人肌スペクトル

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地下鉄有楽町線にご老人夫婦と娘と子供の4人が乗車してきた。お婆さんは車椅子。一眼でウクライナから避難されてこられた家族だろうと高い確率で思った。ルーシー・コサック系の風貌。子供を除いて深く刻まれたシワ。母親も年齢見合いで疲労感ある肌。日本に以前から留学などでおられる人の透明感のある肌と比べると随分違う。そのことに大変な経験・ご苦労をされたことを物語っている。

車内の行く先表示に目を凝らして見ている。言葉少ない会話。日本語がわからず、かろうじて短く流れる英語表示を頼りにしている。現在コロナ禍にあって電車では幾つかの窓を少し開けている。地下鉄では騒音レベルが地上走行時より高い。防空壕で身を寄せていたことをフラッシュバックするのではないか?など心配になった。日本に到着したら仮住まいなど事務処理があるが、それより真っ先に温泉に浸かって欲しいものだと感じた。肌の荒れも滋養ある食事を摂って疲れを癒すことで復活する気力回復が何よりだ。

日本人は人肌の違いで差別をしない。ホワイトだから優れていると思わない、肌色に関係なく賢い人はいる。身体的能力は抜群であることも知っている。スポーツはいうに及ばず、音楽におけるリズム感覚には圧倒される。ペリー来航に黒人が乗船していたかどうかは知らないが、たとえいたとしても“大きいなぁ”と驚くだけだったと思う。 横浜地下鉄の壁に企業CMパネルがある。そこには浦賀に来た外国人より負けない体格(すなわち相撲取り)にて出迎えた風景が描かれている。なかなか洒落たことをしたものだ。

話を戻して、人肌の反射スペクトル(波長スペクトルのパターン)は白人、黄色、黒人は皆同じ。養老先生のYou tubeでそのようなことを話しておられた。WEBで調べると、元の文献から引用されたスペクトル図が他の人の投稿で記載されていた。(人肌スペクトルで検索して下さい)。

このブログでも印刷の何たるかを紹介した。色についてはそれなりにわかっているつもりでいた。ところが、先生の話されたのは「黒人もホワイトも肌から発する光スペクトルは同じだ」。言われれば納得。でも長い間、気がついていなかった。黒体はあらゆる光を吸収してしまうから黒いと思っていた。だがスペクトルが同じであるとするならば明度だけの違いになる。

色彩の表現方法にはいくつかあるが、その一つがLab である(L値、a値、b値)

+a は赤み、-aは緑、+bが黄色、-bが青みであり、明度L値(100になるほど明るく0は暗い)の3次元直行座標で表現する。 ここで先生の言われた“黒い”のではなく“暗い”。これが意味するところは非常に大きい。

日本人の多くは気高く、まして根拠のない肌の色で優劣を判断したことはない。このことを世界の人が知れば無用な人種差別トラブルはないと思う。是非 伝わることを願う。

 

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