備えあれば

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先日(7日)の東京北区から千葉を震源とする地震(5強)は長い周期で揺れた。道路や建築物の倒壊など目に見える被害はなかった。報道では舎人ライナーの脱線が報じられたが怪我人なし。申し訳ないが安堵した。

ところが、その後にJR蕨変電所から発災し、山手線、京浜東北、宇都宮線、湘南新宿ラインが終日運転見合わせとなった。変電所では臨時の設備点検をしたが異常は認められなかった。と報告した後に発災。トランス室からの火災が濃厚と見られている。トランスの絶縁油はシリコーンだと思われる。難燃性はあるが不燃ではない。映像で見る火炎は燃えたのはシリコーン油だろう。 山岸、須川 電学論B 126巻12号(2006)によると変圧器の火災原因と進展の様相を紹介している。

 

燃えた物質はシリコーンだが、引火の原因はなんだろうか? そこがポイント。

経年劣化の一言で済まされない。例えばコイルが地震の振動で変形したのではないかなど、この図の進展様相を参考に検証が進められるのであろう。明日の事故防止への貴重なサンプルであり、迷惑した23万人への義務でもある。

発電所からの15.4万Vを変電所で2.2〜6.6万Vに変換し、さらに電鉄用変電所で電車用の直流変換及び電圧変換をする。(直流1,500V)。今回はこの電鉄用変電所が発災した。 話は飛躍するが、再生エネ発電の比率が高くなると電車は走行できるのであろうか? 電気に疎いのでわからないが、せいぜい600Vの太陽光発電を直流電車1,500V, 交流電車20,000Vにするには相当の昇圧変電所が必要だろう。変電所としては上げたり下げたりの二重設備が必要で、かつ変動対策として大型リザーブ電池を抱えることになるのだろうか。

骨太のインフラ・製造を稼働する電源は化石燃料、原電(核融合を含め)に頼らざるを得ない。太陽光再生エネルギーの役割はサブにとどめておくのが無難。「明日は雨模様なので電車は間引きします。EV充電スタンドも制限します。テレワークして下さい。製造は晴れた時までお待ちください。」なんて冗談でも想像したくもない。小型原電、小型核融合発電など海外で実用化されている、もしくは研究中の案件があるが、原電で痛い目にあった日本ならではの基準で開発を進めてほしい。地道だが備えあれば憂い無し。

一方、地震翌日の首都高はノロノロ程度で道路閉鎖はなかった。コロナ明けの経済活動活発化によるものか?と一瞬勘違いした程である。

ふと思ったのは、神戸震災、3.11大震災を経験し高速道路の橋脚には炭素繊維や抗張力鋼板によるベルト補強などが積極的に施工されたお陰で大禍なかったのではないだろうか。橋梁、トンネルなど長大建築物の探傷技術も進んできた。ハンマーで叩く、超音波を当てるなどの一方で、深さ方向に浸透能力の高い中性子探傷装置の小型化も理研で開発されている。実に目立たないが交通インフラが破壊されて受ける経済的損害を未然に防止する意味は極めて高い。野球にちなみに“セーブ賞”を授与しては如何であろうか。裏方は目立たなく、あって当然と思う空気感がある。太陽光パネルを屋根に乗せることを行政が指導するとか情報があるが、南側の屋根に重いものを乗せると筋交や壁で南側を補強した家にならざるを得ない。地震に耐える重心対策である。南向きでありながら小さい窓のデザインは居住者にとって好ましくはないだろう。 思いつきは戸建て住宅の倒壊に繋がることを建築家は警告している。謙虚に耳を傾けるべきであろう。軽量のペロブスカイト太陽光発電を地道に開発してきた日本の大学及び企業が陽の目を見る時がきた。まさに備えあれば憂なし。

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