大阪造幣局の桜の通り抜けは今年はできない。残念だ。子供の頃、造幣局へ見学に行った。その時、子供心に造幣局で働く人は帰る時に身体検査があること。これは納得。だが分からなかったのは「お金が不足すれば印刷すればいいんじゃない?」と聞いても分かったような分からないような回答だったのを覚えている。
日本は借金漬けにある。負債が1100兆円だ。こんな国はよそではないの声が強く国民にすり込まれてきた。だから増税だとして3%、5%、8% 10%と消費税がセットされてきた。国民の多くは年金や医療が崩壊したら大変だとして、しょうが無いとして従ってきた。 一方貸借対照表の左側に資産の項目があり、それとの差額は500~600兆円であり、負債額をオーバーに言い過ぎているとの識者もおられる。後者だと思いたい処だったが、そこに来てのコロナ禍である。
自粛への金銭的手当として政府は数種類の緊急補正予算を国会通過させた。その財源は巨額の国債発行。その上限を従来の80兆円を撤廃して、無制限に買い取るとのこと。日銀が刷って市中銀行が購入し、それを日銀が買い取る。あれ? お金が不足したらお金を(見かけ上)刷ればよいのか。 子供の頃の疑問が浮かんでくる。経済音痴の典型的な頭のままである。
それを理論的に組み立てたのがMMT(現代金融理論)。米国大統領民主党のバックボーンである経済学者が提唱。撤退したサンダースほどではないが、大きな政府論者のバイデン候補。ざっくり言えば国内で回るとの限定条件であるが、お金は刷って刷りまくってもインフレが起きなければ良い。 なんだ理論は難解だが結論は子供の頃の答えと同じじゃないか。
既に日本では1100兆円までMMT実験(そのⅠ)をやってきたとも言える。今回は一気の実験(Ⅱ)に相当する。
ひょっとすると、これだけだと景気の底支えするどころか、バブル再来もありうるようなバズーカ/キャノン砲。いずれにしても、倒産寸前の企業もECMO的処理で生き返る可能性はある。
勿論ブレーキはインフレ、日本の場合は今の国債も対GDP240%あるのに平気で、インフレ2%目標に異次元の金融緩和をしても到達しなかった。なので国債発行して260%になったとしてもインフレ幅は小さい可能性はある。普通の考え方では、日銀の国債金利見合いで市中銀行の購入ブレーキとなるので青天井とは行かない。 子供のころのぼんやり経済音痴からみると、今回の巨額な国債は何れ償還することなので、年金・医療保険の3割分に税金を投入しているのが限界になるのではないか? サラリーマン厚生年金や自由業の国民年金だけの70兆円で到底い賄えない。さりとて税金も国債償還に取られる。。。。とどの詰まり、年金額が少なくなるか、それとも75歳以上から受け取るようなことになるのどちらか。 年末から1月にかけてWOWOWで草刈正雄扮する総理が国家財政危機改革として年金医療費の福祉予算をゼロとする青山仁原作をドラマ化放映した。コロナ渦前に撮影されたにしては、妙に当たっている。ドラマの構成材料として「ディストピア」。(ユートピアの反対造語)も印象的だ。
年金を受け取って余命までの5年間を愉しく過ごしてくれ、ただ、定年後は現役時代に鍛えた腕で自前で稼ぎをしてくれ。 副業の勧めなる書籍が多く最近見られるのは、この前兆かも。
そうは言っても今回のコロナ不況でGDP落ち込みが30~40%だとしたら失業者300万人は出るだろうとの予測(高橋嘉悦大教授)からすると、副業に預かれるのは一握り。
なので、大きな政府でバラマキするよりは国も効率的な予算の使い方を工夫して欲しいものだ、その意味ではトランプ大統領の民間活用大型投資政策の方が今の日本が見習うことではないだろうか。国土交通省などの公民連携(PPP)が大きく成長することが期待される。
個人に視点を移すと。
日本の会社は採用の時は大きく文系、技術系に分けるが、係長、研究員から課長、主任研究員への昇格あたりから、文系、技術系の区別が曖昧になり、出世の早道としてジェネラル管理者を目指す技術系が多い。技術のエキスパートとして生きる道を選ぶ人は少ない。
問題は彼らは法経商の専門家ではない。中途半端。昨日までは技術用語を駆使しているかと思いきや、ROEを始め覚えたての経済用語を話すようになる。で、その答えは?となると、無いか調査会社に委託して答えを待っている。調査費用は馬鹿にはならない。そんな人を企業が雇用継続するには無理がある。まして腕がないので副業もできない。詰まりは大学と企業の関係を維持をする人事部の意地で持っているようなもの。それも限界。コロナ禍にもたらす能力重視賃金体系がソニーのみならず浸透していくと予想される。さて、何で生き延びるか?長期的な視点で考えることが企業も個人にも求められている。ROE重視の会社は長期視点は分かっていても、その前にROE対策として借入た返済に追われる。個人だけでは何が長期的にありうるネタなのか、その信頼性も不安だ。その時こそ仲間とのゆるい連結であるとすれば、今の自粛においてはTV会議等、自粛明けにではface to faceでの情報交換が頼りに今以上重要になる。