BLOG

植物が自ら天気予報?

ひと昔は当たらないモノの一つが天気予報だった。最近は宇宙から雲の動きや陸海の温度、風など観測することで打率は向上したが、それでも天気予報のキャスターは当たらないとイジられるのが恒例。今は直近であればスマホで何分後に雨が降るor上がると結構精度が良い。

このブログでも書いたが、太陽光発電は曇りや降雨となると出力が減少する。そこで補完的に火力発電を遅滞なくパワーアップしないといけない。対象地域をメッシュにきり、その上空に雲がくる予想時間に稼働率の調整をする。本当に大変なこと。太陽光発電を促進するのが良さげに思われるだけに、陰でのご苦労しないために安定出力には火力の他に原電も稼働すべきところはある。

そんな状況をなんと植物は古来処理してきたことの記事に耳目が惹きつけられた。すなわち、植物は夜間が放射冷却により温度が冷えると、明けたら気孔をあけて炭酸同化作用の稼働率を上げる。逆も然り。早速 文献を見てみよう。

 「植物が自ら天気予報!? 夜間の低温を感知して夜明けの光応答を促進する」 宇都宮大学  山口大学  日本工業大学が2025.02.06にプレスリリース(注:論文タイトルとは違い、編集者のネーミング)

要約を引用すると

  • 植物は光に反応して気孔を開く気孔開口や、光に向かって伸長する光屈性などの光応答を日々誘導することで(図1)、周囲の光条件に合わせて光合成効率を最適化します。
  • 本研究では、植物の青色光と温度のセンサタンパク質であるフォトトロピン2が夜間の低温を感知することで、夜明けの青色光応答を促進することを明らかにしました。
  • 晴れた夜には放射冷却によって地表付近の気温が下がるため、夜の低温を感知した植物は夜明け後に晴れると予測し、夜明け後の光合成を活発に行うために青色光応答を促進する「低温誘導性のプライミング」を示したと考えられます(図1)。

 

凄いぞ植物!と驚いたと同時に植物工場の植物は天気予報する必要がないことに気がついた。

特定波長LED照射により育つ植物の種類選択、温度管理、炭酸ガス濃度管理、水管理など徹底的に行き届いている。果たして植物はいつも光があたり、温室育ちだったら、気孔の開閉機構は衰退するだろう。

植物にも体内時計がある。植物の体内時計のパターンに関係なく刺激を与えられたらどうなるのか。これを人間に置き換えたら 快適なのか、それとも体調を崩すのか。 人間の体内時計は脳、肺、肝臓、腎臓ごとに、極端に言えば細胞ごとに体内時計はある。睡眠も必要だ。きっと植物も体調を崩すのでないかと想像する。専門外の小生の意見なので無視相当だが。少々飛躍的ではあるが、昔から言われていたことに「旬のものを食べることが健康に有用だと」  植物と人間の絶妙の体内時計のマッチングなのかも知れない。

土壌放出CO2

工業生産増大に伴う大気CO2増大が問題であることは常識中の常識。更に「森林や海はCOを吸収するので大事にしないといけない」これも今や幼稚園児でも教えられている。

一方で米国トランプ大統領は就任直後に地球温暖化パリ協定から脱退するとして大統領署名。トランプ大統領は幼稚園児以下の米国ファーストわがままそのもの!と少しでも思った人はいるだろう。日本での工業生産による排出対策は乾いた雑巾を更に絞るようなことを政府・民間あげて頑張っているのに。しかしトランプが離脱する理由は分からないでもない。想像するに、かっての南北問題で資金が収奪されていたが、タイトルが変わっただけと同じではないかが彼の考えであろう。そんなことよりロスの山火事をなんとかしたら・・・と考えるような文献が出てきた。どのような文献なのか紹介する。山火事は極端だが土壌の乾燥・洪水繰り返しは地球上のあらゆるところで起こっている出来事だけに無視できない。

題名「乾燥と湿潤の繰り返しが土壌のCO₂放出を増大させることを解明

新潟大、九大、日本原研開発機構 3者共著 2025年1月21プレスリリース。

要旨を編集すると

  • 地球全体で土壌の有機炭素の微生物分解により放出される二酸化炭素(CO2)の量は人為的 CO2 排出量の約 5 倍

(補註:有機炭素:土壌に存在する有機炭素の量は植物体存在量の 3〜4 倍、

大気存在量の 2〜3 倍に達しており、陸域で最大の炭素プール)。

  • 土壌の乾燥と湿潤の繰り返しによって、土壌から放出される CO2 の量が大きく増大する
  • 乾燥と湿潤の繰り返しによる微生物細胞の破壊と分解に加え、土壌炭素の蓄積に寄与している活性金属―有機物錯体成分注 2 の分解促進により引き起こされている可能性

(補註;土壌に存在する活性金属―有機物錯体成分は、特にピロリン酸ナトリウム溶液によって抽出可能となる反応活性の高いアルミニウムや鉄を主体とした土壌成分であり、日本に広く分布する火山灰性土壌(黒ボク土)で有機炭素が高濃度で長期間安定的に蓄積されてきている主要因の一つと考えられている)

実験は

国内各地の 10 地点の森林から採取した土壌を、降水パターンの変化に伴う乾燥と湿潤の繰り返しを模擬した条件で 84 日間室内培養し、CO2 放出量の変化を評価

結果

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

研究者は今後屋外環境での実験を通じてメカニズム解明をされるとまとめておられる。ぜひ地球温暖化協定交渉の場で発表をして欲しい。制度疲労的が目立つようになってきた今日修正が必要ではないか。工場など人為的排出CO2と土壌からの排出量を加味することが重要かとこの文献から思った。

日本は雨乞いすることは極めて少ない。四方を海に囲まれていることが大きく寄与している。日本海側は豪雪の被害はあるものの、豊かな土壌となって湿気は維持されていることは雪が降らない地域の人は感謝すべきであろう。

培養肉

よく似たワードに代替肉がある。主に大豆を原料(植物タンパク)からの肉ライクの食品。最寄り駅近のレストランでは鶏の唐揚げ、ハンバーグなどが提供されている。鶏の唐揚げは肉の繊維が見た目も歯応えも本物と(小生レベルでは)わからないほど精巧に作られている。メーカーの一つ不二精油の特許数の多さに将来を期待していることがわかる。 その他7社が開発しているとのこと。

しかしながら

やはり本物の肉が得られるならば「本物の肉が食いたい!」との声があるのは確か。

その声を正面から受け取って、本物の肉である「培養肉」を開発している大学・メーカーがある。1月末に高機能・ナノテク展で大阪大学+TOPPAN共同研究体が発表した。

一企業のみの発表を取り上げることはしない本ブログではあるが、将来の畜産業、物流、飼料生産、牛のゲップによる炭酸ガス発生を減少させることが可能であるなど、地球規模で非常にインパクトのある研究だと思った。全容は次の図でご理解できるのでチェックして下さい。(展示会配布資料より)

 

白い脂肪のサシ(霜降り)は任意に濃度や分布を制御できるとのこと。神戸牛の子牛を松坂でビールを飲ませ、モーツアルトを聴かせて世界に冠たる育て上げた和牛「松坂牛」が1頭の牛から約1,000頭分ステーキが生産できるとは驚きだ。牧場のツナギの作業着が白衣になって試験管を凝視している風景が将来はくる。試験的ステーキは2027年目標とか期待したい。特にその頃には65歳以上が30%を超え、元気に暮らすには肉を食事に摂り入れることが必要だけに利用できるのはありがたい。早く来ないかなぁと思うのは小生だけではないだろう。

 

牛乳はどうなるの? チーズは?と気がついた人もおられようが、農業との棲み分けになるだろう。それより産地ネーミングはどうなるのかは気になるところ。それを考えるのも楽しいではないか。きっとステーキなネーミングをTOPPANなら考えているだろう。

nanoテクノロジー展示会の最高賞を後日受賞された。万人が認めたところだと思う。

印刷物の認知パワー

街を歩けばティッシュ配りが相変わらずいる。寒い時期なのでつい手を出してしまう。タダで配る訳がない。クーポンなどの印刷物が少なくとも1枚入っている。それが今までの普通。ところが、今日もらったティッシュにはクジが入っていた。当たりくじであれば、クーポンのお店に行って何か物との交換になるはずだ。当方のティッシュは3等だったのでお店に行くことはやめた。もしお店に行けば、交換物を渡す際にお店の目的商品を説明・誘導するだろう。相当に強い宣伝効果がある。

一方で、ほとんどの人がスマホを所有しており、頻繁に商品紹介のニュースが入ってくるが、抽選ボタンを押しても殆どが“残念”なので、ほとんど無視しているのが実態ではなかろうか。少なくとも自分は余程の強い興味があるニュースがあれば別だが実際はない。

新聞購読者数が減少する中、新聞の厚みは極めて薄くなっているが、折り込み広告は減少していない印象がある。今時 電車内で新聞を広げる人は高齢者。先日目の前の老人が週刊誌を広げたのには驚いた。だが、その新聞、週刊誌の裏側の記事を自然と目が追っている自分がいることがわかった。スマホのデジタル媒体より目に止める“認知作業力”が大きいとも言える。

そこで思い出したのが上智・早稲田・神奈川大・東京国際大が富士フイルム協力のもと「印刷版クーポンの有効性を大規模実験で検証~デジタル化が進む販促戦略に一石を投じる結果~」を2025.01.23にプレスリリース 要点は

  • 印刷版クーポンとオンライン・クーポンが消費者の行動反応に与える影響の違いについて大規模実験を実施。
  • 印刷版クーポンの方が5倍以上高いクーポン償還率。
  • 特にブランド・アタッチメント(ブランドへの愛着)が低い顧客において印刷版の有用性は高い。

文献らしい表現に理解し難いところあるが、次の図を見れば納得

 

一回でもオフライン(印刷物)で受け取ると二回ともオンラインで情報を受けとるより5倍以上の効果があるとのこと。この具体的な結果に、ティシュ配りは印刷コストや、配るアルバイト費用があるものの、効果があるからこそ継続する理由があるのだと理解した。これは販促担当としては十分頭に入れておく必要があると思われる。

顔出しリアル面談、電話、faxがデジタル社会になっても重要だと。

 

個人的ではあるが、年賀状仕舞いが増加した。また自分もそうだがデジタル年賀の割合が50%となった。出す方は便利だが受け手の印象はどうかと、この結果から思う。皆様はいかがお考えでしょうか。

有機米は浸透するか

ファミレスでは「白米にしますか?雑穀米にしますか?」と聞かれる。iPadでメニュー注文時にご飯の種類をインプットする。お客は健康のためだとして雑穀米を選択することは普通になった。だが、白米の中でも有機米にしますかとは聞かない。ファミレスサイドから見ると有機米の供給量が少なく、価格は高いとなると聞かないのは当然か。環境及びユーザーの健康のため有機米栽培をされている農家は除草・防虫対策など苦労があるにも関わらず生産量(=消費量)が伸びていない。 お客サイドから見れば環境は利他的であり協力したい気分が多少あったとしても、最後の結果は価格とブランドで選択しているのが実態。

自動車に置き換えた時、リサイクル原料を適用した製品であったとしても、ユーザーは従来品と同等品質にして同等価格であるかどうかを見ている。リサイクル利用はLCAからは歓迎すべきところあるが、ユーザーから見れば利他的。品質を落としていいとは言っていない。そこがリサイクル事業の困難なところ。バージン材料での製品化の時に大企業は先端技術を駆使して開発製造しているのに対し、物性を落としかねない材料との混合物で、開発技術体制がやや劣る企業がバージン並みに物性を維持するには先端+更なる先端技術が必要で実質単独企業では困難。大企業が支援する仕組みが好ましい。

話を戻して有機米について三重大学がモニター調査をした。 消費者は米の情報も”味わっている”?!食味評価と購買意欲を向上させる栽培情報の不思議な効果         (2024.12.13 )

超要約は

1)有機栽培に関する情報提供により、同じ米でも食味評価が約 13%ポイント向上

2)生産者情報の開示により、再食意志が約 12%ポイント増加

3)食にこだわりが強い消費者ほど、有機米への評価が厳しいという意外な発見

4)環境意識の高さは必ずしも有機米の評価に結びつかないことも判明

詳しくは次の図を参照してください

三重大によると積極的に有機米であること、米袋に生産者の顔がわかるようにしたら需要は伸びると結論しているが、3)4)の調査結果はそれだけでは不十分。

しかしながら、2025年のインフレ率は14%が見込まれ、その一方で所得が多少上がっても所得税率枠から結局手取りは頭打ちが現実的になるほど、大学の結論通りにはなかなかならないのだろうと予想される。

主婦の財布引き締め策もあるだろうが、白米を美味しく炊き上げるコツをお持ちなので、味や米の艶のコントロールができるからもあってなおさらではなかろうか。

日本が変わる時は外圧か、病原菌など流行がきっかけとなる。有機米については害虫防止薬事噴霧による残留農薬による漁業量の減衰、最終的に個人の疾病に関係がありそうだと判明することがあれば、意識は変わる。その意味で時間はかかるだろう。

紅麹事件に思う

喉元過ぎればでは済まない事件が丁度1年前の2024年1月15日に発生。紅麹事件が発生した日である。この一年間に被害に遭われて亡くなられた人、元の健康体になかなか戻らない人などの実態を日本腎臓学会のお医者様が地道に経過フォローしている。悪玉コレステロールは諸悪の根源だとして紅麹サプリメントを摂った人の気持ちは十分にわかる。

今は悪玉、善玉の区別は意味がないとも言われているが、当時は悪玉・悪玉・悪玉の風潮が強かったので服用した人に同情する。製薬の名前がついているのでサプリも医薬品並みにGMP管理されていると筆者も思っていたが、サプリの管理はGMPより低い基準の食品扱いであることに当時驚いた。

原因は青かび由来のプペルル酸だと厚労省も結論されたが、ブルーチーズ業界にとっては迷惑な結論だったかも知れない。当時、慌てて結論を出した感を思った。本音を言えば1年間原因を追求した結果があればと思う。結論が同じでも構わない。追求する姿勢が信頼を回復すると思う。

さて、日本の研究 リリース資料を見てみよう。

題名 日本腎臓学会会員へのアンケート調査により紅麹関連製品摂取後に生じた腎障害の実態を解明

報告者 大阪大学 掲載日:2025.01.06

内容 紅麹関連製品接種後に生じた腎障害の実態について日本腎臓学会が中間報告に加えその後の調査を実施し実態を詳細の検討

その結果 ファンコニー症候群が腎臓障害の主要な病態であること

接種中止によりファンコニー症候群の多くは改善したが腎機能障害は残存した

ファンコニー症候群の補足説明を引用する「腎臓の機能を理解するに非常な解説がされているので引用します。「腎臓の基本的な機能単位は「ネフロン」と呼ばれ、一つの腎臓に約100万個存在します。このネフロンは、「糸球体」と「尿細管」という二つの主要な部分から構成されています。尿の生成過程では、まず血液が糸球体で濾過され原尿となります。この原尿には、糖やリンなど、生体にとって必要不可欠な成分が含まれています。そのため、これらの重要な成分は尿細管、特に近位尿細管において再吸収され、体内に戻されます。近位尿細管に障害が生じると、本来体内に戻されるべき成分が尿中に漏出してしまう「ファンコニー症候群」という状態になります。」

この解説でなるほどと納得。勉強になります。

調査の総括を図1に示されている。腎機能はほとんど初めから変化がなく、機能障害のままであることがわかる。最後の腎病理初見の項に至ってショッキングである。

研究者の初見として「本研究成果により、紅麹関連製品摂取後に生じた腎障害の病態および摂取中止後約2か月時点での転帰が明らかになりました。フォローアップ調査においても、腎機能障害(eGFR < 60ml/min /1.73m2)が持続している患者さんが多く存在しており、長期に経過を追う必要性が明らかになりました。」とある。

ここで見方を変えて、なぜ小林製薬が事故を起こしたのかを勝手ながら想像した。小林製薬といえば、ネーミングが分かりやすい、印象に残ると消費者は好意的であった。しかし「熱さまシート」「サカムケア」は2001年をピークに成熟しており、後継の有力商品は乏しくなっていた。超大手スーパーがドラックストアを傘下に収めるようになり、仕入れ価格も厳しくなっている背景があるのだろう。株価は麹菌事件発覚の2024年3月にストップ安になっているが、その前から低下傾向は止まっていない。アジア通貨不安やジェネリックの競合の中で、麹菌をM&Aするに際して甘くなったのではないかと勝手ながら推察した。

我々歯科業界に携わる関係者として毎年薬事監査を受け、5年に一度の上位薬事監査を受けて事業を遂行しており、薬事に関する意識はあると自覚をしてはいるものの油断をするとトラブルを発生しかねないと他山の石ならぬ肝に命ずる次第。

肺疾患と腸内細菌叢

長いお年末年始の連休が終わり職場に活気がみなぎってきました。本年もコスモサインを昨年同様ご愛顧されますよう社員一同気を新たにしております。何卒よろしくお願い申し上げます。このブログは主として健康関係の情報を収集して徒然なるままにアップしております。皆様にとって常識的なところは多々ありますことお詫びしつつ継続して参りたいと考えております。

さて、腸活と脳はリンクしていることは昨年も多くの文献があり、このブログでも取り上げました。今回は喫煙による慢性閉塞肺疾患が腸内細菌叢と関係している文献が年末にリリースされたことを取り上げます。肺の昨日は空気から酸素を取り入れる気―液反応器官ではあるが、気液反応と腸内細菌叢がどのように関係しているのかは予想外だった。

早速文献を見てみよう。(2024.12.26 慶應義塾大、東京農工大)

1)題名 腸内細菌叢とそこから産生される短鎖脂肪酸の慢性閉塞性肺疾患(COPD)への関与の解明に成功 -食物繊維に着目した新規治療戦略開発への期待-

2)目的 腸管と肺疾患の関連、腸内細菌叢および腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸が実際に 慢性閉塞肺疾患に関与しているのかを明らかにする。

3)結果 (注:原文を当方が整理しております)

3-1)喫煙者および非喫煙者の採血検体を用いて、喫煙者では血液中の短鎖脂肪酸濃度が減少しており、同濃度が肺機能と相関していることを明らかにしました

3-2) マウスモデルを用いた実験から、喫煙に曝露することで腸内細菌叢が変化し腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸も減少していることを明らかにしました

3-3) マウスモデルに対して食物繊維を補うことで体内の短鎖脂肪酸が増加し、気道炎症および肺気腫が抑制されることを明らかにしました

3-4) 反対に抗菌薬を投与し腸内細菌を駆逐することで短鎖脂肪酸は著明に減少し、気道炎症および肺気腫が増悪する

具体的データについては元文献を参照されたい。一部を引用します。

 

 

 

最後の図は衝撃的。短鎖脂肪酸が減少するのは理解したが それが肺細胞を破壊するとは驚きだ。てっきりニコチンが肺胞に付着して酸素吸収を減少させるのだろうと思っていたことの小学生並みの考えを恥ずかしく思った。

極端に言えば、喫煙者はそばにいる非喫煙者の肺を破壊している行為であると言える。“道連れ無知キラー”  不幸にして副流煙を吸ってしまったら食物繊維を多く摂る必要がある。欲を言えば、タバコ1本に対して食物繊維をどれだけ摂るべきか参考データがあればとは思うが、無責任な予想ではタバコ1本でブロッコリー大束1個ぐらいだろうか。それより禁煙が手っ取り早いのはいうまでもない。

ふと思うにタバコが日本に入ってきたのはコロンブス時代に欧州経由の16世紀。それまでの日本人は清澄な空気と植物由来食事により、少なくとも肺細胞が破壊するようなことはなかったのであろう。今回の文献が浸透して脱タバコの社会になるには、今がピーク超えの21世紀とすると、あとどのぐらいの期間が必要なのだろうか。

鼻閉塞の悪影響

いっとき「パーカーおじさん」でSNSが炎上した。正式な服装が必要ならTPOを弁えることができるのも「おじさん」なので余計なお世話。ほっといて欲しい。それより気温が下がってきた今日この頃、気になるのは「首周り露出度が多い女性」。

あれでよく風邪をひかないのか、よそごとながら心配だ。体温が36.5℃であれば喉をウイルスが通る時に死滅させることができるが、マフラーもせずに歩いていると喉付近の温度は35℃あるいはそれ以下となってウイルス活動が活発になる。ちなみに道を行き交う女性の首回り薄着の割合は半分はいる。マフラーをしている人もいるが、コートの外側にファッションとして巻いていることもある。

暮れも押し迫った日曜日に外出する必要があり、気温5℃前後にして寒風吹き荒ぶ中ある行事に参加。夕方には風邪ぎみになってしまった。マフラーをしていても底冷えはこたえた。鼻声・鼻水状態。

鼻水はなぜ出るのか? 誰でも知っているが念の為。 ウイルスが鼻の粘膜に侵入してくる → ウイルスを排除しようと鼻の粘膜で炎症を起こす →炎症によって粘膜にある細胞から鼻水が大量に分泌される。→ ウイルスや細菌を洗い流す。

要するに体がウイルスと戦っている結果として鼻水が出る。鼻が炎症のため詰まることもある。対策は加湿(鼻の粘膜感想防止)、水分を摂る、最後は風邪薬服用。

そういえば鼻呼吸に関して東京科学大(東工大と東京医科歯科大の統合)がプレスリリースした記事があったこと思いだした。 2024.11.13プレスリリース記事。以下論文のタイトルは

「鼻呼吸の重要性を解明:発達期の鼻閉塞が脳に与える影響 2024年11月13日 公開 鼻呼吸障害が運動機能や情緒に及ぼす影響を解明」

但し、元論文のタイトルはNasal obstruction during development leads to defective synapse elimination, hypersynchrony, and impaired cerebellar function 「成長期の鼻閉は、シナプス除去の欠陥、過同期、小脳機能障害を引き起こす。」とやや過激な表現だが読めば納得。

過同期hypersynchronyとは、脳波における異常な同期活動を指す言葉で、具体的には、脳の多くの神経細胞が同時に発火し、通常よりも高い振幅と規則性を持つ脳波が観察される現象。これは、てんかん発作、偏頭痛、アルルハイマ病、パーキンソン病などの神経学的疾患と関連している可能性がある。具体的な事例が紹介されている。(図)

A, B P3由来慢性鼻閉マウスの成体期におけるオープンフィールド評価。

A 生後8~10週目のコントロールマウス(CTL)とP3_UNOマウスについて、15分間のオープンフィールド試験におけるマウスの代表的な移動経路。

B CTLマウスとP3_UNOマウスの移動距離とアリーナ中央での滞在時間。

C 社会性テストの図と移動軌跡の代表的なヒートマップ(中央はCTL、右はP3_UNO)。カラースケールは各ターゲット近傍に滞在した時間を表し、暖かい色ほど滞在時間が長いことを示す(0-32秒)。破線の円はドールとソーシャルのターゲットの位置を示す。

D 社会性指数。見知らぬマウスの周囲で過ごした時間に関する算出。

E CTLマウスとP3_UNOマウスの加速ロータロッド試験。落下までの時間測定

F ある日の落下潜時の前日に対する比。

G 強制水泳試験。遊泳時間、もがき時間、不動時間の評価。

以上のように、特に発達期における鼻呼吸障害は無視できない。ここは両親の鋭い観察が極めて重要であると考えらえる。日本人はティッシュで鼻を噛み即捨てるのが身についているが、外国人はハンカチを何回も使っているのを見ると、衛生観念の違いを見る。たかが鼻閉塞と素人判断は危険。

本年もブログを毎週アップしました。累計372通の拙文ばかりで一向に向上しないところありますが、常に移り変わる情報に出会うと、記憶貯金に入れておかねばと思いながらアップしています。本年ふとした機会で読まれた方に感謝申し上げます。

オメガ3・6不飽和脂肪酸

オメガ3の不飽和脂肪酸(亜麻仁油、胡麻油、リノール酸、大豆油など)は心疾患リスクが低いなど健康に良いのは“常識”になっている。

だが、少々化学を履修したものから言えば、不飽和の二重結合部分は熱によりシス型からトランスに変化することもあり、酸素と反応すれば二重結合部分が劣化開始点となって低分子やカルボニル、カルボン酸などを有する化合物を生成する。だとすれば調理温度だとか保管方法なども説明がある方が親切ではないかと思っていた。

飽和脂肪酸のマーガリンは冷蔵庫に収納していても亜麻仁油は室温で保管されていることがある。実際、我が家でも小瓶であれば冷蔵庫に入れるが、大瓶だと暗所であれば良いだろうと安易に考えていた。サプリのDHA、EPAの保管も室温。定期的に購入していると劣化前に次のオーダーがくるが、時として試供品を手にすると、いずれ服用するだろうとして放置することが多い。(厚労省の見解はサプリが有効であるとは現段階は不明であるとしていることに注意)

一方で、タマネギやニンニクも健康食品として重宝されている。信じて疑わない。ところが、といつものパターンである。名城大学が12月6日に発表した記事を見て考えが浅かったと反省した。タイトルは

「ニンニクやタマネギなどに含まれる成分が、調理過程で トランス脂肪酸の生成を促進する事実とその抑制方法を発見!」とある要約すると

1)影響する成分とは含硫化合物 (ポリスルフィド類)、イソチオシアネート類)

2)ニンニク、タマネギ、ブロッコリースプラウトなど野菜類と青魚

3)加熱調理の過程でシス型がトランス型に(図参照)。

4)防止するには180℃以下、短時間が好ましく、酸化防止剤の添加配合が好ましい。オリーブオイルは比較的耐熱性がある。

ただ、著者によると生成量が少ないのでオーバーなアクションする必要はないとのこと。

名城大学と共同研究しているのはニッスイであり「魚の油焼け」に精通されているのであろう。この魚の油焼けはDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が酸化により魚特有の生臭みや不快な臭いを発生させることがあり、魚の鮮度や品質を低下させる原因となっている。特に鯖、いわしなどの青魚は油焼けしやすい。

なお、東北大学がプレスリリースした
「食品に含まれる共役脂肪酸ががん細胞を死滅させるメカニズムを発見 
-食品中成分を活用した新規がん予防・治療法の開発に期待-」(12月13日)
を参考とするならば、なおさら高温・長時間・繰り返し使用することは賢明ではないと思われる。

男もすなる料理とならば、スーパーで主婦に聞くことがある。ブロッコリーの選び方を教えて下さいなど聞くと親切に教えてくれる。茎根っこが割れているとダメとのこと。先日は魚売り場であれこれ品定めをされている主婦がおられたので選ぶコツはなんですか?と聞いた。

するとエラの色や目の濁り、体の弾力などをチェックして新鮮な魚を選び、それがないと冷凍ものを選ぶとのこと。なるほど、上記の条件と奇しくも一致していた。さすがプロ。

冗談だがバナナ売り場で、選択基準は何ですか?と聞いた。一人の主婦は「本数!」ともう一人は「バナナ同士のあたりで変色しているところ」と実用的なお答え。非常に正直。これが男だったらなんと答えるだろうか。無言か屁理屈を並べるかだろう。

なお、ファミリーレストランの油再生にタッチしたことがある。その時の油の管理基準は酸化度、油の色目などであり油劣化に対して厳しく管理されていることを末尾に添えておきます。

だから野菜なのか

健康診断の季節はほぼ終了したが、集合テナントビルの一角で簡易健康調査が行われていた。特にシニア向けの診断メニューが多く絞って参加。まずは日常生活のヒヤリング。喫煙、酒量、睡眠時間・・・。答えていくうちに項目別点数がついて小計。これで終わりかと思いきや、年齢分を追加の合計点数。老齢年齢と加齢年齢では違うのではないかと意見を言いつつ、次の血管年齢測定へ。そこでも年齢補正係数が掛け算された。幸い実年齢より若い結果とはいえ、腑に落ちない算出方法。

推測するに年齢による分布があり、その分布になるように補正でもしているのか?と思った。喫煙は肺癌になる確率分布は確かにある。だがそれは分布であって、マイナス3σに相当する個人であれば関係がない。だからと言って、マイナス3σの人が喫煙は癌とは関係がないと強調しても受け入れられない。有名人であるほど主張しがちのところはある。

血管年齢の以前の測定装置は今回とは違うが相当若く判定されたので気をよくしていたが、今回の結果はそれから一年でそんなに老けるか?として納得がいかなかった。所詮“簡易測定” パソコン画面を当方に向けていないこともあって尚更エビデンス能力に疑問だった。

前回はトマトジュースメーカーと生命保険会社の協賛開催であり、その模様はこのブログでも記載した。当時は野菜採取やや不足と指摘され、トマトジュースを摂るように気を付けたものの3ヶ月ぐらいで続かなかった。所詮トマト販売の企画マターであることも心理的作用をしていた。しかしながら、これをワガママ・怠惰・言い訳と片付けられてしまうほどのインパクトの高いリサーチ発表があった。 新潟大学(プレス発表:2024.11.28)

「野菜や果物の摂取が少ない慢性腎臓病患者(血液透析患者)は10年後の死亡リスクが高い-食事性酸負荷を指標にした新たな知見-」

 資料から本研究成果のポイントを転載すると

  • 血液透析患者において、食事性酸負荷が高い食事がその死亡リスクを上昇させる可能性が示されました。
  • 食事性酸負荷が高いことには、野菜や果物の摂取量が少ないことが影響していました。

慢性腎臓病に罹病する前からも注意する必要がある。他人事ではない。また野菜だけを摂れば良いと誤解されやすいが、タンパク、脂質、炭水化物を食するのが前提。

食事性酸負荷Potential Renal Acid Load(PRAL)について記載するが、まずは次の図を見ると、野菜・果物を摂らないとショッキングなことになることを知った。

 

 

 

 

ここでPRALとは次の算出式による。

 

 

 

 

過剰なタンパク質とリンは腎臓に弊害であることは知られているが、この式ではカリウム、カルシウム、マグネシウムのアルカリ性は調節剤として機能していることがわかる。

腎臓は沈黙の臓器だけに発症後10年以内の寿命と宣告されると非常に辛いものがある。

タンパクと糖はエネルギーの素なのでこれを十分に摂った前提の野菜・果物なので、そこは勘違しやすいので注意が必要。特に高齢者は肉、魚を多く摂る必要はある。その上で野菜・果物のアルカリ性でバランスをとる。そんなことなのかと理解した。そうではあるが、問題はこのPRAL式の各項目にどのように代入すれば良いのか、専門外の人にはさっぱりわからない。

次善の策は当然のことながらアルカリ性野菜・果物をリストにしてみた。整理上和風・洋風に分類したが今や日本食としてお馴染み。結論、和食はバランスが元々取れていたことに落ち着きそう。と安心してはいけない。副菜に1つでも2つでも加えたい。

先日、ポテサラを作った。人参は色合いで入れる程度なので一本丸ごとは利用しない。そこでポテトを高圧スチームで蒸す際に、残りの人参も同居させたところ、非常に甘い人参で何をつけなくとも食べることができた。トマトは今値上がりが激しい。だが湯むきして低温調理すると、これまた美味しいスープ。瓶トマトジュースではない味だと気がついた。確かに、工業部品でも素材は良くても加工法や仕上げが悪いと機能しない。同様に調理の世界も科学的アプローチがあっても良いのでは?と思う。それが冒頭のシニア層における咀嚼不具合向けにも応用ができるが、何事も継続だと家族のコメント。なるほど。