カフェインと運動パフォーマンス

コーヒーとウオーキングが習慣の筆者。コーヒーは2〜3回/日。多くは作業の始めか終わり。何ら間違っていないと思っていた。ウオーキングは酷暑時間帯を避けるか帽子か日傘を刺しながらの状態。見た目はカッコ良くはない。

今回の文献を見て驚いた。タイトルは「暑熱下では運動中のカフェイン摂取によりパフォーマンスが向上する」 筑波大が2025.6.25にプレスリリースした。

超要約すると①運動前にカフェインを摂取すると、運動時の過換気(呼吸)や脳血流量が減少する。② 運動中にカフェインを摂取すると、①の問題はなく、運動後半に更に強い運動においてパフォーマンスが向上する可能性を見出した。

というもの。何故、運動前にカフェインを摂取すると具合が悪いのかの説明もなされている。それによると「暑熱下での運動前にカフェインを摂取すると、深部体温上昇に伴う過度な呼吸(高体温誘発性換気亢進)や、それに起因する脳血流の低下反応などの生理的ストレスが増大する」

なるほど。納得した。図がわかりやすい。だが、実験条件を見て驚いた。

気温35℃では運動、外出は抑えるのが普通。外出・運動する際には途中でコーヒーを摂取すれば良いのか?とハヤトチリは厳禁。この実験ではトータル30分の運動である。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでコーヒー1杯中のカフェイン量をチェックする。淹れ方で変わるが大凡は以下の通り。

種類                  1杯あたりの量              カフェイン含有量

ドリップ              150ml                         約90mg

インスタント       2g(お湯140ml)           約80mg

缶コーヒー           1本(約185g)             90~160mg

エスプレッソ       1杯(約30ml)               50~75mg

この文献は体重1kg当たり5mg 摂取。 体重が60kgであれば300mg のカフェインとなる。これをドリップコーヒーでは3.3杯 500ml を摂取。エスプレッソなら128ml となる。コーヒーでは満腹状態になって、摂取後の運動は厳しい。

なのでカプセルになるのだろう。1カプセル当たり100~200mg含有が一般的。接種の容易さの反面。1日の摂取量は上限400mgなので要注意。仕事で頑張る必要があると言って短期間に過剰接種すると、めまい、心拍数増加、吐き気、震えなど不具合があるので要注意。

「過剰頑張りは無駄どころか健康にもよろしくない」「集中はせいぜい30分」と勝手な言い訳を作り、このブログ作成も30分に近づいてきたので(本当は20分)、コーヒーを淹れることにした。

尚、夏場の外出に携行必須は水。PETボトルに水と天然塩を入れシャッフル。天然塩は知人からよく頂く奄美大島の加計呂麻(かけろま)の塩。これだけでも実に美味しいが、少量のオリゴ糖を配合するとスポーツドリンク風になる。お試し下さい。PETボトルをラッパ飲みすると口内雑菌が付着することから、使用後は洗浄・殺菌が必要なのでご注意されたい。

株主優待の誘惑?

6月〜7月にかけての株主総会が開催され株主には配当の連絡がある。株には疎いがお客様との縁もあって少しだけ所有している。今回、配当のお知らせと同時に株主優待の紹介があった。製薬・食品関係であれば特価で購入できるなどが優待であるのだろう。運輸関係では無料乗車券などを知人は利用されている。

今回の案件は、配当とは別に優待として各種グッズのほかに現金をスマホwalletに入れると言うもの。スマホ所有していない人は対象外。たまたまsuicaをwalletに入れていたので応募することにした。当該会社独自のクレジットカードは所有していないが利用できるとガイドに記載があったので早速作業開始。

案内状が来た日に早速トライしたがアクセスできない。魅力あるグッズ・サービスは若い人には人気だけにアクセスが集中しているのだろう、深夜までアクセスできない。若い人は25時でも起きているのだろうとして諦め。 午前5時に起床しアクセス。アプリをインストール、スマホ・ウオレットに紐付けをすることができた。

ただ、パソコンやスマホに習熟していない高齢者はこの段階で諦める人が出るであろうほどに厄介な作業。 この段階ではまだ優待金額は振り込まれない。当然のことながらカード会社・銀行との紐付けが必要。続けて作業をする。

ここでも対象カードがなくても可能と記載があり、その手順に従って進めるが元に戻る循環ループで先に進めない。結局、カードを申し込む必要があるのが結論。 上手い!見事な罠。 株発行会社一体のカード会社に誘導されてしまった。今後そのカードを使用する機会がないとも言えないこと、維持費考えるといずれ逆転するのだが。優待金額に目が眩んだ。

わかっちゃいるが、ここまで来たからには止められない。カードを作り、後の操作を実行。漸く振り込み作業のコード番号が送られてきた。コピペするも動かない。手入力だ。アルファベットと数字の組み合わせからなるコード番号。 ここでトラブった。0とO,(ゼロとオー) 1とI及びl (イチ、アイ、エル)のフォントが紛らわしい。多分これだろうとトライしたがトライ数の規定数に達したとしてアクセスできなかった。24時間後に再トライで漸く振り込み完了。

この操作を通じて、① 優待の形だが、企業はその後にカード使用による利益を上げることができる。 ② スマホ所有していないか、操作に不慣れな高齢者(高齢者ほど株所有数が多いと思われる)は諦める。その分 優待金は企業から出て行かない。手続きは厄介だけど憎めない企業であることは確か。③今はスマホ取り扱いになんとかついていっている。だが、たとえば高性能ダイヤモンド半導体が民需化されると通信能力が圧倒的に変化し、次世代スマホは従来とは恐らく違うシステムやアプリが適用されるであろう。

ついていけるか自信はないが、認知症予防には有効かも。一方で、今回の作業時間に対しての優待額のバランスは良くない。その時間で他に有益なことをすれば優待の金額を超えたのではなかろうかと反省。それはデジタル音痴の言い訳にすぎないのだが。

培養肉

大豆を原料とした代替肉について以前このブログで記載した。横浜地下街にあるお店で食べた唐揚げは本物と見分けがつかない繊維筋と味。これには驚いた。一方で当時はカツ豚などでは本物とはやや違うなぁと思った。その後は試していないので、ブログを書くにはエビデンスが必要とあって確認をしてきた。その結果は唐揚げメニューは健在だが、カツ丼は豆腐カツカレーになっていた。ユーザーの声を反映したのだろうと推察。 その一方で 牛肉、豚肉の味を求めるには再現は時間がかかるとみた。

そのようなとき、植物性原料由来の代替肉を猛追するであろう技術が東京大学から発表があった。

培養肉の「味成分」は熟成で増加――分化と熟成がもたらす遊離アミノ酸変化を解明し、味制御へ――  リリース2025.05.23

超ベテラン寿司職人などは経験的に知っているのだろうが、旨み成分の遊離アミノ酸の経時的変化をLC-TOFMS(液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析による微量測定技術を活用してFAAsの動態を精密に捉えた点で新規性がある。筆者もLC-TOFMSを別の実験で分析依頼をしたことがあり、その性能には驚いた。

早速本文からポイントを引用する。(下線部)

本研究では、ウシ筋肉由来の細胞を用いて、分化や熟成といった工程が細胞内のFAAs量と組成に与える影響を、最新のLC-TOFMSにより詳細に解析しました。まず、筋芽細胞(myoblast)とそれを分化させた筋管細胞(myotube)を比較した結果、分化によって細胞内のFAAs量が一時的に減少し、タンパク質合成が促進されることが示されました(図1)。しかし、その後4〜14日間にわたって低温下で保存する熟成工程を経ると、タンパク質が分解され、FAAs量が再び大きく増加することが明らかになりました(図2)。特に熟成過程では、苦味系・甘味系アミノ酸の顕著な増加が観察され、これらが熟成に伴う味覚成分の強化に寄与していると考えられます。

 

 

 

 

 

 

ここで改めて「培養肉」とはなんぞや? 文献注釈には「動物から採取した細胞を体外で培養・分化させて作る肉。環境負荷や倫理的課題を低減できる持続可能な食肉代替品として注目されている。」とある。

 

読者の皆様は元の動物(牛・豚)を殺傷しないのなら本当に有益だとお考えだと思うので、本当にそうなのか調べてみた。

培養肉は、動物を屠殺することなく、その体の一部から得た細胞を体外の管理された環境で育てて作るお肉。基本的な流れは「細胞を採取」→「増やす」→「育てる」→「組み立てる」というステップ。

  1. 細胞の採取(バイオプシー)

まず、生きた牛からごく少量の筋肉組織を採取。これはバイオプシーと呼ばれ、局所麻酔をして行うため、牛への負担は最小限に抑えられる。採取する量は、ゴマ粒数個分程度のごくわずかな量。この小さな組織片の中に、筋肉の元となる筋幹細胞(サテライト細胞とも呼ばれる)が含まれている。

  1. 幹細胞の分離

採取した筋肉組織から、目的の筋幹細胞だけを酵素などを使って丁寧に取り出す。筋幹細胞は、筋肉が傷ついた時に新しい筋線維を作る能力を持つ特別な細胞で、培養肉生産の「種」となる。

  1. 細胞の増殖

分離した筋幹細胞を、培養液が入った「バイオリアクター」と呼ばれる大きなタンクの中で育て、数を増やしていく。

  • 培養液: 細胞が成長するために必要な栄養素(アミノ酸、糖、ビタミン、ミネラルなど)が豊富に含まれた液体。これに「成長因子」を加えることで、細胞分裂を活発に促す。かつては牛の胎児の血液(ウシ胎児血清)が使われていましたが、コストや倫理的な観点から、現在は植物由来成分や微生物が作り出す成長因子など、動物由来でない代替品の開発が進んでいる。
  • 環境: バイオリアクター内は、牛の体内と同じ約37℃に保たれ、衛生的な環境で細胞が効率よく増殖できるように管理される。

この段階で、ごくわずかな細胞が、理論上は数千キログラム分のお肉になるまで増殖する可能性がある。

  1. 筋肉への分化

十分に数が増えた細胞を、筋肉の細胞である筋線維へと変化させる。これを分化と呼ぶ。分化を促すために、培養液の成分を調整したり、細胞に穏やかな電気刺激を与えて筋肉の収縮を模倣したりする。このプロセスを経て、細胞は細長い筋線維へと成熟していく。

  1. 組織の構築

分化してできた筋線維を、肉らしい食感や構造を持つ立体的な組織へと組み立てていいく。この時、足場(スキャフォールド)と呼ばれる、食べられる素材でできた立体的な構造物が使われることがある。

  • 足場の素材: ゼラチンやコラーゲン、またはコンブや大豆など植物由来の成分で作られた、網目状やスポンジ状のもの。
  • 役割: 細胞がこの足場にくっついて成長することで、バラバラだった筋線維がまとまり、肉本来の弾力や歯ごたえが生まれる。

また、筋細胞とは別に培養した脂肪細胞を混ぜ込むことで、お肉の風味やジューシーさを再現する研究も行われている。

  1. 収穫と仕上げ

最後に、出来上がった肉の組織をバイオリアクターから収穫。初期の培養肉はミンチ状のものが主流だったが、技術の進歩により、ステーキのような厚みのある構造を作る研究も進んでいる。収穫された培養肉は、通常の肉と同様に調理して食べることができる。

以上のプロセスを経て、1頭の牛から採取したわずかな細胞から、大量の牛肉を生産することが可能になる。

この補足説明はいかがでしたでしょうか。 展示会の外でビーガンメンバーが肉を食べないよう声高く訴えている風景を見る。今回の培養肉の製造プロセスを知ることで、考え方や行動が変わるのではないか期待。但し、コストについては調べた範囲では不明。 牛のゲップで地球温暖化の原因である炭酸ガス発生量の3割を占めるとの話もあるので、コストカットへの補助金に捻出しては如何かと思った。 スキャホールドには大豆など植物性素材も利用となんだか「ハイブリッド」がここでも通用しているのは面白い。

ギグワーク

偶にバーガーショップに入ることがある。カウンターには店内用、持ち帰り用、に加えてフードデリバリ用と区別されて商品が置かれていく。フードデリバリの人の強靭な脚を見ると相当の運動量をこなしていることが分かる。同時に、このジャンクフードのデリバリで一体収入はどうなっているのか?も余計なことながら思う。また、この仕事を続けても身につく技術はないはずなので、然るべき職業に就いた方が良いがとこれまた余計なことを思う。

そんな時、とんでもない文献が発表された。タイトルは「景気変動とギグワーク 銀行データで見えた新しい就業のかたち」 (早稲田大学 2025.6.27リリース)

その前に、筆者が知らなかったワード:ギグワークのギグ(Gig)とは音楽用語で「一度だけの演奏」を意味する「Gig」と「仕事」を意味する「Work」を組み合わせた言葉。雇用契約のアルバイトとは異なる。 恥ずかしながらギグをギガバイトならぬギガワークと読み違い。

文献のポイントは

  • みずほ銀行口座(匿名加工)を持つ個人がどのような預金残高でギグワークを開始したか
  • ギグワーク開始時点での預金残高が10万円未満。コロナ禍では女性や中高年も就業していた。とのこと

ギグワーカーはみずほ銀行だけに口座を持っているだけではないだろうとツッコミしつつ、預金口座10万円以下ではなんとか即刻換金できるフードデリバリなどに参入するのも分かる。 AIにギグワークの収入について聞いてみたところ、諸条件はあるが副業としてなら5万円/月。 本業としては30万円〜50万円だとのこと。結構の額だが、都会ならばこそ利用機会に恵まれ、土日もなく、雨の日もなく働いた数字とのこと。 病気になってはいられない。厳しい。

ちなみにギグワークにはこの他に配達代行 運転代行 家事代行 写真撮影 引っ越し作業 ポスティング(チラシ配り) 単発バイト 記事ライティング イラスト作成オンラインレッスン コンサルティング カウンセラー 翻訳などがあるとGai work社HPに記載があった。 レベルが違うが確かに単発であればこの範疇に入るのか。

以前なら出前はお店の人が配達をしていた。それを部分代行しているだけと言われればそうだろう。しかし単に配達とは言えない業態もある。それは家庭で祝い事をするときに料亭から料理をとることがある。料理はもちろんのこと食器の取り扱いも習熟した料理人が運んで配達先の家庭でセットする。ただし少し前までは。

インバウンドが増えたことで家庭お祝い程度サイズの市場規模には経済的合理性が低いと判断され、特に京都では姿を消した。調理人の仕草を真似しながら膳を整える楽しみがある文化が消えたのは至極残念。

それにしても、驚いたのは銀行の個人資産管理状況を垣間見たこと。住宅資金調達する際の判断として、預金額はもちろん将来の返済能力が判断材料となる。その際に入金振込先としてギグワーク利用会社が相当の割合を占めていたら、如何なことになるのであろうか。

シニア層が足らない年金をギグワークで補填と考えても継続が困難だろう。先日、朝7時に有人のガソリンスタンドで給油した。「15リッター、アプリ支払いでお願いします。」係の人は65〜70の人で動作が遅いのはしょうがない。確認の返事は「ハイオク満タン入れまーす!」 ボケなのか本当に聞こえなかったのか? ボケでこちらが乗ってきたらシメタものか。でも、アプリ支払いで係の人はフリーズ。時代にあう技量知識が求められる。 ギグワークも甘くはない。

“訛り”の文化背景

高校の国語教師はNHKアナウンサーから転職した青年だった。洗練された語り口は生徒仲間の言葉とは圧倒的な差があった。標準イントネーションに品があり安定感があった。赴任挨拶が校内放送された時の女生徒の驚きは凄かった。声だけでモテるのだと。一方、漢文の教師は日本語の読み下し(レ点)で生徒に内容を理解させた後で、漢詩当時(呉時代など)の発音で漢詩を朗読。水墨画の世界を想像させた。

標準語は明治維新以後の統一言語として制定されたが、一方で地域ごとのワードとイントネーションが生活言葉として利用されている。高校時代の漢詩教師の朗読には韻を踏むことで言葉以上の含む意味があることがわかった。それが制定された標準語以外のところにはある。「方言とか訛り」のような上から目線は非常に浅いし愚かでもある。時には背景・歴史を知らないと致命的でもある。 最近の事例を紹介する。

京都生まれと聞いていた女性に保険営業をかけたが良い返事をもらえなかったと愚痴を漏らした知人がいる。営業マンは会話の流れで「訛りがないですね」と話した時から雲行きが怪しくなったとのこと。「あぁ致命的なミス。これで終わった。諦めろ」とアドバイスした。営業マンの出身地を聞いたら○○県。大学からは東京だとのこと。訛り修正の苦労があったのかも知れない。

京都の人は明治以前には京ことばが標準語であって、営業マンは「訛り」のニュアンスに含まれる意味を理解していなかったのだ。

1)「訛り」という言葉のニュアンス  「訛り」という言葉は、多くの場合、標準語からのずれや、聞き取りにくい話し方といったネガティブなニュアンスを含みがち。そのため、京都の人は自分たちの言葉を「訛り」と表現されることを嫌う。

2)「京ことば」の独自性 京ことばは、千年の都として栄えた京都で生まれた、歴史と文化に根ざした言葉。御所言葉や町衆言葉など、さまざまな要素が混ざり合い、独特の言い回しやイントネーションを生み出している。

3)「京ことば」という表現 京都の人は、自分たちの言葉を「京ことば」と表現することを好む。これは、京都が日本の中心地であった歴史的背景や、共通語とは異なる独自の言葉であるという認識が背景にある

4)共通語との違い。「京ことば」は、共通語とは異なる独特のイントネーションや語彙を持つため、共通語を基準に考えると「訛り」のように聞こえるかもしれないが、京都の人は、単なる異なる言葉遣いであり、優雅で上品な印象を与えるものとして認識されている。本音でダイレクトの物言いはしない。察する会話を子供の頃から鍛錬されている。

5)一口に関西弁と括られるが、神戸には洗練された「神戸ことば」があり大阪では淀川水系を通じて商売が行われていた「船場ことば」「摂津ことば」がある。これも上品なニュアンスがある。とかく誇張されやすい大阪弁とは異なるので分離しておく必要がある。関西地区に転勤や移住される人は注意された方が安全かと。

京ことば、神戸ことば、船場ことばに限らず、日本には地域独特の言葉がある。標準語より親密さ、あたたかさを感ずることがあり(理解できない時でさえ)微笑ましいと思う。日本各地には長い時間をかけて育まれた独自の文化や伝統、そしてそれを伝える言葉が存在する。また武家社会時代は領有地防衛のため(隠密防止)や、幕府による移封による言葉の混合もある。それらを知ることで歴史を学こともある。かえってそれらに対する関心の低さや、無意識の優劣意識は、近代化の過程で失われた、あるいは軽視されてきた文化的な豊かさを示唆しているとも言えないだろうか。

冒頭の高校時代の続き。倫理・哲学の教師はフィラデルフィアで生まれの日本人。60歳になって帰国して高校に臨時教員として赴任。話す言葉は英語と日本語のチャンポンだったが、英語の発音は他の日本人英語教師とは全く違っていた。ジョン万次郎が漂流の果てに米国で身につけた言葉を聞き取りしたカタカナ英語風発音。通じる英語と授業で習う文法中心英語とは全く異なっていた。独立宣言と憲法の宣言拠点となったフィラデルフィアの象徴としての言葉である。米国人はそれを訛りというだろうか?多分それは許さないだろう。

地球温暖化で欧州は氷点下48度の都市も?

正しくは「地球温暖化で大西洋海流システムに崩壊の恐れ、欧州では氷点下48度に達する都市も」2025.06.12 Thu posted at 18:13 JST CNN

大西洋子午面循環(AMOC)は巨大なベルトコンベアのように機能し、南半球や熱帯地方から北半球へ暖かい水を引き寄せ、そこで冷やされて沈み込み、再び南へと流れ込む海流システム。 日本より緯度が高い英国などが温暖な気候はこのAMOCによるところがある。温暖化なら動脈海水温度が高く、静脈海水温度も高いのに、AMOCが崩れると氷点下の都市が出現するのか腑に落ちない。いずれ冷却されるなら温暖化対策は無用ではないか?のハヤトチリする人が出てこよう。

AMOC崩壊のメカニズムと温暖化との因果関係は次の通りと思われる。

  1. グリーンランド氷床の融解と淡水の流入: 地球温暖化により、グリーンランドの氷床や氷河が大量に融解しています。この融解した淡水が北大西洋に流入すると、海水の塩分濃度が低下。
  2. 海水の密度の変化: 塩分濃度が低下した海水は、塩分を多く含む海水よりも密度が軽くなる。
  3. 沈み込みの阻害: AMOCは、冷たくて塩分濃度の高い(重い)海水が深層に沈み込むことで駆動されています。しかし、淡水の流入によって海水が軽くなると、この沈み込みが起こりにくくなり、AMOCの循環が弱まる。
  4. 熱輸送の減少: AMOCが弱まることで、熱帯の暖かい海水を北に運ぶ量が減少し、ヨーロッパへ供給される熱エネルギーが減少。

と考えると納得。 地球温暖化に熱心な欧州の本音がここにあったのか!! 温暖化が進めば欧州は冷凍庫状態で住めない地域が出現(国民生産は低下、移民の発生)、米国は海面上昇による東海岸は水害被害や農作物への影響が大きい。

だから団結して温暖化に協力してくれ!と言えば良いのだが、自己中の国などがあり、温度は上昇を続けている。 日本も米輸入に頼らず、そのほかも自給率を高めておく必要がある。ややのんびりしている空気が気になる。

ここで、関連して次のニュースがあるので紹介する。

「35億人を襲う熱波、2070年までに居住不可能に 国際研究」

2020.05.06 Wed posted at 14:30 JST 記事を抜粋。50年後、熱波で35億人が移住を余儀なくされる恐れがあるとの研究結果が発表された。米科学アカデミー紀要に発表された。気温が1度上がるごとに、10億人が別の場所への移住を余儀なくされるか、極端な猛暑に順応しなければならなくなると予測している。

地球の気温は2100年までに3度の上昇が予想される。陸上は海上に比べて温暖化のペースが速いことから、人が経験する気温は2070年までに約7.5度の上昇が見込まれる。そうした変化は食糧生産や水資源の確保に重大な影響を及ぼし、移住に伴う衝突や紛争を発生させる。」

事例としてインドを取り上げている。今回不幸な航空機事故発生のアーメダバッドの当日温度は43℃だったことから、この現象は近づいているとも言える。

航空機事故の原因は多々SNSでは飛び交っているが、酷暑となると空気密度低下に伴う滑走時の揚力低下やエンジン能力が低下することは間違いない。酷暑を飛行する場合は燃料等積載重量を下げ、給油中継を設けるようなことか、離陸時には滑走路を長くとるような措置がくるかも知れない。日本から欧州・北米も飛行距離、偏西風など考慮して北極圏経由。確かに空気密度も要因としてある。

 

 

温暖化目標1.5℃以下がある。なんとなく「1.5℃ならなんとか耐えられる」と思いがち。だが今回の2件の情報の引き金になると考えると、大変なことなのだと思わざるを得ない。

古古米に思う

古古米とわかっていれば、炊飯工夫か我慢をする。しかし定期便(銘柄米)として購入した物の袋表示は「ブレンド米」で精米場所のみ記載。おかしいなぁ?と思いつつ、値段は従来並みだったのでまぁ良いかとして開封。ところがそこで目にしたのは白粒の割合がなんと多いことに驚いた。白粒とはなんぞや?早速WEBで調べた。

「白粒は白未熟粒で高温や日照不足などの影響でデンプンが十分に蓄積されず、米粒の中に隙間ができる。お米の品質を低下させ、検査等級を下げる。食味を損なう。」とある。昨年の作付けは例年並みだったはずだが量と質は確かに違う。高温・猛暑の条件では白粒を生産してしまった地域もあったのであろうと同情。定期的に購入している業者は米不足の中、ユーザーへの供給責任から量確保を優先した。納得。

等級ランクで下位ランクされた米袋は保管倉庫の場所的においても一等米とは違った場所に置かれていたはずとあくまでも推定だが思った。

実際、銘柄米がなくなったので、白粒ブレンド米を炊飯した。家族からは総スカンされた。不味い、香りが変、粘りがないと評価。ソーメン、パスタに切り替えるから、あとは炊飯責任者の筆者に対策をするようと厳命された。そこで種々検討した結果 従来と同じ味とは言えないが大幅な改善の判定をされた。

農林機構(2021)の文献によれば、温暖化 コメ収量20%減少|今世紀末!とあり、コメ収量の予想見直しと白未熟粒の割合増加のグラフが示されている。

丁度この記事を書いているときに食品納入業者がきたので質問をしたところ、契約農家からの量が不足したので、全国的に入手できる米をブレンドしたとのことで、そこは納得。

家族に看破された味は脂質の酸化によるもので、トランス脂肪酸が空気中の酸素と反応し、過酸化脂質、アルデヒド、ケトンを生成。参考までに古米において脂質のチオパルビツール酸(TBA)値が酸化進行指標となっている。

 

一般的にこれらの異臭対策としてはマスキング剤として清酒を浸水時に添加することが知られている。筆者も白粒を見て料理酒を添加。浸水に1時間とって炊飯した。その結果でもマスキング不十分で見破られた。次は清酒銘柄と量、餅米配合、+αなど検討した。

備蓄米放出以来、行きつけのスーパーでは銘柄米山積みの棚の横には「本日の備蓄米は売りきれました。明日も入荷します」の表示。初日には開店前から行列の様を放映していた。銘柄米の値段は若干程度下がったものの、備蓄米の値段の2倍以上。「40年前の米不足時に粒の形が違う輸入米を食べたことから見れば、マシな方だろう」とか「あっても買わない。だって無洗米じゃないもの」と人様々な意見を空っぽの備蓄米の棚の前で聞いた。人の品格が等級別に分類された瞬間だった。

備蓄米放出から1週間後、午後3時にスーパーに行ったら備蓄米コーナーに偶然2袋残っていた。こうなると本物の古古米をいろいろ工夫したく1袋(5kg)購入。もちろん家族には内密。家族に違和感を感じさせない工夫をすることが皮肉にも楽しみになってきた。

後日アップ予定のブログで詳細記載するが、米国は大西洋海流システムに崩壊による洪水・猛暑となると米国米も頼れない。タイや東南アジアは灼熱で白粒が多くなるだろう。英国欧州は極寒となると世界中の食糧の取り争いが予想される。ここは日本人生命保守として減反から増反へ、耐熱品種改良に研究資金を投入することなど期待される。

庶民の対策は食品ロスを絶滅すること。備蓄米100万トンに対して、コンビニおにぎり残り、弁当売れ残り、レストランでの食べ残しなど年間60万トン。 2日前ランチに中華セットをQRコードから注文。ご飯の量を指定するところがない。 隣のテーブルでは食事が終わって席をたった時に見た光景はお椀にご飯が山盛りで残っていた。 そのような僅かな積み上げが60万トンだと思うと、いつから日本人は米を粗末にしているのか?と。お弁当の蓋についたご飯をとっていたら子供に笑われたとの声がある。8月15日に何を思うか貴重な経験は後世に活かしたい。

タバコにより進行する動脈硬化が腹部大動脈瘤形成を促すメカニズムを明らかに

街ゆく人もマスクが少なくなったと同時に歩きタバコが目立つようになってきた。でも従来のタバコのほか、加熱方式タバコや電子タバコも若者を中心に増えている。

筆者は喫煙とは縁がないので、この3者を比較してみた。

喫煙者から見れば誤解だとお叱りを受けるところがあればお詫びします。

仕事の合間にちょっと一服は休憩後の馬力回復には必要だろうと理解はする。

グラスを傾けパイプを口にすると黙っていても“できる男”の格好がつく。つかないまでも“場が持つ。そんな時代もあった。

長年の禁煙者が加熱タバコ、電子タバコを摂るようになっても、ドーパミン恋しさにタバコをとる人もいるようだ。

喫煙ニコチン摂取は本人にとって命懸けであり、受動喫煙も巻き添えにする。

「呼吸器疾患、循環器疾患、消化器疾患、糖尿病、歯周病、骨粗鬆症、生殖機能への影響、免疫機能の低下、認知症のリスク増加、その他: 味覚や嗅覚の低下、肌荒れ、老化の促進、乳幼児突然死症候群(SIDS)

その他: 中耳炎、呼吸機能の低下など、妊婦や子供、呼吸器系や循環器系の疾患を持つ人は、受動喫煙による影響を受けやすい」などは60年前から濃淡はあれど指摘されてきた。筆者の親戚の人が喫煙する時はフレキシブル排気ダクトの前でのみ喫煙が許されていたのを思い出す。

これらの疾病を知りながら止められない人ならば次の文献を紹介する。

タバコにより進行する動脈硬化が腹部大動脈瘤形成を促すメカニズムを明らかに (神戸大学プレスリリース2025.04.25)

本文から引用する。

「神戸大学の研究グループは、タバコによる動脈硬化が腹部大動脈瘤形成を促すメカニズムを明らかにしました。喫煙が腹部大動脈瘤の大きなリスク因子であるものの、その詳細なメカニズムは不明でしたが、本研究により、タバコの煙を用いた新たな大動脈瘤モデルを作成し、喫煙による動脈硬化が動脈瘤形成を促すことを証明。

主なポイントは以下の通り。

1)タバコの煙を用いてヒトの病態に近い腹部大動脈瘤モデルの作成に成功。

2)動脈硬化と一致して、大動脈壁のエラスチン構造が破壊され、血管系が拡大し動脈瘤が形成。

3)マウス、ヒト共に腹部大動脈瘤のマクロファージシングルセル解析を行うと、単球の浸潤が増え、TREM2+マクロファージが集積。

4)TREM2+マクロファージをノックアウトした細胞を骨髄移植するマウスモデルでは、大動脈瘤形成は抑制。

この研究成果から今後、単球の浸潤やTREM2+マクロファージの集積を制御する新たな薬物治療の開発が進むことが期待されている。」

 

 

 

 

 

 

 

(補足TREM2+マクロファージ

シングルセル解析で明らかになった、動脈硬化特異的なマクロファージ。

マクロファージとは、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物、または死んだ細胞を食べる免疫細胞)

息抜き ジャズ講座に参加してみた

横浜はジャズの街。10月は街全体がジャズ一色となる。街角ではプロ並みの素人バンドや、プロによるコンサートホール、ライブハウスなどで聴くことができる。

地区センターの行事としてジャズ講座を年6回開催している。果たしてどのようなジャズファンが講座に来られるのかの興味がありジャズ素人ながら参加した。募集20人枠に23人参加。年齢層は65歳以上がほとんど。男性7割、女性3割の参加。講師は渋谷でジャズ関係のお仕事(ジャズ評論紙の編集など)をされていた人。ラジオ、テレビを通じて知るジャズ評論家といえば湯川れいこさん、油井正一さん、大橋巨泉さんなどがおられたが、データーベースを作り上げた講師だけに、情報量が凄く圧倒された。

地区センターの一室に真空管アンプとスピーカーがセット。音量は曲にもよるが70〜85デシベルとこれまた圧倒。今回の講座では60年〜70年代の楽曲が選定された。

ルイ・アームストロング、レスター・ヤング、マイルス・デービス、ジョン・コルトレーン、ジョニー・グリフィン、ビル・エバンス、ブルー・ミッチェル、ブッカー・アーヴィンなどでジャズを知らない人でも一度は聞いたことがある曲ばかり。今回かからなかったプレイヤーも多くいたが次回に期待。

サッチモ(ルイ・アームストロング)のon the sunny side of streetの声を聞いて“若い時のサッチモ”との声が部屋に広がる。さすが皆さんジャズ通。かろうじて歌詞の意味が分かるのはありがたい。

聞きながら、3つのことを思った。

1つは、なぜ横浜がジャズの街になったのか、そして現状について

明治維新で海外渡航者が増え、船内で奏でる演奏に触発され、帰国後 大正デモクラシーで開花した。その港が横浜。進駐軍キャンプも横浜、横須賀にありダンスホールやナイトクラブといったジャズ演奏の場を創出し、日本のジャズミュージシャンにとって重要な活動の場となったが、そのダンスホールもナイトクラブも今は消滅したか激減した。ジャズ=黒人解放運動=公民権運動から発達したが、今はそれも一段落した状況ではそれを知らない若い人を中心にジャズがやや下降傾向にあるのではないか。

2つ目はスタバなどのBGMがあれば作業が捗るところから、静かなジャズで十分。それはネットからDLできる。大きな音量のスピーカーはマンションでは制約される。高性能のイヤホンで十分。(難聴の人が増加は要注意)

3つ目はデキシージャズでは音符が読めない奏者が前のメロディーを聞いて即興で自分のメロディーで追いかけた。即興性は民族に特性が出るので、民族外には意味がわからないところがある。だが、今のジャズは全員楽譜が読め、独自の編曲をし指揮リーダーの下で演奏。ソロも予定通りとなると、本当の即興とはテクニカルの部分になるのではないかとも。

(勿論例外あり。数原晋さんのひまわりを聴けば風景と戦争の中での男女物語が浮かんでくる、ナベサダのアフリカ風景と一体化がわかる)

いや待て! ジャズはどちらかといえば共和党支持者サイドだとすれば、トランプの突然の関税政策砲は思いつき即興だ。音量低めの全休符で終わって欲しいと余計な一言。

今、横浜市内には4つの大規模コンサートホールがあり、毎日多くの観衆が団扇や推しの法被を着て開演を待っている風景がある。若い人(案外高齢者の人も)はロックなどにシフトしている。高齢者のジャズは自分史とリンクしている意味があるので、これから年配者になる人はロック、ラップとリンクしていくのだろう。

でも、そこは日本人 神社の雅楽は日本人魂と共鳴し、クリスマスや年末になるとクラシックに親しみ、紅白では演歌もあるなぁとなり、祭りとなると三味線笛太鼓がやっぱり合うなぁ〜と。ストリートミュージックも活躍。フレキシブルに全部飲み込み創造する。そこが日本らしく面白い。

たわいのない話で恐縮ながら面白い講座で息抜きには十分だった。

セルロースナノファイバーで目指す歯の再生医療

九州大学の研究グループは、樹木由来のセルロースナノファイバー(CNF)を表面リン酸化することで、ヒト歯髄幹細胞の培養に成功し、硬組織への分化を達成したというプレスリリースを発表。

この研究は、歯の再生医療において課題であった動物由来成分や自家歯材への依存を解決する可能性を示した。CNFにリン酸基を導入することで、細胞接着・培養特性が向上し、外来の分化誘導因子を加えることなく硬組織分化を誘導できることを発見。

この成果は、歯科治療の可能性を広げ、天然多糖ナノファイバーからのバイオマテリアル開発に役立つと期待されています。研究成果は学術雑誌「Carbohydrate Polymers」に掲載されました。プレスリリース2025.04.18

筆者の研究の一つはCNFの製造技術開発であり、プラント建設まで携わった。用途の一つは医療関係を考えていただけに非常に興味があるリリースであった。

歯科関係者には詳しい説明は不要なので超要約の図を示す。

 

 

 

 

 

 

 

補足説明をすると

ヒト歯髄幹細胞(hDPSC)は、歯の再生治療に有望な細胞源だが従来の培養足場材料は動物由来であることが多く、免疫原性が懸念され、入手可能性に問題があった。CNFはスギノマシン社のNFi-sをベースにリン酸化試薬(リン酸水素二アンモニウム、尿素を濃度を変えて反応しP-CNFを製造。

未改変CNF上で培養した細胞は、接着不良を示し、スフェロイドを形成し、生体適応性が低いことを示す一方、中程度のリン酸塩含有量(0.54〜0.78 mmol g-1)のP-CNFスキャフォールドは、細胞接着を有意に改善。 培養中のP-CNFの形態や結晶性がリン酸含有量でどのように変化するかもCNF研究開発者としては非常に興味がある。その一つの図を引用する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この研究結果の応用は広いと思われる。歯科材料に関わるものとして注目していきたい。

尚、先週のブログでEU自動車関連 非関税障壁として3案件を紹介した。今月開催された「人とクルマのテクノロジー展」において、ブレーキ摩擦粉問題を取り上げた企業があった。従来の金属ブレーキから熱硬化複合材料を適用することで大幅な削減したことを発表。規制をしても日本企業はクリヤーすることで自動車産業を強化してきたが、今回も対応したことは素晴らしい。