出光が超小型EV車を製造販売すると発表した。TAJIMAと組んで120km/回充電で走行でき、150万円程度で販売とあった。ガソリン販売事業が赤字でかつ将来ガソリン需要が減退するとの読みでEVにシフト。この発表の前にエネオスが牛丼の宅配ロボットを試みているとの記事もあり、まさか嘘だろう?と思いきや、その直後に水素ステーションに乗り出すと発表があった。先行き水素は大化けするかも知れないとは言え、足許の燃料電池クルマ自体の価格がEVに比べて高価なので訝る向きもあるだろうが、国家戦略の一丁目一番地は昔からエネルギーにあるのでエネオスの決断したのであろう。これは燃料電池=水素取り扱い規制改革を2年前に公布され誰かが突破口を開けないと道は開けない。先のビックサイトでの水素・二次電池関連展示会ではトヨタのブースでは整理券を出さないと入れないほど盛況であった。
出光は電気を使うクルマを販売、エネオスは電気を造る素を販売とGS両巨頭の戦術は分かれた。(但し、出光は以前から地熱発電には注力していることは付記しておきます)
出光超小型EV車についてTAJIMA社長の分析では100万台のニーズがあるとのこと。
日本のクルマの国内販売台数約500万の2割を食うのか、それともバイク、自転車層を取りに行くのか興味がある。超小型EVの実態を知らないので無責任に言えないが、バッテリーはマンション・アパートの部屋に持ち込み充電できるとありがたい、(EV車が爆発的に売れない理由の一つがマンションでは充電できないことにある)、税金分類は軽並なのか、車庫代は普通車と同じだろうし、都会では近場でも高速利用した方が便利なことがあるが高速料金の軽自動車見直しがなされる昨今において、この車格はどうなるだろうなどを心配するのは男の発想。
女性特に子育て主婦の発想は違う。電動自転車が圧倒的な人気を誇り浸透している。何故か?それは朝の通勤時に子供を乗せて幼稚園、保育園へ乗せていき駅の駐輪場が利用でき、帰りには迎えに行って公園などで主婦同士の会話を愉しむには駐輪しても問題がないからである。最も大きいのは財布に優しいからでもあるのは勿論だ。雨が降ろうが塩ビ製カバーで突破する主婦、親子で歩いて行く。そんな風景が日常になっている。チョイモビは横浜市内では日産が超小型EV車を製造し市中の特定パーキングにある。希の利用をみることがあるが、多くはパーキングに常駐しているように利用頻度は少ない。風が強いと吹き込むデザインや、特定パーキングまで行くには面倒だなど理由はあるだろう。
日経の記者(2021.3.2)は超小型EVはクルマが必需の地方において免許返納者でも利用できる、そのための制度が好ましいとも発言している。ただ、返納する理由(肉体的老化、認知気味の人でも運転可能とするには)に鑑みて自転車と資格が同じとするには矛盾していると考える。先進運転支援システムを導入すれば150万円販売は厳しいのではないだろか。
ガソリン等石油精製メーカーにはガソリン価格の半分は税金に奉仕する仕組みもあり気の毒な面もある。なので儲け頭の潤滑油に依存しつつも、多くの新規材料開発に精を出していたときがあった。だが、社内事業規模の閾値があるのだろうか市場展開に到達したのは少ない。試作段階と断りながらであるが目の付けどころのよい品質と熱心に市場展開するのでユーザーは採用の方向に動いたところで中止の連絡には参ったことがあった。販売額の比較ではガソリンや潤滑油に比較して一定規模に到達しないと中止されるのだろう。その判断が正しいかどうかは歴史にお任せする。それに対してエネオスの機能性材料開発はかなり活発で既存市場にはない特徴のある材料を提供している。最終市場が伸びるかもしれないが現在は微々たる現状にも関わらずの姿勢はどこからくるのか。
エネオスの水素ステーションに乗り出すニュースは漸く来たか!と受け止めた。エネオスのGSは13,000箇所あり、クルマへの水素充填速度は従来のガソリン並みで、走行距離も850kmとあらばほぼストレスなく利用することが可能だ。
水素の大手供給社は岩谷産業と川崎重工だが、石油コンビナート内では水素供給ラインが充実していることから、余剰水素ビジネスに進出する可能性はあるだろう。つい最近では伊藤忠がフランスのエア・リキードと組み国内最大の水素プラント建設の発表もあった。エネオスは来春水素ステーション稼働予定とのこと。セルフもありとのことなので水素=爆発のイメージのある人からみたらドキドキものだが心配ご無用だ。当面はバス・トラックから浸透するはずだ。FCVトラックはこれから欧州、中国勢と競争することになり、早期の自動車メーカーでの技術蓄積が必要である。順次ミライの水素ボンベの軽量化技術やEVで培った電池技術を組み合わせて、ここでも日本勢は勝ち続ける必要がある。空気清浄化エンジン、EV, PHEV, FCVとやるべき課題は多く、かつ人的資源、金銭的投資が必要だ。研究開発にはやってみないと分からない。そこを理解するところがイノベーション国家と言えるのだろう。イノベーションは2番ではダメなのだ、理化研/富士通のスパコン富岳については別で触れるが、このようなイノベーション環境にいる我々は自信をもって参画・応援したいものだ。