都市魅力と経済性

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奈良は京都に遷都する前は律令制度を確立した国家中心都市。いわずもがな東大寺、唐招提寺、法隆寺、斑鳩の里、春日神社、三輪山など史跡名勝に不足はない観光地である。日常の雑踏を抜け出し微笑みをたたえた仏像と相対しリフレッシュする人が増えているようだ。でも宿泊すると京都。ここが奈良の悩みである。京都には史跡名勝寺院の数・歴史の容量は圧倒している外に、重要なことは観光客の胃袋を満足させる「京料理」に独特文化、おもてなしが他とは違うところであろう。魅力パワーが違う。奈良にドリームランドがあったことを奈良の人さえ知らない。歴史建造物だけでなく遊びの要素も必要と為政者が考えたが長続きしなかった。規模・内容が市場とマッチングしなかった。今の関西の遊びは大阪ユニバーサルスタジオジャパン。 アクセスと遊びの規模と種類がポイント。東のデズニーランドと同様。

 横浜はどうか。浜が横に長いだけの漁村が突然の蒸気船。それ以来、開港160年と歴史は短いが日本の夜明けを迎えた都市であり、シルクを中心とする外国貿易拠点として繁栄した。外国船のメンテナンスを要請されてドッグを建設。修理から造船所に変貌し工業都市としても発展した。みなとみらいに停泊している日本丸はNo.1ドッグ。水を抜いたNo2ドッグは隣のランドマークに原型を留めている。 造船所は南に移転して跡地がみなとみらい。

 今は観光アイテムの一つとなっている。ドッグを利用したJazz演奏、ジャグジー活動の場所として人気スポットである。みなとみらい地区はオフィス街であるが、遊園地、大型ショップがあり、連なる赤煉瓦、山下公園も含めるとヨコハマを味わい、住みたい土地として人気が高い。

しかしながら、奈良同様に宿泊となると必ずしも横浜ではなく、特にインバウンド客は欧米の風景と似ているのが影響しているのか、一気に箱根に行ってしまう。観光の要素「非日常を味わう」には箱根の日本建築、温泉、日本食は魅力だ。富士山の近くにいる雰囲気もある。有名な中華街は日本人には人気だが中国からの訪問者はやはり箱根や買い物の東京に直行。 インバウンド客の通過点になっている横浜。

 大型客船ターミナルとして「大桟橋」、大黒桟橋があるが、新しいターミナルとして「ハンマーヘッド」が11月1日にオープン。ダイヤモンドプリンセスが第一号船舶として停泊した。 大黒桟橋は巨大船舶に加え満潮が重なるとベイブリッジを通過できない暫定的なもの。商業船舶用港湾。ハンマーヘッドは客船専用2番目のターミナル。

一般的には船舶が停泊しない時期は閑散としているのが通常であるが、ハンマーヘッドは地域住民が毎日のように買い物や食事ができる設備に変えている。日本初のオシャレなレストランがあるかと思えば、日本全国から人気のラーメン店を集合させるなど、幅広い人を対象としている。ハンマーヘッドは民間経営である点が大いに違うところである。単なる通過点の場所にさせない意気込みはうかがえる。

その見本はなんと、野毛地区が見本ではないかと筆者は思っている。

野毛地区は桜木町駅を夾んでみなとみらいの反対側。戦後闇市の跡で、数年前までは5000円あれば3軒はいけた超庶民的な風景があり、赤鉛筆と競馬新聞を手に昼から酒の臭いにむせぶところだった。

最近では代替わりとなり若者が経営者となると、立ち呑みからカフェテラスに、時々ジャズ演奏と変貌。雑然100%から50%となりオシャレ度が増した。だがチョイワルオヤジの雰囲気も残っている。この渾然たる雰囲気を求めて東京から来る客もいる。銀座・六本木では肩が凝るのであろう。今流行の言葉でいえば「身の丈にあった場所で飲み食いしてリラックス」も必要。

 とすれば、街の賑わい(もとより税金収入が基本だが)には、学びのアイテム、遊びのアイテム、胃袋の愉しみ、そして次はデズニーランドやユニバに相当する大型娯楽があればと考える為政者がいても不思議ではない。大型娯楽として候補に挙がっているのがIR。ギャンブルの弊害を心配する市民の声がある。しかしながら筆者の僅かな経験でいえば、海外研究者を集めての研究発表会をカリフォルニア・リノで開催され参加する機会があった。リノはラスベガスと並んでIRの街である。発表を終えた人々が軽く遊びながら友好を深めるには絶好の場所だったとの印象がある。小銭でも愉しく遊べることができ、その場所では厳めしい学者の顔が子供のように変化し、人柄を知ることができた。若い時の財産になっている。

 伊勢佐木町&本牧ブルース→元町・ハマトラファッション → アンパンマン・ピカチュウ→次のアイテムがIRなのか、それともヨコハマは時代に置いておかれるのか。市長が民間経営経験者だけに舵取りに注目される。

おっと!それならば我々の会社が現状から脱皮して新しい方向に前進していないと同様のことになる。他人ごとではないのだ。

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