展示会視線

10月は各種展示会が目白押し。ビックサイト、横浜パシフィコ、幕張メッセ、その他とこちらの時間見合いで駆けつける。日本企業の他に中国企業が4割を占める展示会もある。以前は日本から吸収するだけの国柄が日本にPRする立場になったこと、また諸事情があるのでしょうか日本市場に攻勢をかける必要性があってのことだと思う。

展示会出展には費用がかかる。コスモサインは昨年秋のデンタルショーに6コマブースをセットした経験があるだけに、展示会の経済的負担におおよその感覚はある。

首から下げた入門証にQRコードが印刷されている。出展者は運営会社からQRコート読み取り装置を借用するが、その費用が1日6万円。それを借りないで名刺交換やノート記載の従来パターン会社もあるのは理解できる。

今回、新富士駅近くの会場「ふじのくにバイオセルロース展」に久々に足を伸ばした。セルロースナノファイバーの開発企業の一つ日本製紙の工場横の展示場。セルロースナノファイバー(CNF)ブームがあり、CNFや樹脂とのコンパウンドなど企業が参加している。

ここで意外な経験をしたので紹介する。展示会は多くの場合、前日にセットして、翌日の10時にオープンする。今回もてっきりそうだろうと出かけた。だが現地に着いてみると、準備を開始したばかり。

一般客は午後からだと言われたものの時間潰しの喫茶店など近くにない。ちょうどその時、顔馴染みの会社から出展者の入門証を頂いたので出展者メンバー一員として会場内に入った。各社の準備段階を見ながらの情報交換などができた。

各出店社の準備は着々と進む中、一向に準備が進まないブースがあった。机一つ、椅子一つがあるだけ。遅刻してくるだろうと思っていたが、オープンになったらご高齢の方一人座っているだけで、机の上にシートが1枚おいてある。説明パネルなし。説明資料パンフもなし。誰も近寄らない様子。何をしに来たのか考えるほどだ。123のブースがあり盛況のなか珍しい。今回は静岡県支援とあってブース参加費用は無料なので、机1つの企業も出展資格はある。

当方は間違って早く到着し、セットアップ中に情報交換も略終わっていたこともあり、その空白ブースが気になって近寄った。説明は「シートにバシャと掛けてね〜。それでOK」のみ。禅問答みたいで、この程度の説明でわからないような人には用事がない・・と言っているような雰囲気さえある。

挑発されたものの、あっと気がついた。そこでその人に「このようにしてみて下さい」とお願いしたら、今度はその人がえっと驚いた。相手もそのような機能があるとは予想外だった。冗談のようだが、本当の話で、それから当方は某テーマに取り入れるかどうか検討することにした。

大企業は大きな展示会に何度も出展し発表することができる。資金規模が違う。ただ、新しい見方・発想ができるか否かは企業サイズとは比例しない。下手をすると大企業は同業他社と同じような発想で開発をしていることも多々ある。レッドオーシャンとわかっていてもだ。奇想天外の発想は開発の対象からどうしても排除されることもある。

机1であっても価値ある発想を受取る企業があれば実用化に結びつけることができる。それなりの企業が出展している展示会は見るが、今回の展示会では、たとえ机1つの企業からネタを掘り起こすのも必要であると感じた。展示会への視線・視野を変えることは面白い。

糖尿病・脳梗塞ではBMIゾーン違い?

糖尿病はBMIより腹回身長比を重視すべきという文献があれば脳梗塞後遺症が少ない人のBMIは最適ゾーンがあるとの文献をご紹介する。一体、どのような体型なら良いのか戸惑いながら以下紹介する。

最初に糖尿病とBMIやその他の指数について。

最近、京都府立医大からBMIより糖尿病を懸念するなら男性では腹囲身長比、女性では腹囲調整BMIと腹囲身長比をチェックする方が糖尿病発症予測に有効との発表があった。(プレスリリース 掲載日:2024.10.22)

計算式は次のとおり。ABSIは面倒だが結論から言えばその他指数より糖尿病に関しては低いので糖尿病では無視して良い。

男性115,036人 平均45歳、女性40,587人、平均42歳が研究期間中に2型糖尿病に男性 8,005 人、女性 795 人が2型糖尿病を発症した。

男性では腹囲身長比 カットオフ値 0.497

女性では腹囲調整 BMI カットオフ値 18.6kg/m、腹囲身長比 0.510

カットオフ値の意味はこの数値以上はダメ。ということ。BMIでは余裕の合格圏内でもアウトの人が結構おられるのではないでしょうか。 この数値以上の人がその後に糖尿病を発症した現実を反映しているのであって、既に糖尿病になっている人はこの数値以上になっているのだろうか(素人の考えだが)。

とにかく一度腹囲を測定されることをお勧めする。 偉そうに書いてきた自分の数値は0.51。ややアウト BMIでは23〜24をキープして安心していたが、腹脂肪削減対策を考えねば。

ところが神戸大学が

「脳梗塞患者において過体重~軽度肥満だと退院時の機能障害が発生しにくいことを明らかに」プレスリリース (掲載日:2024.10.24)

 要旨は「脳梗塞患者において、標準体型よりも過体重~軽度肥満の方が、退院時の機能障害の発生割合が低下することを明らかにしました。解析では、BMI(体格指数)が24.7kg/m2のときに、最も機能障害の発生割合が低くなることが示されました。

また、体型が極端にやせ型、もしくは極端に肥満になるにつれて退院時の機能障害が発生しやすくなることも明らかになりました」

続けて「今回の結果は、一般的には肥満が健康に悪影響を与えると考えられている一方で、特定の病気や状態では肥満が生存率を向上させるという逆説的な現象「肥満パラドックス」と同様の傾向を示しました。」 図ではBMIが22.1~27.5 が良好ゾーン。

 

ではやや小太りでありながら腹囲身長比率が0.497を満足させる体型とは何?

因みに生成AIに質問したところ、出っ腹をメジャーが食い込む画像を生成してきた。

生成AIも冗談が好きなのか? それとも、条件を満足する人はいないのか。今回の文献が世界のデーターベースになっていないほどに注目されていることが本当の姿なのだろう。

猛暑と米作

10月中旬で夏日でも驚かなくなった。しかし主食である米作が温暖化でどうなるかの予測文献には驚いた。北海道でも米作が可能になったので良いではないか。など余裕で言える話ではなさそうだ。主食の米でさえ不作もしくは等級が下がる。 それに連動して、日本酒の酒米の質(日焼け米)が影響を受けるので、日本酒愛好家のみならず、大袈裟に言えば日本文化に影響する。

まず、東北と九州の米生産額が気候変動により受ける影響について、福島大学、東京大学から発表されたので結論を引用する(プレスリリース :2024.10.16)

1)気候変動が緩和されず気温が産業革命前と比較して4℃昇温した場合,東北の「ひとめぼれ」と九州の「ヒノヒカリ」の年間生産額は現在の値に対してそれぞれ93.9%と75.9%へ低下する可能性がある。

2)昇温1℃あたりの生産額の低下(経済損失)は東北で70億円,九州で120億円と推定。これは一等米比率の低下に加えて九州では収量の低下が影響

シミュレーションの内容については元文献を参照願いたい。

 東北地区は+2℃では生産額は増加するが、+4℃では減少に転ずる

九州地区は+2℃でも生産額は減少し、+4℃では壊滅的状態になる。

対策としては 高温耐性品種の開発、田植え時期の前倒しだと著者らは主張されている

高温耐性品種で既存品はタイ米になるが、日本人に馴染みのある品種開発は時間との戦いになるが頑張ってほしい。

即効ある対策を考えると、広大な面積を占めている太陽光パネルを撤去して米作に戻すこと。太陽光発電はビル窓など添付型「ペロブスカイト発電」への切り替えで対応する。畑を田圃にして畑作物は植物工場にシフトするなど農業オンリーの対策ではなく全体バランスからの対策が必要だろう。

次に冒頭での日本酒愛好家とって関心の酒米について。

金沢工業大学が【全国の酒蔵を悩ませている高温障害米の問題の解決の一助】をプレスリリース (掲載日:2024.10.07) オンキヨーと金沢工業大学が「酒に音楽を聴かせる」取り組みを2020年から継続しており、その成果として高温障害米(高温障害米とは、稲の登熟期の高温により品質が不良となった米)の醸造工程で特定の音楽振動を与えることで熟成が調整されることを発表。

「高温障害米に消化酵素剤を加え、さらにオンキヨーの加振技術が加わることにより酵素が働きやすくなり、高温障害米のデンプン質を溶かすことが可能となるという研究成果を得ました」とある。そこでオンキョーの特許を調べた。

特開2023-153471(P2023-153471A)。

【課題】振動させる対象物を、幅広い周波数帯域で振動可能とすること。
【解決手段】システム1は、食品(例えば、清酒)、食品の原材料(例えば、米)、原材料から食品となる間の中間生成物(例えば、もろみ)のいずれかである対象物を振動させるためのものである。システム1は、第1周波数帯域で振動する加振器2と、第1周波数帯域よりも高域の第2周波数帯域で振動する超音波振動子3と、を備える。加振器2、及び、超音波振動子3は、対象物を振動させる。

化学の特許であれば実施例、比較例を記載して特許性(新規性・差異化・実用性)で

価値を判断する。この特許は機械・電気システムであるので、それが記載しなくても良い。なんとなく化学専門家から見ると不思議な特許システムではある。

「音楽振動技術により熟成が行われたお酒を加振酒」として販売しているとのこと。乳牛にモーツアルトは有名。日本酒には演歌?まさかのロックかも。利酒ならぬ利音も酒席での会話に味付けがあり面白そうだ。

植物に学ぶサバイバル

植物も食いだめをしないと自然界では生きていけない! とのタイトルでプレスリリースが名古屋大学から発表され注目を浴びた。論文タイトルは格調高く「Integration of shoot-derived polypeptide signals by root TGA transcription factors is essential for survival under fluctuating nitrogen environments(根のTGA転写因子によるシュート由来のポリペプチドシグナルの統合は、変動する窒素環境下での生存に必須である。)

本研究のポイントは以下の通り。

  • 植物は葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて、根からの窒素吸収量を調節している。
  • 本研究では、根において葉由来の空腹/満腹シグナルと結合して窒素吸収に必要な遺伝子群の発現を制御するタンパク質 TGA1 および TGA4 を発見した。TGA1/4 を欠損した植物は、土壌中の窒素栄養量が経時的に変動する環境では、葉の窒素需要の増大に応じた根からの吸収促進ができないために正常に成長できなかった。
  • 植物が葉の窒素需要(空腹や満腹)に応じて根における窒素栄養の吸収量を調節するしくみを解明した。

確かに肥料の硝酸イオンを窒素栄養として根から吸収→葉でアンモニウムイオンに還元→アミノ酸に取り込まれ→タンパク質合成の材料。のフローにおいて雨が降らないと土中の水分は蒸発するので根は硝酸イオンと出会う機会がなく、雨が特に豪雨ともなれば硝酸イオンは流出して濃度が希薄になる。これは大変一大事であるから出会えた時に満腹まで吸収しておく。

ここで、何に関心をしたのか?

植物は与えられた土地で生きることを求められる。あちこち栄養を求めて動くことができない。せっかくの学舎や会社に入った時にこそ満腹になるほどスキル、企画、実行、人脈を構築しておかないと、たとえ高齢になって「あの時にしておけば・・・」と反省することになりかねない。

80歳になる会社OBの言うことに、70歳台にしっかりやっておくべきだった。次に70歳台のOBは「いやいや現役の時ですよ」と。多分植物のTGA!、TGA4に相当する指導者に巡り合って「今がその時」のスイッチを押してくれたらと思うだろう。筆者の場合に確かに「あの時、あの人に出会えなかったらの人」がおられる。満腹にはまだまだ未熟だけれど。

昨今話題に登っているのが日本製鉄。以前は技術一流、実行二流、言い訳超一流との風潮があったが、現社長になって社風が変化。「事上磨錬」だとか。Do and Action ,Do and Do 。サントリーの「やってみなはれ」と同じだろう。巨漢日本製鐵が本当にできたのかは数年後の評価になるだろうが、行動して初めて本当に景色が見え、目標が定まるとの意味だろう。

今の日本製鉄の社員は「今まさに栄養を蓄積し発揮すべきだ」と意識が変わっておられるではないだろうか。

その時に満腹になっても、世の中変化が激しいので過去を所有してもシン・パワーとならないと意見をお持の人もおられよう。DXだの、生成AIの時代 特にホワイトカラーは影響を受ける。 だが、それまで満腹でサバイバルした人は新しい時代・技術をも満腹にしないと明るい明日がないとの記憶があるので、どのように変化しても大丈夫だと思う。

最後に 人間の場合食の満腹を継続すると肥満→糖尿病となって労働人口減少加速と医療費圧迫で国家として揺らぐハメになる。ここは腹八分でしょう。

海洋環境展から・珊瑚生育棚

買い物のルートに横浜市役所をよく通る。先週、アトリウムでは東京湾・河川の環境展示が開催されていた。子供向けに多摩川や荒川の生物紹介、下水道の仕組み、海プラの選別などが用意されており、東京湾での採れた魚の料理教室もあり、多くの人に興味を持ってもらうよう組まれていた。

潮流発電しませんか? と女性説明員から声かけられた。簡単な模型は筒状にピストンを往復させて発電をさせるもので、潮流ではないが原理は同じ。自分もやってみると単純だが発電でLEDが明るく点ると面白い。

これをしながら思い出したのが草津の湯もみ。観光ショーになっているが数人の女性が板を湯船に入れて魯を漕ぐように動かす。女性のエネルギーが板に伝わり湯船のお湯が波打つ。この逆が潮流発電だなぁ〜と気がついたのだ。

船の舵を切るにはエネルギーを使う。舵に相当する板状を海に沈め潮流により発電する。実際、平塚の海岸に潮流発電所があり稼働している。岩手の久慈に最初に設備された。波受け板の形が異なる。 潮流は夜中でも、風がない時でも利用できるだけに安定電源として普及して欲しいものだ。台風、津波など想定以上の潮流が来たときは柳のように受け流すような設計か魯が海面上に出てクラッチされる仕組み。平塚の潮流発電には船舶専門の川崎重工が、潮流板には横浜ゴムが参画している。

次のブースで妙なものを展示していた。マグネシウムの塊とアルミの塊が机の上においてある。イオン化傾向の違う2種の金属を接触させると電位差(微小電位)が発生することを説明に使うのだろうとわかった。商品名アラノード。名前からアノード、カソードからなる電池を表現している。で、何に使用するのか?? これには驚いた。

「珊瑚生育装棚」 説明によると ① 珊瑚は世界の海の0.2% だが海洋生物の25%生存に関与している。② 海はCO2吸収するが、弱酸性になったこと、海水温アップもあり白化、死滅が増加 ③ 珊瑚の成長は遅く、天敵オニヒトデの食害に遭う

珊瑚を速く育成する方法について、橋梁、浮桟橋を生産・工事をしている会社(エム・エム・ブリッジ)が ある日、浮桟橋に珊瑚が付着していることを見つけた。さすが金属が専門だけにピンとくるものがあった。微弱電流で炭酸カルシウムを生成する速度が制御できると考えた。

図は石垣島と阿憙島における珊瑚幼生着床数比較。電流量調整により約2.5倍。

珊瑚はCO2を吸収するが、CO2を排出するので変わらないのでは?の議論が長らくあったとのこと。今は決着がついた珊瑚はCO2固定に有益な生物だとのことブルーカーボンの一翼を担っている。

珊瑚の様子を4Dで観察する技術(若築建設など)も紹介されていた。環境監視が経済的メリットにどのように繋がるのか興味がある。

その他、海上でのペレブスカイト発電が紹介されていた。確かに森林を伐採して太陽光発電パネルを設置するより、はるかに環境には優れている。普及されるには、荒波を消波化する浮桟橋などの設置など工夫は必要だが、伸びるのではないかと思われる。期待したい。

MC I(軽度認知障害)

ショッピングモールの広場でエーザイとBiogen協賛の脳の健康セミナーと演奏会が行われていた。両社は認知症抑制剤(レカネバブ)で知られる。特に今回はMCI(Mild Cognitive Impairment)軽度認知障害に重点を置いて簡易検査、パンフ配布など実施。

「新しい家電の使い方を覚えるのに時間がかかる」「前日の昼食・夕食内容を思い出せない」「物忘れはするが他人事だと感じている」「仕事上のミスが増えた」「メモを取ることが増えた」これが軽度認知障害。さて皆様はいくつ該当するでしょうか?

放置しておくと本格認知症になるとのこと。確かに名前が即時に出なくなってきたが、情報量やストレスが圧倒的に以前より違うのではないかと言い訳をする自分がいる。

MCIの原因としてはアルツハイマー病、血管性疾患、レビー小体病、その他(ストレス、うつ病、不安、ビタミン不足、甲状腺ホルモン不足、薬副作用、睡眠、てんかん)など。渡されたガイドブックには対策として12項目にわたる認知機能維持ポイントが紹介されていた。 食生活、飲酒、喫煙、社会活動など常識であるが全部を守ることができそうにない。

そこで2年前の文献だが、コーヒーと認知症提言に関する新潟大学の報告を思い出したので、紹介する。

「日本人高齢者におけるコーヒー、緑茶、カフェインと認知症リスクの関連」  プレスリリース 掲載日:2022.07.12

 超要約すると、新潟大学大学院医歯学総合研究科環境予防医学分野の中村和利教授らの研究グループは中高年のコーヒー、緑茶、カフェインの摂取量と認知症リスクとの関連を縦断的に調べた。(新潟県村上地区 13,757人 40~74歳)

その結果、①コーヒー高摂取と認知症低リスクの強固なエビデンスを得た。②カフェイン高摂取と認知症低リスクの強固なエビデンスを得た。③緑茶摂取と認知症リスクの関連については明確でなかった。というもの。コーヒー好きの筆者は納得したくて納得。しかしながら緑茶の結果には首を傾げた。そのはずがない。

それから2年後の2024年に抹茶とMCI、および睡眠についてのレポートが筑波大学から発表された。継続12ヶ月抹茶を飲み続けると社会的認知が向上した(2024年9月2日)

さらに、漢方薬とハーブティの効果(認知症改善、若返り)について大阪公立大学が発表した(2024年9月19日)

この3つの論文ではコーヒー、緑茶、ハーブティはMCI対策には有意であるとまとめることができる。

さて、地元のシニアによるカルテット演奏。確かに年齢層見合いの認知症とは縁遠いしっかりした演奏。楽器ができれば認知症も遠のく証拠であろうことはわかった。人前の緊張で時々ミスはあれど仲間がカバーしていたことからもサークル活動での人的交流も、大事だと理解した。

腸内細菌叢と疳の虫

ウェブで疳の虫が強い子の特徴は?と検索すると

落ち着きがない、走り回る、かんしゃくを起こす、キィーと声を上げるなど、「癇(かん)の強い」と言われる子どもがいます。 働きかけても拒否や反発といった行動で返ってくるため、保護者も支援者も対応に苦慮します。と回答例があった。

キィ〜の声が益々強くなり、抱っこしても、あやしても収まることがない。こうなると、電車移動中に発生すると降りる必要のない駅で途中下車することもあると聞いた。親になることは実に大変だ。男親も育休をとる背景が理解される。とても母親だけに任せるには行かない。 いつもニコニコしている幼児もいる。そうなると両親のほうで癇癪持ちはそちらの家系、ニコニコはこちらの家系と押し付けが始まる。

その解決策として疳の虫封じの神社、お寺にお参りなどするところがある。多分遺伝のなせる技だと思いつつ。

ところが9月6日京大・阪大のリリース記事によれば「幼児期の気質は腸内細菌叢と関係する―心身の健康づくりを生後早期から始める取り組みを目指して―」とある。

要旨を引用すると

3~4 歳の日本人幼児284 人を対象に、気質と腸内細菌叢の関連を検討しました。その結果、不快情動の表出や、新奇な環境を積極的に探索接近する特性は、腸内細菌叢の構成の違いや多様性と関連することが明らかとなりました。

腸内細菌叢の構成の違いに寄与する腸内細菌を調べたところ、炎症の誘発に関連する菌(e.g., Flavonifractor、Eggerthella)や抗炎症作用に関連する菌(e.g., Faecalibacterium)が、幼児期の気質と関連をもつことが示されました(図1)

さらに引用する。

腸内細菌叢は、免疫系や内分泌系、自律神経系を介して脳と相互作用しています。これを「腸内細菌叢―腸―脳相関」といいます。成人を対象とした研究では、腸内細菌叢の多様性や構成が、精神疾患や認知機能の低下と関連することが示されています。ここで重要となるのは、個人が生涯もつことになる腸内細菌叢の原型は、生後3~5歳頃までに安定化することです(Roswall et al., 2021, Stewart et al., 2018)。この時期は、がまんなどの感情制御や、推論、記憶、イメージなどの認知機能の中枢となる前頭前野が著しく発達する時期でもあります。この時期の前頭前野の発達は、成人期の健康状態や社会経済状況を予測することも知られています(Moffitt et al., 2011, Richmond-Rakerd et al., 2021)。

成人まで影響とは驚くが、高齢者の突然キレる、奇妙な行動をするのも幼児返りではないかと筆者は考える。今回の京大・阪大の研究成果を庶民レベルではどうするか?癇癪を起こしにくい腸内フローラを増やすための有効的な方法はいずれ見つかるだろうが、今の段階では普通の腸内フローラ増加事例を挙げる。

  1. 食生活の改善 (食物繊維 発酵食品 オリゴ糖)を摂る
  2. ストレスを軽減する
  3. 睡眠をしっかりとる
  4. プロバイオティクスやプレバイオティクスのサプリメントを検討する
  5. 定期的な運動
  6. 禁煙

現役リタイアの高齢者は1、2、3、5、6が欠如しやすい。4を購入する費用もない。さて、どうする?

CO2濃度と眠気

9月中旬なのに暑い! エアコンは終日夜間も稼働しているが、つい換気には“せっかくの室温がもったいない”意識が働く。フルオープン窓換気頻度は少ない。

知人がパソコンなど作業部屋(8畳・一人)のCO2濃度を時間と共に変化するかをチェックしたことがある。彼によると相当速くCO2濃度が高くなる結果を得ている。次のとおり。

「マンションの24時間換気を作動下において8畳(ベッド、本棚、机の体積分は減る)においては、一人が居室すると、6〜12時間程で凡そ1000〜2500ppmに上昇。窓を開放しても4時間程換気しないと500ppm以下(正常値範囲)に戻らない。

再度、窓を閉め密閉するとこの繰り返し。センサーのマニュアルに記載されている二酸化炭素濃度は、500ppm以下:正常 500〜1000ppm:注意 1000〜2000ppm:危険」。 彼から特に注意されたのは「自動車空間は狭いので窓あけ換気をするように」とありがたいアドバイス。

室内でのパソコン作業効率が低下すると、コーヒーによる覚醒とついでに糖も摂るが、効率の波が低い方向に次第に収斂して最後は睡眠に誘うことに。皆さんもきっと経験がおありだろう。

それがCO2の所為なのだとの文献がリリースされた。東北大学9月3日発表『健康なボランティアの睡眠潜時に対する二酸化炭素曝露の影響: ランダム化対応クロスオーバー研究、睡眠潜時反復検査による証拠』

内容を極めて大雑把に引用する。

1)建築物環境衛生管理基準では 1,000 ppm 以下、事務所衛生基準規則では 5,000 ppm 以下に抑えるよう基準値が定められている

2)実験として、日中に 2 時間毎に 4 回行われる、各 30 分の検査中に 5,000ppm(注 2)という比較的高い二酸化炭素濃度にさらされると、日中の眠気が顕著に強くなることが示された。

さて、対策となると

・観葉植物の設置。サンセベリア、ポトス、ドラセナが比較的CO2を多く吸収すると言われているが5000ppmは無理。

・空気清浄器の稼働。 活性炭フィルターやHEPAフィルターによるPM2.5はキャッチするが、濃度センサーはNO2、CO2はあるものの、センサーであり吸着・吸収機能はない

・CO2は弱酸性なので、化学屋さんならアルカリ化合物をおいてCaCO3などへの転換を考えるだろうか。

 

などあれど窓を開けるに越したことはなさそうだが、冒頭の知人の実験では短時間に換気はできそうにない。

そこで以下の条件で計算してみた。

6畳部屋・窓1つ(1m平方)でCO2が5000ppmであるときに窓を開ければどの時間で外気CO2濃度と同じになるか? (換気率1回/時の条件)ざっくりの計算は76時間。当然ながら室内温度=外気温度となる。確かに“せっかくの冷えた部屋の温度面では損”。換気率を上げるには追い出し(反対側の窓空け、扇風機、換気扇の併用)が必要となる。

そして、その間はショート散歩を入れるのが仕事効率アップに良い。筆者の場合はショートどころかロングが問題ではあるが。それと知人の自動車運転時の換気は、車外の音を聞くことによる眠気防止にも役立つことから注意は非常に重要だと再認識した。

地震予知への一歩になるか

国勢立て直しになるのか自民・立憲両党の党首選挙が本格的にスタート。ぜひ政治屋ではなく政治家らしい議論により選ばれて欲しい。このブログでは政治的な案件にタッチしない。ただある候補者の演説予定される駅前では前日から下部議員の演説と大量のビラ配りを手に多くの運動員が活動しているところをみると、党首選直後の解散ありきだと政治に疎い者でも理解した。

一方、地上の出来事は眼に見えるが、地下、深海の動きはわかりにくい。

無茶ぶりだがAIに次の地震はいつ、どこ?と質問すると。南海トラフ、首都直下、千島海溝・日本海溝周辺海溝型地震。いつは予測不能。だから家具固定・防災グッズが大事と常識的な返答。

しかしながら、地震ドジョウ説を半分は信じていた江戸時代の人は自然観察力に鋭い神経を持っていたのでは?と想像している。偶然かも知れないが、能登半島地震が発災する前年の越前カニが不漁の一方で能登半島沖のカニが前代未聞の豊漁だった。越前カニ同様美味しさは変わらなかったが、毎年送ってくれる人から何かオカシイ?とのメッセージ。そして正月の能登半島地震。偶然かも知れないので断定はしていないが何故かモヤモヤしていた。

そのような時に9月2日筑波大学のプレスリリースは驚きを持って読んだ。タイトルは

「有馬温泉直下の地下深部洪水が阪神淡路大震災を引き起こした可能性を発見」

 リリース要約は

 過去半世紀以上にわたる有馬温泉水の水素・酸素安定同位体比および塩素イオンのデータから、その直下で沈み込むフィリピン海プレート由来の水が 1994 年頃に地下深部で洪水のようにあふれ出し、それが1995 年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の引き金となった可能性が高いことを見いだしました。

 温泉水は海プレート由来の水と雨など天水の混合物であるが、通常であれば雨水などにより海プレート由来水の割合が減少するところ、7つの温泉では急激に海プレート由来水が増加している。そのタイミングが地震の引き金ではないかと述べている。

筑波大では

松代群発地震(1965〜67 年)でも松代温泉においてフィリピン海プレート由来の水を多く含んでいることを明らかにしており。温泉水のモニタリングによって、地震の発生を事前に予測できると期待されます。と締め括られている。大部分を割愛しているのでご興味ある方は本文を参照して下さい。地道な筑波大活動にスタンベーション拍手。

 

おそらく温泉関係者は水質検査記録や硫黄や塩素濃度変化は鼻で? ラドンの濃度変化は湯上がりで?感じていたのかも知れない。日本全国温泉が多く存在することを生かして地震予知参考記録として言語化して残してほしい。測定→表・図の自動作成→異常値アラームなどはAI処理が利用できるはずだ。 宇宙からの日本国土の移動情報と合わせると予知精度は向上することが期待できる。

焼き海苔、やま芋で認知症改善?

近くのスーパーに日頃より少ないが米袋が積まれている。米騒動は終焉したのだろう。一方で駅構内の映像パネルには食中毒に注意喚起が目立つ。先週のブログを見ていたかのようなタイミング。うなぎ弁当中毒の地域であれば、尚更なのであろう。それを見ながら会食場所に集合した。

加熱処理条件を満足しそうなメニューを選びつつ、脳・肝臓にとってご迷惑であろう液体で乾杯。フロアーのあちこちからご満悦な声が充満。なんだかんだ言っても幸せな日本。

メンバーの関心はこれから高齢に向かうとあって食事と健康の話題で盛り上がった。

健康診断を機会に塩分管理をきっちりしている人。トータル6g以内に収める工夫を熱く語ってくれた。別の人はりんご酢の効用を語る。きっちり守るご褒美に好物のあんぱんを食べるとか疑問符付きの愛嬌のある人。それぞれだ。

その話の流れの行き着くところは「日本古来の食事と近年の食糧事情による食事の変化」が話題になった。15,000年に及ぶ縄文時代、後半から弥生時代に稲作となり日本人の食事がある意味固定した。米、野草、魚、貝 の組み合わせ。それに対応する胃袋、腸に存在する菌種も決まった。 海外原産地の住民にとって良いものが日本人に合うとは限らない。具体的に記載すると差し障りがあるのでカット。

ではこれから食欲の秋になったら何が好ましいのか? の話題になったので、このような文献があると紹介した。

1つは「ジオスゲニン高濃度ヤマイモエキスは 軽度認知障害および軽度アルツハイマー病の認知機能を改善させる」 富山大学が8月26日にプレスリリースしたもの

山芋エキスを24週間65歳以上(平均73歳)の人を2グループに分け、偽エキスを与えた方と比較したところ、山芋エキスグループは認知症改善した人が多かったとのこと。詳しくは元文献を参照していただきたい。

2つ目は「海苔のもつ抗酸化作用 ~季節変動と加工工程による増強を発見」名城大学が7月26日にプレスリリース。要旨を引用すると

  • 11 月/12 月に収穫される秋芽網の初摘み海苔が高い抗酸化作用を示した。
  • 生海苔を加熱して乾燥、焼処理を施すことによって抗酸化作用が増強された。
  • 増強された抗酸化作用はフェノール類化合物の増加によるものだと推定された。
  • 海苔の加熱処理により付加価値がプラスされた食材開発や調理方法提案への貢献に期待。

焼き海苔でフェノール類化合物がどのような機作で増加するのか、是非分析をお願いしたい。フェノール類は熱や光により発生した過酸化物と反応して酸化劣化を抑制し、自らは役目を終えるのが普通だが、加熱して増加するのは面白い。採取時期とフェノール類化合物データ、焼き工程で増加の実験データを引用する

 

 

 

 

 

 

 

偶然に山芋と焼き海苔の情報を思い出したが、心の中では「とろろマグロ丼」「とろろ蕎麦」が浮かんでいたはず。そこには海苔もMVPの一角を占めている。とろろマグロ丼が麦飯であれば完璧栄養メニュー。とろろ、オクラ、海苔の組み合わせも付け出しに良いと結局は某液体の量が増えるメンバー。明るく笑うのも健康の素で勘弁してくれるであろう。