子育て時の愛着密度

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近くの動物園を時々散策する。もぐもぐタイムになると普通とは違う行動を示すだけに眺めていると面白い。レッサーパンダへは餌場に置かないで簡単には見つからないような場所にそっと置いておく。いつもはのんびりしているレッサーパンダでも餌を探し回る。それが見る人にとってはシャッターチャンス。

チンパンジーのケージには母親と幼児のペアと成長2頭の計4頭いる。行き来はできるが別棟となっている。給餌係が中サイズのバケツから餌を取り出して手渡しする。餌は皮を剥いたニンジン、りんご、バナナ、緑黄野菜と見ているこちらが羨ましい種類。幼児チンパンジーは母親のお腹に身を寄せて給餌係に手を伸ばす。幼児むけにはチーズのようなシートも手渡す。小さなチンパンジーの至福の時なのだ。

一方別棟の成長2頭のチンパンジーはワレ先にと手を伸ばし、一頭は餌を受け取るとお互い距離をとって(ケージの反対側に急いで行って)取られないように背を丸くして食べる。残ったチンパンジーは給餌係にあいつの分まで欲しいとねだる。何だか人間社会と似ているなぁ〜と思っていた。

そんななか、東工大から発表された「子育てと子の愛着の科学 日頃の育児で小ザルも甘え方を変える」がプレスリリースされた。北大、理化研、京大、上智、ダブリン大、慶応と多彩なメンバーでの研究成果である。詳細は下記文献参照

Communications Biology (DOI :10.1038/s42003-024-05875-6

この実験方法と結果を要約した図が分かりやすいので転用。

(A)実験の模式図。家族から引き離した子どもをカゴに入れて右のケージに、家族個体の1頭を左のケージに入れた。金網を取り除いたのち、子どもと家族個体の行動を観察した。

(B)子どもは家族と見知らぬ個体とを区別し、家族が助けに来てくれるとすぐにしがみつく。

(C)子どもの鳴き声のスペクトログラム(上)と鳴き声の種類(下)。幼い子どもはひとりでいると鳴いて助けを呼び、背負われるとすみやかに鳴き止む。

(D)幼い子どもは家族にしがみついて過ごし、自発的に離れることはまれ。

研究発表者らはまとめとして次の図で、「子は家族個体それぞれの子育てスタイルに応じて愛着を柔軟に変化させる」を示している。

 

 

 

人間社会とそっくりではないだろうか。お腹を痛めて産んだ子供を放棄したり、時には殺めたりする人間の方が動物より劣るニュースがある。一方で障害を持って生まれた子供を年老いた親が面倒を見ながら歩く、電車に乗る、楽しくレストランで食事をする様を見ると、これが親だと深く思う。

つい先日 市役所のホールで受刑者の作品即売があったので立ち寄った。パッと見ての印象は作品の色合いが茶〜褐色が多い。忍耐色なのか心理がその色を選ばせたとしたら、その幼児〜子供時代において孤独・頼られる人がいなかったなどの影響を受けていたのかも知れないと思った。筆者の感想ですので異論は多々あるでしょう。赤ちゃんから4歳までの親が注ぐ愛情で将来が決まるとなると個人・家庭・社会にとっては大きな要因かと思う。さて、今日も散歩しながら動物園を巡るとするか。

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