映画と現実

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Facebookにコスモサイン加藤社長が映画Ocean’s8で3Dプリンターを利用した華麗でド派手窃盗劇を見て面白かったとアップ。ツッコミ処満載で笑えたとも。

映画や漫画には奇想天外でも何れ実現することも多々ある。まして3Dプリンターやジルコニアに関心ある者が観劇しない理由はない。上映最終日のレイトショーに間に合った。

服役を終えた詐欺師Oceanをリーダーに、負債を抱え人気ピークを過ぎた服飾デザイナー、ハッカー、手先が器用なスリなど女性7人が宝石窃盗を企てる。狙いはNYメトロポリタン美術館で開催されるパーティでモデルが身に着ける1.5億ドルのネックレス。まずCARTIERに言葉巧みに取り入り地下金庫に保管してある宝石を見たいと侵入に成功。眼鏡枠に仕込んだスキャニング装置でスキャニングしアジトにセットしてある3Dプリンターに飛ばす仕組み。スキャンは2D。プリンターはFDM風(フィラメントはないが、ノズルから透明材料が積層されて彫像を制作している風景)、サポートもない。多分、ガラス製の彫像の頭に透明樹脂をノズルから少量流して3Dプリンター成形を扮している。

ジルコニアはFDM成形できない。光硬化樹脂とのコンパウンドでインクジェットなら可能性はあるが、その装置ではない。光硬化樹脂なしでジルコニアを溶融させるには1500℃以上が必要で冷却条件によって結晶変態が生成する。

ジルコニア製と思わせる透明彫像では光が屈折する筈だがこれがない。なるほど加藤社長の言われるツッコミ処がいくつも。

映画監督は勉強している。単なる女性による窃盗では映画にならない。そこで今から主流になるであろう3Dプリンターと組み合わせた。まず眼鏡をスキャン装置に利用することを着想した。2年ほど前にドイツの会社が眼鏡枠の中に電池を埋め込み、レンズの表面に液晶を貼って眼鏡枠のスイッチを入れるたびに近視用、遠視用など切り替えるメガネを発表。(現在日本では化学メーカーが提携)これらの情報を参考にしていると思われる。地味だけど面白い眼鏡展。話は飛躍するが記憶合金の眼鏡枠が30年ほど前、今後は記録(ドライブレコーダー的)機能搭載眼鏡がでるかも知れないなぁと映画のテンポが速いなか考えた。

そんな固いことを言わず、セキュリティ専門を手玉にとってまんまと狙い以上のブツを獲得していく痛快ドラマを楽しむ。落ちは宝石を身に着けていたモデルも分け前を要求して、ここでOcean’s8となる。保険会社の犯人捜しに対して詐欺で投獄された男への復讐もあり身代わりに仕立て、あとの8人は優雅な生活へ。

夢から現実へ

どらえもんのタケコプターが実現しそうだ。自動車が空を飛ぶ時代がよもや来るとは思わなかったが、2020年オリンピックまでに法整備がされる情報がある。ベンチャー企業では大型ドローンを自動車にも利用できる装置を試作しテスト飛行及び道路走行に成功している。イスラエル企業では時速500kmを目標に開発を進めている。

ドローンはモーターで羽を回す。さすれば飛行機も電池とモーターになる可能性が現実化してきた。エンジン内燃機関より軽量であれば切り替えられる。さしずめ小型飛行機あたりは妥当性がありそうだ。子供のころ家にグライダーが2機あった。骨組みは木材、ボディは布に防水処理を施した簡単なつくり。大人2人乗りだが、極めて軽量。この操縦席で遊んだ記憶がある。感覚ではこの軽量ボディなら今の電池とモーターなら利用できると思う。ただし耐久性・安全性からは昔の素材からは新素材への転換が必要ではある。

宅急便をドローンで運ぶ計画はアマゾンがトライ中。これに自動車が加わるとなると道路に従来の自動車、上空には大型ドローン自動車集団で太陽光が遮られるような風景はご免して欲しい。上空からの落下物に注意しながら散歩など危険極まりない。ウエアラブルセンサー付きの服装で警告音を聞きながらは勘弁してほしい。

Ocean’s8に戻るが、7人が次々に連携していく度に交わされているワードが「coincide」「一致」。この映画では利害関係が一致して悪だくみに加担するときの合言葉としてつかわれているが、悪い意味でなく、利便性と環境に配慮したモノづくり、クライアントとセールスのビジネス、大きく表現すれば国と国など落としどころを探りながら調和させる知恵が我々にはある。

この映画では8人が巨額をせしめた。だが濡手の粟長者がその後必ずしも裕福ではないように彼女らもそうなるのだろう。辻褄があう。それもcoincide。

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