EVから大転換の流れか

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だから言ったじゃないの♪ とのメロディがエンジン製造会社周辺で流れているとは思わない。がしかし、EV一辺倒の欧州において、特にディーゼルゲート事件を引き起こしたVWの会長が9月で交代と報じられている。排除に近い社内事情があったようだが、新会長はポルシェ社長兼務とあってエンジン車回帰に軌道変更ありうると報じられている。

理由の一つはEVによる雇用の問題との情報もあり、トヨタがかねて主張していることと部分一致する。外部要因としては、天然ガス不足による電力供給力不足も根本にあるだろう。ドイツでは電気使用時間制限もあるとか、充電場所までの非常に長い列の光景。これでドライバーが怒らない方が不思議。停止している古いタイプの火力発電所を再稼働してCO2を排出しているのを目撃すると、何年か前に、これからはe-fuelで行ける!との記事を読んだ人であるなら尚更らだろう。ドライバーの立場ではエンジンレスポンス(含サウンド)がやはり欲しいと思うだろう。日本ではオートマが殆どだが小生の知るイタリア男は頑なにミッション車じゃないとクルマではないと主張しているようなことだから、EVを喜んで受け入れるとは思っていない。

このブログでも何度も取り上げてきたテーマであり、EV一辺倒はないと論じてきただけに、“だから言ったじゃないの〜♭”は開発した技術者に向かってはとても失礼で言えない。EVバッテリーが全固体電池で走行距離が伸びても、電気チャージには変わりがない。環境のための解決法には従来のエンジンを利用した1)e-fuel  2) 水素 最後はユーザーが決める。

まず、水素エンジン。トヨタは水素エンジンを開発で2回サーキッドを走行した。2回目は前回利用したヤリス搭載エンジンをカローラに乗り換えて走行している。1回目の水素チャージ回数、時間を大幅に改良したと発表。

水素はガソリンより燃焼速度が異常に速いことからインジェクタータイミング、水素タンクの流量コントロール、ガソリンと違って潤滑油成分がないのでシリンダ耐摩耗問題や、タンク重量など技術課題に取り組んでいる。なんと言っても実用化には水素インフラ整備が焦眉の課題であることは間違いない。180リッターの水素タンクへの水素充填速度は3分。ガソリン給油と同じだ。

一方のe-fuel本命の声が欧州であるも何故か抑えられてきた。既存のエンジンをそのまま利用できる。燃料を合成するだけの問題でありまさに化学の世界だ。ドイツは戦前には超巨大化学メーカーIG(イーゲー)が君臨し、戦後に解体したものの、BASF, Bayer, Hoechst(バスフ、バイエル、ヘキスト)それぞれは現在も巨大化学メーカーである。ドイツ=化学のイメージが強く、e-fuelもこれらの会社以外でも検討されてきた。

勿論、日本も化学3強の一つである。(ノーベル化学受賞者の多さでもわかる。)

この合成e-fuelの研究開発は日本でも行われている。基本技術はCO,CO2と水素から炭素数5〜12の直鎖につながった炭化水素化合物を合成する。簡単な図を資源エネ庁資料から抜粋する。

発電所など工場から排出されるCOと飽和炭化水素化合物の分解や水の電気分解由来の水素を反応させて合成するプロセスにおいて、ネックは水素の価格をどう見るか。現在レベルでは800円/l前後になるものと思われる。水の電気分解による水素はもとの電源を太陽光パネルに求めるようではバランスが取れないだろう、結局は水素を牛耳るところがe-fuelでも握ることになると思われる。e-fuelの排気ガスは従来通りであるのがカーボン循環とはいえ弱点になるかも注目される。

カーボン循環でサステイナブル面では満足なのに、何が弱点なのかの理由はお隣のオランダの動きが気になるからだ。オランダはサステイナブルからリジェネが理想だとして、農業(畜産)における窒素排出を削減すると言う。これには畜産関係者が食糧不足による生命を犠牲にすると猛反発。大豆など植物由来の人工肉の生産規模が畜産と同等になる見込みと、投資補助金など整備が不十分の中で畜産を制限すれば、お怒りごもっとも。

ドイツ前首相メルケルの超理想主義が破綻して、火力発電、原電稼働に戻って、その間プロセス改良を放置したことで、前より環境悪化した。どうも欧州は超理想を掲げ猪突猛進し諸国を振り回すところがある。そんな欧州には2700年前の孫子の兵法をお読みされることをお勧めする。

「智者の慮は必ず利害に雑う」 一番実践しているのはトヨタかも知れない。

 

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