土曜日の早朝に知人を訪ねた。開いているお店がない。駅前に小綺麗なパン屋さんがあり、できたてのリンゴパイのパンがあったので買い求めた。訪問先では知人とお隣の奥様と道路を掃除しながら立ち話。不織布を縫いたいがミシンが無くってと知人。それを聴いたお隣さん「私、名古屋。ミシンはお嫁道具必須アイテム。任せて!」それを聴いて当方は「名古屋の嫁入りはトヨタのクルマにトラックを連ねて。ミシンはブラザーと決まっていますね~。」と相槌。「そう。名古屋は食器はノリタケ、ミシンはブラザー、クルマはトヨタ。これが標準パターン」。知人「味噌煮込みうどん。えーっと」当方「山本屋」・・・・・で。話題は膨らむ。パンだけに話題も発酵した。「これ、そこで買ってきたパンだけどどうですか?」と渡した。もう仲間になってしまったのだ。
なんともノンビリした風景を最初に記載したには理由がある。
日経ビジネス4月3日付け「日本人は自ら問いを立て、議論する力が必要だ」早大・川本教授執筆記事があり気になっていた。
【要約すると】
*大学で教えていると、日本の教育は自分の考えをまとめたり、伝える力が重視されていなかったことに驚く。企業にも同じ。
*日本の企業は真剣な議論もなく上司の言ったことが通る。VUCAの時代には到底やっていけない。
*卒業性には自分の専門能力の外に専門外のことも語れる意見を持ちなさい。個々人の考える力、伝える力を伸ばすことで日本はもっと良くなる。の言葉を贈っている。
確かに外資系企業の社外取締役をされている川本氏の体験に照らし合わせても、VUCA時代を乗り切るには今の体質では心配するのは非常に理解する。
だが、より大きく基本的な問題がある。それは、異質の人にでも、初顔合わせの人でも会話ができること。つまりは人間力が前提。それが筆者は重要だと考える。NHK番組「家族に乾杯」で鶴瓶さんが見ず知らずの人と一瞬で本音を引き出すあの話芸というか人あたりの良さが理想だ。会社でどれだけ偉い地位であっても退職したら世間と会話ができず孤立する人が多いと聞く。昔の肩書きを言っても距離を置かれるだけの滑稽さは身近なところに転がっている。会社の中では上意下達がコミュニケーションと勘違いをしていた証拠でもある。「幅広く意見を聞かないと ああいう悲哀となる」と学校で紹介すれば、効果的だと思うが如何であろうか。
冒頭の話はミシンが切っ掛けであるものの、お互い引き出しがまだまだあって、次にも会いたいと思わせる。そんな切り口を表している。
でも、それはノンビリした風景なのだ。昔の商店街風景に「これツケといて」といってツケで買い、月末に精算する方式が多かった。馴染みの客は大概そうだった。で、子供が手伝っても同じなので、「どちら様ですか?」なんて聞こうものなら、ご機嫌をそこなってしまう。なので、日頃から馴染み客やそれに準じた頻度のお客さんの顔、しゃべり、名前はシッカリ記憶する必要がある。忘れることは即収益に直結する。少しだけの会話を通じて記憶の紐付けするスキルが求められる。同じツケでも身元保証が何重にもできている祇園お茶屋とはレベルが違うが。
ここまでお読みになった人はVUCAって何だ?とネット検索をされたでしょう。色々な解説がある。GLOBIS CAREER NOTEによれば予測不能な状態を示しVolatility 変動性、Uncertainty 不確実性 Complexity 複雑性、Ambiguity曖昧性)の頭文字。10年前から使われていたとある。知らなかった。英語の略語はゴロゴロあって頭に入らないとは言い訳で不勉強のセイ。 あまのじゃくの筆者として、このVUCAって今に始まったことか? そんなことはない。歴史が短い国においては初めてかも知れないが、2700年の歴史を有する日本の歴史をみれば、何度も経験してきている。ノンビリどころか命のやり取りなのだ。
誰でも知っている織田信長は天下布武として応仁の乱に終止符をうち、平和で経済豊かな時代を切り開くことを目的とし改革に着手。時代に追随できない人に望みは絶たれたが、継承者である秀吉により完成した。長浜の楽市楽座など貨幣経済が活発化したのもこの時代。内紛というか、人望がない後見人がリーダーの西軍は関ヶ原で敗れ徳川時代に。その徳川は長期政権を築くためにNo.2クラス大名の財政を削る政策により、今のGAFAmのような体制を執った。
VUCAを活かすには、GLOBIS は①仮説思考 ②自己変革力 ③ネットワーク構築力④テクノロジーの理解と情報収集力 ⑤学び続けるチカラ とある。
ここまでお読み頂いた方はもうお分かりかと思いますが、自分以外の特性お持ちの人と会話ができる総合人間力が極めて重要であり、それができれば自然と①~⑤は満足することができるのだ。大阪のおばちゃんに学ぶところはある。理屈の前に「人間を好きになること」