少人数の勉強会のあとの会食はコロナの時は弁当だったが、昨日は久々の居酒屋。それだけに話題が盛り上がり。やはり潤滑油はアルコールだけでなく、コロナから解放された気分も後押しとなった。当方の小さいテーブルでは元大企業副社長、トップ大学名誉教授、国立大学名誉教授に幹事と小生の5名。話題は「このままでは日本はダメになる説を唱える1名の名誉教授」それに対して元大企業副社長は「その見方は間違いで、具体的には・・・」と譲らない。もう一人の名誉教授は「専門外領域にはタッチしない」。それぞれである。当方は元副社長と同意見ではあるが、その事はどうでも良い。専門外領域は情弱になりがちだが、表面的で深掘りしない情報で自分は正しいと信じてしまうと、論点は相手にどのように勝つかに移ってしまう。この姿勢はなまじプライドがあるだけ厄介。
前置きがいつものように長い。何を言いたいのか。それは偶然にも図書館で1冊の雑誌を手にしたからである。その領域には当方は全くの素人。情弱の極みではあるが、赴任地で一部を経験したこともあり納得するところはある。雑誌のタイトルは「アレルギー疾患と環境」アレルギー72(2)144-150.2023 国立成育医療研究センター大矢幸弘氏の総説。
おりしも花粉症の時期だけに興味があったことと、大気汚染と喘息の昭和45年当時の公害問題から書き起こしており、当時を知らない人にも全容が理解できる文献であるのがその理由。
筆者はこの領域には情弱であることを許して頂いて、この文献ではエコチル調査(赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから13歳になるまで健康状態を定期的に調べる、出生コーホート(集団を追跡する)の結果をまとめていることもあり、生まれてからより妊娠中の母親の生活が大きなウエイトを占めている事例が紹介されている。
大人の常識が胎児から低年齢ゾーンに適用できると考えがちだが、この文献ではやや違っている。妊娠中のお母様は特に注意が必要。
その一つが魚介類の摂取。飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸が好ましい。とりわけオメガ3と言われる脂肪酸が良い。さらにEPA,DHAの摂取が好ましい。耳タコ状態で食用油の選択やサプリを購入する。(筆者もその一人)だが、n-3PUFA摂取量が多いと幼児のアレルギー性鼻炎/花粉症、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎でのリスク上昇が認められたとのこと。
ここでn-3PUFAについて復習すると、飽和脂肪酸は二重結合が0に対して1つ以上含むのが不飽和脂肪酸。オメガ3は二重結合が3、EPAは5、DHAは6個分子中に含む。オメガ6は意外にも二重結合は2個なので要注意。エイコサペンタエン酸、DHAはドコサペンタエン酸と化学式にしては愛嬌のある名前。
その他、毎日使用している洗剤は共生する微生物嚢と生物多様性を低下させ、有害微生物の上皮下組織への侵入と上皮修復機能が低下する。妊婦さんで頻繁に医療用殺菌剤を仕事で使用していた場合、妊婦から生まれた子供は気管支炎喘息やアトピー性皮膚炎になる割合が高いとのエコチル調査は報告している。妊娠中には風邪薬も避けて耐えている人が多い中、気が付かない要因でエピジェネテックな影響があることを知った。
それを知ったら、タンパクは将来なくなるからとしてコオロギが話題になっているが、エピジェネティックが明確になるまで待つのが賢明ではないだろうか。
それよりも、日本人の足元には「おから」がある。豆腐製造工程で排出される「おから」は年間4万トンとも6万トンとも言われており、多くは廃棄されている。以前は学校給食に出さたこともあったが、なぜか今はない。生おからは足が早いので流通には乗らないのだろうが、過熱蒸気処理した乾燥おからはそれがないので販売されている。もっと活用すべきだろう。野菜との和物にも好適。豆乳・牛乳に入れてもコクがある。
言うだけは誰でもできるので、早速スーパーで乾燥おからを購入し使用を開始した。日本人の胃腸とそこに住む菌と長い付き合いで証明されている「おから」や「きな粉」を利用しつつ、コオロギについては医学面でのエビデンスを蓄積していくのが好ましいと思うが如何だろうか。近くの良品店ではコオロギパウダーの売り場は消えていた。