いしアウト

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ロッテーオリックス戦での球審の行動について多くの意見・ツイッターが出ている。賛否は別として、ツイッターの文章がいずれも優れていることに良く事案を理解してのことだと感心した。球審が何を言ったのか読唇で解説したYou tubeでもあったが、何よりアップされた目つきが全てを語っていた。まさに口より目がものを言うが如くであった。当方のコメントは「あれはイタダケナイ」。審判は舞台監督のように試合をコントロールしなければいけない。ルール上は審判絶対だとしても、観客あってのプロならば極論をいえばショーマンの一員としての意識が必要だろう。それができる名人域に達した審判になって欲しい。

ところで、バスケの試合であのような光景を見ただろうか? 無いと答える人が多いだろう。2名の審判が対角線状から監視することで判断の精度があるからだろう。野球では球数が両軍投手合わせて300前後を一人の球審で判断するのは酷な作業かも知れない。球速は昔より圧倒的に速く150kmはザラ。球種は昔の直球、カーブ、ドロップ、シュートしかなかった時代から、今やフォーク、スライダー 2シーム、4シーム、シンカー、スプリット、カットボール、チェンジアップ、ナックルと多種多様。ホームベース上をどのような軌道を描くかわからないようなこともあるだろう。バッターが危険を感じて避けたボールが鋭く曲がってストライクになる投手もいる。

複数のカメラを駆使すれば球の軌道がどうだったかわかる時代になった。野球の内容が変わったのなら、判断も複数にした方が合理的であろう。選手にとっても信頼ある審判で技を披露することが何よりで、観衆も望むところだ。

そんな中、セピア色の話ではあるが、タイトルにある「いしアウト」とはなんぞや。

これが野球とベースボールの違いである。野球道といえば少し理解されるであろうか。ボテボテのサードゴロで打者は走るケース。1塁でアウトかセーフか極めて微妙な時、草野球では「いしアウト」を宣告する。子供の時はこの“いし”がわからなかった。“石?ではなさそう”。後からわかったのは「意志アウト」。

ボテボテにならざるを得ない打者の力量は既に投手に負けている。たまたま塁に到達するのが守備送球と同時であっても試合では勝っても勝負には負けと同じの意味で「意志アウト」。何やら武士道と同じ扱いなのだ。あくまでも草野球の話で、選手生命をかけてのプロでは呑気なことは言えないが、デジタルで判断すればセーフであってもアウトにして次回はクリーンヒットを打つレベルに精進するように促しても間違いではないと思うがどうだろう。

今回の佐々木投手が投げたコースをこのバッターは過去にヒットを打っていたか、バッターボックスの構えかた、空振りしてもその状況から悠然と見逃した“ボール”なのか。手も足も出なかったのなら“ストライク”と言われてもしょうがない。例えが変だが、高速で走る電車の中から通過する駅の表示が読めるか? 大まかな路線を知っているから次の通過駅名の一部でも読めれば言い当てることはできる。これと同じように0−2(2ストライク)であれば次は外してくる確率が高いから、その付近にきた球をボールと言いがちになるのも審判も人間ならありうる。捕手の配給パターンも関係している。

野球が武士道ならば水に落ちた犬をいつまでも叩くのは良くない。多分この球審は米国での審判留学など研鑽を積んできただけに、注意したいところ気が付くことが多いのだろう。極めることで、そうでない場合に遭遇すると絶対矯正しなければとの義務感に背中を押されてマウンドまで行ってしまったと思う。審判もその後 心に傷を負ったであろう。そんな時の特効薬は多少の緩さと笑いだと思う。名前を思い出さないが、球審が半紙厚み1枚分ボールと言って納得させたことがあった。このように言われたなら、次は毛髪ぐらいのぎりぎりを投げると言って練習する。そんなやりとりがあれば殺伐としたあのシーンを見ることはなかっただろう。

TVやYou tubeでは分からないこともあるとして30日の巨人―阪神戦を観戦した。試合前の審判4人のミーティング風景はどこか緊張が伺えた。微妙な判定もあったがリクストと結果が一致。これには観戦している我々もほっとする。判定1秒後には大型しクリーンに角度が異なる映像が映し出される。今回の試合ではトラブルはなかった。審判のキビキビした態度もショーの一部であると再確認した次第。

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