バイオプラスチック(2)生分解性プラスチック

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生分解プラスチックは例えばポリ乳酸は澱粉などを発酵により乳酸とし重合によりプラスチックスになる。使用後は微生物により分解されて水とCOかメタンとCOに分解する。空中のCOを固定して利用し微生物により低温分解して元に戻す。COを増加しないプロセスとして優れている

欧州バイオプラスチック協会が公表している調査結果によると、2017年の世界の生産能力は205万トン。 生分解性プラスチックスはその内44%で85万トン。主たるプラスチックはポリ乳酸(PLA)と脂肪族ポリエステル(PHA)で今後も50%の成長速度が予想されている。世界のプラスチックス総生産量は約3億トンなのでバイオ全体でも0.7%未満。少ないとみるか、よくぞここまでの規模になった今後も期待できるのどちらか。

<少ないとみる人は>

 プラスチックは市場が必要とする物性にあわせて合成されてきた。一方微生物バイオプラスチックは天然由来成分だけに目的物性に合わせる幅が小さい。なので適性市場は少ないだろうと(現在の技術ベースで)考える。具体的にはポリ乳酸(PLA)が出現した時はPET代替が可能として期待はしたが、ガスバリアはPETに及ばず、溶融から固化するまでの時間が長く射出成形適性はない。このための添加剤は開発されたが、コスト問題の壁がある

<増加を期待する人は>

 ポリ乳酸(PLA)は短所が長所である成形法に巡り会えた。それが3Dプリンターである。溶融から固化までの時間が長いのは溶融フィラメントを積層して立体物を成形する(FDM方式)の材料としては優れていることが判明した。現在はフィラメントとして販売されている。FDM向け材料はABS、ナイロン12と並んでPLAが高温特性、耐薬品性などを特徴として伸びている。

 PLAが期待されている分野に発泡製品がある。一般に発泡は化学発泡剤及び低沸点有機溶剤、フッ素系化合物の物理発泡剤が利用されているが、ここでは環境を考慮して炭酸ガスによる発泡を検討している事例を紹介する。 PLAを押出機で溶融させ、途中から炭酸ガスを注入しPLAに溶解させる。溶解させるに都合のよい超臨界圧条件で炭酸ガス(超臨界状態では液体的性質)を混合し、ついでダイスから大気圧へ解放すると発泡する仕組みである。民間企業を中心に産総研(関西)、大阪市・滋賀県工業試験所が協力して開発を進めている。PLAにはd体L体があり、また分子量依存性もあることから発泡プロセスの開発と同時に材料開発も検討した。その結果を巻末にて紹介する。

このように今後の成形技術の開発如何によっては伸びることが予想されている。生分解プラスチックにはPLAの他にポリヒドロキシアルカン(PHA)ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリグリコール(PGA)がある。それぞれ微生物分解を利用した農業用マルチフィルムに既に利用されており、後者はガスバリア特性を活かした冷凍輸送代替真空パック用包装フィルムなどに利用されることが期待される。

過去から身近で利用されてきた生分解材料にセルロースがあり、光学フィルムのTAC(トリアセチルセルロース)はリサイクル率が高いことも好感される。包装フィルムやテープの(セロファン)はPPやPETの2軸延伸フィルムに押され減少傾向にあったが、最近4~5%伸びで反転攻勢に出ている。セルロースフィルムの吸湿性をコーティングでカバーし家庭内で生分解できるネイチャーフィルム(英イノービアを買収したフタムラ)は菓子、コーヒーなどの食品包装を中心に動向が注目される。

 セルロースといえばセルロースナノファイバーが脚光を浴びているが、木材はセルロースを接着し、害敵からガードするためのリグニンからなっている。リグニンを除去しないで木材のまま成形体ができないかの研究も一方で行われている。京都大学はセルロースナノファイバーと平行して木材粉末やサトウキビ由来のスクロースにクエン酸を配合して熱プレスにより製品化できることを発表している。接着材に化石原料を全く使用しない特徴がある。クエン酸が相当量含有されているので、熱湯水で溶解しないのか懸念したが、セルロース、リグニンと反応していることが分かっている。東京都産業技術センターでは木材チップ・粉末に熱硬化性樹脂を極少量配合した複合材料を熱成形するプロセスを発表しており、一部食器など民間企業で生産されている。漆器と外観が似ている。 これらが射出成形可能まで開発されると面白い

さて、話を戻して制度面から見ると、すでに国内には日本バイオプラスチック協会などによる表示・認証制度が存在する。 主な対象は植物由来の製品や生分解性を有する製品などがバイオプラだということが分かりやすいマークを示すことで、低環境負荷を意識するメーカーや小売業者、消費者への訴求を狙っている。経済産業省が新たな表示や顕彰制度の創設で後押しの動きをしているが、国産バイオマスを原料とする製品に限定が有力候補の一つ。但し、欧米では生産過程でCO削減に貢献した製品もグリーンプラに含める概念をだしつつあり、経産省も再考の余地があるようだ。

だとすれば、化石原料由来のポリカーボネートの製造法には溶剤を使用する界面法と一切使用しない溶融法があるが、この欧米の解釈では溶融法ポリカーボネートがグリーンプラになる可能性になるか否かも注目される。現実的には消費者は市場性のあるプラスチックを購入する。 物性、価格など満足した上でグリーンであれば購入の動機となる。なので、物性、価格のマッチングの材料開発と独特の特徴を活用した成形技術の開発が必要となる

そんな中、既存のPETを分解する微生物が海外の研究者によって発見されたとのニュースがFacebookにあった。中国の廃プラ輸入禁止措置もあり関心を読んでいる。ただ、PET分解微生物の発見は日本が早く慶応/京都繊維工芸大の合同チームが2016年に発表している。

最後に生分解プラスチックは却ってマイクロプラスチックスを増加させ海洋汚染するのでは?と英国を中心に巻き起こっている懸念にどう向き合うか。生分解プラスチックにだけでなく非生分解プラも含めて全体での議論が当必要だろう。

PLA超臨界発泡プロセス   20倍発泡食品トレー   35倍発泡セルSEM写真

 

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