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満を持してリサイクル

小泉環境大臣がラジオ番組で満を持して“意外に知られていないが、プラスチックスの原料は石油」と発言した。それ以来ハッシュタグ付いて#意外に知られていないこと 。。。。。がSNS投稿が相次いでいる。プラスチックスにもバイオ由来のものもあり、全部が全部が石油由来でないことは、今や小学生の方が詳しく知っている。

“私的にいうなら“ の表現は嫌いだが敢えて言えば、「意外に知られていないが、衣服の多くは石油が原料である」は如何でしょうか。絹、麻、木綿ばかりでは80億の人を纏う衣服を対応できない。石油由来のポリエステルが圧倒的に利用されている。PET繊維単独もあれば、混紡のケースもある。織機の経糸はPET繊維を利用していることもあるので混紡は多い。。

で、このPET繊維も石油原料だとして有料化対象としたら、スプーンなどで環境意識を高めるよりは遙かに効果的だろうと思う。PET繊維なかりせば生活がどうなるか消費者が考えるには効果的だろう。いっそのこと、環境省はそれを打ち出してはどうかと思う。

下着もスーツ、ブラウス、コート、スポーツウエアもなくなる。天然素材の取り合いで綿確保→森林破壊、水不足→炭酸ガス吸収ゾーンの破壊。

あれ??オカシイと気がついても遅い。

この話を友人にしたところ、それは面白い! だって地球温暖化で2030年には気温40℃が珍しくないとすれば服はTシャツ、短パンでよいかも。と冗談を飛ばしてきた。座布団1枚と言いたいが、皮膚癌が増加したり、食料が無いなど不具合は予想される。

有料化の目的が“思いつき”であっても結末が問われる。このトレードオフを打破するのがリサイクルである。

使用後の回収PETボトルから洗浄して繊維にリサイクルする動きがは従来もおこなわれてきたが、さらに繊維以外にも展開するなど活発になっている。CMにも企業のSDGSイメージ戦略もあるだろう。リサイクル=下位商品とのイメージから水平リサイクルに移行しつつある。非常に歓迎される動きである。リサイクルには量的な確保がまず採算にあうかどうかの鍵となる。この面ではPETボトルはリサイクルし甲斐がある。サントリーさんがボトルtoボトルを既に実行されている。

聞いた話ではあるが、ボトルを回収する地域の特徴があるとのこと。ラベルを剥がし、キャップもとり、水洗いし、集めて定期的に出す地域のボトルもあれば、そうではない地域もあるとのこと。関西では最も意識の高い地区は宝塚だそうだ。そうでない地域の名前も教えてもらったが、地域の名誉もあるでしょうから伏せておきます。お里が知れるインジケーターは昔は箸の上げ下ろしだったが、今はPETボトルの廃棄マナーが追加された。

そんな中、まだ筆者はお目にかかっていないが、環境展で見たのが寺岡精工のPETボトル減容回収装置「ボトルスカッシュ」。

きれいなボトルを投入すると、装置の中で潰され(減容化して収容)、ポイントが付く。このポイントは何処に寄付しますか?(地域環境団体、赤十字、WWF)のパネルを押す仕組みとなっている。寄付しないでリサイクルのみを押してもよい。汚染ボトルでは回収の蓋が開かない。環境への参加意識は確かに向上するだろう。

この仕組みは意識の高い国なればこそ成立する。日本はその優等生。

マスク生活を2年以上も守っている国民性ならきっとできる。出来ないはずがない。

デジタル医療vs.ヒューマン医療介護

デジタル医療と人間味溢れる介護の両方をこの一週間に見聞きした。

まず、ビックサイトではMedtec(医療機器の製造開発展示会)が開催されデジタル医療最前線を知ることができた。このブログでは以前に取り上げた事がある。ただ、一昨年の活性度に比較すると昨年、今年のそれはコロナが研究開発にも影響しているのだろうやや低調だった。

以前より進んだと思われる例を紹介する。看護師の激務を緩和することを目的として各種センサーの発表は進化していた。例えばベッド(敷き布団)の下にピエゾセンサーをおいて、睡眠時の心拍、呼吸、自律神経活動指標(λ)、寝返りなどの体動、離床・在床の回数や時間をモニタリング。ナースコールと連携して必要のあるときに対応するシステムを提案する企業があった。この応用は病院だけでなく、クルマ運転モニター、在宅医療にも利用できる。冗談だが、会議の椅子の下の忍ばせておけば、上の空のメンバーが分かる。(笑)

上記のセンサーはあくまでもセンサーでありセンサーがアクションを執るわけではない。

対極にあるのは巧みなコミュニケーションにより、介護される人の心理を読み取り、行動を誘導することにある。 玉村氏(後述)は「人間味溢れる介護でアルツハイマーの母親が満足して旅立った」ことをラジオ放送。 今回そのコピーを入手した。ブログにするには長いので一部を割愛し紹介する。玉村咏(京都在住 染色家 艶やか・はんなりを基調に独特のグラデーションは高く評価されており、和服、超一流ホテルのタペストリーなど作品は多い。高校の同窓会で顔を合わせたのが彼を知ったのが最初。いつも華やかな女性に囲まれている、その人にこのような逸話があるとは知らなかった。

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「介護は母えの感謝ありて」 玉村咏 アトリエ攸 京都西陣

私の母は平成24年9月 88歳で亡くなりました。24歳で未亡人となって65年、よくぞ独りで姉と私を育ててくれたと改めて思っています。感謝ということを、私に教えてくれた母への御礼を込めて お話したいと思います。 母は平成11年12月8日の私の誕生日にくも膜下出血で倒れました。今、私が京都にて43年も染色家として好きな仕事をできるのは、母が産んでくれたお陰だと。自分の力でこの世に生まれてくる事ができなかったくせに恰も自らの力のように感じていた自分を恥じるようになっていきました。生まれて初めて初めて母に感謝の気持ちを抱いた時でした。恥ずかしい事ですが、それまでは母は何でも言うことを聞いてくれる女中のように思っていたのです。母への感謝の気持ちを抱いてからは、その二年後から始まるシモの世話も全く苦にならず、愛しい人の為なら何でもしてあげられると自然に思えるようになりました。このような気持ちを抱かせてくれたのも、母の病気のお陰です。もし、母が倒れなかったら 人生で最も大切な事を、私は一生気がつかなかったかも知れません。幸い手術は成功したのですが二、三年後にはアルツハイマーを発症するかも知れませんと術後先生から言われた。丁度二年後 症状が現れました。ある日の夕食後1時間経った時、何気なく聞きました「今日のお肉は美味しかったなぁ」「えー?そんなの食べたぁ?」 いつか来ると解っていたとはいえ初めての体験です。

アルツハイマーは痴呆とは違い、新しい記憶が蓄積されなくなる病気。果たしてどの位の時間で記憶がなくなるのか観察することにしました。

朝食後5分経ってから「味噌汁の具は何だった?」母の答えは正解。昼食後は5分30秒後に。これも正解。毎食後に30秒刻みで延ばし質問。その結果記憶は7~10分の間に消去されることが解りました。5分以内に話しかければ母は正常なのです。一年後、失禁がはじまりました。オムツをさせることは避けよう。ではどうする? 「おしっこないか?」「無い」。無理やりトイレにつれて行こうとすれば眉間に皺が寄ります。自然にトイレに向かわせるには、、、取り敢えず立ち上がらせる。「今日はスキヤキにしようか。冷蔵庫に肉があるか見て」の言葉に、立ち上がり「ウン、あった」。「明日、診察だから体重を計ろう」と嘘ですが言い(トイレ近くにある体重計に向かい)、、、便座に座って用を済ます工夫をしました。その間、女学校の仲良しは誰? 昔いった温泉は? オヤジの気風は良かったなぁ~など何でも良いので母の気が紛れるなら。 お風呂も面倒くさくて入りたがりません。ではどうする?「シャワーでいいか? お湯張ろうか?」「シャワーでいいわ」じゃ行こう。浴槽には既に湯が張ってあります。湯船に手を入れて栓を抜く格好しながら「浸からないのなら、お湯をぬくよ」 母は言います「勿体ない」「そんなら浸かるか?」「ウン」 もうこっちの手の内です。 この方法はいろんな事に応用できました。「みかん食べる?」「今いらんわ」この聞き方では拒否されます。「イチゴがいい?梨がいい?」母は「梨たべようかな」この二者択一法はあらゆる面で応用が利きます。(略)

母の介護を通して色々の勉強をさせて貰いましたが 大事なことは 出来るだけ話しかけ、話をさせること、なるべく独りにしないで連れ回すこと、沢山の人の中で刺激を与えることなど。でも一番は笑わせること。母のアルツハイマーは11年間進行せず、寧ろ回復し、亡くなるその日にも笑っていましたよ。 生きていく中で一番大切な、感謝する心を教えてくれた母の病気に本当に「ありがとう」

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如何でしたでしょうか。AIだIOT、DX・・・デジタルは今後も進展はするだろう。だが、ソフトやマシンは相手の立場になって考えることや、まして感謝することはない。人間はそれらを遙かに超越したところで関係を構成していることを示してくれたのが玉村咏さんの介護を通じてのメッセージではないだろうか。

東京・表参道での個展に一緒に見に行った人は、玉村さんが新しい着物を求めにきた若い女性の心理を読んで最適なお品を薦める様子をみて感心しきりだった。ビジネスの種類は異なれど相通ずるものがあると見抜いたのであろう。この人も感性があるからだと嬉しくなった。

嘘・捏造はコロナより怖い

欧州がエンジン開発をやめてEVへと旗振りの原因となったディーゼルゲート(ディーゼルエンジンの燃費測定方法を誤魔化してあたかも合格するように見せかけた)。モノつくり最先端と自負し、人々も実直な性格のドイツを代表するフォルクスワーゲンが米国から嘘を曝露された。当時筆者は同社のクルマを乗っていたが即刻売却した。問題となったディーゼル車ではないが信用がおけない会社の性格が治るまで待つことにした。即刻売却までは極端だと思われる人が多いと思う。

ただ、この事件発覚の直前の出来事も原因の一つだった。日本のディーラー店を監査に来た同社監査メンバー(カナダ、ドイツ人ら数人)とたまたま居合わせた。当時の日本フォルクスワーゲンの販売網はトヨタ系列もあり、セールスや店舗運営もトヨタ式を踏襲しており信頼感はあった。監査メンバーに信頼感をもっていることを話した。

ところが、しばらくして事件が発覚。監査官が信頼でモノが売れているから裏切ることないようにと社内監査報告をしていれば最悪事態にはならなかったはず。その反作用が筆者の行動であった。

モノつくりの一方の雄である日本も威張れない。今回、東洋紡と京セラが材料・製品の難燃性を長期に亘って誤魔化していたことが発覚した。京セラは難燃に疑問をもっていた社員が社内で話題にしたことから、遡って調査した結果、その通りと認めた。

東洋紡は事業を譲渡された会社(DIC)が不正をしていたのを担当ベースでは知りながら受け入れ是正しなかった。今回、自動車の部品に多く利用されている同社のエンジニアリングプラスチックは譲渡を受けた以外に不正があると分かった。難燃資格UL(後述)は取り消された。UL対象外の用途に今販売出来る商品はない。社内はテンテコマイ状態だろう。ISO9001取り消しまで影響すると会社のダメージは大きい。

材料の難燃性については筆者も研究開発し、難燃材料を市場に展開した経験があるので、本件には外ならぬ関心がある。材料の難燃資格は民間企業同士で取り決めた方法により評価される。米国の第三者安全科学機関 であるUL(Underwriters Laboratories LLC)規格について超簡単に紹介する。

材料には不燃と難燃、その他一般に分類され、今回発覚したのは難燃材料。製品により要求される難燃レベルが異なる。評価法の一つが燃焼着火しての燃焼程度で区別している。成形品であれば試験片サンプルに10秒間着火して燃焼する時間、燃え方(ドリップの有無)を評価し、消えたら2回目の10秒着火をしてトータルの燃焼時間を評価する。HB,V2,V1、VOに分類される。VOが最も難燃性が高い。

製品の肉厚や着色別にも評価され登録されるので、難燃処方は複雑でコスト負担も大きい。UL試験に合格すると認定材としてイエローカードが与えられる。認定された配合で生産販売をしないといけない。配合変更や製造場所・ライン変更には届出が必要である。これを怠ると抜き打ち検査で発覚する。今回の案件で重症から軽微まで指摘されてはいるが、最も卑劣だと指摘されたのは検査用サンプルを事前に用意していたこと。難燃剤の配合量が生産品より高濃度なので“合格”はする。

東洋紡を擁護する気はないが、当該製品の生産量が少ないと、素原料樹脂の製造コストは高い。これに高い難燃剤を高濃度配合すると、尚更高価格となる。UL費用もある。概ね分母が小さいと負担は大きい。その負担を市場において優れた機能を買って頂いて高価格での取引なら問題がない。機能が正しく伝わり適性な価格で取引がない場合は従来材料の価格につられて価格が決定することもある。厳しい採算に繋がる。

つい難燃剤の配合に手心を加えた人を責めるのではなく、素原料の製造コストを低下させて難燃剤を適性配合しても余裕があるようにする必要がある。そしてテストピースだけでなく、製品としての実用評価をして優れた機能を訴えることが有効だとのシステムの問題と捉えるのが正しい。

以下は筆者の経験に基づいている。海外の代表的エンジニアリングプラスチックス製造会社は巨大だった。素原料コストが低く、かつ難燃剤など副資材の購買力が強いことから安価に難燃剤を仕入れることができる。我々もベンチマークとしてこれらの材料の難燃性を評価した範囲では不正はなかったと記憶している。

当時、日本ではそれに比較すると企業規模が小さく、高機能性を付与し実用評価をすることで高い価格で市場に受け入れられたいた。しかし基本的には価格競争力は海外巨大メーカーからみれば量的に多い汎用品コンシューマー分野では見劣りするものであった。少なくとも売り上げが600億円以上でないと太刀打ちできないとの結論から、M系3社のエンプラ事業部が合体して新社を設立した。3社技術者責任者の顔合わせの初仕事は各社持ち寄り製品の難燃剤のレベル確認だった。嘘はついていないかの相互チェックだ。新社設立だから本当は仲良くと行きたいところだが、こればかりは性悪性に基づいて相手の材料の難燃性をチェックした。東洋紡がDICから事業譲渡された製品がUL資格を嘘だと見抜いていたものの、放置しておいたのと対象的。難燃性に限らず営業も含め会社全体の信頼性が第一。M系3社の販売量は現在では当時の4倍以上になった。

東洋紡は長い繊維時代の技術を土台に高機能材料・製品を開発してきた。ポテンシャルは高い会社である。一部の事業部のマネジメントはダメだったことが露呈したが、今後、苦難を乗り越え復活することを期待している。日本のものづくりの観点から存在して欲しい会社であることは間違いがない。応援している。

IT介護とレベル3自動運転クルマ

3月は引越シーズンだった。転勤はもとより、進学により引越が増える。大学内でも専門課程に進むと学び舎が変わり、それにつれての引越もある。業者に依頼することもあるが、規模が小さい場合、普通免許で運転することが可能な4トントラックをレンタルすることがある。今回は筆者の身の回りで発生した出来事を紹介する。4トントラックの運転は男の甲斐性とばかり若者が請け負ったものの、実はマニュアル車を運転したのはドライバースクール以来のこととあって、クラッチとギヤシフト操作には自信がない。京都から滋賀に掛けては百人一首で有名な逢坂山がある。坂道で渋滞が発生しやすい処だ。運転しながら止まりそうになると“ト・マ・ル・ナッ!”と大声で汗をかきつつ運転。それでも停止し坂道発進が試される時がきた。で、どうするか、グア~ッゴ~ と爆音と黒煙を噴かして発進。回りのクルマの運転手からの冷ややかな視線。空回りして後続車にぶつかる最悪事態は回避できた。実は助手席に父親が座り、クラッチのメカニズムの説明と操作仕方を教えていたとのこと。今の若者はオートマでないと運転できない。年配者の運転アドバイス介護を必要とする。

これがITとなると介護されるのは年配者。3月末に筆者も部分IT介護を経験した。散歩して休憩しようとしていたら、チョットした広場を数本の幟で囲い、80人前後の椅子がセットされ、約10人分はまだ空席の様子。幟には政府+自治体共催のPCTモニター(無料)と書いてある。コロナは規制緩和があり盛り返すこともあるので、PCT検査が無料なら受けようかと考え椅子に座った。バイトの若者からQRコードが印刷された紙が配布された。スマホを取り出しQR読み取り、Apple store からダウンロード。必要項目をインプット。やたら項目が多い。この手は電話番号ではハイフンが入ったり無かったり。エイヤッと入れてやり直し、そんなことをやって漸く窓口へ。この段階で回りを見回すと若い人はサッサとインプットを終えている。20名ほどがまだ操作している。ほとんどは年配者。バイトの人に質問しては首をかしげながらの操作で、まるで若い人に介護されている様子。筆者もこの段階までは介護は必要がなかったが、受付窓口でさらに新規記入項目があり、特定のPIN数字がスマホのSNSにきて、それをインプットすることになっているが、数字が2種類あり、それも7桁。覚えて元の画面に戻ると“間違い”表示。新規PINが与えられるので、この繰り返し。これが終わったら、メールアドレスの記入。これが見当たらないと拒絶される始末。窓口の人から小文字・大文字の打ち間違いではないですか? @マークが大文字になっていませんか? まるで介護するようにあれこれヒントを貰うが全部空振り。理由が分からないまま、持っている4つのメルアドの一つがヒットしPCR検査キットを頂く。ITは人並みと思っていただけに軽いショック。自宅に戻り検査キットに唾液をいれ郵送。翌日(日曜日)10時にはダウンロードしたソフトに陰性の連絡がありホット一息。

上述の事例はクルマの仕組みを知って十分な経験をすること、とソフトの中身は全く知らないが、操作の方法には熟知していることが必要で、それが不十分であれば介護が必要であることを意味している。

ところが、クルマの仕組みもソフト使いこなしも不要な自動運転レベル3の実用化がホンダのレジェンドにより現実となった。レベル3は日本が世界に先駆け許可されたことはこのブログでも詳細報告した。今回は日経の記者が試乗しての感想を寄稿している。

概要は高速道路走行で速度30km以下の時に自動運転となり、ハンドルから手を離しても、問題なく走行することが確認できたというもの。限定車だが1000万円。

 

1000万円と聞いて大阪・登美丘高校ダンス部・荻野目洋子のダンシングヒーローの光景を思い出した。自動車電話が登場。肩掛け電話だった。あれが、今やスマホでパソコン並機能のデバイスになったことを考えると、価格も下がるだろう。何れ、不思議がることもなく自動運転レベル3は浸透するものだと思う。まるでクルマが知らず知らずに同乗者を介護しているように。

後ろから救急車がサイレンを鳴らして迫ってきても、避けることしないとか欠点を指摘する記者。だが、そんなことは解決できるはずなので記事にする必要もなかろう。それよりはトラックに採用されると、何台ものトラックが“じゅつ繋ぎ走行”できることでドライバーの合理化や労働環境改善、強いては物流合理化に役立つことを期待したい。

紙かスマホか

スケジュールの確認・記入のツールは多くの人はスマホ、タブレット、パソコンだろう。でも文具売り場には手帳も堂々と陳列してあることからすると利用する人もいるのも確かである。恐らく、背広の内ポケットから使いこなした雰囲気の手帳を取り出すイメージがあり、イマドキの人ではなく“おじん”の雰囲気があることは確かだ。電車の中で手帳を広げているのは年配者。若い人を見かけない。当たり前だとの声が聞こえてくる。今の電磁媒体は予定を記入するだけではない。WEB会議が予定されていると、その時のULRとアクセスコード番号も同時に記録されており、指定時間の30分前には警告がなされ、このカレンダーからWEB会議を立ち上げることができる。会議主体者になればメンバーに会議開催の連絡もできる。デートの場所マップもアクセス出来る。こんな便利な機能の真似は紙手帳にはできない。選択余地なし 勝負あった!

しかしながら、早合点は禁物だ。

紙か電磁媒体のどちらが記憶に有効なのかを科学的に説明した論文がある。東京大学が東大生や一般人36人にスケジュールを紙やスマホ、タブレット媒体に記入する速度の比較。次にある特定の日の2つ前の記録を思い出す課題をだして、その正答率を評価した。(日本の研究:3月19日東大プレスリリース)

その結果。論文ではポイントとして以下3点を紹介している 論文引用

  • スケジュールなどを書き留める際に、スマートフォンなどの電子機器と比較して、紙の手帳を使った方が、記憶の想起に対する脳活動が定量的に高くなることを発見しました。
  • 異なる記銘の方法で記憶の想起のプロセスに影響が生じることを、脳活動から初めて実証しました。
  • 教育やビジネスにおいて電子機器が多用される中、記憶力や創造性につながる紙媒体の重要性が明らかとなりました。

脳波で比較すると手帳の方が脳活動が活発になっている。再び引用する。

「言語処理に関連した運動前野外側部と下前頭回や、記憶処理に関係する海馬に加えて、視覚を司る領域でも活動上昇がすべての群で観察されました。このことから、言語化・記憶の想起・

視覚的イメージといった脳メカニズムが関与すると言えます。さらにこれらの領域の脳活動は、手帳群が他の群よりも高くなることが定量的に確かめられました。このことは、記銘時に紙の手帳を使うことで、電子機器を用いた場合よりも一層豊富で深い記憶情報を取得できることを示唆しています。」

 

評価対象者36人中 何人が東大生かは開示されていない。記憶力が抜群で入学できた素質のある者だけに、一般的な人間に適用するには、正答率にしても、脳活動変化率は違うだろう。だが、そんな嫌味なことを言うつもりはない。紙に記入するときには紙を相手に書いてはいるが、その時の空間も織り込んで書いていることは誰でも経験する。

英単語を覚えるには苦労する。だが、使った場面や英文の手紙を貰った当時の事情とリンクすると不思議に全文が残っている。紙に書いたり、口に出して何回も風呂につかりながら口ずさんだセンテンスはその光景と共に思い出す。

プレゼンテーションの資料作成において、パワーポイントにエクセル、ワード、写真など挿入すれば、見栄えの良い資料ができる。Q&A方式においてアニメーション機能を利用すればQで時間をおいて考えさせて、次にAを開示する。これで初めからAも書いてあると記憶に残らない。

今回の東大の結果を応用するなら、配布資料にはQだけ書いて、Aは空白にして、自分の回答を書いてみる。そして発表者のAを更に書き加える行為をすることで理解度は深まるのではないだろうか。

学生時代の話であるが、ご指導を頂くべく教授の部屋にいくと30分から1時間の沈黙があり、自分でも、今の段階で質問するのは愚の骨頂と感じて出直しをすることがあった。簡単に答えを教えて貰ったら、その後どうなったか?。それにしても教授の忍耐力とこの学生に考えることの愉しさを教えたいとの教授の情熱を今も忘れない。

学生時代に限らず社会人になっても、良い指導者に巡りあうことがあるが、この教授タイプの人に出会うとこの人は本気で教えたいのだと反応する。この文章を書きながら思い出したのは道元が起こした曹洞宗大本山“永平寺修行僧受け入れ試験”である。山門の前で修行願いを出しても拒絶から始まる。毎日その繰り返し、雨、雪があろうとも門の前に立ち尽くす。その間に熟慮に熟慮を重ねて目的の明確化と覚悟を決めるのである。禅問答に応えるだけの修行の基礎土台が必要なのだろう。上述の教授がなされたことと同じであることに漸く気づいた。

すぐ、ググルことで(誰かが書いた)解答を求める姿勢は刹那的であり、これの繰り返しでは人生を終わるころには「勿体なかった人生」と思うことであろう。そうか手帳も買うとするか。ブログの締めくくりとしてはなんとも安易なソリューションであると苦笑いしつつ。

70歳就労努力義務に考える

今年4月から、70歳までの就労機会の確保を企業の努力義務とする改正高齢者雇用安定法が施行される。理由は少子化に伴う労働人口減少を高齢者にも働いていただいて、全体の労働人口をキープしたいとの考えに基づいている。勿論女子にも働いて頂くことが前提になっている。

ここ15年の間にサラリーマンの定年が60歳から65歳になり、次は70歳。随分の拡張である。もとより年金制度の(人為的であれ、自然現象であれ)行き詰まりもあり、支給開始年齢を60歳から63歳のあいだの選択から、65歳まで支給しないことになり、70歳開始だと更に受け取る金額はお得感があると政府は囁いてのことである。囁くどころか義務に何れなるだろう。

昭和22年~26年までの第一期ベビーブーマーはとっくに定年を迎えており、その方々はタップリ退職金や年金で余裕の暮らしをしているかと思いきや、仄聞するところによれば、企業年金の土台(国民年金)が減額になり、企業年金についても70歳を越えると減額になるなど、この年齢層でも生活レベルを従来の感覚を縮小しても厳しいものになっているようだ。それでもあるだけマシと後輩は言う。だが、金銭的にカツカツの生活でなんとかする人でも、一番苦しいのは毎日することが無い!これは苦痛のなにものでもないようだ。定年になったらゴルフ三昧したい。旅行に出かけたい。。。あれこれあるが、遊んでいては尚更だが、例え図書館に居ても何の為の図書調査なんだと自問することだという。つまりはなんとなく心が満たされないのだ

日本人に埋め込まれた働くことが美徳の意識が中々抜けきらないらしい。これが欧米だと年金暮らしが理想の人生を送ることで、連れ合いとの旅行や新規の趣味に没頭することができるのだが、日本はそうはならない。そんな中、政府が努力目標で70歳定年を企業に指導することになり、本当に働きたい人にとってはありがたい制度になるであろう。だが、雇用する企業にとっては大問題。若い人に負けず劣らずの能力を発揮し、さらに豊富な経験を活かして効率的な研究開発ができる特性をシニアは持っていることを発揮できるならば企業にとっても有益である。

豊田中研所の菊池所長は海外研究機関で働いたあとで日本に戻って提案しているのは「基礎研究こそシニアがすべきである」と述べている。基礎研究は兎角ヒット率が低い。山登りに例えるなら、この道しかないと研究を着手すると崖や滝壺にぶつかり、心が折れることがある。でもシニアは、いろんなルートを経験しているので、これがダメなら、別の方法で、見方を変えると案外簡単かも、となる。筆者も研究開発の経験があるだけに納得する。

しかしながら能力のあるシニア層は雇用安定するが、それに該当しない人は企業は抱えきれない。大器晩成といっても50歳以後で大化けするのは極めて少ない。ということで企業としては、出向転職を勧奨するか、希望すれば企業内ベンチャーの創業資金を出して本体から期限付きで切り離すことなどが行われるであろう。いずれも必要とするマーケットがあっての話だ。

先日、ある人材紹介企業の話を聞いた。上場企業役員経験者、主席研究者など1万人を登録されているが、マッチングしているのはその1/10であり、役員よりは開発経験者が多いとのこと。こうなると下手に役員になるよりは、将来のことを考えて専門(それも1本足では厳しいのでスイッチヒッター、二刀流など)を貫いた方がよいのかも知れない。今の若い人が人生設計を真剣に考える時がきた。

シニアでは能力があっても体力が持たないのでは話にならない。

シニアに若い人と同じメニューの体力測定をすれば、測定中に骨折など事故を引き起こす。だが、例えば30秒ほど片足立ちをすると、骨盤回りの不整合や背筋など筋肉が弱っていると、その場に立ち止まることなく、アチコチ動いてしまう。壁や椅子に片手を置くと安定することから、面白い装置が開発されている。

横浜国大の島教授グループが起業した会社(合同会社UNTRACKED)では指先につけたセンサーに立位状態での仮想壁にタッチすることで安定に保つように働く力を観測することで、転倒せずに作業などの仕事が可能か否かの判定を定量的にすることができる。

また、老化=酸化劣化と捉えての研究・応用が進んでいる。これについては後日、ブログにアップ予定。心技体はスポーツに限らず、ビジネス、人生を愉しむには必要だ。人ごとではない自らも意識しないと。

出光・エネオスGS出口戦略

出光が超小型EV車を製造販売すると発表した。TAJIMAと組んで120km/回充電で走行でき、150万円程度で販売とあった。ガソリン販売事業が赤字でかつ将来ガソリン需要が減退するとの読みでEVにシフト。この発表の前にエネオスが牛丼の宅配ロボットを試みているとの記事もあり、まさか嘘だろう?と思いきや、その直後に水素ステーションに乗り出すと発表があった。先行き水素は大化けするかも知れないとは言え、足許の燃料電池クルマ自体の価格がEVに比べて高価なので訝る向きもあるだろうが、国家戦略の一丁目一番地は昔からエネルギーにあるのでエネオスの決断したのであろう。これは燃料電池=水素取り扱い規制改革を2年前に公布され誰かが突破口を開けないと道は開けない。先のビックサイトでの水素・二次電池関連展示会ではトヨタのブースでは整理券を出さないと入れないほど盛況であった。

出光は電気を使うクルマを販売、エネオスは電気を造る素を販売とGS両巨頭の戦術は分かれた。(但し、出光は以前から地熱発電には注力していることは付記しておきます)

出光超小型EV車についてTAJIMA社長の分析では100万台のニーズがあるとのこと。

日本のクルマの国内販売台数約500万の2割を食うのか、それともバイク、自転車層を取りに行くのか興味がある。超小型EVの実態を知らないので無責任に言えないが、バッテリーはマンション・アパートの部屋に持ち込み充電できるとありがたい、(EV車が爆発的に売れない理由の一つがマンションでは充電できないことにある)、税金分類は軽並なのか、車庫代は普通車と同じだろうし、都会では近場でも高速利用した方が便利なことがあるが高速料金の軽自動車見直しがなされる昨今において、この車格はどうなるだろうなどを心配するのは男の発想。

女性特に子育て主婦の発想は違う。電動自転車が圧倒的な人気を誇り浸透している。何故か?それは朝の通勤時に子供を乗せて幼稚園、保育園へ乗せていき駅の駐輪場が利用でき、帰りには迎えに行って公園などで主婦同士の会話を愉しむには駐輪しても問題がないからである。最も大きいのは財布に優しいからでもあるのは勿論だ。雨が降ろうが塩ビ製カバーで突破する主婦、親子で歩いて行く。そんな風景が日常になっている。チョイモビは横浜市内では日産が超小型EV車を製造し市中の特定パーキングにある。希の利用をみることがあるが、多くはパーキングに常駐しているように利用頻度は少ない。風が強いと吹き込むデザインや、特定パーキングまで行くには面倒だなど理由はあるだろう。

日経の記者(2021.3.2)は超小型EVはクルマが必需の地方において免許返納者でも利用できる、そのための制度が好ましいとも発言している。ただ、返納する理由(肉体的老化、認知気味の人でも運転可能とするには)に鑑みて自転車と資格が同じとするには矛盾していると考える。先進運転支援システムを導入すれば150万円販売は厳しいのではないだろか。

ガソリン等石油精製メーカーにはガソリン価格の半分は税金に奉仕する仕組みもあり気の毒な面もある。なので儲け頭の潤滑油に依存しつつも、多くの新規材料開発に精を出していたときがあった。だが、社内事業規模の閾値があるのだろうか市場展開に到達したのは少ない。試作段階と断りながらであるが目の付けどころのよい品質と熱心に市場展開するのでユーザーは採用の方向に動いたところで中止の連絡には参ったことがあった。販売額の比較ではガソリンや潤滑油に比較して一定規模に到達しないと中止されるのだろう。その判断が正しいかどうかは歴史にお任せする。それに対してエネオスの機能性材料開発はかなり活発で既存市場にはない特徴のある材料を提供している。最終市場が伸びるかもしれないが現在は微々たる現状にも関わらずの姿勢はどこからくるのか。

エネオスの水素ステーションに乗り出すニュースは漸く来たか!と受け止めた。エネオスのGSは13,000箇所あり、クルマへの水素充填速度は従来のガソリン並みで、走行距離も850kmとあらばほぼストレスなく利用することが可能だ。

水素の大手供給社は岩谷産業と川崎重工だが、石油コンビナート内では水素供給ラインが充実していることから、余剰水素ビジネスに進出する可能性はあるだろう。つい最近では伊藤忠がフランスのエア・リキードと組み国内最大の水素プラント建設の発表もあった。エネオスは来春水素ステーション稼働予定とのこと。セルフもありとのことなので水素=爆発のイメージのある人からみたらドキドキものだが心配ご無用だ。当面はバス・トラックから浸透するはずだ。FCVトラックはこれから欧州、中国勢と競争することになり、早期の自動車メーカーでの技術蓄積が必要である。順次ミライの水素ボンベの軽量化技術やEVで培った電池技術を組み合わせて、ここでも日本勢は勝ち続ける必要がある。空気清浄化エンジン、EV, PHEV, FCVとやるべき課題は多く、かつ人的資源、金銭的投資が必要だ。研究開発にはやってみないと分からない。そこを理解するところがイノベーション国家と言えるのだろう。イノベーションは2番ではダメなのだ、理化研/富士通のスパコン富岳については別で触れるが、このようなイノベーション環境にいる我々は自信をもって参画・応援したいものだ。

衣料・新しい風

漸く春めいてきた。(一部を除いてコロナ規制が解除され)抑制されていた気分もカラダも伸びをして、さぁ巻き返しだ!と街中が活気が出てきたように思える。衣服も冬から春へと模様替えの準備開始。とはいえコロナ渦で購買力は低下、ビジネスでは在宅時間が増え、ビシッと決めたスーツを買う機会は減少した。紳士服量販店の閉店ラッシュは残念だがそれが現実だ。高級品を品揃えしているデパートの紳士服売り場は土日祭日でも閑散としている。

そんな中、おやっ!と手にしたのは、超軽量カジュアルスーツ。平織りであるが経糸・緯糸の間に空間がある。織機での張力が弱い筈はないので、????と思っていたら、なんと、水溶性樹脂の繊維が織り込んであり、織った後でお湯で溶かし出していることが分かった。

医療用の膜を製造する際にナノサイズ、サブミクロンの空孔を作るには水や溶媒に溶けない樹脂と溶解する樹脂からなるブレンド、アロイを形成させて、あとで溶媒抽出することで多孔膜を作ることが行われている。人工透析などの医療機器や電池セパレーターなどの工業分野にも利用されている。コンパクトな上水道設備に多孔質チューブを利用した設備は日本の繊維産業は得意であり、世界でも日本しかできない芸当の一つとなっている。

この発想は実は通気性おむつや合成紙にも共通している。これらの場合は抽出ではないが、フィラーを樹脂に分散させてフィルムやシートを製造し、延伸することでフィラーは延伸できないので、界面にボイド(空隙)を形成する。そこが水分透過性や印刷インクのアンカーになるのだ。

化学産業の原点に石炭化学と繊維産業がある。昭和30年代からは石炭に代わって石油化学が置き換わったものの、蓄積技術の応用範囲は前者が圧倒している。石炭化学は芳香族化学と言えるものであり、染料から出発して医薬品に到達しており、繊維産業は微細加工技術を利用しての医療、工業材料に展開している。炭素繊維や芳香族高強度繊維、合成皮革などは繊維産業のなせる技である。

中国は大量生産を得意とするが、経糸が切れると半日は織機を停止して手作業で経糸を切り替える必要があるので、切れないPET繊維を経糸に利用している。衣服にした場合は限界がある。日本では平織りや綾織りなどをしている機屋さんはいない。経編機がラグビーウエアで大活躍したことを覚えておられるでしょうか? 首筋には無線で指令を受ける装置を内蔵しながら、柔軟な動きに追随できる伸縮性のある生地が要求された。これが出来たのはデザイン設計(富山)と経編をした福井の機屋さん。

日本の繊維産業は日米貿易摩擦から収縮したものの、機能性繊維で復活した。その加工技術の広がりは化学とリンクして伸びている。旭化成、帝人、東洋紡、東レは繊維メーカーとしてよりも高機能素材メーカーのイメージが強い。三菱レイヨンは三菱ケミカルと合体した。戦後解体前は同じ会社で石炭化学も経験しているだけに強い潜在ポテンシャルはある。

【新デザイン作業スーツ】

さて、昔のことを言えば、ホワイトカラーとブルーカラーと勤労者を区別する言葉があった。衣服の色、デザインを指してのことだろうが、今はそんな区別はなく、どちらも作業着。白いシャツにネクタイ・スーツ姿はもはや絶滅危惧種。その職種でも工場の現場に入ることがある。そんな時は上着や白衣が提供されて着衣するが、ズボンはスーツのままのことが多く、現場では立ち尽くすだけの“お客さん扱い”になる。危険予防の面もあるが、それでは現場の本音に迫ることはできない。多少汚れようが洗濯でき、現場の人と生で会話ができる服が欲しいと思っていた。ワーク○ンは繁盛しておりタフな服であるのは間違いがないが、絶滅危惧種の人が着衣するには気が退ける。ポケットデザインはちょっと。。。

また、在宅では何を着ていても自由であるが、気分はビジネスモードになりにくい。在宅では家事も同時にこなす必要がある。まさにビジネスの気分と家事労働の両方に通じる“作業着的スーツ”があれば。。。。と考えていた。

そんな時、東京八重洲地下街を歩いていたら、新しいショップを見つけた。WWSと看板にある。東京駅から徒歩2分のところにオフィスが昔あり、この地下街はどこに何があるかを熟知していたので、新店舗にひかれて店員さんと話をした。

WWSとはwork wear suit。コンセプトが面白いというか上述の“ちょっと。。。”& “あれば。。。”の両方を満足する可能性があると思った。横浜にもショップがあるとのことで、後日買い求めた。若者向きのパンフだったので、どうかなぁと思いつつモノは何でもテストしないと分からないとあって買い求めた。

 

結論から言えば、これが実に気に入ったのである。在宅勤務中はジーンズから切り替え使用頻度が増えた。春めいてきたので外出もしてみたが、特に違和感はない。創業者のコンセプトは水道工事の作業衣でレストランにも行けることを考えて作ったとのこと。隠れポケットは大きいが使用しないとポケットが見えない仕組みになっており、考えてあることは理解した。

コロナ渦だからと下を向いていないで、視点を変えて光明を見出しトライする。評論家や企業役員がイノベーション・イノベーションと聲高に言っている間はイノベーションをしていない。言う暇があれば実行して、愉しくてしょうが無く、食事も忘れて没頭する。その結果がイノベーションと言われても本人は“エッ!そうなの”と思うことでしょう。WWSを始めた女性はただ者ではなさそうだ。コスモサインにも通じるものがあるとみた。

クルマの信頼性

急成長してトヨタより資産価値が高いと評価を得たテスラにリコール問題。18年初頭までに製造した、高級セダン「Model S」の12~18年モデルと高級SUV(多目的スポーツ車)「Model X」の16~18年モデルである。合計で約15万8000万台のリコールだに突き当たった。EVはクルマのボディに電池とモーターを搭載すれば出来ると考えたのではあるまいが、それに近い発想であったことはかもしれない。

リコールの原因を米運輸省高速道路交通安全局から指摘されたのは、「IVI(車載情報通信システム)機能を提供する「MCU(Media Control Unit)」内にあるeMMC対応のNANDフラッシュメモリー。タブレットで使用されている部品を利用したとある。」(日経引用)

自動車と家電とは信頼性のケタが違うよ! と教える技術者がいなかったのか、多分既存自動車メーカーに納入しているTier 1,2の部品メーカーからの供給が拒否されたので、タブレットに目を向けたのであろう。価格も安価で大量に出回っている。EVでde fact standardを獲るためには急いだ背景が想像できる。

タブレットNANDメモリーでは書換回数が3000回で限界だそうだ。タブレットでは5年程度。クルマの買い換えが2~3年では持ちそうだが、中古車価格はどうなのか?普通は車検1~2回はする。10年以上も珍しくない(筆者も過去12年乗ったことがある。それでも故障0だった)。テスラの技術者はおそらくハラハラドキドキしたであろう。指摘されたクルマと今は違い改善されているだろうが、自動車は厳しいことを経営陣は認識したであろう。初期失敗は誰でもあるので失地回復して欲しいものだ。

筆者は入社時は雑貨(灯油缶、シャンプー、化粧品ボトルなど)向けの高分子材料の開発をしており、その後クルマ向け材料を担当することになった。材料から成形メーカーに手渡す技術資料は雑貨の場合は1~5枚程度。受け取る方も物性表と加工技術資料の一部を参考にともかく試作しましょうと速い。

一方、クルマ向けとなると成形メーカーの前に自動車メーカーとの摺り合わせが極めて重要で、ここに開発のキモがある。自動車メーカーとは何が必要で、どのレベルが必要なのか、、、、、、幾重にも要求項目がリストアップされる。材料データーの信頼性とクルマ部品の信頼性データーが最も重要で、多角的な方面から試験する。

熱(極寒の土地、砂漠熱帯)、冷熱サイクル、紫外線の強弱、湿度の影響、塩害の影響などを1年以上、試験装置または大型試験チャンバーの中で評価し、統計処理をする。

材料の機械的強度特性は引張り強度・伸び、座屈、衝撃、振動疲労特性、音響特性、摩擦摩耗、耐薬品性、クルマ洗浄液などの耐性なども評価される。衝撃は隣のクルマのドアがあたった軽微なものから正面衝突した時の変形速度まで広範囲にわたり実験され、それをテストピースで評価できる装置を開発し数多くの試験を重ねる。最終的に自動車メーカーに納める資料は我々の世界では“巻物”と言っていた程である。巻物は1巻ではなくピラミッドのように幾重にも重ねられており、まるで源氏物語ぐらいの巻物を神棚に奉納する台に載せている様ほどの資料を作成したものだ。それに納得したら漸く試作することになり、実用試験となる。ここでも自動車メーカーと材料メーカー、部品メーカーの信頼性試験などが繰り返される。材料メーカーの試験棟は大型成形工場で成形、塗装、衝突試験、冷熱サイクルなど自動車メーカーと同規模のインフラで充実している。クルマの信頼性は開発現場にいただけに、そんなに簡単にクルマはできないと今でも染みついている。

ところが、同じクルマでもドイツとは発想とシステムが違う。ドイツは新材料の展開が速い。信頼性の確認の仕方が違うのだ。クルマに搭載してテストコースやアウトバーンでの走行テストで実績を積み、問題がない=採用!の流れである。結果オーライ的なところがある。エンジンルーム内の金属からエンジニアリングプラスチックスへの切り替えの先頭を切ったのはドイツ。日本ではインテークマニホールドやアクセルペダルなど重要保安部品ではドイツでの実績をみてそれを即採用するのではなく、上述の信頼性試験を経て採用に至ったものもある。見送ったものもある。欧州で実績があるから日本でもと売り込みをする部品メーカーや材料メーカーが国内自動車メーカーを説得できず往生しているのが実態だ。なにも障壁を作っている訳ではないが、故障の原因追及にはドイツ方式は時間がかかる。それと最終的なユーザーへの責任からである。ドイツは気を悪くしないで欲しい。筆者はドイツ車を3台乗り継いでいることで免罪符を頂きたい。

ただ、放射線量や加速度、耐熱性など尋常ではないレベルを自動車より圧倒的に多くの部品から構成されるロケットを失敗率限りなくゼロで打ち上げることができる技術及び品質管理ができる技術基盤のあるところが自動車における信頼性を勝ち取ると考える。

手術支援ロボット

先日、MeditecのWebinarで岡山大医歯薬学総合科の平木教授のCT透視ガイド下針穿刺ロボット紹介講演を聴講した。素人なので言われてみて分かったのは、生針検査や針穿刺治療において、手術医は常にCT装置横で施術しており、毎回、CT装置からの放射線を被曝していることに驚いた。患者は術後経過観察でCTスキャンするとしても頻度は少ない。岡山大ではCT装置から距離を置いて(ガイド下IVR画像下治療)画像を観ながら施術するロボットを開発している様子の発表だった。肋骨の間をくぐり抜け、ターゲット器官に途中で針の方向を変えて狙った箇所に到達。その精度は医者とほぼ変わらないとの報告であった。医者が要する時間が30分に対して支援ロボットでは1分程度の事例発表があった。患者の負担は減少することが期待できる。実用化にはまだ課題があるようだが、遠隔治療や医者水準の底上げには有用だと思われる。

手術ロボットの代名詞であったダビンチは特許が切れており、欧米日の企業がこれを機会とし市場参画を開始している。米国TransEnterixの手術支援ロボットは既に埼玉医科大学国際医療センターに納入されている。手術支援ロボットには開腹から縫合するまでの過程をフォローするが、糸で臓器を縫う場合のテンションを医者は手で感じながら調節できるが、果たしてロボットにはそれが可能か。日本の産業ロボットでは握る対象物が固い、柔軟かをセンサーで微妙に感じとり作動している。手術支援ロボットにおいては操作者が縫合時の力感覚を感じるシステムを搭載することになる。日本得意な技術の一つであろう。

川崎重工は産業ロボットで成功している企業である。かねてから開発を進めていることは公知であったが、満を持して昨年11月に国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」を販売開始した。

製造販売を手掛けるのはメディカロイド社(川崎重工出資)写真で見る限り非常にコンパクトな作りだ。

このサイズなら普通の病院の手術室内にセットが可能だ。

 

薬事製造販売承認を取得し保険適用が認めらており、まずは泌尿器科領域を対象に販売するとのこと、米国では前立腺癌手術の97%はダビンチであることから、真っ向勝負にでたのか。

日本のロボットはロボットの腕が隣の人に接触しないような微妙な寸止め機構が組み込まれているなど手術支援ロボも数本のアームからなるだけに、精緻な制御が日本製は可能だろうと思われる。

ただ、機械・装置販売と違い、医療支援ロボットの範囲拡大には、AI蓄積量がモノを言う。市場からの症例を装置への是正措置、予防措置に組み込む品質マニュアル、安全マニュアル(QMS,GVP)の充実と実行が必要だ。川重(メディカロイド)は先行品にはない特徴として遠隔リアルタイムサポートをあげており、IoTプラットフォームサービスを手がけるオプティムと共同開発したシステムMedicaroid Intelligent Network System(MINS)を活用するとのこと。それも大きな拡販ツールとなるだろう。

今、テレワークブーム。地方に居住しても仕事は可能。だが、万一病気になった場合、その地方に充実した医療体制がないと命取りになる。そのような時に5G、6Gの通信で遅延時間無く支援ロボットが現地で作動対応することが必要だろう。それには医学界、PMDAなど克服する課題はあるが、頻度の少ない地方で重装な設備負担は厳しいことを考えると、いつまでも放置できる問題ではなかろう。

手術ではないが筆者が苦手としているのに採血がある。健康診断では看護師が厄介な人に当たってしまったのではないかと、こちらが恐縮している。血管がなかなか見つからないのだ。腕を温めたり、叩いてみたりと看護師さんの奮闘に申し訳ない気持ち。それをカバーする採血ロボットが弘前大学で開発されている。赤外線を照射すると血管が見えやすくなるのは知られており、たしか高知大学も民間企業と共同開発をしていた。弘前大学では一歩進めて採血ロボを作成したとヨコハマテクニカルショー(WEB)で発表している。この実用化を節に希望するものの一人だ。