昔から「病は気から」と諺や言い伝えがあり実例は山ほどある。ところで気になりませんか? 「気の存在場所とその証明は?」。 夏休みのラジオこども相談室に質問してみたらどうでしょう。ハートマークを両手で作るなど“気”は心臓にある・・・と今や信ずる人はいない。心臓の器官が気分をコントロールしてはいない。愛しい人に出会ったときに心拍数が高くなるのは結果であって、どこの器官が心臓に激しいビートをするように命令しているのか?
先日、図書館でNature ダイジェスト版を手に取った。タイトル「病を制し、健康を手にいれるカギは脳?」 How the brain control sickness and health vol 614 2023.2.23 Diana Kwon タイトルの終わりに?があるので確定ではないにしてもn数を重ねた実験結果を紹介しているのだろうと記事を読んだ。ダイジェスト版なのでエビデンスは記載されていない。
ポイントを引用する
1)病原体に感染していなくても脳の視床下部にあるニューロンを活性化させることで疾患症状を呈することを実証。(Catherin Dulac ハーバード大)
2)視床下部の上に、感情や身体感覚の処理に関わる島皮質があり、ここのニューロンが過去の腸炎に関する記憶を保存していて、脳のこの細胞を刺激すると免疫反応が再活性化(Tamar Koren 2021) 。(下線部は筆者の注目点)
図は免疫系の細胞(緑)と連携する脳の神経細胞(赤)
これだけでも「エ〜?」だ。続けて癌がどうなっているか文献中探した。
3)肺癌と皮膚癌のマウスを使ってVTA(腹側被蓋野)のニューロンを活性化すると癌は縮小した。VTAが活性化することで、通常は免疫の活動を抑制している骨髄の細胞を抑え込み、免疫系が癌と戦えるようにしている。とのこと。 (ふくそくひがいや:wikpedia)
ぜひ 今回判明した機作をベースにヒトでの細胞を操作して腫瘍の増殖をコントロールすることを期待。
臨床への応用が待たれるが、すでに研究者Ben-MosheとRollsらは
磁気パルス(径頭蓋磁気刺激)、音波を使う集束超音波治療法などの既存の脳刺激技術を利用して癌や自己免疫疾患などの免疫調整を考えているとある。
この文献では多くの事例が詳しく紹介されているので一読をお勧めする。ただし、3〜4回読み直ししないと、厚い頭蓋の小生には理解ができなかった。磁気パルスや超音波にしても個人によって刺激を受ける波長・振幅など差があるのだろう。最後の治療・臨床に落とし込むには忍耐作業が必要だ。伴侶を選ぶに当たって、(イケメンとか身長が・・収入が・・学歴が・・等あれこれ理由をつけるものの)、子孫繁栄できうる免疫力を持った相手と結ばれたいと自動的に選別している説もあり、面白い研究分野である。
ここで面白いと思ったのは、都市の設計、工場事業所の設計など広範囲に関係するのでは?と思いついたのである。いわゆる今はDX、AI 。製造工場では整然と装置が並び、ロボットが原料搬入・取り出し自動倉庫へ保管と合理化が進んでいる。だが、システムと管理は人間である限り、“健全な気”でないと製品は不具合(疾患)を生じる。手作業なら尚更だ。巷間マイナンバーの紐付け記入ミスに対する監査のニュースがある。あるのは仕方がないが、まずは殆どの%は正常であるとして、それまでの労を労った上で、緊張させていた雰囲気の“気”に対して気づかなかったと正直に言えばほとんどの人は納得するだろう。叱責・罵倒は逆効果。「組織の罹患も気から」なのかな?