「香り」意外な効能

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植物は動けない。なので紫外線が強ければ耐紫外線物質を体内で合成してひたすら耐える。酸化防止剤(寿命)も合成する。では、害虫に浸食されたらどうするか、これも知られているように、噛まれてジャスモン酸が生成し、隣の植物に匂いで警告を発する。隣の植物はそれを受け耐害虫防止剤(免疫促進剤)を準備する。そんな仕組みが分かっている。

 東京理科大の有村教授はミントの香り成分が害虫防止効果があることを証明している。ミントを圃場の片一方に植え、その他方に小松菜を植える。そして枯れ具合を調べたところ、ミントに近い小松菜に比較して遠くの場所にある小松菜は枯れが早いことが判明した。

同教授は更に防虫効果がでるようにミントにアミノ酸誘導体バリンを反応させ、より強力な免疫促進能のMent-Valを合成した。実験ではミントの10倍の効果があるとのこと。無農薬であることが何よりの特徴だ。(東京理科大パンフより)

 

確かに、植物工場内では農薬は作業する人の健康問題もあり、回避すべき問題である。ハーブにこのような作用があるのは面白い。人体の抗炎症作用もあるとして特許出願されている。市販の塗り薬でペパーミントの香りがあると、なんとなく効果がありそうに感ずるが、それ自身抗炎症作用があるとは。

 日本独特のハーブはドクダミ、シソ、ヨモギ。子供のころには毒だみ?、梅干しのアレ、、と洋風カブレなのでしょう距離を置いていた。人類の長年の知恵を無視してはいけない。 おりしも今はサフランが咲いている。

サフランは古来イランではアロマオイルの原料として髪につける香水として利用されていた(文献:香料201911月号42頁伝統医学に学ぶ香気生薬の科学)。食いしん坊の筆者はパエリアとしての利用が好きだけど。

 

同文献によれば、香気成分のサフラナールは高い抗酸化活性のフリーラジカル除去活性をまし、GABA受容体のアゴニストとして作用して睡眠作用や鎮静作用を増強することが報告されている。

現在で顕著な効果のある医薬がないのが筋萎縮側素硬化症ALS。ホーキング博士も悩まされ、今なお多くの患者がおられる。そこに何とサフランが一筋の光明となりそうだ。 上記文献を長くなるが引用すると「サフランに含まれる成分が疾患の原因であるスーパーオキシドドディスムターゼ1の突然遺伝子による毒性を抑制すれば、ALSの発症を予防若しく遅延させることができると考えられる」中略「サフラン成分の分画単離し。。。変異遺伝子に起因する死亡に対して有意な生存期間延長作用があることが明らかになった。

以前のブログで白檀の香り成分に薄毛防止・回復効果があることを報告した。また檜葉の香りが乳癌抑制の効果があることを富山大が発表と、医学方面に香りが注目されている。

 

(香料文献から引用)

スポーツにも香りの効果を研究しているのが高砂香料。(同社技報No.184 2019スポーツ飲料はプロテイン成分からなるが、これは香りというより異臭。なので、マスキングとして香り付けが行われている。

市販のスポーツ飲料のマスキング剤の25%はグレープフルーツ、15%がレモン、5%がアセロラだそうだ。 マスキング剤のみならず、上記のハーブとの関連ではそれぞれの目的に利用されている。 この表をみて、コアラが筋肉痛にならないのはナルホドと妙な納得?

 *肉体疲労・・・ジュンパー、ローズマリー、サイプレス、レモン

 *精神疲労・・・ラベンダー、イランイラン、マンダリン

 *筋肉痛・・・・・・ウインダーグリーン、ユーカリ、ラベンダー、ローズマリー

 *集中力・・・・・・ペパーミント、ローズマリー

ワキは脱毛しない方が良い説は個人が体内から発する匂い成分が相性の良いパートナーを探すことができるからだとのことは古来言われている。 昔DuPont研究所におられ、晩年帰国し田舎で研究所をつくり多方面に活動された酒井博士(日本のエジソンと言われた)は越前和紙で有名な土地の中学生に運動させて汗をかかせて、シャツを絞り汗を集めて分離精製して香水を作ったことがある。男女仲良くなりたい人向けとだけ表現しておきます。種の保存に香りは重要な働きがある。

 一方、香りは良いことばかりではない。ケイト・グレンヴィル女史は「香りブームに異議あり」を出版した(緑風出版)。 帯には「香りがあなたの健康を蝕む」とあり、めまい、吐き気などアレルギーを発症する原因に香水を挙げて警鐘を促している。 日本では洗剤や柔軟剤に添加されている香料についての同類のコメントが増えているのを反映して下火の方向に向かっているようだ。香害との言葉もある。だが、香り成分が本当にそうなのか、香料を除去すれば発症しないのか、元々の材料の成分にも注目する必要があるとの見方(横浜国大 中井教授)もあることも確かである。

 

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