CCS(二酸化炭素・回収・貯蔵)その2

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3年前の環境展ブースでCCS! CCS!CCS!と若い説明員の叫ぶ声に釣られブース前に足を止た。パネルにもCCSのだけの記載で略語の内容が記載されていない。まさか来場者にCCSを知らない人はいないだろうの態度に驚いた。若い人にありがちだが。

そこで何?と質問したところCO2を地底に送り貯蔵するシステムだと教えてもらった。 概要は理解したが、この若い人の情熱先行だけでは広い理解を得られるのか疑問を持った。今年の展示会では説明される人がシニアの方で詳細に最近の情報を教えていただいた。 苫小牧の実証プラントにおける実験データ、海洋への影響など実用データが蓄積され実証プラントが成功していることも反映しているとみた。

詳しくはパンフレットの一部を紹介する。 同時にCCS稼働・実験数は圧倒的に米国が進んでいることに驚いた。 アメリカファーストで環境問題は後回しだと勝手に思っていた。意外や意外。 その進んでいる米国から意外な報告があり、東京大学が原因追及した。

意外な報告とは予想より早い時間で貯蔵が進んでいる。それに対して東京大学は地底の火成岩(多くは玄武岩)とCO2が水を介しないで瞬時に反応固定するメカニズムを発見したとのこと。 文献:「火成岩がCO₂を瞬時に固定:新しい鉱物化メカニズムの発見」発表:2025.07.14 一旦CO2は地下水に溶解してから数百年かけて玄武岩と反応するものだと言われていたことを、先端的な分子動力学シミュレーションを用いてCO₂と玄武岩の反応を原子レベルで解析。 反応式をご参考まで。じっくり眺めると面白い。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、東京大学では大気のCO2が貯蔵される濃度について報告がなされている。

文献;大気中のCO₂を地中に貯留するには“CO₂純度70%” がカギ!
 ―貯留可能なCO₂の純度限界を分子レベルで解明― 発表:2025.07.17

苫小牧の実証プラントでは石油精製プラントからのガス中の不純物をアミン処理などにより除去したCO2を貯蔵埋設しているが、大気中のCO2をダイレクトに地中貯蔵埋設できないか、これもシミュレーションした結果、最低70%あれば可能とのことで、100%にしなくても良いとなると経済的にメリットがある。これも有用な研究だと思う。

話は冒頭の展示会ブースでのプレゼンの仕方に関して、先週開催の宇宙展で思わぬ人に出会った。

京都大学教授(現在は龍谷大学)。人工衛星を木材で作るとして小型見本を前に説明を始められた。将来地球外に居住する際に木を植林するか地球から運んで建築物を作るのだと。 誰しもそんなバカなと思いつつ先生の話に引き込まれる。現在の人工衛星が落下するときに燃えずに(ディブリが)地球(赤道軌道上)にドーナツ状に浮遊する。落下衛星の数は数十万にも及ぶ。アルミナは燃え尽きると思いきや燃え尽きず、太陽光を反射することで極冷感の地球環境も想定される。20年後にもその危険が訪れるとの話になると、木材で人工衛星を製作する本当の意味を理解した。教壇や研究室で若い人に接するときに、思いを理解させることに工夫をされたのであろう。お見事。

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