりも破壊度の高い貢献をする

今回Wuらは、科学論文の被引用数の中央値(赤色の線)はチームの規模が大きくなるにつれ上昇するのに対し、引用に小渡尽く指標によって決まる、論文の破壊度の平均度(緑の線)はチームが大きくなるにつれ低下することを明らかにした。 研究論文2417万に基づいている。

当方はこの文献を見ながら、以前このブログで京都の企業は何故か元気と書いたことがある。オムロン、島津製作所、堀場製作所、日本電産、村田製作所、京セラ、任天堂、ワコール、ローム、第一工業製薬 などは京都本社であり続けている。大阪企業が東京に本社を移転しても、東京に行く気は全く無い。 江戸時代まで遡れば大倉酒造、福田金属箔、宝酒造、川島織物などがあり、これら老舗企業と先に挙げた企業の共通項は、一人のベンチャー創業者が特徴となっている。 京都といえば寺社仏閣、観光、文化がウリと思われているが意外にも京都7条から長岡京に至るゾーンは機械・電子・化学工業の街でもある。

では何故、京都なのかの解説については「京都企業が世界を変える ⁻企業価値創造と株式投資-」川北・奥野氏共著に記載されている。京都企業にお勤めの方が要旨を纏めておられる。ポイントと筆者の感想を記載する

背景として

①   文化・もの作りの1000年以上の伝承

②   オリジナリティの追求とグローバルな意識(良い意味でのプライドの高さ、気位の高さ)

③   技術志向クラスターの形成 西陣の伝統のように京都企業相互に情報交換し協力、今風で言えばクラスター)

④    ユニークな研究で突出している京大を始め大学の街であり、民間企業との交流が昔から京の街に根付いている。

⑤   京都銀行が創業期から融資に協力。 都銀にはできないフォロー

その結果

*海外での事業展開比率が高い。東証上場全企業比較では10ポイント以上高い。

*利益水準(ROA)が上場企業平均を上回っている。高付加価値の製品販売が多い。

経営者の資質

これだけ他地域とは違う企業は特徴のある創業者・継承者の発言にも見ることができる。例をあげると、一代で世界トップに駆け上った日本電産の永守さんは絶対に負けないという気概をもちつつ百年企業にはグローバル人材の育成が重要とあって

必要な能力は「突破力」「雑談力」「英語力」を挙げている。なんだ常識ではないか。でもそれがなかなかできない。

たとえば、「雑談力」 無駄なおしゃべりではない、気が利いて、気配りができ、洗練されたセンスの話題をポケットに蓄積しておいて、タイムリーに出しながら相手から本音を引き出す。相当の芸術的域の世界なのだ。電車のドア付近に立ち塞ぐ人々を筆者は見る度に「あぁ気が利かない人だなぁ。あの様な人には任せられないなぁ」と思っている。自分では意識していなくても、相手は反感を持つ。そんな人に雑談力は期待できない。人つくりは子供の時から始まっているとしたら地域の性格も反映するのだろう。

漁業の養殖シフト&未利用成分有効化

にわかには信じられないが、「漁獲量は肉を超えている」「漁獲量の半分は養殖である」と雑誌・現代化学5月号の記事である。論文でも抄録でも査読され編集されるので間違いはないだろうとは思う。子供は魚の骨を取り除くのが苦手。ハンバーグで育ったので肉が恋しい。。。と魚は敬遠されていると思っていた。大人でも綺麗に魚を食べる人をみるとなんと上品な人。躾が出来ている人と評価される。魚の頭を右向けに出されても、魚と距離をおいて育った人を責めるつもりはない。魚を家庭で出さなくなった。

お頭がついていないフライや刺身が魚だと思っているのだろう。そんな嫌味を言っていても鮎が出されると、さてマナーは知ってはいるものの、小生は箸使いが悪く、誠に恥ずかしい結果となる。会食している人の鋭い視線を感じて落ち着かない。

 小学校のころ遠洋漁業、近海漁業を習った。銚子、焼津、枕崎、下関など遠洋漁業基地は活気があった。ここ横浜は漁業基地ではないが下関との関係で大洋ホエールズ球団があった。現在のDeNAであるが、ホエールズは野毛地区飲み屋街名物の鯨料理に名をとどめている。

遠洋漁業は物流コスト、漁獲資源の減少、近海漁業はルール無視政治的要因による不安定操業もあって衰退傾向にある。一方、養殖の技術が向上し、海のない県でも水産は可能とあって高級魚の養殖が盛んになってきたことは分かる。深層水をタンクローリーで運搬する風景を見たことがある。また愛知万博の時に話題になったのは海水魚と淡水魚を同じ水槽にいれても両方が平気で泳いでいることを知って驚いた。ナノバブルで溶存酸素を高濃度に維持することで両方とも生存できる仕組みである。

しかしながら大規模養殖産業にするには根本的に必要なのは餌問題。餌はイワシの魚粉がメインである。イワシの漁獲量が減少している。なので代替材料を開発している。野菜などベジタリアン餌では魚は食べない。初めは興味と空腹もあって食いつくが、2口目から見向きもしない。現代化学の記事によれば、魚粉と植物原料を混合し、魚粉の割合が20%まで減らす事ができたとある。魚のお気に入りはタウリン。魚粉の量を減らした分だけタウリンを追加配合することで成功したとの事が掲載されている。

健康栄養ドリンクに配合されているのもタウリン。食物中のタウリン含有表を示す

 

 

 

なんだかんだ言ってもタウリンは魚介物に多い。だがボリュームと掛け合わせると豚、牛、鶏肉も有効利用できる。2週前のブログで食品廃棄物問題を取り上げた。廃棄物を分別することができれば、餌に利用できるのではないだろうか。これもリサイクルとして有用だと思う。実際ミートボールを配合することもテストされている。

健康ブームでDHA、EPA配合の製品が販売されている。それらは魚介類が原料である。需要は増加する。また、養殖であればプラスチックスなどは排除される。マイクロプラスチックスは水循環途中の濾過工程を入れるなど工夫すれば、需要家にとって安心な食材になることが期待される。魚粉の割合が20%に減少されたとして、そのイワシの中にマイクロプラスチックスが入っているではないか? と心配されるであろうがカバーする技術は存在する。

それでは、魚が料理に多く利用されたとして、未利用の鱗や骨やアラはどうするか? 鱗からコラーゲン取り出すことは既に工業化されており化粧品などに利用されている。骨の再生(歯の再生)には骨芽細胞はコラーゲン線維や非コラーゲン蛋白質を含み体内のリン酸カルシウムを呼び寄せ蓄積させてヒドロキシアパタイト(HA)を合成する。リン酸カルシウムには非晶性リン酸カルシウム(ACP)、リン酸第八カルシウム(OCP)がHAの前駆体になることが知られている。これらリン酸カルシウムは魚の骨に含まれているとして歯にも適用できると考えられる。既にOCPをコラーゲンやゼラチンに分散させた複合体が歯科業界で発表されている。

5G世界を垣間見る

某証券会社のCMで日本、米国、アフリカ、その他の地域でそれぞれの楽器演奏をして統合された音楽を完成させた様に見せていた。昨年の和光市商工会開催の市民祭りに3Dプリンター研究会が出展。説明員をしていた小生に若い訪問客からARで既に出来ていると聞いた。オーケストラを分割して各地で演奏したものを統合する。ARで鑑賞するにはチケット購入が必要だが、オーケストラを一同に集めての演奏会のチケットより格安であると聞いた。結構人気がありますよと。

本当にそうか?と疑問に思っていたら、ビックサイトでベースを、スカイツリーでギターを演奏し、ARスマートグラスで統合されたライブを楽しむ実験がされた。既にお分かりのように相互の通信に遅延が僅かでも許されない。実験は成功と聞いて信用するが、短距離ではないかとも。これが超遠距離だったらどうか5G世界の一端を展示会で目にするが、全体をわかり易く解説したものはないか調べてみた。

 情報通信の管掌省庁は総務省。総務省のHPにその概要から詳細まで5Gの世界が描かれている。大いに参考になるのでplease check it!  201611月の審議会資料「新世代モバイル通信システムの技術的条件について」

 要約 *超高速 4Gの10倍。 2時間録画を3秒で送信可能

    *超低遅延 遠距離治療(このブログでも掲載)

    *多数同時接続 自動運転など

 図-1 1G~5G通信速度 

 

 

 

 

 

図-2 5Gが実現する社会イメージ

スポーツ観戦へのトライとしてラグビーワールドカップでのトライを踏まえオリンピックに向けで新世代を世界からのお客様に提示するようだ。3Kの建設現場を遠距離操作で建機を作動させたり、トラックを数珠つなぎにして先頭だけドライバーが運転することでドライバー不足をカバーするなどは早く実現してほしい。最近、宅配事情が厳しいこともあるのだろう、即宅配ボックスに入れることもあるようだ。インターホン押して届ける時間が勿体ない。それも分かる。

 先日、自宅近くの凡そ演奏会場とは縁がなさそうな明治時代のアールデコ建築の一部を残した建物で矢沢永吉のライブがあり、入場を求めて長蛇の列。夏日の中、長時間並んで開門を待っていた。矢沢ファンも高齢になり並んでいるのが気の毒になるほど。こんな時はARでも良いのでは。。。と。。。でもなぁ あの熱気の中一緒に歓声を上げる、それに呼応して矢沢も燃え上がる。その興奮状態はARでは伝わらない。みなとみらい地区では新横浜にあるアリーナより大きなライブ設備を建設中。誰とも知らない人と一緒に叫ぶ、出口では新しい人的交流が始まる。その価値はARよりは大きい。 

但し、大まかに総務省の資料に描かれている図は着実に進んでいる。ガラケーとiPadで十分といっていた家人が最新のスマホに切り替え、筆者の方が前世代スマホで取り残された。こんな図柄が5G本格化する2020には各家庭でも見られるのであろう。

流れはポリから紙袋。だが?

セブンイレブンがポリ袋廃止のニュースが流れた。天然資源である紙袋への切り替えする方針と発表があった。背景として最近話題の海マイクロプラスチックス問題も関係している。紙の方がエコフレンドリーであると一般的な感覚はある。プラスチックスも原油を分解するのではなく、サトウキビを原料とするモノがある。ブラジルで大量生産され国内でも大手商社から販売されている。海プラ問題がなければ公平にみてエコフレンドリーなのはサトウキビ由来のプラスチックスではある。ご年配の方は覚えておられるだろう、静岡県田子の浦はパルプ製造時の廃水で海洋汚染が激しく教科書にも載った。富士市は今でも製紙製造拠点の一つである。

 製紙にはパルプを木材から取り出す工程とパルプを紙にする工程があるが、主として環境への影響が大きく、エネルギーを消費するのはパルプ製造工程にある。

針葉樹木材を北米カナダからも輸入し、チップに破砕し、反応釜に入れて水酸化ナトリウム、硫化ソーダーで煮て(蒸解)濾過しパルプ繊維を取り出す。次に二酸化塩素や過酸化水素で漂白。。。。。など多くの水と薬品を使用し、海を汚染しないように後処理にも複雑な工程を施す。製紙はエネルギー消費産業でもある。対策としてパルプになっている古紙からインクを取り除き(脱墨)、ブレンドすることで辛うじて成立している。

参考:三菱製紙HPhttps://www.mpm.co.jp/env/pdf_ex/2006/2006-09.pdf

 ここにショックなのは古紙が集まらない事態になっている。スマホ、タブレット、パソコンからの情報で十分と考える若い人が多い。ビジネスマンでも日経など新聞をタブレットで通勤中に読んでいる風景がある。

知人が面白いことを言った「新聞を見て価値のあるのは株式面だけだ!」エッ?この人は株取引の達人? でも刻々変化する株価を新聞では遅いのにと思っていたら、当方の納得いかない顔を眺めて、「いやいや、株価の上下する記号△▼を見ると業界全体が分かる。木を見て森を見ない投資家は素人だ!」と。これには納得。けだし名言である。

 そのような流れで新聞購読者が激減している。ちらしも新聞数と比例するので、これも減少している。統計はあるのだろうが、マンションや町内会での資源回収の日に古紙が集まらないことを見れば分かる。中国が古紙や廃プラは受け取らないので、国内にあふれているかと思いきや、古紙は東南アジアに輸出されており、紙袋の生産も中国からベトナム、カンボジア、タイに移動している。 皮肉なことに紙袋の主な用途は樹脂ペレットを包装する樹脂袋用。これが現実。

デパート向けの紙袋は厳しい価格で合わない。たしかにデパ地下で惣菜をポリ袋に入れるが、有料ポリ袋を利用しても、階上の売り場では無料で紙袋を配っているのがデパート。平均的に1袋が15円~20円(印刷の色数にもよる)をユーザーは無料だと意識しているので、デパートにとってはたまったモノではない。

本音はプラにしたいところだろう。雨の日になると紙袋の上に薄いポリエチの袋をカバーしないといけない。一体なにがエコフレンドリーなのとデパートも気づいている。それに納入しているパッケージメーカー、商社は大赤字が現状。もうしばらくすると、トイレットペーパーに異変があるのでは?と予想される。 つい最近は製紙メーカーの火災も影響はしているがティッシュが品不足になっている。そのうちサニタリー装置も温水洗浄だけでなく、乾燥ユニットも付帯するだろう。手洗い乾燥よりは優しいのが好ましいが(笑)。街からティッシュ配りもなくなるだろう。

 それよりもエコと人に優しいことをしょう。それは食品ロスの低減協力

ライス、パン、ラーメン、ハンバーグ、、、、、なんと全世界では13が廃棄されているとの統計がある。日本では約600万トン/年。プラスチックス国内生産量より多い。賞味期限前でも廃棄されている。欧州では余剰の食品は教会やボランタリー団体に寄付し、食に困窮している人に配っているシステムがある。それを真似してお寺がしても良いのだろうとは思うがいかがか。

廃棄食品の有効利用を促進するアプリが登場している。(TABETE, Reduce Goなど)こちらは面白いの普及して欲しい。だが、肝心なのは賞味期限を延長すること!。その為のパッケージを開発すること。

紙袋は不十分。トータルすると回り道のようだが、賞味期限延長のプラ材料、容器を開発することに帰着する。今ではすっかりおなじみのエージレスは三菱ガス化学が開発した。プラ材料のメーカーでもある。別の手法で寿命延長材料開発を友人が挑戦している。 海ゴミ問題は別の対策するのが本筋と言うべきだろう。

 

クルマ・パワードライブ動向

EVって電費がガソリン車の燃費より劣る?? これどちらもウソ・ホント。 停止状態からの立ち上がりはEV車の方が優れ、巡航高速走行ではガソリン(ディーゼルを含む)車が優れる。この表現が今のところ正しいようだ。 EV車はどちらかと言えば都市型乗り物、ガソリン・ディーゼル車は長距離向きである。 EV車の充電スタンドでの充電時間は30分と区切られているので面倒だが、日産のe-Powerは充電する必要がないので人気がある。 基本はEVだが、発電用エンジンを搭載している。この方式は数年前にBMWがバイクサイズの2シリンダーエンジンを搭載し、(走行距離を延長できる意味の)エクステンションとして製造販売したことがあった。なるほど、その手があったかと感心した。

 日産e-PowerBMWも基本は電池―モーター駆動方式であるが、ここに来てホンダがEV駆動モーター/発電用モーター/電池充電向けエンジン/駆動用エンジンの2モーター1エンジンハイブリッド方式(i-MMD)を開発しているとの報道があった。 山の手線の電車は回収電源7割だとか、これと発想は似ている。それよりも圧倒的な複雑なシステムを開発しているのに感心する。早くも今年中に小型に搭載するとのこと。EVとエンジン車の電費・燃費両方を満足することができそうだ。図はホンダi-MMD,日産e-Power (ベストカー3月引用)

一方、欧州ではフォルクスワーゲンの排気ガス不正問題から一気にEVに切り替える機運がある一方で、根強いのはディーゼル車。消費者目線ではアウトバーンを200km/hrで走行してみるとそのフィーリングが分かる。製造者と政府目線ではディーゼル車製造会社・雇用問題もあり、本音はディーゼルを残したい。

高速走行距離の長い欧州では電費・燃費の問題以外に、「運転し甲斐」が重視され、パワフルな運転になれているドライバーからみるとEV、ハイブリッドではモノ足らないと感ずるようである。 欧州でディーゼル車を生産しないと決めたトヨタとしてはディーゼル追い落とし作戦としてハイブリッド・エンジンのパワーアップを図っている。カローラ(ハイブリッド)のエンジンを2リッターにすると発表があった。エンジン機構部分の重量は重くなるだろうが、その他の軽量化でカバーしているものと思われる。 

 対抗するディーゼル車が排気ガスで問題となった微粒子問題と窒素酸化物については酸化還元触媒及び尿素水タンク(アドブルー)をエンジン直後、及び排気直前に設定することで対応しているが、尿素水タンクを都度供給する必要があり、かつ重いことと比較すればディーゼルに勝てると考えたのであろう。

本当に新HEVカローラは欧州車に勝てるか。決め手は「運転し甲斐、フィーリング」だと思う。新東名では区間120km/hrが許されている。ここでのフィーリングは筆者の経験ではフォルクスワーゲン、アウディはクルマがぐっと沈み込み地面に食いつくように安定してくることが分かる。アウトバーンで鍛えられたボディ構造になっているなと理解。 このフィーリングを日本車が満足するならば歓迎されるだろう。 

欧州車の開発やり方が日本とは異なるところがある。日本は材料、設計、製造、イジメテストの循環系を幾度も積み重ねて製品とする。当然のことながら、故障も少なく、メンテ費用も少なく、長寿命乗れる安心感は高い。一方、欧州車は実績は少なくても適用することに躊躇しない。1年間走行して問題ないのならそれでOK的なところがある。 代表的なのはインテークマニホールドや、ブレーキ、アクセルの樹脂化などの機構部品は欧州が先に適用した。日本はずっとその実績を見てから採用の流れ。炭素繊維は日本が世界の70%を占めているが、CFRPの自動車搭載は欧州が早い。BMWではCFRPの接合に工業用ホッチキスを利用するなど、日本では思いもつかない。

 欧州の複合材料メーカーを買収した日本企業がある。欧州で実績があるからと日本の自動車メーカーに売り込みに行くと、玄関で断られるようなことが頻発した。原理原則において疑問だ、信頼性の裏付けが浅い。。。。などがその理由。 高価なクルマを購入するのだから、それは十分に対応して欲しい。だが、これから5Gの世界となると、自動車に求められる機能がドンドン急速に変化することが予想される。その時、日本のクルマはどの道を選ぶのであろうか。2リッターエンジンHEVカローラでアウトバーンを走りながら考えるか、それも良いだろう。

 しかしながら、環境問題でそもそもクルマのパワードライブは議論があり変遷してきた。 ガソリン、ディーゼルの原油/製造/ホイールまでのLCA(環境アセスメント)とEVの原油・石炭火力発電所/送電ロス/バッテリー製造/モーター/ホーイルのLCAはどうなんだ。ドイツのシンクタンクではEVは発電~電池製造など環境負荷がディーゼルより大きいとしてディーゼル車の肩を持っている。新旧のハイブリッドのLCAはどうなんだ。何れも開発進展が激しく、かつ秘密事項が多く、特許で開示されるのは1.5年後とあって、とてもフォロー出来ていない。3Rも含めると尚更複雑で単一企業だけでソリューションがでるとは思わない。 一方で、5Gの世界は上述のようなエネルギー個別解をカバーしてしまうことも妄想される。直接当事者ではない消費者としては両方とも期待し賢い選択をしたいものだ。