コマ大戦にみる創造性

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2月10日 ポカポカ陽気に誘われて買い物を兼ねて散歩。帰路 横浜市役所のアトリウムホールに通常より大勢の人が参集していることを見つけた。人が大勢いると自然に足はそちらに向かう。

確か先週は幼稚園・保育園における想像力要請のプレゼンテーションが同ホールで実施されていた。幼児段階における“想像力”をいかに養成するか、プレゼンする先生が力説されていた。幼児段階からピアノ、バイオリン、バレー、日舞の習い事のほかにサッカー、野球、英語教育など毎日追われている。これらは先生・師匠の真似を徹底することか、監督の指示に従い動く。それを超えて創造するには何十年の稽古と鍛錬が必要となる。幼児段階で真似にパワーを使えば、その後も“指示軌道に乗った人生”を歩むことになりかねない。

「日本のものづくり」とは・・・と大袈裟なことを言える資格は筆者にはない。上述の大勢集合していたのは「最強コマ決定戦」大会。これだ! つい嬉しくなって観覧席に座った。NC旋盤加工で金属(を含む)製のコマを土俵に見立てた盤上で相手と戦う競技。直径が20,000mm以下、全長が60,000mm以下のコマを回転させて土俵から相手を押し出す、回転時間の長さを競う簡単なルール。単位が,000mmとあるのがものづくりの原点を見る思いがある。

全国で2,000社・団体からの参加があり、予選を通過した100社・団体が横浜に結集したとのことで、今年はインドネシアからも参加。企業・大学・高専・高校生が参加。

では何に関心があったのか。

重厚感あるコマで小兵コマを跳ね飛ばすパターン。小兵は重厚コマの動きを予想して進路以外のところで場所を確保して重厚コマが体力消耗して倒れるまで待つ作戦。と面白い。その中で一際想像力を発揮したコマがあった。“忍び羽内臓コマ”の登場。

コマが回転すると胴体から3本の羽が飛び出し土俵の半分以上をスイープする。羽にはバネが仕組まれていて回転力に応じて羽の長さが調節できる仕組み。こんな手を考えた企業はアッパレ。 ルールでは忍び工作があっても停止時に元の寸法に戻らないと負けになるだけに調整が微妙。試行錯誤を繰り返したであろう。

敗戦チームはインタビューを受けるが、敗戦の弁より想像力の必要性とチームワークの効果を謳っていたのは好印象だった。コマには金属の選択、表面の凸凹(イボ型攻撃)、攻撃を受け流すベアリング、倒れにくい重心設計、ゴム、プラスチックとの積層など多くの技術の集合体だけにこの大会が別の方向にも想像力の起源になってくれることを期待したいい。

今回で10回目とのこと。そもそも業界の宴会にて何かできないか?と考えた“おっさん”にアッパレ。では貴方ならどのような創造をするのか?と問われるだろうとして帰宅後、考えた。多分土俵の材質との摩擦摩耗が回転寿命を差配するとなるのではないか。それならば軸先端にナノカーボンを埋設しては如何だろう。いわゆるナノダイヤモンド。次世代半導体の主役になるとして注目されている素材。この仮説が当たっているとすれば、コマだけに瓢箪から・・・になり、自動車、工作機械などへの効果があるだろう。今回のコマは3D設計が基本にあるが、素材への関心を加えるともっと面白い創造ができるのではないか? 期待した。

当日の詳しい模様はhttps://g1.komataisen.comを参照して下さい。

土俵とコマの例の写真を添付します。

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