無形資産ブログへのコメント(1)

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新型コロナウイルス。強烈なパンチだから意識も直ぐアクションする。手洗いの頻度、駅前でのポケットティッシュは冬場の需要があるも受け取らない。下手にウイルスが付着していたら大変の意識。通常ならわざわざ配っているところまで近づいて行く人も結構いるのに。マスクは足らないのでリユース。使用後次亜塩素酸ナトリウムか二酸化塩素水を噴霧して屋外に干して紫外線をあてないと気が済まない。部屋の埃にウイルスが付着してはダメだと、暇な時間が増えたことで断捨離と徹底した掃除、窓開け頻度も増えた。 ハイタッチもグータッチもしない。袖タッチもしないで今は2m遠距離ジェスチャータッチ。まぁ意識は変わった。

それに対して、ジワジワと目に見えない変化率で変わったのが無形資産が有形資産を上回った経済を紹介した先週のブログ。 毎週水曜日にアップしているが、土曜日に読者からメールが届いた。日頃は多忙の人ではあるが、それでもブログに目を通す時間はあったことで、貴重なご意見を頂いた。

引用する。
「無形資産に早くから気が付いていた企業は米国に多いですね。コカコーラも古いですが、ちょくちょくエクセレントカンパニーに挙げられる3Mもその一つですよね。近年ではアップルですね。アセットを最小限にし、知的財産を持って、アウトソーシングにより時代の変化、ニーズに追従し易い様に身軽にしている。得意な技術、知的財産を上手く深耕拡大、飛地には決して行かず、機軸から離れずに、それでいて多角的に異分野、新分野に上手く展開して来ている様に想います。
強欲さを反映してか、短絡的思考のゴーンさんは有形資産を優先していましたね。部分最適を積み重ねても全体最適にはならない事を身をもって理解していなかったのでしょう。
日本企業は、相変わらず無形資産化が下手ですね。そもそも知的財産を、否、発明者を大事にしない傾向が未だ残っていると感じます。そう言う変わり者を異端児として排除する傾向さえありますね。未だに「士農工商」的価値観、村意識を引き摺っている様に想えてなりません。
一方で徐々に物作りからパソコンさえあれば出来るビジネスモデルに取り組む若い人達が増えて来ているのは、もはや物作りの国ではなくなったせいでしょうか?産業構造がグローバル化に伴い、随分と変わってしまいました。物事、行き過ぎれば、必ず揺り戻しがあります。
変わらぬもの、大事な事が何かを見つめながら生きて行く様に心掛ける必要があると感じる今日この頃です。」 と長文を頂きました。

ここで、実は先週のブログで記載しなかったことがある。それは日本のモノ作りにおいて「ケイレツ」がイノベーションには重要な役割を果たしていたということ。発明だけではモノ作りは不可能で、実際に製品となるには部分を積み重ねての全体最適化が必要だからである。これを実は系列・組み合わせがしていることに他ならない。ケイレツは悪の根源のように誤解して切り離した結果、Tier 1, 2, 3 のそれぞれが、路頭に迷うことになった。

今、米国で日本のケイレツを見直そうとの意見が出ているのを知っている。以前のケイレツの悪とするところは除去して新しいイノベーション融合体として様変わりすることを期待する。

「発明者を大事にしない。」 会社のインフラのお陰で発明したのだから報酬は会社の物の意識が未だに根強い。ベンチャー発明もあるが、共通して安い労賃・低報酬。 最も大きいのは日頃に好奇心をもち、他分野も専門家顔負けに議論できる技量をもち、そして実用化への企画マンと営業のセンスが問われる。逆コースもある。技術者でありながら営業センスで市場とタッチしているからネタが生まれる。「必要は発明の母」コースである。なので発明者が厳めしい顔つきと口調で人付き合いが下手だと、誰か奇特な人が拾って育てないと成功しない。誰かれの意見や声に耳を傾けながら「ああ、これならプロのあの人も巻き込もう」との人脈形成に長けた人だと自然発明も多く、レベルも高くなる。独り研究室で籠もっての発明は限界がある。物理数学の世界ではありえるが。
それにしても、発明者の処遇は日本ではおろそかである。会社では発明出願時に1万円前後、登録して5万円程度が支給される程度である。青色LEDの中村氏と日亜間の裁判以来、発明者への利益還元を実際にしている会社は出てきたものの実際は極々僅かである。 会社に属しないで発明した場合の発明の受け手からの報酬は知的財産の無知もあり更に悲惨なものである。メールにある士農工商の世界では技術=工と文系から低く見られている。

この発明分野において、新型コロナウイル級のショックは3Dプリンターである。実は日本人の発明なるものであるが、出願した後で審査請求をしないで米国に渡った。しなかったのには理由があるのだろう。米国はインフラの強みがあり、瞬く間に応用され、米国、イスラエル、ドイツの3強に3Dプリンターは制覇されてしまった。歯科技工を始め、航空機、自動車まで3Dプリンターが適用されようとしている。この大きなトレンドに日本は発明に対して冷たかったこともあり、海の底に沈んだ。 この揺り戻しをどうするか、筆者および仲間でこの問題を違う角度から攻めたいと考えている。

明るい話題がある。それは理化学研究所は頭脳集団である。今回の新型コロナウイルスでもスパコンと量子化学(分子軌道法)を駆使してウイルスRNAの分子形態を明らかにした。日頃の深耕技術が広く世界で利用されることが本質的な科学であり進歩となると確信しているからである。発足当時の理化研は事業化を種々進め理研7奉行とまで言われたことがある。その後やや学問の塔の色彩が強くなったが、今また民間との事業化にチカラを入れている。良い揺り戻しである。

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