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アルコール分解遺伝子とは

海岸線を列車から眺めると「海洋深層水取水」とのパネルを見ることがある。海水との相違を明確に理解していなかった。図書館でふと目にした文献にはデーターが記載され、原則を知ることで、ミネラルウオータ、化粧品、発酵食品、工業的には低温倉庫や発電にも展開と応用・検討されていることが分かった。生半可で分かったようなふりをしている自分が恥ずかしかった。 

アルコールに関しての知識も同様である。おそらく100人いれば100通りの通説があるだろう。「百薬の長」に始まり、酒量は訓練次第で増える説。1滴でも脳細胞が死滅するから飲むな説まで幅広い。まともなのはアルコール分解酵素の有無で酒豪~下戸の説。いずれもあやふやで落ち着かない。

その前に、家飲みでは・クリスマスにはシャンペン、(スパークリング)ワイン 大晦日にはビール、ワイン、ウイスキー 正月には日本酒、ワインと多種多様のアルコールが消費されている。会話はアルコールがあれば弾む。やれ、この日本酒は希有にして入手困難なんだ、とかワインの銘柄蘊蓄を肴にして、正月明けエンジンがエンストしないようにアルコールタンクに詰め込むのだ。

一方、缶酎ハイの伸びを報ずる記事がある。酒税が350mlで28円とビールの77円と価格が安い、アルコール度数が9%と高い、なによりジュース感覚なので、ぐいぐい飲めるとあって若い人に人気。ビール業界ではアサヒ、キリン、サッポロも缶酎ハイではサントリー>キリン>アサヒ>>サッポロの販売量と順位のようでRTD業界は大変なようだ。

あまりにも高いアルコールを高い頻度で飲酒する可能性からWHOでは規制をする動きもあると日経ビジネスの記事は締めくくっている。RTDやエシカル市場について記載。この語句を読者が直ぐ分かるか?。今やスマホ検索しながら読む面倒なことになってきた。記事へのアクセスは容易になったが、その先の不便な文章には辟易する。Ready to Drink ethical と書いた方がよほど理解しやすい。と酔いを言い訳にして少々クレーム。

 正月明け早々、悪態をついてしまった。そこで酔いから冷めて少々真面目な話を。

現代化学20201月号に「酒が飲めないように進化した日本人(その1)」の記事がある。進化した変異遺伝子をもつ人間は酒に弱く、進化せずに祖先型遺伝子をもつ人間は酒に強い。として祖先型と変異型の遺伝子のどこが違うのかを紹介している。それにしても酒に強い人は日本人でも50%いる。その人達は進化していないとはなんたる言い方だとお怒りなる人も読者の中にはおられよう。著者の新村氏はアルコール分解の遺伝子に祖先型と変異型があり、アルコールが分解されてアルデヒド(これが気分が悪くなり、二日酔い)になると、次にアルデヒドが酢酸に変化するための遺伝子にも祖先型と変異型がある。

その組み合わせで酒豪~全く受け付けない下戸の5区分に分類できると説明。

 

 

遺伝子のどこが祖先型か変異型かは表の外枠注に記載した。

 

アルコール分解速度が非常に遅く(それだけ気分よく酔える時間が長く)、アルデヒドになっても、即分解して酢酸になる。非常に理想的で僅かなアルコールでも酔える。日本人には3%存在しているとのこと。ただ、麻薬みたいにリピート欲するためにアルコール依存症になる(Aタイプ)。それに対して親のいずれかが祖先型である子供の場合、アルコールが分解してアルデヒドになる速度(時間が短く)、アルデヒドも直ぐに酢酸になるので、顔色変わらずに飲み続けることができる。(タイプB)(逆に言えば、酒量が多くならないと酔った気分にならない不経済な人)。その逆パターンがC,Dで文献引用して作図したので参照願いたい。訓練で酒量が増えたので飲めると誤解している人は顔が赤くなるので食道癌などの疾病を引き起こすので、この人達に酒を無理強いしてはいけない。

 

 

 

 

 

全くアルコールに無縁な人はそれ以外のスキルで場を盛り上げることが必要で、それは訓練で幾らでも上達できるはずだ。

この文献の初めに、木の実は熟すると表面に付着している酵素によりアルコールを生成する。熟した実は地表に落ちる。ゴリラ、チンパンジーは木に登らずに、落ちてくるのを待てば良いと。その遺伝子を引き継いでいるのが祖先型遺伝子。変異した理由は不明であるが、このブログで紹介したことがあるが中国・ベトナム国境あたりで変異して日本に伝わったとの説がある。関西・中部地区で弥生人系譜はアルコールに弱い人が多いのは、この説だとも言われている。最後に再びあやふやな説を紹介してしまったが、アルコール、アルデヒド分解遺伝子が解明されたことは凄い進歩だと思う。

知的財産権 特許庁活動と提言

「突然ですが問題です。として始まる特許庁支援課のプレゼン

(2019.12.12@埼玉産業技術センターでの講演より抜粋)

Q1 2年前に他社が開発・販売した製品。売れているが知的財産権を取得していないので、形状や機能をすべてパクリしてロゴだけ自社のモノを製造して販売した

合法? 非合法?

Q2 5年前に他社が開発・販売した製品。売れているが知的財産権を取得していないので、形状や機能をすべてパクリしてロゴだけ自社のモノを製造して販売した

合法? 非合法?

Q3 自社のマル秘技術。特に管理ルールを設けているわけではないが、外部には知られていない。これを自社の社員が退職した際に持ち出し、自分の会社を立ち上げて利用している

合法? 非合法?」

の質問で始まる特許庁 総務部 普及支援 産業財産権専門官の出張講演が埼玉産業技術センターであった。「 」内は当日の講演冒頭で聴取者にヒヤリング設定問題である。これこそパクリ・丸写しであり、文書作成した特許庁に著作権がある。著作権は死後70年あるが、講演会の目的が普及活動にあるので転載の形で許されるのを確認した上でブログを書いている。

冒頭に戻り、Q1は非合法 Q2は合法、Q3は合法。

皆様の回答は如何でしたか?  Q1は非合法。 既に商品を製造し販売。3年以内は守られるルールがある。ところがQ2は5年経過すると、そのルール適用はできないので合法となる。なのでパクリ商品を出す場合は(知財出願がないことを確認したら)3年と1日待つことになる。なんだか、G党のEgawa事件を思い出した。 Q3は労働市場の流動性が過去より激しいので、よそ事ではない。 社則での管理、雇用労働契約の整備、特に退社時の書類の保管が重要。 よく言われるのは、社員は会社情報を漏らすより、経営者が多い。自社自慢もあり他社との会合の場や、展示会でつい力が入って背伸びした発言をすることがある。

講演会では特許、実用新案、意匠、商標権について具体事例をあげて紹介。特許は出願から20年、実用新案10年と期限があり、意匠、商標も都度延長があるので、商品の立ち上げからエンドまでの寿命を考えて出願する必要がある。意匠、商標を新規に考案するときは、売れている商品にどうしても意識・発想が引っ張られる傾向がある。どうみてもパクリだろう的なものもある。誤解させるネーミングもある。特にSNSのアドレス、商品にみることがあるが、現在は日本語が怪しいので見破ることができるが、巧妙な仕掛けを次々にするだろうから油断はできない。 ここも具体例を挙げて専門官は説明。

特許庁は40人ほど(単独でなくも合算で)揃えば、出前の講演会+特許相談をお願いすることができるので、これは是非利用したいものだ。知財の全体像を理解するには非常に便利だ。

今後、効率よい出願や、ブルーオーシャンのビジネス狙いにはパテントマップの作成がある。筆者も若いときはマッピングを作成したことがあり、会社別にまた発明者毎に整理すると、その人の技術的背景や癖を理解した。非常に面倒なので外注先を特許庁がアドバイスしてくれるHPがあるので参考にされては如何でしょうか。

中小企業には出願において特典が用意されている。外国を対象にする場合はPCT出願を日本語でしておいて、国が決定したら翻訳して海外国に出願する。PCT出願費用及び翻訳料の支援が受けられる。筆者も度々利用しており、特許庁から還付されるとホットしてありがたいと思う。

一方、特許は長くて20年。なので、永遠に技術保持して他社排他にするには、徹底した技術の囲い込みと流出防止をすることもある。コーラが代表的であり、最近ではノウハウ・ブラックボックス化もある。 想像だが、特許を継続改良で出し続けて巨大な特許網を形成する費用と徹底した秘匿への費用は拮抗しているのではないかと思うが、秘匿すればするほど魅力性が増すことが付加価値になっているのであろう。でも大変だ。

経済先進国のこれからの成長エンジンは知的財産にあると言われるが、本当は「もの造り」「ソフト創り」の現場があって成立する。妄想は勿論、机上の空論は特許にはならない。実施例、比較例により先進性、新規性を証明して初めて特許が成立する。 もの作りで先頭を走らないと、基礎的研究を牽引することはできない。ものづくりと知的財産の生産は両輪なのだ。ただ課題がある。知的財産をサポートする弁理士、また特許庁においては、重厚長大時代に活躍した機械、電気、電子関係が多く、これからの成長分野である創薬、バイオ、遺伝子工学、医学分野や、それらに共通する化学の専門家比率が極めて低い。ここが知的財産育成の課題であると考えている。 学生から実業界を経験しないで弁理士、審査官になることが多いが、それに加えて実業世界で先頭で戦ってきたシニアの経験を活かす採用があっても良いのではと考える。

化石賞・日本

COP25で小泉進次郎環境大臣が日本が「化石賞」をとってドヤ顔でコメントして失笑されたとの記事がどのマスコミも報じていた。しかしながら、日本の内閣の一員として日本政府の立ち位置を明確に論じたその度胸は(本人が意識してなら)エエカッコシイにしては大したものと言える。日本は決して環境を損なうような態度ではなく、環境関連の開発は世界のどの国よりも先頭に立っているのだ。新幹線網、鉄道・地下鉄、公共機関の充実がなかりせば、どのような環境になっていたのか、カリフォルニアや中国の事例を挙げるまでもなく納得するだろう。春のダイヤ改正で「のぞみ」は1時間に12本。ここに「ひかり」「こだま」が挿入される。化石賞を授与した人は日本に来て先進国の姿をみたらと思う。

環境と同時に大前提がある。それは国民が豊かで安全な社会を営むことができることにある。化石利用ぜず、原発も利用せず、太陽光と風力、水力発電でカバーできる訳がなく、恐らくは闇夜に近い生活を送ることになる。エントロピーの法則がある。あの3.11で電力調整を余儀なくされた首都圏では階段を利用し、エスカレーター、エレベーターは利用制限された。エネルギーのありがたさをどの国よりも身に染みた。それが今はどうか、たった5段程度の階段でもエスカレーターがあれば並ぶ。若い人でも年配者を差し置いてエレベータに乗り込み平然としている。それがモラル破壊エントロピー法則?。聲高に非難するつもりはない。一旦消費の味を覚えると戻れないのも事実。とは言っても迫り来る炭酸ガス増加に対して、何らかの対策を打つ必要があるのも先進国の模範としては必要。だが、未熟な技術で慌てて絆創膏貼りをするなら却って無駄な投資になる。異常気象が温暖化によるものか議論がある。災害がやたら多い国柄。大型太陽光発電が台風で火災や架台破損。日本でこれから風力発電をするとなると海上になるが、これも台風がくると破損もしくは運転停止措置としてローターを折り畳むことになる。

火力発電はダメだ。銀行融資をすると銀行が反環境団体とされてしまうのでそれも嫌だ的な動きが出始めている。石炭発電も欧州と日本で開発された発電では性能が異なるので一色単にしてはいけない。液化天然ガス発電についてもダメの動きがある。さすれば天然ガスパイプラインを新設したロシアと欧州は具合が悪いことになり、政治的動きが予想される。そうするとCOPは骨抜きになる事態もありうることになる。

日本の取り得る対策としては

*使用済み核燃料の前処理・埋設を理解の下粛々と進め、現在3割稼働の原電を安全を見極めた上で稼働率を上げる。

*火力発電の効率アップと排出される炭酸ガスの深海、地下蓄積を世界に先駆けお手本とする

*炭酸ガスを吸着反応させる簡単なアタッチメントと反応物の応用利用(小中学校でならった炭酸カルシウムの反応式の効率的反応プロセスの開発)

*水素エネルギーの抜本的開発。

その他あるが、環境省と経済産業省(NEDO)が協調して効率ある方針を立てることが望ましい。

短兵急なその場しのぎ(ポピュリズム的な)対策は一呼吸おいて判断する必要がある。 死んだ鯨のお腹から「生分解」と書いたプラスチックスが分解せずに発見された様に、生分解プラも特定の環境(多くはコンポスターに入れて、必要によっては触媒を振り掛け、長時間、ある温度条件で保存すれば)炭酸ガスと水に分解するというもの。 生分解製品をぽい捨てしたらたちどころに分解する訳ではない。即分解するような材料であれば、製品製造から流通段階で分解してしまう。そこが問題だと気がつく人は少ない。言われてみるとそうですね。となる。いち早く気がついたのが自動車メーカー。生分解材料歓迎!といいつつ、バイオ原料由来のプラスチックスと言い換えた。生分解材料でクルマを作ろうモノなら保障の限りがない。

冒頭、小泉大臣を褒めたが、9月に「2050には炭酸ガス排出はゼロにする」と発言した。 炭酸ガスが存在するので植物は炭酸同化作用する。植物~人間連鎖に大きな影響することに気がつかないのか、それとも。大きな組織を動かすには極端なことを言う必要があると考えたのか、その場のエエカッコシイ発言は遠慮願いたい。

自動車のこれから

知り合いに高齢運転者講習会に行ってきた人がいる。70歳を超えると免許更新を前に受講することが義務付けされている。受講料5100円で視力・動体視力・視野角の測定と教習場コースでの運転技能チェックがある。本人は30歳相当との診断を得て自慢している。75歳を超えると認知症のチェックも入る。その時も自慢するだろうか、いや待てよ、何年後にはこの制度が継続しているか疑問なのだ。

現在はレベル2(前車追随、自動ブレーキ、レーンキープ)それに車庫入れアシストか自動化、死角にある走行車の接近警報機能も利用されている。これは完全自動運転のレベル5には達していないが、そう遠くない時に実現すると予想される。そうしないと自動車メーカーは生き残ることが厳しくなるのが予想されている。パワートレインがガソリンだ、EVだと言う前に自動運転に向けたソフト開発が重要になっている。当然だが運転免許そのものも必要がない。

 行く先を乗車後に口頭で言うか、スマホのスケジュール通りに目的地まで運んでくれる。スタートのボタンを押せば全て終わりとなる。パソコンの原理やスマホの原理を知らなくても利用できるのと同じである。初歩的機械言語のBASICを知らないとパソコンを動かすことができなかった時代があった。それから30年も経過していない。自動車の自動運転も時を経ずにそのようになるだろう。自動運転については既にグーグルがテスト実績で先行しており、自動車メーカーはパソコンや携帯と同じ運命にならないように必死にソフト開発をする必要がある。先日の東京モーターショーでもホワイトボディ(骨格)を自動車メーカーが製造するだけになり、モーター、電池、通信機器などモジュールを組込むだけに見られるようになってきた。これでは自動車メーカーは完全なソフト会社の下請け企業に成り下がる。

 VW(フォルクスワーゲン)はディーゼル燃費不正事件を引き起こした。そこで一気にEV車に切り替えると宣言はしたものの、EVは欧州の走行距離には満足できないユーザー、及び、バッテリーの価格が自動車全体の1/3~1/2を占めるようでは利益が薄いこと、メイン市場の中国がEVからハイブリッド優先に切り替えたことからVWはディーゼルにも戻れず、さりとてEVと宣言したものの、クルマは作れど収益がでない体質になってしまった。VWグループにはポルシェ、アウディが存在するが、車両数が少ない割にそれぞれの利益がグループ全体の30%を占めており、VWは世界一の生産台数を誇るもグループ内の利益割合いは24%に過ぎない。そこでVWが望みを掛けるのはソフトで市場を獲得することとしてソフト関係の技術者を大量に雇用し始めた。ソフトの価格も台数見合いで決まることから、世界一の規模をキープする間に間に合わせようとの試みのようだ。

 半導体の生産で世界を掌握した日本、それをベースに拡大した韓国、だが、実際に利益を出したのはアップルなどソフト業者。日本の地形にあうようなソフトができれば、日本より単純な海外では通用するだろう。是非頑張って欲しい。

ここまで将来を予想するとなると材料マイスターとしては、はてどうしたものか?と頭を抱える。

 現在は半自動なので衝突時の安全性とホワイトボディの軽量化から超高張力鋼板適用率が高くなっている。汎用の曲げ応力が230MPa(価格150円~200円/kg)相当に対して2000MPaの鋼板が小型車にも適用されている。当然のことながら材料の価格及び剛性を高めるためのホットスタンプ、冷間加工も適用されることからホワイトボディの製造価格は高くなる。これが自動運転で衝突回避できるとなると、汎用鋼板やアルミで十分ではないか、場合によっては複合樹脂材料が適用できるのではないかとも考えられる。

ここで言う複合樹脂材料としては高張力鋼板の曲げ応力800MPa(曲げ弾性率100GPa程度は欲しいところであるので、ここは炭素繊維の複合樹脂が最も考えられる。近年、パルプ由来のセルロースナノファイバーの弾性率は鉄のそれより10倍あり、かつ比重が低いとあって自動車軽量化に有用ではないかとして京都プロセスを中心に研究開発が進められている。セルロースナノファイバーは現在は安価版で5000円/kg 一般では10,000円/kgと高価であることから、京大を中心としては原料50円のパルプと樹脂を2軸混練機の中で繊維を開繊して樹脂に分散させるプロセスを開発している。東京モーターショーでもインパネなど試作品を展示していた(ブログ既報)。

 しかしながらベース樹脂の曲げ弾性率(ヤング率)を高めるものの、1.4~1.8倍程度であり、ポリプロピレンの曲げ弾性率(2.54GPa)前後が到達レベルである。炭素繊維強化エンプラ系複合材料の80GPaに比較すると低い。自動車に適用するにはやはり内装材に限定されるのではないだろうか。また隣を走行する車からの電磁波をシールドしないと誤作動を引き起こす危険性は今のクルマより高くなる。その対策としては炭素繊維プラスαの複合材料が好適ではないかと考える。耐熱性もあり、リサイクルも開発が進んでいる。

 一方、3Dプリンターの進歩は製品のトポロジー面においても著しい進歩が予想される。そうなると、金属3Dプリンター、及び炭素繊維強化光重合SLA3Dプリンターによるボディ製造も予想される。無駄な材料を省きながら全体としての機械的強度を維持向上させる形状、及びそれに対する成形法として3Dプリンターが今以上に活躍することが予想される。

 ところで、GPSの機能は凄く進歩している。これからの積雪の季節となると除雪車はGPSで崖などを検知しながら運転することが知られている。さて、宇宙に存在する衛星と地上のクルマでは重力差があることから時間は宇宙が早く、地上が遅い(相対性理論)。なので、正確を期すにはこの時間差を調整する必要がある。クルマ設計はニュートン力学で十分だったはずなのに、アインシュタインの相対性理論までマスターしないとはご苦労なことだが、これもソフトに入れることが可能なところが世界を把握することになるのだろう。

職業も変化する。手近なところでは自動車教習スクールはその時代には姿がない。交通関係警察官も削減と職業も大幅に変わるだろう。

もっとも人口は確実に増加する。メディカル分野は成長産業には間違いない。でも内容はIOT,AIにより変わる。いやはや、常に勉強、勉強、勉強だ。でもこれも愉しまなくては損だ。

「香り」意外な効能

植物は動けない。なので紫外線が強ければ耐紫外線物質を体内で合成してひたすら耐える。酸化防止剤(寿命)も合成する。では、害虫に浸食されたらどうするか、これも知られているように、噛まれてジャスモン酸が生成し、隣の植物に匂いで警告を発する。隣の植物はそれを受け耐害虫防止剤(免疫促進剤)を準備する。そんな仕組みが分かっている。

 東京理科大の有村教授はミントの香り成分が害虫防止効果があることを証明している。ミントを圃場の片一方に植え、その他方に小松菜を植える。そして枯れ具合を調べたところ、ミントに近い小松菜に比較して遠くの場所にある小松菜は枯れが早いことが判明した。

同教授は更に防虫効果がでるようにミントにアミノ酸誘導体バリンを反応させ、より強力な免疫促進能のMent-Valを合成した。実験ではミントの10倍の効果があるとのこと。無農薬であることが何よりの特徴だ。(東京理科大パンフより)

 

確かに、植物工場内では農薬は作業する人の健康問題もあり、回避すべき問題である。ハーブにこのような作用があるのは面白い。人体の抗炎症作用もあるとして特許出願されている。市販の塗り薬でペパーミントの香りがあると、なんとなく効果がありそうに感ずるが、それ自身抗炎症作用があるとは。

 日本独特のハーブはドクダミ、シソ、ヨモギ。子供のころには毒だみ?、梅干しのアレ、、と洋風カブレなのでしょう距離を置いていた。人類の長年の知恵を無視してはいけない。 おりしも今はサフランが咲いている。

サフランは古来イランではアロマオイルの原料として髪につける香水として利用されていた(文献:香料201911月号42頁伝統医学に学ぶ香気生薬の科学)。食いしん坊の筆者はパエリアとしての利用が好きだけど。

 

同文献によれば、香気成分のサフラナールは高い抗酸化活性のフリーラジカル除去活性をまし、GABA受容体のアゴニストとして作用して睡眠作用や鎮静作用を増強することが報告されている。

現在で顕著な効果のある医薬がないのが筋萎縮側素硬化症ALS。ホーキング博士も悩まされ、今なお多くの患者がおられる。そこに何とサフランが一筋の光明となりそうだ。 上記文献を長くなるが引用すると「サフランに含まれる成分が疾患の原因であるスーパーオキシドドディスムターゼ1の突然遺伝子による毒性を抑制すれば、ALSの発症を予防若しく遅延させることができると考えられる」中略「サフラン成分の分画単離し。。。変異遺伝子に起因する死亡に対して有意な生存期間延長作用があることが明らかになった。

以前のブログで白檀の香り成分に薄毛防止・回復効果があることを報告した。また檜葉の香りが乳癌抑制の効果があることを富山大が発表と、医学方面に香りが注目されている。

 

(香料文献から引用)

スポーツにも香りの効果を研究しているのが高砂香料。(同社技報No.184 2019スポーツ飲料はプロテイン成分からなるが、これは香りというより異臭。なので、マスキングとして香り付けが行われている。

市販のスポーツ飲料のマスキング剤の25%はグレープフルーツ、15%がレモン、5%がアセロラだそうだ。 マスキング剤のみならず、上記のハーブとの関連ではそれぞれの目的に利用されている。 この表をみて、コアラが筋肉痛にならないのはナルホドと妙な納得?

 *肉体疲労・・・ジュンパー、ローズマリー、サイプレス、レモン

 *精神疲労・・・ラベンダー、イランイラン、マンダリン

 *筋肉痛・・・・・・ウインダーグリーン、ユーカリ、ラベンダー、ローズマリー

 *集中力・・・・・・ペパーミント、ローズマリー

ワキは脱毛しない方が良い説は個人が体内から発する匂い成分が相性の良いパートナーを探すことができるからだとのことは古来言われている。 昔DuPont研究所におられ、晩年帰国し田舎で研究所をつくり多方面に活動された酒井博士(日本のエジソンと言われた)は越前和紙で有名な土地の中学生に運動させて汗をかかせて、シャツを絞り汗を集めて分離精製して香水を作ったことがある。男女仲良くなりたい人向けとだけ表現しておきます。種の保存に香りは重要な働きがある。

 一方、香りは良いことばかりではない。ケイト・グレンヴィル女史は「香りブームに異議あり」を出版した(緑風出版)。 帯には「香りがあなたの健康を蝕む」とあり、めまい、吐き気などアレルギーを発症する原因に香水を挙げて警鐘を促している。 日本では洗剤や柔軟剤に添加されている香料についての同類のコメントが増えているのを反映して下火の方向に向かっているようだ。香害との言葉もある。だが、香り成分が本当にそうなのか、香料を除去すれば発症しないのか、元々の材料の成分にも注目する必要があるとの見方(横浜国大 中井教授)もあることも確かである。

 

新価値創造展と中小企業不要論

先週ビックサイトで開催された「新価値創造展2019」を見てきた。標語は「変える力、創る力、続ける力」で主催は中小企業基盤整備機構。約350社の中小企業が出展。産業技術(生産技術、新素材、IoT,ロボット)、健康福祉(健康、医療、予防、介護)、環境(環境、防災、地域社会)の3分野。 半日では全部みることは適わないが、約60%以上の企業は標語通りだと総括することができた。 残りの40%についても出展する目的として自社製品、サービスが他社との競合性(位置づけ)を明確にすることにあったと話す経営者もおり、次回の展示までに変える、創ることを意識していることは非常に好ましいと感じた。以下トピックスを挙げると

 【産業技術】 革新的生産技術は巨額の投下資金と人的余力が必要であることから中小企業では限界がある。但し、新素材に関しては少ない資金でありながらアイデアと度胸が差配するところから、刮目すべき素材が出展されていた。ナノポーラスシリカの医療分析用、レアメタル回収素材、高分子改質、撥水・撥油材料、5G狙いの液晶ポリマー/銅箔貼り合わせ技術などは大企業と互角に亘りあえると思われる。歯科技工に応用できる基礎技術は存在している。

 ロボットは対象を中小企業向けに絞り込み、作業の一部だけを半自動化することを狙っており、現場を熟知している企業ならではだと感じた。

IoTではスキャン装置及びソフトが注目される。歯科技工向けには精度が問題で適用できないが、簡単な5万円程度のハンディ装置で例えば全身を10秒程度で読み取り、クラウドを通じてSTLデーターを送信しデーター変換(500円/回)。衣料用など1ミリ程度の精度が許されるなら普及すると思われる。歯科業界からも熱い視線が送られているようだ。

 【健康福祉】 介護・農作業アシスト装置出展企業が目立つ。横並び。今回は出展はしていないが東京理科大ベンチャーが先行し上場を準備中であることを考えると、後発企業は差異化特徴を何に求めるか、これからが勝負になる。それが楽しみだ。

 【環境】プラから紙にの世間の流れをいち早く商品化しているのは逞しい。しかしながら、紙は本当に環境に良いのか? 伐採―輸送―粉砕―パルプ(廃液処理)―漂白ー製紙の長い工程では環境負荷はプラに比較すると大きい。まして水物包装には内面にポリエチなどプラをラミネートする必要があり、結局はリサイクルできずに燃焼処理に頼ることになる。食品包装の長期保存ではプラがあってのことだとすると 紙への熱が冷める時が何れ来ることも横目でみながらの展開になる。 が、中小企業は2面作戦をやる余裕はない。そこが問題だ。

 さて、筆者がなぜ新価値創造展を見に行ったか?

それは日経ビジネス11月12日号に「中小企業は消えていい・今や正論?」の記事があり、違和感を持ったからである。記事は元ゴールドマンサックス銀行マンから中小企業社長に転出した人の著書とインタビューを日経がとりあげている。既にお読みになられた人もおられようが、ポイントは日本経済が1%程度の経済成長(=停滞)している原因は99%を占める中小企業にあり、2060年までに半分にする必要がある。給料が低いので国内消費が伸びない。賃金を上げるべきである。OECDも日本を非難している。云々である。

 元銀行マン・現美術商では本当に日本の中小企業を論ずるだけの資格があるのか? 現場を知らないのではないか。筆者も思うだけではこの著者と同じであるから、展示会で本当の姿を見る必要があると感じたからである。

従来、このような暴論がでると、雇用の受け皿として社会に貢献しているのは中小企業である説が当然出てくる。が、それだけだろうか、中小企業には大企業にない特徴があり、社員はそれに満足している。以下がその理由。

*特にオーナー企業は決断が速い。

*オーナー企業は特に孫の後の世代まで継続繁栄するための手段・ネタを収集することに余念がない。特に重視するのはタイミング。大企業は長期事業計画立案はすれど、計画を綿密に作成するために、その間に世間が変化してしまうことがある。

*AIは過去のデーターからアルゴリズムで計算し、その延長で将来像を描くが、過去延長線にないカタストロフィ的な案件には全く役に立たない。そこは優れたカンピューターがよほど役に立つ。それには、長い経験が必要。短期で社長交代する大企業はできかねるところがある。

*中小企業では高齢者は実力があれば現役続行できる。若手と競争して新技術を習熟する意識が高い人が多い。 

*大企業で勤務した人が再就職で中小企業を選択する理由の一つが、大企業では部分のみの作業・仕事をしたが、全体の流れを視野にいれての仕事ができることを希望する人もおり、もとより実力があるだけに貴重な戦力となっている。大企業は人の使い方が不得意。

 「中小企業は半分消えていい」の著者は結果と手段をはき違えている。賃金アップすることで企業体質が悪化し会社を閉めるのは隣国で立証している。世界トップの低失業率=社会の安定化に繋がっていることを重視することが国体維持の基本。技術やサービスにて遅れをとり結果として半分が消えて行くのはありうるが、初めから半分でいいとの結論は全く筋が通らない。 筆者の結論は「暴論」である。 頑張ろう! 社員・家族・社会そして日本を発展させよう!!

池上線・戸越銀座

コスモサインは8月に川崎から品川荏原にオフィスを移転した。アクセスは東急目黒線不動前、池上線戸越銀座駅。健脚の人であれば五反田や武蔵小山、夏場は厳しいが目黒駅からも歩ける距離にある。
今回取り上げるのは東急池上線。五反田―蒲田間を走行。歴史的には池上本門への参拝客狙いで開設したものが東急と合体した。池上線の旗の台で大井町線に乗り換え、さらに東工大のある大岡山で目黒線に接続して洗足、田園調布や東横線の自由が丘に行くことができる。うっかり寝過ごすと横浜元町中華街まで繋がっている。

電車の種類がそれぞれ異なるので鉄道マニアには面白いのだろう。池上線は緑を基調で先頭のノーズ部が丸みをおび車両巾がやや狭い。今から24年程前に歌手西島三重子が「池上線」をヒットさせたことがあるが、その歌詞が「古い電車のドアのそば、二人は黙って立っていた。話す言葉を探しながら隙間風に震えて。。。。池上線が走る町にあなたは二度とこないのね。。。」。この歌詞にあるようにややマイナスイメージがあった。乗客数も他路線に比較すると少なかった。数年前だと記憶しているが、「もっと池上線に乗ろうキャンペーン」が始まった。それに合わせて新車両の投入、駅舎のリフォームが行われてイメージ一新。写真(旗の台)のように木材を利用した斬新なデザインとなっている。現在も工事中の駅があり以前の駅の雰囲気をみることができる。(写真:池上駅)

 

 

 

 

 

 

オフィスに来られる方にアクセスは?と伺えばかなりの割合で戸越銀座からと答えられる。その理由の一つがTVなどで有名になった戸越銀座を覗いてみることもあるのだろう、長さ1300mに及ぶ商店街は滅多にない。そぞろ歩きは結構愉しめる。外の商店街ではシャッターになった八百屋、果物屋、魚屋、肉屋さんが店舗を構えている。
地元の人が言うには、以前は今の繁栄は考えられなかったとのことだが、品川区支援による電車内ディスプレーに「どぶろっく」の路線紹介などもあり活気がある。五反田から2駅目が戸越銀座。 名前の由来は江戸を越えて相模国への境界にあるところからだそうだ。銀座は関東大地震で崩壊した銀座のレンガブロックをリユースしたところから命名したとのこと。

【消費税の影響】
この戸越銀座には鯛焼き、たこ焼き、串焼き、揚げもの屋さんが結構ある。鯛焼きの種類も多くて実に美味しい。以前は狭い店内にも椅子があり、そこで食べることができた。消費税導入後は椅子は焼き上がるまでの待ち時間のためで、持ち帰りとなった。店舗の規模によっては10%、8%を区別する経理処理のメリットがないのも分かる。現金決済が主流の街だったが、つい最近は安倍首相が視察に訪れたときからキャッシュレス化のハードが急速に整備されつつあるが、ハード・ソフト側の企業合併・淘汰も予想されることから究極の会社を待っている商店主も存在するのも事実あり、還元キャンペーン終了後にお客様に迷惑がかかることを懸念している。マーケットの現実をみるには良い商店街だ。
冷めた鯛焼きでは味気ない。なので歩きながら食べる。大の大人が歩きながらでは道徳面で後ろめたい気持ちになりサマにならない。一方、子供にとっては仲間と椅子に座ってのワイワイガヤガヤ愉しみが少なくなった。本当は小さな公園があるともっと面白い街になりそうだが。

【新しい息吹】
*アンテナショップ的店舗。初めて知ったのは品川区と姉妹都市の坂井市のテナントショップ。坂井市??ってどこ?でも越前カニや東尋坊の三国、芦原温泉と言えばああそうかと納得する人もおられよう。東尋坊はサスペンスドラマで犯人が絶壁を背に白状する場所としても有名。これから越前ガニが店頭に並ぶだろう。五木ひろしCMの「いちほまれ」も購入することができる。コシヒカリ誕生の土地でもあるが、それに拘らないで次世代米の開発する心意気に乾杯(いや?お代わり!)。

*和歌山の梅干し。スーパーでも高価になった梅干し。この商店街では多種類でかつ安価で求められる専門店がある。これも嬉しい。ポスターにインフルエンザ、生活習慣病予防を謳っている。ただ、和食に拘らず洋食・パスタなどへの展開も考えらるので若い人に期待。

*本格珈琲店
この商店街にもチェーン店珈琲ショップもあるが、昭和レトロ感のある喫茶店も結構健闘している。サイドメニューや年齢層が高い層にマッチングするように室内に工夫を凝らしている。
一方、青山が似合いそうな喫茶店が開店した。道路から全面ガラスを通じて焙煎機が稼働しているのを見ることができる。

一方、内装はオフホワイトウオールと木材の組み合わせ、木材は特徴ある木目をカウンター下の袖板に配置、客席側には別の種類を配置する緻密なデザインとなっている。

肝心の珈琲は極端に言えば「自分は珈琲なるものを何千・万杯を飲んできたが、一体分かって飲んでいたのか?」と自問させるに十分なレベルで正直驚いた。
まず、珈琲豆の味・香りなどコーヒーチャートとして特徴が整理がされている。横軸に「あっさり、爽やか」と対極に「コク・厚み」、縦軸に「華やか・フルーテイ」と対極に「ビター」をとり四面にどの豆が位置するか図で分かるようにしてある。客が指定すると店頭にある大型焙煎装置と粉砕器で粉末を調整。ブレンドの場合はどれを混合するのか、その割合いもアドバイスされる。

ミル直後にお湯を注げば“もわ~っ”として泡粒が浮上。香りが漂うのは勿論である。
戸越らしい会話もあり、贅沢な味と下町の良さがミックスした雰囲気。おもてなし部長は人なつこいわんちゃんの「杏」。とてもお利口でお客に寄り添ってくれる。 近くに星薬科大学など文教機関もあり海外からの教授も顔をだされ会話を愉しむこともできる。チーズケーキもオススメ。

火災予防と不燃化技術

気がつけば湿度計が40%を切る乾燥の季節となった。今年の火災予防週間の標語は「ひとつずつ いいね!で確認 火の用心」。 身近な家庭内やオフィスでもでコンセントが十分に差し込んでいない、たこ足配線、定格にあわない延長コードなどを見てぞっとすることはある。コードが長い場合に束ねて使用していることもある。熱をもっているケーブルを握ってギョッとしたこともある。

電気配線・設計・施工・メンテのプロによりなされたはずの首里城全焼の原因は電気系統のショートとのこと。 プロのはずなのでホント?と疑いは残るが、原因解析は専門家の方々にお任せして、判明しだい我々レベルで利用できる注意喚起をお願いしたい。

ここで、

材料屋からみれば、建造物の難燃化や不燃化処理してあれば、あれほどの規模に延焼することはなかったと考える。現在では木造の不燃化処理は可能である。製材をオートクレーブ(巨大が圧力窯)に入れてホウ酸化合物を圧入することが行われている。 金沢工大の露本研究室ではポリホウ酸ナトリウムを木材やポリスチレン、紙に塗布・圧入することで不燃化を達成しベンチャー起業している。そのほか、福井工大も類似開発、京都の企業は仏像の汚れ落とし業から木造建築の不燃処理に京大と組み不燃化処理をビジネスとしている。しかしながら、建築現場でカンナで削る作業が入ると厚み方向に不燃材が浸透しているのかが問題になる。

そこで表面加飾の漆自体の難燃・不燃化が必要となる。

漆の難燃化は電線ケーブルの難燃剤である水酸化アルミの粉末を配合する試みがあるようだが、恐らく40~60%配合する必要があるだろうから、あの光沢を出すのは厳しいのではないだろうか。この際、短時間で検討可能なハロゲン系難燃剤の適用を提案するのもありだと思われる。研究開発の時間が許されればリン酸エステル難燃剤、ポリリン酸アンモニウムのイットメッセンツ難燃処方が考えられる。これらは難燃剤。延焼時間稼ぎはできる。長期に亘って建築物が維持されるためには高分子量の難燃剤を漆と反応させることも考えられる。考えられる難燃剤として図の分子構造がある。この材料は単独でも透明で耐熱性があり、コーティイングなど種々の樹脂加工法が適用でき肉厚によっては不燃材ともなる面白い材料である。商品名は「SNOWIN」雪のように着火しないところから命名されている。なにか面白そう。

 

 

最後は何ごとも「地球温暖化説」を面白おかしく言う人がいるので、その人になりきり、無理を承知で珍説をあげると「電線ケーブルをかじる生物が温暖化で移動説」。筆者は若いころ通信ケーブルの材料開発に従事したことがある。通信ケーブルは国内だけでなく、海外にも敷設される。この海外での条件が、温度による劣化、紫外線による劣化などなど通常考えられる条件による劣化があり、当然のことながら材料に適用される。驚いたのは「ケーブル被覆材料のポリエチレンを喰う虫がいる!」 ゴキブリは日本のそれと違い巨大で集団で飛ぶと空が暗くなる程だと。蟻もアリンコなど可愛いものではなく、これもポリエチレン製ケーブル被覆に歯形を残す程の頑丈な歯をもっている。そこで、東南アジアへの輸出ケーブルには忌避剤が材料にコンパウンドしてある。実際に東南アジアの各種昆虫類による浸食テスト設備を電線・通信ケーブル製造会社は所有している。 首里城の延長コードに複数のショート痕が従来沖縄に棲息しない動物によるものだとしたら、設計基準を変更する必要がある。あくまでも珍説であるのでご注意。

少しありうる仮説は美徳節電。毎日ブレーカーを落として閉館し、毎日ブレーカーを入れて開館するとある。個別のスイッチをオフにして、最後にブレーカーを落とすのだろうが、そうでない場合は入れる度の起電は回路の疲労と関係しないのか?(衝撃電圧(サージ電圧)による絶縁破壊)。 ケーブル材料開発で寿命を規定するのは、n回テストした時の平均寿命ではなく、1回目で破壊するときの耐久時間を採用するというもの。確かに火災や通信事故は1回目が勝負になる。竣工以来1万回程度なので平均寿命としては考えられないが、n=1となると少しはチェックすることもあろうかと。

最近のスマホを充電すると「あなたの充電パターンから充電率80%にしておきます。」「明日の5時までに充電するようにします」の表示がでる。いずれ絶縁破壊センサーが開発されると建築・電力ケーブル寿命においてAI制御が可能になるかもしれない。

最後は標語のとおり、「ひとつずつ」には初期消火用のスプリンクラーや電気用消火剤(ハロゲンガス、炭酸ガス)などを砦として設備することは言うまでもない。家庭にある消火器の使用期限の確認はしよう。

都市魅力と経済性

奈良は京都に遷都する前は律令制度を確立した国家中心都市。いわずもがな東大寺、唐招提寺、法隆寺、斑鳩の里、春日神社、三輪山など史跡名勝に不足はない観光地である。日常の雑踏を抜け出し微笑みをたたえた仏像と相対しリフレッシュする人が増えているようだ。でも宿泊すると京都。ここが奈良の悩みである。京都には史跡名勝寺院の数・歴史の容量は圧倒している外に、重要なことは観光客の胃袋を満足させる「京料理」に独特文化、おもてなしが他とは違うところであろう。魅力パワーが違う。奈良にドリームランドがあったことを奈良の人さえ知らない。歴史建造物だけでなく遊びの要素も必要と為政者が考えたが長続きしなかった。規模・内容が市場とマッチングしなかった。今の関西の遊びは大阪ユニバーサルスタジオジャパン。 アクセスと遊びの規模と種類がポイント。東のデズニーランドと同様。

 横浜はどうか。浜が横に長いだけの漁村が突然の蒸気船。それ以来、開港160年と歴史は短いが日本の夜明けを迎えた都市であり、シルクを中心とする外国貿易拠点として繁栄した。外国船のメンテナンスを要請されてドッグを建設。修理から造船所に変貌し工業都市としても発展した。みなとみらいに停泊している日本丸はNo.1ドッグ。水を抜いたNo2ドッグは隣のランドマークに原型を留めている。 造船所は南に移転して跡地がみなとみらい。

 今は観光アイテムの一つとなっている。ドッグを利用したJazz演奏、ジャグジー活動の場所として人気スポットである。みなとみらい地区はオフィス街であるが、遊園地、大型ショップがあり、連なる赤煉瓦、山下公園も含めるとヨコハマを味わい、住みたい土地として人気が高い。

しかしながら、奈良同様に宿泊となると必ずしも横浜ではなく、特にインバウンド客は欧米の風景と似ているのが影響しているのか、一気に箱根に行ってしまう。観光の要素「非日常を味わう」には箱根の日本建築、温泉、日本食は魅力だ。富士山の近くにいる雰囲気もある。有名な中華街は日本人には人気だが中国からの訪問者はやはり箱根や買い物の東京に直行。 インバウンド客の通過点になっている横浜。

 大型客船ターミナルとして「大桟橋」、大黒桟橋があるが、新しいターミナルとして「ハンマーヘッド」が11月1日にオープン。ダイヤモンドプリンセスが第一号船舶として停泊した。 大黒桟橋は巨大船舶に加え満潮が重なるとベイブリッジを通過できない暫定的なもの。商業船舶用港湾。ハンマーヘッドは客船専用2番目のターミナル。

一般的には船舶が停泊しない時期は閑散としているのが通常であるが、ハンマーヘッドは地域住民が毎日のように買い物や食事ができる設備に変えている。日本初のオシャレなレストランがあるかと思えば、日本全国から人気のラーメン店を集合させるなど、幅広い人を対象としている。ハンマーヘッドは民間経営である点が大いに違うところである。単なる通過点の場所にさせない意気込みはうかがえる。

その見本はなんと、野毛地区が見本ではないかと筆者は思っている。

野毛地区は桜木町駅を夾んでみなとみらいの反対側。戦後闇市の跡で、数年前までは5000円あれば3軒はいけた超庶民的な風景があり、赤鉛筆と競馬新聞を手に昼から酒の臭いにむせぶところだった。

最近では代替わりとなり若者が経営者となると、立ち呑みからカフェテラスに、時々ジャズ演奏と変貌。雑然100%から50%となりオシャレ度が増した。だがチョイワルオヤジの雰囲気も残っている。この渾然たる雰囲気を求めて東京から来る客もいる。銀座・六本木では肩が凝るのであろう。今流行の言葉でいえば「身の丈にあった場所で飲み食いしてリラックス」も必要。

 とすれば、街の賑わい(もとより税金収入が基本だが)には、学びのアイテム、遊びのアイテム、胃袋の愉しみ、そして次はデズニーランドやユニバに相当する大型娯楽があればと考える為政者がいても不思議ではない。大型娯楽として候補に挙がっているのがIR。ギャンブルの弊害を心配する市民の声がある。しかしながら筆者の僅かな経験でいえば、海外研究者を集めての研究発表会をカリフォルニア・リノで開催され参加する機会があった。リノはラスベガスと並んでIRの街である。発表を終えた人々が軽く遊びながら友好を深めるには絶好の場所だったとの印象がある。小銭でも愉しく遊べることができ、その場所では厳めしい学者の顔が子供のように変化し、人柄を知ることができた。若い時の財産になっている。

 伊勢佐木町&本牧ブルース→元町・ハマトラファッション → アンパンマン・ピカチュウ→次のアイテムがIRなのか、それともヨコハマは時代に置いておかれるのか。市長が民間経営経験者だけに舵取りに注目される。

おっと!それならば我々の会社が現状から脱皮して新しい方向に前進していないと同様のことになる。他人ごとではないのだ。

東京モーターショーから

ビックサイト西、南棟および青海地区と別れてのモーターショー。やや不便だけど東京オリンピックの準備でビックサイトの東棟は利用できないので我慢。行った日は雨降りだったが、多くの人を集めていた。ざっくりとした印象では

*軽自動車の充実。

居住空間確保に天井を高くし、ステップが低いのでお年寄りでも乗り込みやすい。国内自動車の40%の分野を占める軽自動車。競争が激化。半自動運転機能など充実。200万円台も。

*超小型車の提案。

現在の道交法では認可外であるが、コミュニティを変える可能性がある。過去・幾度もコンセプトカーとして提案があったが、社会生活パターンが合っていなかった。災害などを契機にコンパクトシティ化になると、実現することを期待。かかる提案が日本メーカーでなくドイツからあるのは意外。

*電子・情報産業の缶詰

半自動運転、視野拡大(画像、ミリ波)、コネクト技術などが主座を占め、自動車メーカーはそのハコモノ生産の立場になった感あり。ドライバー情報(体つき、スケジュールから)乗り込む前からシートの位置や行く先ナビ(半自動)設定、その他コネクト。。。。。

ずっと以前であれば、自動車の売りはゼロヨン何秒などを謳っていたが、今は「カイテキ・楽々・安全」がキイワード。パーツメーカーや情報産業の開発成果の組み立て産業の一つが自動車と性格が変わった。その翌日にホンダ部品メーカーと日立合併が発表された。

*プレゼンテーション変化

完成車を展示+ステージショーの組み合わせは例年通り。だが、おや?と思ったのはトヨタ。トヨタのブースにはクルマ展示がない。ステージのみ。パフォーマンスが圧巻。Fun to drive から Play the futureへ。

パフォーマーのパルクール(アクロバチック、スタントマン的)。三代目J Soule Brothers似の雰囲気。ダンサーのウエアや小道具には音楽に合わせて変化するLEDパターン電飾。トヨタはEVに出遅れているのでは?とのイメージを払拭させているなぁと強い印象をもった。実に上手い。センスがある。ただ、クルマ展示は関係会社ブースで展示。レクサスは別棟でと抜け目がない。

*社会への提案(1) 日野自動車の試み。 バス運転手の体調不良やミスによる事故対策として、運転手の異常を乗客が検知した場合、スイッチを押せば、自動的に安全速度・安全位置に停車させる提案。

トラック配送は喫緊の課題であるが、これも日野から提案。3Dプリンターによるトラック・フラットフォーマーを イスラエル企業と日野チームが発表。 

この応用例として宅配自動ロボを提案した。 配達はドローンやロボットでなく、Face to Faceが嬉しいとして運転は自動だが、 個別配送については商品を配達人の後をロボットが着いていき届けるというもの。配達人がリタイアシニアや主婦の運動+小遣い稼ぎの一石二鳥。 何年後には実現するのだろう。 包装しなくてもトラック内で自動包装する仕掛けもコンセプト。

 

*社会への提案(2) ヤマハ車椅子。 車両乗り込みなど段差があっても移動可能な車椅子があればと思っていた。ヤマハではモーターインホイル+前輪形状工夫していた。実用化可能性あり。今後は乗る人の身体的不自由さなど考慮した装置を狙うとのこと。社会に出る機会が増えることは良い。これに大企業が取り組む姿勢が好ましい。

 

*材料の軽量化

セルロースナノファイバーを樹脂に配合して強度を高め、その結果、薄肉にする試作品が多く展示されていた。環境省の肝いりで補助金政策の結果である。課題はセルロースナノファイバーの価格、及び炭素繊維複合材の強度に比較すると低く、薄肉化の程度に差があること、耐熱性は連続使用温度が多分80℃程度なので高耐熱エンプラが使用される部品には適用できない。 今後の開発に期待。All-CFRPボディ(車重855kg)と勝負できるか。

 

 

 

 

 

*タイヤの軽量化と空力特性

ヨコハマゴムでは10kg/個のタイヤを5kgの試作品を発表。確かにボディの軽量化が進んでいるが、タイヤは残る課題。また、走行による抵抗減少としてタイヤの側面に特有の出っ張りを設け回転すると空気抵抗が小さくなるとの計算と風洞実験で確認。これも実用化すると面白い。

 

 

 

 

 

*配布パンフ変化

今までは豪華印刷のパンフが配布されていた。今回はQRコード印刷の名刺サイズの配布がほとんど。これも時代。

*説明員

質問に対して的確な回答ができる説明員の配置。業界情報からクルマの性能までプロとしての対応が心地良い。そんなブースが多かった。マネキン美人コンパニオンの写真撮影する人は少なくなった。消費者の意識が変化していることは確か。工業系高校から団体で来ている学生に聞いて見た「先生から注目点など指導がありましたか?」。答えは「何も聞いていません~」 なんと勿体ない。 折角のプロの説明員と積極的に関わることで本人も、結果として社会もの作りの 基盤ができるチャンスであるのに。

*海外企業

フランクフルト、上海規模に比べると小さくなった。だが、逆に欧州経済の凋落、中国と米国の関税戦争などから、軸足を日本に向け始めた企業が出たことが注目される。