レジスタント・スターチ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

腸内環境にはレジスタントスターチが良いとの声をよく聞く。 またレジスタントスターチかぁ?と言いつつ、その意味をぼんやりというか明確に理解していないで過ごしてきた。英語やカタカナで表現すると理解されない面もある。そこで自分なりに考えることにした。

腸内細菌(特にParabacteroides)の餌になるものとしてレジスタントスターチ、水溶性食物繊維、ポリフェノールがある。レジスタントスターチとしては冷飯、ジャガイモなどがある。水溶性食物繊維はお馴染みのオートミール、もち麦、ごぼうやオクラなどがありポリフェノールはココア、緑茶など読者の方々が多くの品種をご承知。

Parabacteroides goldsteine種は肥満抑制、血糖値改善のいわゆる善玉菌だけに“腸まで届くエサ”が重要になってくる。

自分は学生時代から社会人まで高分子材料に関係してきたこともあり、スターチ(澱粉)も高分子の仲間と考えている。プラスチックも高分子であるが主に石油由来を原料として重合により製品化されるのに対して、バイオ高分子はトウモロコシなどのバイオ原料由来である。デンプンもまたアミロースやアミロペクチンという長い鎖からなる天然の高分子材料で分類から言えば結晶性高分子。

結晶性樹脂の代表はポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなのであるが、結晶が溶融する温度までは非常に硬い材料で結晶が存在しているので不透明。一方、非晶性樹脂としてはポリススチレン、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどがあり透明である。お米は不透明なので結晶性高分子に分類されるのは理解されるでしょう。おかゆにすると水分子が分子をほぐすことで、透明性が増加する。そんな荒っぽい説明。

さて、

お米を炊く前に洗い、浸水、脱水、再度浸水、加熱の工程の中で澱粉は親水性なので非晶部分が膨潤(米粒サイズが大きくなり)、セルロースの分子の間に水が浸透することで、結晶が解け、乾燥した米粒であれば約230℃で分子が変形するところ(これをガラス転移点という、その温度では分解が同時進行する)、水が存在することでこのガラス転移点が炊飯温度以下になってふっくらと炊き上がる仕組み。(α化)

これでお分かりの通り、暖かいご飯の分子は結晶していないランダム分子構造であるから、胃や小腸で糖に容易に分解されてします。 ところが元々結晶性樹脂であるから、冷却されると再結晶が起こる。(β化)

結晶成分は胃では酵素の歯が立たないほど硬いので分解されずに腸内細菌が待つ腸に送られて徐々に善玉菌で分解されることになる。 胃では分解されない(抵抗性があるとの意味でレジスタントと呼称しているのだ)

これを理解すると折角の部分的に結晶化している“おにぎり”を電子レンジで温めることは勿体無いと思う。元に戻る。昼に作りだめしておいたパスタを冷蔵庫に入れて夕食の隅に置くことは理にかなっている。

ここで高分子屋から一言。冷却速度がポイントになります。 エッ!と驚かれる人がいると思いますが、窓ガラスは常温でもゆっくり分子が動いている。製造する時の冷却速度があまりにも急速度なので一応固化はしているものの本来の固まる温度を通り過ぎているので(過冷却という)分子は動いている。本来のガラス転移点に戻るまでは何千年もかかることから実用的に問題がない。 この話をおむすびに例えるならば「冷飯なら冷凍庫に」はこれと同じで結晶化が進まないで固まるだけに終わっている。なので腸までは届かないで胃が冷えるだけに終わる。その前に歯が立たないが(笑)このましい温度は4℃前後ですのでご参考まで。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。