にわかには信じられないが、「漁獲量は肉を超えている」「漁獲量の半分は養殖である」と雑誌・現代化学5月号の記事である。論文でも抄録でも査読され編集されるので間違いはないだろうとは思う。子供は魚の骨を取り除くのが苦手。ハンバーグで育ったので肉が恋しい。。。と魚は敬遠されていると思っていた。大人でも綺麗に魚を食べる人をみるとなんと上品な人。躾が出来ている人と評価される。魚の頭を右向けに出されても、魚と距離をおいて育った人を責めるつもりはない。魚を家庭で出さなくなった。
お頭がついていないフライや刺身が魚だと思っているのだろう。そんな嫌味を言っていても鮎が出されると、さてマナーは知ってはいるものの、小生は箸使いが悪く、誠に恥ずかしい結果となる。会食している人の鋭い視線を感じて落ち着かない。
小学校のころ遠洋漁業、近海漁業を習った。銚子、焼津、枕崎、下関など遠洋漁業基地は活気があった。ここ横浜は漁業基地ではないが下関との関係で大洋ホエールズ球団があった。現在のDeNAであるが、ホエールズは野毛地区飲み屋街名物の鯨料理に名をとどめている。
遠洋漁業は物流コスト、漁獲資源の減少、近海漁業はルール無視政治的要因による不安定操業もあって衰退傾向にある。一方、養殖の技術が向上し、海のない県でも水産は可能とあって高級魚の養殖が盛んになってきたことは分かる。深層水をタンクローリーで運搬する風景を見たことがある。また愛知万博の時に話題になったのは海水魚と淡水魚を同じ水槽にいれても両方が平気で泳いでいることを知って驚いた。ナノバブルで溶存酸素を高濃度に維持することで両方とも生存できる仕組みである。
しかしながら大規模養殖産業にするには根本的に必要なのは餌問題。餌はイワシの魚粉がメインである。イワシの漁獲量が減少している。なので代替材料を開発している。野菜などベジタリアン餌では魚は食べない。初めは興味と空腹もあって食いつくが、2口目から見向きもしない。現代化学の記事によれば、魚粉と植物原料を混合し、魚粉の割合が20%まで減らす事ができたとある。魚のお気に入りはタウリン。魚粉の量を減らした分だけタウリンを追加配合することで成功したとの事が掲載されている。
健康栄養ドリンクに配合されているのもタウリン。食物中のタウリン含有表を示す
なんだかんだ言ってもタウリンは魚介物に多い。だがボリュームと掛け合わせると豚、牛、鶏肉も有効利用できる。2週前のブログで食品廃棄物問題を取り上げた。廃棄物を分別することができれば、餌に利用できるのではないだろうか。これもリサイクルとして有用だと思う。実際ミートボールを配合することもテストされている。
健康ブームでDHA、EPA配合の製品が販売されている。それらは魚介類が原料である。需要は増加する。また、養殖であればプラスチックスなどは排除される。マイクロプラスチックスは水循環途中の濾過工程を入れるなど工夫すれば、需要家にとって安心な食材になることが期待される。魚粉の割合が20%に減少されたとして、そのイワシの中にマイクロプラスチックスが入っているではないか? と心配されるであろうがカバーする技術は存在する。
それでは、魚が料理に多く利用されたとして、未利用の鱗や骨やアラはどうするか? 鱗からコラーゲン取り出すことは既に工業化されており化粧品などに利用されている。骨の再生(歯の再生)には骨芽細胞はコラーゲン線維や非コラーゲン蛋白質を含み体内のリン酸カルシウムを呼び寄せ蓄積させてヒドロキシアパタイト(HA)を合成する。リン酸カルシウムには非晶性リン酸カルシウム(ACP)、リン酸第八カルシウム(OCP)がHAの前駆体になることが知られている。これらリン酸カルシウムは魚の骨に含まれているとして歯にも適用できると考えられる。既にOCPをコラーゲンやゼラチンに分散させた複合体が歯科業界で発表されている。