海岸線を列車から眺めると「海洋深層水取水」とのパネルを見ることがある。海水との相違を明確に理解していなかった。図書館でふと目にした文献にはデーターが記載され、原則を知ることで、ミネラルウオータ、化粧品、発酵食品、工業的には低温倉庫や発電にも展開と応用・検討されていることが分かった。生半可で分かったようなふりをしている自分が恥ずかしかった。
アルコールに関しての知識も同様である。おそらく100人いれば100通りの通説があるだろう。「百薬の長」に始まり、酒量は訓練次第で増える説。1滴でも脳細胞が死滅するから飲むな説まで幅広い。まともなのはアルコール分解酵素の有無で酒豪~下戸の説。いずれもあやふやで落ち着かない。
その前に、家飲みでは・クリスマスにはシャンペン、(スパークリング)ワイン 大晦日にはビール、ワイン、ウイスキー 正月には日本酒、ワインと多種多様のアルコールが消費されている。会話はアルコールがあれば弾む。やれ、この日本酒は希有にして入手困難なんだ、とかワインの銘柄蘊蓄を肴にして、正月明けエンジンがエンストしないようにアルコールタンクに詰め込むのだ。
一方、缶酎ハイの伸びを報ずる記事がある。酒税が350mlで28円とビールの77円と価格が安い、アルコール度数が9%と高い、なによりジュース感覚なので、ぐいぐい飲めるとあって若い人に人気。ビール業界ではアサヒ、キリン、サッポロも缶酎ハイではサントリー>キリン>アサヒ>>サッポロの販売量と順位のようでRTD業界は大変なようだ。
あまりにも高いアルコールを高い頻度で飲酒する可能性からWHOでは規制をする動きもあると日経ビジネスの記事は締めくくっている。RTDやエシカル市場について記載。この語句を読者が直ぐ分かるか?。今やスマホ検索しながら読む面倒なことになってきた。記事へのアクセスは容易になったが、その先の不便な文章には辟易する。Ready to Drink 、ethical と書いた方がよほど理解しやすい。と酔いを言い訳にして少々クレーム。
正月明け早々、悪態をついてしまった。そこで酔いから冷めて少々真面目な話を。
現代化学2020年1月号に「酒が飲めないように進化した日本人(その1)」の記事がある。進化した変異遺伝子をもつ人間は酒に弱く、進化せずに祖先型遺伝子をもつ人間は酒に強い。として祖先型と変異型の遺伝子のどこが違うのかを紹介している。それにしても酒に強い人は日本人でも50%いる。その人達は進化していないとはなんたる言い方だとお怒りなる人も読者の中にはおられよう。著者の新村氏はアルコール分解の遺伝子に祖先型と変異型があり、アルコールが分解されてアルデヒド(これが気分が悪くなり、二日酔い)になると、次にアルデヒドが酢酸に変化するための遺伝子にも祖先型と変異型がある。
その組み合わせで酒豪~全く受け付けない下戸の5区分に分類できると説明。
遺伝子のどこが祖先型か変異型かは表の外枠注に記載した。
アルコール分解速度が非常に遅く(それだけ気分よく酔える時間が長く)、アルデヒドになっても、即分解して酢酸になる。非常に理想的で僅かなアルコールでも酔える。日本人には3%存在しているとのこと。ただ、麻薬みたいにリピート欲するためにアルコール依存症になる(Aタイプ)。それに対して親のいずれかが祖先型である子供の場合、アルコールが分解してアルデヒドになる速度(時間が短く)、アルデヒドも直ぐに酢酸になるので、顔色変わらずに飲み続けることができる。(タイプB)(逆に言えば、酒量が多くならないと酔った気分にならない不経済な人)。その逆パターンがC,Dで文献引用して作図したので参照願いたい。訓練で酒量が増えたので飲めると誤解している人は顔が赤くなるので食道癌などの疾病を引き起こすので、この人達に酒を無理強いしてはいけない。
全くアルコールに無縁な人はそれ以外のスキルで場を盛り上げることが必要で、それは訓練で幾らでも上達できるはずだ。
この文献の初めに、木の実は熟すると表面に付着している酵素によりアルコールを生成する。熟した実は地表に落ちる。ゴリラ、チンパンジーは木に登らずに、落ちてくるのを待てば良いと。その遺伝子を引き継いでいるのが祖先型遺伝子。変異した理由は不明であるが、このブログで紹介したことがあるが中国・ベトナム国境あたりで変異して日本に伝わったとの説がある。関西・中部地区で弥生人系譜はアルコールに弱い人が多いのは、この説だとも言われている。最後に再びあやふやな説を紹介してしまったが、アルコール、アルデヒド分解遺伝子が解明されたことは凄い進歩だと思う。