日本の生産性

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桜一色から新緑を愛でる季節。愛すべき日本の風景。本当にありがたい。この季節になると昔は春闘・メーデーなど労働環境改善を求めて労使の協議の期間となった。特に安倍政権になってから、労働組合が賃上げを要求する風景が目の前から無くなり、政府が企業に最低賃金見直しや給与改善を要請している。経済の素人である小生から見るとエッ?と思う。合化労連、総評、ゼンセン同盟、連合などが春闘に活躍したが、死語になってしまったと小生には映る。政府主導にせざるのを得ないのは2%インフレターゲットに対して依然目標未達状態にあり、脱却の政策だと言われると なるほどと納得する。外国人を格安賃金で雇用することと、全体の経済をどう読むか、それこそ超大型コンピューターAIで計算がなされているのであろう。

しかしながらインプットする条件が正しいか、アルゴリズムは従来の人口増加と経済の関係を踏襲していないかどうか。インプットとして60万人もいる中高年の引き籠もり層や、障害をお持ちで就職ができない人、就職氷河期に卒業時期があってしまった層、スーパーのレジ係も自動精算方式に変更など、従来の職場から変更せざるを得ない主婦層のなどの活用を条件にいれているのか。人手不足を嘆き、即、外国人に依存するのは、将来の歪みを生ずるのではないかと思われる。

 英国がEUから離脱しようとしている原因の一つが外国人を無条件に受け入れ、過去から積み上げている社会福祉を入国と同時に利用できる権利を持つのはケシカランと思うのは素直な反応の結果だ。北アイルランドとの国境問題を英国離脱のポイントとして人質にとっているEUとの攻防は日本とは事情が違うが、英国が今後どのような方向に活路を見いだして行くのか参考になる。

GDPを国力の指標とするのは時代遅れではあるが、ざっくり人口増加率とGDP成長率は相関する。米国は人口増加、日本は人口減少し、2060年頃は8,5000万人程度と予想されている。今のドイツ並み。日本の現在は人口12億。マーケット規模があるので、輸出割合が少ないが、これが人口8,000万人になったらどうするか。デービット・アトキンスは近著「日本の勝算」で、人口減少+高齢者人口=強いデフレ圧力に作用する。その解決策として生産性を上げ、輸出比率を高めることであると論じている。

分野毎の生産性について米国及びドイツとの比較を作表した。

 この表を眺めていると、日本として何をしなければならないか、成長するネタが浮かんでくる。浮かんだら、どのようにするか?の5WHが描ける。

まだまだ、日本が頑張らざるをえないことが分かる。専門科学技術の点数が低い。但し特許出願件数、ノーベル賞は決して少なくない。評価点が低い理由は特許出願が企業の保険・防衛特許的性格が多く、攻めの知的財産が少ないことにあると小生の経験からのコメントである。ノーベル受賞をどのように大型育成企業にするか、あのiPS細胞の山中教授でも金策に走らざるをえなかったことに、縦割り行政の欠点をみることができる。

これらを解決する処方としてアトキンス氏は

*起業化精神・文化 

*過当競争しない ・無駄な脚の引っ張り合いをやめる。価格より品質が日本の特徴を生かせる

*女性の活用

*賃金の緩やかなアップで生産性向上投資をしない企業の尻を叩く

を挙げている。 同氏は、「日本人の優秀さこそ、日本の宝」と持ち上げているが、実質的に持ち上げるには大変だと驚くと共に、目標が分かればバカチカラと団結で頑張る日本人。やってやろうじゃないか。

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