高血圧対策としてDASH食を勧めるYouTubeが非常に多い。TV番組の“鉄腕DASH”ではなく健康食品関連の方。DASH食(ダッシュしょく)とは、Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐための食事方法)の略語で、アメリカで高血圧の予防・治療のために考案され、推奨されている食事療法。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質の栄養素含有の野菜、果物、海藻、豆類・ナッツ類、全粒穀物、魚、鶏肉(皮なし)、低脂肪・無脂肪の乳製品を増やすこと。
塩分、飽和脂肪酸、コレステロールの多い脂身の多い肉(牛肉、豚肉など)、肉の加工品(ウインナー、ベーコンなど)、甘いお菓子、砂糖入りジュース、揚げ物類を避けるよう指導している。 小生(多くの人も)前者は義務感が漂い、後者の方が近くにあれば手が伸びがちだ。
若い頃、某社の社長にランチに誘われた。それなりの銀座のお店での出来事として印象が強かったのは「フライの外側を外し、中身だけ食したこと」プライドの高いお店はどう感じたのか知らないが、その人の家系は代々医者なので自然とDASH食になっていたのだろう。
前置きが長くなった。
「健康食品5つのうち、最後のトップにはナッツが例示されている。 ナッツonly 、ナッツ+煮干しなどがパッケージとなった商品群も目につく。
それが国立成育医療研究センターから以下の発表があった。
「日本人におけるナッツ類アレルギーを引き起こす摂取量が明らかに ~急増するナッツ類アレルギーは近年、より少ない量で症状が出る傾向に~」
2013年~2023年の間に行われた食物経口負荷試験の結果から、ピーナッツ、カシューナッツ、クルミアレルギーの患者において、どのくらいの量を摂取すると、どの程度の割合でアレルギー症状がでるのかを検証「誘発閾値(ED: eliciting dose)解析」
【表:各ナッツ類のアレルギーを引き起こす摂取量(ED05 値)の変化】

反応する量が年々少ない量になっている。その理由を知りたいところだ。
カカオが良いとTV放映した途端、お店から商品が消えたように日本人(小生を含め)は情弱なところがある。ほどほどがベストと分かっていてもDASH食は高血圧、糖尿病、脂質異常症、**高尿酸血症(痛風)に良いと聞けば、すでに高齢者はもちろん、高齢対策として今から対応せねばならぬと高齢予備軍が思い込むことも普通。
ところで、デメリット・リスクを紹介すると
- 腎疾患がある方:DASH食はカリウムの摂取量が増える。腎臓の機能が低下している方(腎疾患や慢性腎不全の方)は、カリウムをうまく排出できず、高カリウム血症になるリスクがあるため、実践する前に必ず医師や管理栄養士に相談が必要。
- 糖尿病・肥満の方:果物には、健康に良いとされる反面、果糖が多く含まれている。多量に摂取するとカロリーオーバーや血糖値の上昇につながる可能性があるため、適切な量と種類を心がける必要。
- 準備の手間:全粒穀物、野菜、果物、ナッツ類などを積極的に取り入れるため、加工食品に頼らず、調理の手間や食材の準備が増える場合がある。
- 日本人の食文化との調整:アメリカで考案された食事法であるため、日本の食文化(特に食塩摂取量が多い傾向)に合わせて、**減塩(食塩6g/日未満)**を組み合わせる工夫が必要。