看護、介護の自動化

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駅前の人通りの多いところで、看護士、介護士の方々の署名活動をみることが多くなった。聞けば、夜間業務が大変で、そのための人を増加して欲しい。と本当に切実な訴え。介護施設の場合は更に過酷であり、現場での奉仕精神には全く頭が下がる思いがする。

歳をとるほど赤ちゃん返りとか、我儘やかまって欲しいだけで介護士を呼ぶベルを押す人もいるとか。大変だ。本当に。天職と熱い思いで職に就いたがストレスは溜まるだろう。

介護には2050年には35万人不足するとあって、厚労省は外国からの受け入れ計画があり一部実施されている。先月も拡大するとの発表があった。

しかしながら、人の充実を訴えても満足することは期待薄だろう。看護では本当に人材がいないか、それとも資格を有していても家庭に入ると、再度社会復帰することに何か障害があるのかどちらか。資格を有している人の家庭でも介護が必要であれば現実参加できない。高齢化社会になれば、この問題は加速度的に増える。外国人介護の場合は言葉の障害や資格取得できずに下働きでの給与面での不利がどうしてもつきまとい定着しがたい面がある。

一方、有難いことに電子機器の小型化と通信システムの進歩により看護の一部をアシストするようなデバイスの開発が進んでいる。例えば、お腹の上に置いたデバイスでは膀胱に尿がどの程度溜まっているかを超音波で診断してナースコーナーにてモニタリングすることができる。本当に排尿する必要の時だけ作業すれば良い。超音波の医療分野利用について熱い情熱を持って取り組んでいる若い人がいる。頼もしいかぎり。腕時計風にグリップに嵌めて、脈拍(これは指から取るのが現在でもあるが)や不整脈、血流、血糖値まで測定できるデバイスの開発が発表されている。今後このようなデバイスの種類が増加することは期待できる。便器からの尿や便の温度をセンサーとして情報をとることも進んでいるが、心情的にはやや抵抗感がある。そんな甘っちょろいことは言っていられないのかも知れない。

理化学研究所と東京大の研究グループは、太陽電池内蔵の超薄型センサーを開発し、肌に貼って心電図を取ることに成功したと発表した。ケーブルが不要なので応用範囲は広い。

なので、看護士、介護士の不足を訴える一方で、政府には装置開発企業への支援を要請する方が好ましい。開発品はコストがネックにはなるが、企業と蓄積データーを交換し運用実績を通じてコストカットに協力する方が現実的だと思うが、どうだろう。

手術をすると集中治療室でも3日、その後一般病棟に移されても暫くは体を動かすことができない。その時に脚は活動しないことから、リハビリが重要になる。特に足首は早めのリハビリが必要。3日動かさないと1週間は連続してのリハビリが、1週間動かさないと58日連続のリハビリが必要だと聞いたことがある。ここで問題はベテランの整体師が必要であるが、ここも人不足。整体師の方によると集中治療室の中でも整体できるならやりたいとも。

この課題に取り組んだ人がいる。富山大学の戸田准教授。「足首関節専用ストレッチ」。簡便な仕組みのメカであるが完成するまでに試行錯誤。老人ホームでトライしたら大歓迎であったとのこと。写真はプロタイプなので商品化には安全装置やカバーなどデザインが必要だが、それは企業の仕事。思うにこの先生は整体師のやり方を見て、試作機では患者が痛がるところをコツコツと改善している。川崎重工ロボットビジネスセンターではプログラミングでコントロールするロボットに加えて熟練工の微妙な動きなど熟練技術継承の「サクセサー」制御ロボットを開発している。一旦マスターすれば多数のロボットを稼働させることができる。この川重の技術を整体士ロボへの応用ができたらと妄想している。

 

 

上記は既に罹病した人向けのアシスト機器による看護、介護に対している。一方、予病対策で患者数を減らすことも重要である。 糖尿病予備群が今日はご飯の大盛サービスですと店員に言われても、逆に小盛で結構ですと言い、美味しい羊羹を目の前にしてもパスするなど自業自得だと言えばそうだが、これは本当に自分だけの責任であろうか。肥満、喫煙、酒依存性など自分では「分かっちゃいるが止められない」。肥満は生後間もない時期の食事に依存していることが分かっている。ジャンクフードでもありがたい経済事情の家庭では肥満の子供になりやすいと (例外はありますのでお断りしておきます)。健康の社会的決定要因によって、その後の健康格差が生じているとしたら、経済政策が実は予病に深く関係。医療設備がないか不十分な地域との先端医療設備との双方向の医療情報交換ができるインフラも同時に必要。慶応義塾の小池教授は長年にわたって当該分野の研究で先頭を走っている。さらなる利用に対して予算手当を政府として力を入れて欲しいものだ。

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