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運の相乗作用

富士フィルムが新型コロナウイルス治療に有効な製薬を有しているとの報道は海外でも話題になっている。富士フィルムが社名から「写真」を削除したときバイオ研究所を小田原に近接する開成町にオープンした。当時、豪華なインフラから何が誕生するのかと富士フィルム城下町でさえ半分信じられない様子であった。今回は傘下の富山化学の製品ではあるが、これが大きな起爆剤となってRDへの投資が進む。優秀な研究員を引きつける魅力が増加したと思われる。あとから整理すると企業が成長するには大きなトレンドに乗り、先行逃げ切りが有利であると言える。バイオに舵を切ったが、まさか新型コロナウイルスがアシストするとは経営者ですら思わぬことだろう。 

 自動車といえば、生産台数=会社規模としてトヨタ>日産>ホンダ>マツダ>スバル>>>三菱の順と誰でも答える。昔は日産=トヨタの時代があったが、現在のグローバル生産台数はトヨタが900万台に対して日産は500万台の6割程度と圧倒的な差がついた。ホンダも500万台でもたもたするとホンダに抜かれる。これを営業利益でみるとトヨタの2兆5000億円に対して、2番目はホンダの7,300億円、次いで2000億円にスズキとスバルが続き、日産は0.8億円。 トヨタはスバル、スズキと提携しており更に盤石に対して日産は0.3億の三菱自動車と組んでいるのは対象的。合理化として人員削減と生産拠点の閉鎖が待ったなし。ホンダは研究所を統合することでサバイバル策をとっている。 

(参考 日経Automotive2019 1Q決算)

 

 

日産は「技術の日産」を標榜し、プリンス自動車を傘下に入れてフェアレディZやケンメリのスカイラインなど都会的センスデザインもあり人気があった。最近は三菱自動車のEV技術をさらに進化させてEVに主軸を置いている。皮肉なことにEV車への参入は自動車専門会社でなくても可能となり、CASEのテクノロジーが差配するようになった。テスラを始め、グーグルもクルマ試作はしている。ソニーはクルマ生産はしないものの自社CASE技術のクルマ実践モデルを発表している。(CASE:繋がる、自律走行、共有、電動)

 トヨタはニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)の適用率の高めつつ、得意の原価低減、グローバル生産による地域事情による凹凸を平準化できる態勢を構築した。今回の武漢で日産とホンダが影響が大きいのに比較してトヨタは中国にも拠点はあるが、世界全体でカバーしている。

運に運がつく。最近の原油価格は20ドル台。これもハイブリッドには追い風となっている。ディーゼルで不正した欧州は一気にEVに傾いたが現実は進展していないようだ。トヨタのハイブリッドの欧州比率は15%程度だが、今後は50%までに拡張すると情報あり。ハイブリッド車の開発当時の狙いはスポーツ車。決して初めからエコではなかった。ゼロヨンのスタートはEVがエンジンより勝り、ロングドライブにはエンジンが請け負う。ディーゼルは燃費が良くEU内ハイウエーをロングドライブできる。これをハイブリッドが置き換えるだけの理屈がある。

 さて、自動車も「写真フィルム」のような時代が来るのではないかとの危機感をもっているのがトヨタ社長。マンションの駐車場が空いている。スマホでタクシーは勿論、バスも来てくれるトライが都市で行われている。世界不況も大袈裟でなくなっている今日この頃、高価なクルマが本当に必要か、見栄でもっていないか?。東京一極集中のみならず、政令都市、中核都市へ人口が集中する時代におけるクルマの存在価値は加速度的に低下すると予想される。駐車場利用料金を高齢者増加となると医療費、介護費負担に回すこともあるだろう。

 多分、トヨタ社長はその場合に人の生活に役立つモノのみならず、役立つソフトを組み合わせた理想的空間がありうると考えたのだろう。裾野にモデル都市をこれからつくると発表している。トヨタが研究インフラの一部を裾野に設けたとき、町の雰囲気が普通とは違うとは思っていただけに、計画が具体化するのが楽しみだ。昨日NTTと共同検討すると発表があった。

 バイクから自動車そして航空機まで発展させたホンダのDNAにも大いに期待する。さて、日産、銀座から生まれ故郷の横浜に帰ってきた。悪運を禊ぎして心機一転頑張って欲しい。

 総括すると 「幸運には更なる運が相乗する。その準備が大事、怠ると不運が」

テレワーク功罪

新型コロナウイルスの影響で仕事のやり方に変化がでつつある。典型的なのは出張禁止措置。代わりにTV会議の利用が増えてきた。従来は海外との通信には利用する以外は、装置は一種のお飾り的な存在だった。これが国内でも活用されると、画面の乱れや固定焦点、マイクの性能など挙げれば欠点はあるものの、トータルすると「非常に便利」となる。TV会議を終えたところで、こちら側の人々とface to faceで会議の中身とこれからの方針などの意見交換をすると、意見の幅と深みが相当違うことがわかる。会議の目的と内容によって使い分けて行くのが現実的か。

事務所の応接室が利用禁止なので、申し訳ないが喫茶店をと指定してくる企業。喫茶店に行けばよく似たビジネスマンで空いている椅子を探すのに苦労。人口密度は企業の応接・会議室より高い矛盾。企業としての「やってます」的姿勢に呆れるが、実働部隊としてはネットでは埒があかない事案だけに、face to faceで事を進める必要がある。その事情はお互い様。

 研究所が閉鎖なので、サンプル受け取りは守衛さんとして下さいとの連絡。守衛さんから体温チェックを受け、アルコール消毒をしてから入門票に記入。でも研究所建屋とは別の小屋にサンプルが置いてあり受領。普通ならサンプルに関する生の技術情報交換をしつつ受け取ることで、技術的にも人的にも効果があった。でもこれが出来ない。

今回の負の影響はこちらが圧倒的に大きい。研究所でもシーズテーマは少々時間的余裕があるかも知れないが、他社とのコンペを展開中のテーマを抱えていると閉鎖は実験・確認が出来ないだけに厳しい。特に長期物性 例えば材料の繰り返し疲労特性、吸湿による材料変化、ヒート&クール試験、耐候性評価などは短期間でも3ヶ月、長いと3年もの間データーを蓄積している。

筆者の場合は大学の研究インフラを利用している。入試の季節になると大学は閉鎖となるが、当方には2年の吸湿状況をフォローするテーマがあるので、入試期間中のデーターは信用性がなく、前後のデーターで補正するしかない。今回、新型コロナウイルスで突然学長命令で1日閉鎖した。たった1日でどうにかなるモノではないが、大学としては「やってます」態度を見せることが重要だった。

 さて、多くのビジネスマンは自宅勤務を強いられている。ネットのセキュリティ問題もありパソコンの持ち出し、自宅での使用を禁止している企業が多いが、こうなるとどのような対策をしているのだろうか。自宅勤務も既に3週間。部屋のドアには「勤務中」の表示をして意識強くしているが、つい、キッチンでコーヒーを淹れたり、TVを瞬間点けたりと緊張感がやや欠けてくるのも事実。でも家族の監視の下では「会社での働き以上に見せる」必要がある。起床するや洗顔する前にパソコンを起動、そのまま仕事に突入。いつ朝食を摂ったのかも怪しげに、ずーっと仕事・仕事・仕事。 極端に言えば、就寝中に目が覚めるとパソコンの生活。働き方改革としては如何がるものか。通勤時間カット分はできるはず。。。。だが、そのテレワークの結果はコロナウイルス騒動沈静後に判定されるであろう。

飲み屋さんも人が減ってきた。最近はZoom Cluster で仲間同士でバーチャル飲み会参加、ゲーム参加のみならず、学会も開催がなされている。仕事の机やソファーで缶ビールを空ける。個食よりはずっとマシ。でも、これって若い人ならばこそ容易にスマホ・PC操作ができるからである。シニアも邪魔にならないように配慮しつつ参加しないと会社でも片隅に追いやられ、情報化社会でも参加することができず。世の中に自分の姿が見えない状況になってくるかも知れない。と思うと、自宅勤務をチャンスに変えて挑戦しなくては。

 先日、中小商社のご高齢の社長から至急合いたいので来て欲しいと電話。時間指定。行くのは気晴らしもありいいのだが通勤ピーク時。気持ちマスクの内側にさらにガーゼを追加し、伊達眼鏡を装着。至急とは何でもなく、過去と同じ案件で答えも繰り返し。この年齢で社会が見えていない。決算は悠長なことを言える立場ではないのにと。中堅社員とランチを共にしたところ、ズバリ懸念材料がゴロゴロ。ネットには挙げられない生情報は貴重だ。

 景気が落ち込むことで、いままで、違う分野だからと知らなくても良かった言葉を普通の人でも「常識」として持っていないと拙いことになってきた。 先日、ある社長との会話で「DESをやられそうなんだ。」と。そうデスかと相づちを打ったものの、売掛金の借金棒引きに近い株にスワップするのだろうとぼんやり考えた。ドイツ銀行のAT1債のオプション行使しないとかなんとか。。。ちんぷんかんぷんの話は他山の石ではなさそうだと理解しても、それって日本の銀行と日銀がドンドン金を市中にだしていることとどのような関係があるのだろうか?と理系・文系に限らず理解しないといけないのだろう。両方の話も共通しているのは自己資本を強化するか守るかであろうが、願わくば他社資本率を下げるための、貸し渋り、貸し剥がしの言葉はもう聞きたくない。

筆者が関係した企業ではROE数値がある基準を超えないと世界の投資家から見捨てられるとして、ポートフォーリオの精査と実行をした。他社に譲渡した事業が多くあった。しかしながら捨てられた?事業はその後大復活! 育て方に問題があったのだ。目の前のROEを満たすために物理的な処理は長期的には本当だろうか? 投資家はROEだけを見ているのはないはずと思いたい。思うに無形財産の蓄積量・質がこれからの投資基準になる。そのことは別の機会にブログを書く予定である。自由時間が増えた分は「常識人」に近づくためにも。

 何でも、表があれば裏がある。良い面を考えよう。その一つがご家庭での役割分担の変化の機会と考える。家事負担の割合いを増加・子供教育のフォローなど相方に依存させていたことを学ぶことで家庭が明るくなると考えるがどうだろう。 

COV-19撲滅兆候と活動

明るい話題が徐々に出始めた。その一つが「ダイヤモンドプリンセスで陽性患者を受け入れた神奈川県立足柄病院から快復3例の報告」があり、二つ目は横浜市大が感染評価簡易キッドを発表した。まさに「やるぞニッポン」。 まず一つ目は

COVID-19肺炎初期~中期にシクレソニド吸入を使用し改善した3

オルベスコ(帝人)気道の炎症を抑え、喘息による咳の発作などを予防する吸入薬を吸引させたところ、快復陰性になって、入院時は歩行はおろか倦怠感、食欲なし状態から歩行まで可能となった高齢者の事例を報告している。 富士フイルム富山化学のアビガンや欧米の2候補の評価と比較して素人には分かりかねるが、最後はサイエンスに期待があるまる。

二つ目の横浜市大の簡易キッドは「ELISA法とイムノクロマト法を用いて、新型コロナウイルス患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体(IgG)の検出」法で測定器の外観は妊娠チェックとよく似ている。 原理は大学ジャーナル記事参照。

* ELISA 法(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay): 抗原または抗体を使った免疫学的測定法の 1 つ。試料溶液中に含まれる目的の抗原または抗体を、 特異抗体あるいは抗原で捕捉し、酵素反応を利用して検出および定量を行う。 *イムノクロマト法: 抗原抗体反応と毛細管現象を応用した免疫測定試薬。簡単な操作で病原体などを目視で検出するこ とが可能であり、15分~30分で検出可能とのこと。

写真はSARS-Cov-2検出器 既にインフルエンザウイルスや妊娠診断などで実用化されている。

 

庶民の現場と医者・歯科医の現場では相当の差がある。歯科医の場合は腔内との接触及び洗浄飛沫との接触があるので、殺菌には更なる注意が必要である。国立感染症研究所と国立国際医療研究センターは3月5日は医療現場における洗浄方法について発表している。アルコール、次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄も対象部位ごとに濃度を推奨している。これらは庶民レベルでも役にたつ

一方で、マスコミでは台湾政府のIT活用撲滅策が成功したのに対して日本は国際から非難されている。IT大臣はスマホができる理由で選任されたとかマスコミの口汚さには辟易する。 タレントと化した医師、厚労省OBなどコメントはいつも同じ。 そこで、発表されるデーターを違う視点で眺めたらどうだろうか。日経3月7日時点での世界各国別発症地図が掲載されている。

発症地の中国との交流度合い、距離、人口、人口密度、医療体制など複雑な関係があるので、一概には言えないことを前提にして、とりあえず、発症数と人口、発症数と人口密度のマップを作成した。

その図を眺めると、面白いことに気がつく。

中国、韓国、イラン、イタリアが人口見合いで突出している。次のゾーンが日本、ドイツ、フランス、米国、台湾などである。 えっ?台湾は抜群の対策で発症数が少ないのでは?と思いきや、人口見合いでは同じレベルにある。

人口が多いが発症数が少ないのは中国との関係を政治的に抑制しつつある国か南半球の国々。 

次に人口密度見合いでみると、台湾、シンガポール、香港が発症数が低いと分かる。中国系の人口が圧倒的に多いにも関わらずである。台湾はIT活用、シンガポールは不潔案件は罰金制度が効いているのかも、香港はなんといっても中国事情を熟知するだけに対策もできているのかもと推定。あくまでも推定。で、日本であるが、マスコミ大好きな欧州(ドイツ、フランス)と同等・若干低いレベルにある。決して非難されることではないと思うがどうだろう。

この図では中国が人口密度見合いで少ないように見えるが、中国が2段階で発症数の算出を変更したことも影響している。従来の算出法であれば、このゾーンの右にシフトしてほぼ、イラン、イタリア、韓国とよい相関が得られると見ている。 米国は日本との人的交流に制限をしていない。 米国と日本は人口見合い、人口密度見合いで同じゾーンに属している。日本が米国を排除しない理由は米国が日本を排除しないことに通じるのが当然である。

さて、これだけクラスター禁止、在宅勤務、外出抑制で不便極まりないが、愚痴を言ってもダメで、この機会を活かして何をするか? マスクなどは前回取り上げたのでここでは、以前とは変わったなぁと思うところを挙げてみた。

  • 読書が増えた。図書館が閉鎖なので、本屋か物流業で購入している。
  • 5S 整理・整頓する時間が増えたことと、塵埃にウイルス付着しているのでは?と疑うと掃除をせざるを得ない気分に。 寒くても窓開け頻度が増えた。 考えたら、テーブルや床の掃除はまめな方だが、壁、ドア、天井はあまりやっていないことに気がついた。

壁材、クロス布などは初期は帯電防止剤配合されていても、寿命で効能は消失している。でエアコンなどの風で壁材・クロスの表面は帯電しやすくなっている。ここが掃除のポイント。掃除用具を買ってこよう。

  • 出張禁止でTV会議利用が増加。
  • ミーティングの人数と時間のカット。 極端には1:1の面談、時間は従来1~2時間から30分程度に圧縮。 やってみると、それで十分であることに気がつく。

でも、短時間で終わらせることにチカラが入り、欧米タイプの結論ありきを冒頭に話す人がいると、厄介なことに、日本人の感情では?がつき、再ミーティングが必要となる。やはり、漫才でも客のこころを「つかみ」が大事なように、日本人の会議では潤滑油が必要だ。

⑤ 歩数が極端に減少。 昨年の筆者の年間平均は7777歩/日。2月~現在では5600歩/日。外出抑制もあるが、移動には電車利用をなるべく避けてクルマに切り替えたこともある。これでは体力維持とはならない。なんとしなくては。

⑥ パン屋で包装されていない陳列品は買わない。 今までも美味しそうなパンがあっても包装していないと見送っており、包装されている定番だけ買っていた。逆にむき身でも購入する人がおり、トングを利用する人の気が分からなかった。先日から横浜の名だたるパン屋さんは個別包装するようになった。 これで安心。

⑦ これが最も大きい変化として、医学分野の文献を読むようになった。コロナウイルスがどのようにして体内に入り込み、コピーを繰り返すのか、その機作を説明した文献を多く目にするようになった。

その他、学校が閉鎖された対策として、理化への関心を高めるためのFB(未来館チャンネル)もあり、これは大人にとっても有益な勉強材料である。 さすが日本だと大いに感心。

庶民の新型コロナウイルス対策

新型コロナウイルスが衰えない。発生地の武漢から特別機で引き上げた乗客900人のうちの罹患数から経済数学者の高橋洋一教授はサンプル数としては十分だとして15%が罹患すると予想している。12000万人では180万人が罹患することになる。三重県(県別22位)の人口に相当する。その12%が死に至ると18から2万人と、いずれも尋常な数である。治療インフラとのバランスから発症ピークをずらす必要がある。そこで政府は学校閉鎖策をとった。大型娯楽設備閉鎖、動物園閉鎖、図書館も事実上閉鎖、コンサート中止、デパートは時短。一方で実施するかどうかは地方自治体・区役所によりまちまちであるだけに現場は混乱している。現場から通信簿をどうするかと教育委員会に問い合わせしたら「わからない」と言った東京都。小学校と幼稚園が同じ土地にあり、小学校は閉鎖、幼稚園は開園とチグハグの声が聞こえている。責めることはできない、それほど撲滅に殺気だっていると解釈をしたい。

 スペイン風邪(これもウイルス)の時の人口6500万人に対して死者数が45万人(7)の過去がある。これと比較すると低い。その間に医学・観察技術・医療・医薬面での進歩及び水洗トイレなど生活環境が向上したと評価することができる。しかしながら防疫態勢となると大正時代のスペイン風邪とあまり変わらない。

庶民にできることは、マスクの着用、手洗い、うがい、部屋の換気、こまめな掃除、タオルの共有しないこと、食器の加熱乾燥処理、そして十分な食事と熟睡して体力温存に努める事ぐらいしかできない。言うは易く簡単ではない。個人的なことながら幾つかの風景を。

 *マスク

ウイルスのサイズは約01μm (1万分の1ミリ) なので不織布からなるマスクでは本来はウイルスは通過してしまう。咳や唾となって飛ぶ飛沫のサイズは大きいので、患者から発するウイルスをトラップするには適している。人と人の距離を2m以上が好ましいとしているのは、咳・唾のウイルス含有凝集体が落下する距離を指している。では防御ではマスクは役に立たないのかとなると別の意味がある。マスクや眼鏡で顔を覆っていると顔を手で触らない。この効果が大きい。本気でマスクで防止するには活性炭層を有する防塵マスクの利用だろう。それも品薄と聞けば理化学の濾過として利用している濾紙(目開きは6μ)を2枚重ねてマスクに挿入することだろう。

電車での着用率をみると90%。さすが日本。ただ、薄汚れているマスクも見る。毎日新品は無理だ。薬局、コンビニ、ワークマン どこもない。筆者が偶々見かけたマスク配布の行列に並んでみた。残念ながら一人前で完売。途中で受け取る心ない人に邪魔された。列を知らずに手にしたものの気づいて戻した良心的な人もいたことで吉とした。

 マスクの再利用は×~△である。どうしても再利用するにはアイロン(PP不織布なので)低温を掛ける、熱水蒸気噴射もお持ちならやるのもありか。もとよりこのブログで紹介した波長260290の深紫外LEDに30分以上照射させることでも可能とは思われるが、既存のウイルスでは確認されているが、今回の新型ウイルスでは確認されていないので、そこは自己責任。でも上述のようにウイルスはマスクの表面だけに付着している訳ではない。裏側や紐にも付着していることに注意すべきである。

 *ドア・エレベーターボタン

中国でエレベーターのボタン押しに爪楊枝や側にティッシュが置いてある風景が放送された。接触感染。これはどこに潜んでいるのか分からないから厄介である。手であけるドアに躊躇することがある。手以外の部位で押し開けてもウイルスが付着することは分かっているが、筆者も時々やっている。これを切っ掛けに小銭・紙幣からキャッシュレスに移行する可能性がある。手洗いが以前より丁寧になった。手洗いの方法では2年前にブログで記載したが、見落とし部位は親指の根本と手首。流水30秒意外と長く洗う必要がある。

 *アルコール消毒

アルコール消毒液もドラックストアで品不足となっている。品不足だからといってメタノールを使わないよう注意喚起される程である。日本薬方局消毒用エチルアルコールである。ただ、濃度高く、頻度高くするとアレルギー性の人は発疹、はれ、灼熱感がでるので、その場合は使用は控える。

*部屋の換気

窓が開かないビルが多い。その分換気しているのだろうが、ウイルスキャッチするだけのフィルターの後始末の仕方に注意が必要。従来の業務用可燃物だとすれば焼却前の保管・作業状態もチェックが必要だ。

超高層マンションは知らないが、一般マンションや戸建ては窓は開閉できるので、寒いといって開けないでいるとウイルスが漂う空気を吸い続けることになる。窓を開けても壁などの断熱材の熱で部屋の温度はそれほど下がらない。

着替えするときに窓から差し込む光で衣服から剥げ落ちる繊維微粉末を見ることがある。なかなか沈降しないで浮遊している。あれより細かいウイルスは長時間漂う。通勤電車は相変わらず満員を運んでいるが、今は姿を消したが6ドア車両の方が換気には好ましいのかも知れない。後の祭りではあるが。

余計な話をもう一つ、海のマイクロプラスチックで比率が高いのは繊維屑である。摩擦摩耗により剥げ落ちて水に流れて海。それにタイヤと道路の摩擦によるタイヤ屑。嘘だと思いの人がおられれば玄関フロアが黒ずんでいるのは、タイヤ屑が靴に付着している証拠。

*睡眠時間と水分供給

カリフォルニア大の報告では6時間以上の睡眠が必要とある。これが意外と難しい。仕事が頭にあると、つい起きて途中で仕事をやり始める。働き方改革のしわ寄せで、仕事が集中する人が出ている。会社は重要な人材のことに配慮すべきではなかろうか。

 さて、上に上げた事例は庶民ができる話である。ただ今回問題になったのは、国全体、地方自治体の動きの悪さと受け入れ設備の不足問題。

 ダイヤモンドプリンセス号の対策は本来は船籍のイギリスがすべきところ逃げた。運営会社のアメリカも特別機をだして自国民を米国に移送したが、これも責任を取ろうとしない。。検疫は厚労省の仕事だが、下船した人をフォローするのは地方自治体の保健所が原則である。下船前から神奈川県・横浜が対応する必要は基本はないのだが、目の前の大黒埠頭に停泊の船をみるとそれぞれの範囲がコンタミせざるを得なかったのだろう。それでは下船乗客をフォローするのが地方自治体だとして、病院数・病床は十分なのか、検査態勢は十分かと言うと現実は厳しい。その背景にあるのは地方自治体の経済的疲弊問題がある。 関東圏の住みたい都市ランキング1位は横浜。その経済健全度の指標である経常収支比率(80以下はセーフ)をみると3年連続の977%前後である。100を超えると財政破綻(倒産)扱いになる。隣の川崎市も同様。補助金と地方債で辛うじて賄っている歳入もこの比率が高いと地方債の発行が不可になる。それだけ、全国の地方自治体は綱渡りの行政をしていることになる。なので何年に1度の疫病が発生しても柔軟に対応するだけの医療設備やドクターなどインフラを維持できないお寒い状態なのだ。

時あたかも226日に東京・日野市が財政破綻声明を出した.。 経常収支比率が100を超えた。 日野といえば日野自動車の城下町で筆者も大きな仕事をさせて頂いた馴染みの都市である。コニカミノルタも存在している。まさか、破綻するとは思いもしなかった。相当の無駄遣いをしていたのだろう。

横浜市はいま財政破綻寸前。だからIR誘致をしていると理解したいが、みなとみらいを見下ろす超高層市役所ビルが完成間近であることを対比すると腑に落ちないところもある。

横浜港大黒桟橋に停泊しているダイヤモンドプリンセスが市政に頂門の一針を刺しているように筆者には思う。ともあれ、今は国難。結束して撲滅にあたろうではないか。 

 

LOON SHOTS

景気が悪化している。GDP速報でもマイナス6%で今後の46月見込みでも同様な数字と経済評論家がレポートしている。新型コロナウイルスの影響でインバウンド客急減や国内行事も控えめになっていることから、消費税アップの影響は埋没しているように見える。が消費者心理はキャッシュレス優遇期間終了とオリンピック後を予想して買い控えの気分になるだろうとのぼんやりしたことを考えている。「景気」は名前の通り消費しようとする「気分」に左右されるが、その「気分」が出ないと、デフレに舞い戻る。ここ数日の円安はある意味「日本売り」であり、従来の円安歓迎とは言えない窮地に追い込まれている。バブル崩壊後の30年のデフレスパイラルはもうゴメンである。

若い人の労働機会が収縮し、賃金は上がらず、65歳定年を無事終えた人が、年金は減額が予想される中、100歳までの30年をデフレ景気でどう暮らしていくのか路頭に迷うのも容易に想像できる。

言いたくないが「一律の働き方改革」も景気の足を引っ張っている。外注で仕事を出したところ、少しだけ残業すれば1日でこなせる仕事が2日かかったので2日分を請求されたことがある。顧客は離れていく。祝休日も多すぎる。だからAIだIOTだと聲高に叫んでも、その導入資金が零細企業にはない、また導入しようにもSEの人不足、能力不足で、装置・システムを導入したものの、稼働せず、事務所、工場の片隅に布を被せて放置したままの風景をみた。それも数多く。

 今は確定申告の時期。徴税を目こぼしなくやれば、少しは正常になるはずだ等、なんだかんだと専門以外のところで言ったところで埒があかない。

自分のフィールドで何ができるか? それが重要である。

 そんな時に目に付いた書籍がサフィ・バーコール著のLOON SHOTS である。(日経BP社) 表紙には「クレイジーを最高のイノベーションにするルーンショット」「周囲から非常識・クレイジーと思われて相手にされないが、実は既存の常識を覆し、業界や世界までも変える 最重要ブレイクスルー・アイデア」「非常に脆く、潰されやすい。優れたアイデアは3度死ぬ」「突然、組織がルーンショットをうみだせなくなることがある。それは相が変わったからである。相転移の科学を使えば状況をコントロールできる」とある。 相転移については前回のブログで紹介した。

社員が相転移しないで、現状で満足し、リスクを取る冒険をしないマジックナンバーが記載されている。ナルホドと思うところがあるのでご参考まで。

  M=ESF/G  E;エクイティ比率 S:マネジメントスパン(組織階層数)

F:組織適合率 G:給与もアップ率

Mが大きいとリスクがあるプロジェクト推進よりは社内政治に力配分する。

S:組織の階層数が重厚であるほど2乗で聞いてくるので、組織スパンの見直しだけでもこのマジックナンバーは変えることが可能。勿論Eが大きいと現状に安住し、給与アップが小さいとやる気を失う。のは分かる。問題はF:組織適合率。社内政治に対する防御壁となり、社員のスキル養成を重視し、社員とプロジェクトを的確にマッチングする係数(スキル/社内政治の比率)。 具体的なマジックナンバーについては米国企業248社を調査してM=150を境界として社員が社内政治で昇進を図ろうとするとの結果をだしている。

大企業でSが大きく、給与アップ率が小さいとなると、社内営業が昇進には手っ取り早いと考えるのが自然。植木等のスーダラー節。今の時代にそんな….と思う方もおられよう。だが、まだまだ存在している。リスクを取らない人が出世する事例を挙げるまでもない。

 逆に社長と自分の距離・階層が少ないと、クリエイティブにならざるを得ない。そう考えると、ソニーは東京通信工業として20名でスタート。「人のやらないことをやる」を掲げて成長した。社内営業どころではなかった。既に大企業になってからも半導体の成長軌道に乗っているC-MOSSSDの陰に隠れて、優れたアイデアも3度死ぬを文字通り経験した。初期のC-MOSの欠点を違う視点から眺めたこと、なにくそ精神とチームワークが成功をもたらした。

 違った視点で眺めることの重要性は筆者も最近経験した。それは難燃剤を開発していたときに起こった。樹脂の中に配合して樹脂を難燃性にする添加剤である。樹脂と難燃剤を2軸の混練性能の優れた押出機に投入して加熱混練し、ついで試験片を作成して燃焼試験をしたところ、全く難燃性を示さなかった。難燃剤が配合していない樹脂と同等レベル。このようなことは経験しなかった。普通は「この難燃剤は×」として、外の難燃剤を評価するところだが、余りにも効果がないことが気になった。実験方法が間違い? 相手の樹脂が間違い? 押出機が間違い、、、といろいろ考えて行くうちに、突然の啓示!? 

難燃剤を外の難燃剤と同じような視点・視線で見ていたことに気がついた。この難燃剤の性格が活きるようにしてやれば、どうなんだとの実験をしたところ、全く世の中にない効果を発現することができた。それから4年経過。

M値が高い企業では相手にされなかったが、閾値の好ましい企業から声がかかったことで市場に展開することが可能となった。マーケッティングでも犬も歩けば棒に当たるような無駄な行動よりはM値を参考にした方がクリエイディブ商品の展開は速いと理解した。

近々、これが皆様の目に触れることになるが詳細は今のところここまでの開示に留めておきます。特許は2件出願しいずれも登録されている。

(ご注意:会社全体のM値が高い場合でも、例えば社長特命直轄テーマとして運営する場合は極めてM値が小さく成功する事例が多い)

アルコール分解遺伝子2・深紫外LED 殺菌

以前(2020.1.15日付)ブログでアルコール分解遺伝子について記載した。アルコールがアルデヒドに変化する際に作用する遺伝子とアルデヒドが酢酸に変化する際に作用する遺伝子の両方があり、それぞれ、祖先時代の遺伝子とその後変性した遺伝子の組み合わせが4種類あることを説明した。そのブログの最後のところで、変異が起こったのは中国南部であったと別の論文を引用して紹介した。現代化学2月号に変異遺伝子の世界マップが掲載されたので、まずそれを紹介する。

 

 

ALDH2 はアルデヒド分解変異遺伝子、ADH1Bはアルコール分解変異遺伝子である。

中東地区とアジア地区が変異遺伝子を多く有していることを示している。両方に共通しているのが、葡萄や米から酒を発明?した地域である。酒を発明しておきながらアルデヒド分解が遅い遺伝子をもっていることに疑問を持ち、仮説を立てたのが東大の太田教授。その説によれば、アルデヒドは毒である。二日酔いがアルデヒドのせいであると日頃痛感している人は直ぐに理解するであろう。こともあろうに病原菌も生きられない。この説が正しければ顔が赤くなってアルデヒドが分解しにくく体内に滞留時間の長い人は病原菌に対して強いことになる。祖先型の遺伝子を持つ人は幾らでも酒が飲め、顔色変えないでぐいぐい飲めるのんべいは病気に罹りやすいとも言える。アルコール分解もアルデヒド分解も変異遺伝子をもっている「いわゆる下戸」はそもそもアルコールを口にしないので、それでは病原菌には弱いかもしれない。その説が本当なら、アルコールが飲めない体質であっても、少しは飲むことが好ましいことになる。多くの人は少しではモノ足らないので。。。を続けるとアル中が待っている。両方とも祖先型遺伝子はアル中まっしぐらで、かつアルデヒドがたちどころに酢酸になるので、病原菌耐性は低い。

太田説によれば、稲作が発達して住民が集中して暮らすようになると生活環境(水、排泄物)汚染が激しくなり、それを防止するために強い遺伝子が残ったのであろうとのこと。

サーズ、マース、鳥、豚、新型コロナウイルスの発生地は申し訳ないが中国南部に集中している。新型コロナウイルスに対しての遺伝子変異が将来起こるのではなかろうか。その前にとにかく清潔にすることが最優先される。

【深紫外LEDによる殺菌とは】

弊社では波長265~290までの深紫外LEDを利用した空間除菌装置を居住・来客応接・製品倉庫にに設置した。日機装株式会社 製品名Aeropure である。深紫外LEDはノーベル賞の天野教授と日機装の研究成果である。製品寿命と波長はトレードオフの関係があることを日機装がブレークスルーして石川県白山市で量産化。今回の新型コロナウイルスの影響から、急遽、増産生産している。ただ驚異的な引き合いに生産が追いつかない嬉しいのか哀しいのか悲鳴を上げている状態である。清潔維持に熱心な日本人を誇りに思う。今後はタクシーやカーシェアリングなどへ普及するのは時間の問題であろう。

 

殺菌の機作(メカニズム)も追求されており、深紫外線を照射すると、効率良く塩基(チミン/シトシン)が二量体となり、細胞分裂阻害などの機能障害を引き起こす。DNAに直接作用するため、耐塩素性の菌にも有効に作用し不活性化する。

歯科ではLED殺菌水での口腔内洗浄や光重合用光源にも利用できる。

深紫外線は樹脂の官能化にも査証して印刷、接着強度、他樹脂との混合分散改良などにも利用できる。分析用光源への応用も期待されている。

さて、閑話休題。

話を戻して、アルコール分解変異遺伝子の図をよくみると、また違う様相を呈してくる。それはアルコール分解変異は中東で起こっている。筆者にはシルクロードを伝って中国及び日本に到達したのではないか????と(これは)妄想。中国南部では人口が急増したのでさらにアルデヒド分解が遅い遺伝子に変異が起こったのではないかと。俗説ではユダヤのヘブライ語と日本語・日本文化との類似点を多く例示している。カタカナに始まり、祭祀、相撲にいたるまでユダヤとの交流が紹介されている。だが、俗説の領域を出ていないと言えば、その説提唱者から叱られるかも知れないが、遺伝子分析などでの解明も一つの方法ではないだろうか。

文献

現代化学2月号 新村義人 お酒が飲めないように進化した日本人

日機装 技術資料及びカタログ

企業の相反転

子供のころ模型に利用する小型モーターといえばマブチモーターだった。小学校の夏休み宿題ではエレベーターを作った。長じてラジコンカー製作にも利用した。この小型モーターなしではクルマは成立しない。ウインドウ昇降のみならずモジュール内に数十個が内蔵され、更には、パワートレイン駆動体として利用が拡大している。その先頭にいる企業が日本電産。

日本電産の永守会長は一代で世界的大企業に成長させた。 先日、京都銀行が主催した永守会長の講演会があり、非常に面白い話をきいたので紹介する。会社創立後間もない時に米国の3Mから現状のモーターサイズを半分にダウンサイジングする企業に300億円の注文を出すとの知らせを受けた時の状況が面白い。世界広しといえど手を上げる企業はなかった。日本電産社内も同様の空気であったが、永守さんは社員を集めて「できる、できる、できる、できる、、、、、と千回声に出させた」。千回を終わったところで、「どうだ、出来る気になったか?」と尋ねた。社員は「その気になりません!」ときっぱり拒絶。そうすると、永守さんは「そうか、では更に千回だ!」。2千回を終わっても社員はNO! ではもう千回。。。で合計3000回の“できる”を唱えたところ、ある技術者が「できるような気がしてきた!」と。その後の結果は推察のとおり「半分のダウンサイジングのモーターが完成した」

「できない相」から「できる相」に社員の意識が変換したのである。相が反転したのは、永守氏の信念。チョットしたことで、従来の常識から外れる仕業が技術の進歩や営業戦略にも見られる。パソコンで成功したマイクロソフトはパソコンソフトの相に甘んじていたことで、携帯に出遅れた。携帯で一時期飛ぶ鳥落とす勢いのノキアは今のスマートホンを見越して会社上層部に訴えたが、ノキアの携帯シェア相に安住して取り上げなかった。それが致命的で今ノキアのノの字もみない。相反転の切っ掛けを見誤ると失地回復は絶望となる。

筆者は講演を話を聞きながら、比叡山の千日回峰行を思い出した。7年間に亘って比叡山の幾つかの修行道場を走破する荒技を975日を終えたあとは、断食しつつ寝ずに真言経を唱え続けることで悟りの境地に近づく修行。苦行をするなかで見えてくることを求めてのこと。2回も行った酒井阿闍梨の話はNHKで放映されたので覚えておられることおられるだろう。

永守会長の“経典”とも言えるだろう“できる、できる。。。。”と相通じるものがあると思われる。ご承知のように日本電産は京都生まれ。比叡山は滋賀と京都にまたがる天台宗のお寺。NHK大型時代ドラマの今年は明智光秀だが、彼が治めていたのは比叡山滋賀側の入り口の坂本。

京都市は東山と西山に囲まれた盆地。西山を超えると亀岡市がある。京丹後の入り口である。ここ亀岡市に京都学園大があり、定員割れが続いていたが、理事長に永守氏を迎えると、文部科学省にモーター学科を設立したいと申請したところ、前例がないと文部科学省は拒否した。そこで、学科の名前は工学部電気機械システム工学科、ちゃっかりモーター開発を目的の京都先端大学として亀岡市から京都市内に移してしまった。入学者はあちこちの試験での落ちこぼれを歓迎。ここから永守流。関西の私大では関関同立がトップ集団にある(関学、関西、同志社、立命)。これに直ぐ追いつくとハッパをかけ続けている。追われる大学もオチオチしていられない。

で、逃げられた亀岡市の市長はあの土地はどうしてくれると質問した。その答えが面白い。それを考えるのが市長のあなただと。満場2000人の中で指弾された市長。市政の経営者が市長であるとの認識がなく、補助金頼りで経営感覚のなさを曝露された。これは亀岡に限らず、日本の地方自治体ではよくある光景だ。 明智光秀が天下取りを祈願したのが亀岡「時はいま、天が下知る 五月かな」 亀岡がチャンスを逃がしたのは歴史の皮肉か。

永守氏が京都学園の理事長になってくれた。これで安心だ。との相にどっぷりつかって、後はお任せの意識がドンデン返しにあってしまった。相反転しては元に戻らない。

企業が大規模になるほど相反転は簡単ではない。企業には将来を見据えて考える人材が存在する。但し、多くは異分子・異端児として組織としては邪魔扱いされるのが通常である。入社試験では従来より発想の異なる人をと言いながら、その上位概念はいつの時代も協調性が最も優先される。なので、相転換できないと異分子・異端児はスピンアウト、その結果、その企業は時代の波(昔は30年だったが、今は10年寿命)の中では衰退速度を速める事態になる。。

従って、社員からの相反転は極めて難しいので、経営者自身が異端児にならざるを得ない。そのような会社は成長を維持できる。 経済同友会前会長の小林喜光が三菱化学(現ケミカル)社長当時、社員にAPTSIS方針を掲げた。Agility(早く)、Principle(原理原則),Transparent(透明性)Sense of survival (崖っぷち意識)Internationalization, Safety, Security, Sustainability であった。社員にAPTSISを唱えるように標語をあちこち貼ったが、異端児の筆者でさえピンとこなかった。 社員の反応状況を見た小林は新たにKAITEKIを掲げた。こちらは社員に素直に受け入れられた。 インパクトのあるメッセージはコンパクトであるべきである見本のような事例である。 その結果、具体的な素材、機能材料、商品開発へ面舵をきりはじめた。 永野流の“できる3000回”と同じ効果だ。 図はそのプロセスを概念化した。

只今現在取り上げる例としては良くないが、ゴーンが日産に来た当時の日産は次年度予算・技術目標を立てるに際には、できそうな目標を毎年繰り返していた。ところがゴーンは到底不可能と思われるレベルを掲げ、できないと承知しないとの強面路線を敷いた。これに反発して当然だったが、なんだかんだやれば無理筋目標が達成したとの話題を提供してくれたOBがいる。そのゴーンは連れ添いの色に染まり、当初の無骨男から金の亡者に相が反転して転落した。

企業も個人も「現在、どの相にいるかを認識し、異次元の相が次にやってくることを意識する必要がある」のだろうと思う。

新機能材料展・木材の進化

1月末に新機能材料展があり見学した。カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、バイオ生分解複合樹脂など多彩の材料が展示。 ポスト5G狙い材料や環境対応材料が目白押しのなか、古典的材料とも言える「木材」に注目した。数年前から建築展では欧州の木材が高層建築物に利用されていることは知っていたが、日本の消防法等の壁があり、そう簡単には認可されていない。だが、新国立競技場が鉄骨と木材の組み合わせで巨大な建築物が成立することを見せてくれた。

 

これが実現したのはCLT(Cross Laminated Timber)と言われる多層直交集成材技術。木材の繊維方向は大陽の向きに従って、概ね垂直であり、また年輪があるので、製材は長期的使用では湾曲する。そこで、炭素繊維複合材でも行われている(+90度・+45度・-45度・-90度)のように繊維を多軸方向に揃えることを転用して木材繊維を直交させ・接着させることで多軸方向への強度維持ができるようにした。

 

ノルウェー、スイス、カナダなど木材資源が豊富た地域では建築物が増加しているようだ。
ここからは日本技術の出番。CLTはCLTでもひと味違いを見せてくれたのが山形県天童(将棋の町)にある天童木材。

主として杉の有効利用として伐採・製材までは従来通りであるが、その先が製材をローラーで圧縮し難燃剤を含浸させ、膨張することで内部まで難燃剤が浸透する。以前にブログでも紹介した(主として)ホウ素化合物による難燃木材となる。さらに高温のロールで圧延・プレス加工を行うことで、椅子などの部品の多くが成形できることで、従来の切削、ほぞ加工、接着などの工程が省略できる。

 

 

展示会で注目あびるものとして軽飛行機のボディを製作してみせてくれた。この軽飛行機は産総研(森林)を初め東北地区の企業の先端技術を織り込んでいる。 Clay Teamとして出品

 

胴体 超軽量CLT
防腐・防蟻・耐候性付与
翼  改質リグニン利用複合材
コクピット フェノール含浸木材準不燃
プロペラ ナノクレイコンポジット保護塗装
高感度センサー内蔵木製操縦桿
ハイレゾスピーカーなどの技術がパッケージされている。

これらの各技術も従来より一皮剥けた技術として注目される。
かってクレイは層状構造を利用して層と層の間に有機化合物を峡雑して層間を広げ(インターカレーション)、それを樹脂とクレーをナノレベルに分散させるコンパウンド(ナノコンポジット)することで、強度やガスバリヤ-の性能を高める研究・開発が行われていた。しかしながら、ガラス繊維など安価な素材が強度は高いことから、今回は強度を謳う用途ではなく、金属の保護塗装材として活路を見いだしている。樹脂配合材料でリードしていたユニチカは樹脂着色がナノクレイ配合により鮮鋭性がでることを打ち出した。筆者はナノコンポジットが世の中で出現したときに、強度だけでは限界があると高分子学会の基調講演で話をしたことがある。強度路線を変更して新規な用途展開をしていることにホット胸をなでおろしているのが正直なところである。
今ブームのセルロースナノファイバーも強度・軽量(比強度)だけの売りでは同じことになるのではないか、セルロースナノファイバーはその特徴を引き出しての用途にこそ広がるのではないかと考えている。
バイオ・再生材として木材の利用効果は海の豊穣さに影響を与える。森林での栄養素が海に流れることで、プランクトンが成長し、魚介生産量が増加する。結果としてバランスのよい食事が摂れ健康寿命にも貢献するのではないかと期待される。ここ横浜にも昨年から木造の高層建築が着工されているとのこと。
ただし、木材を手放しで歓迎するまえに、木材は植物同様、その場所を離れることはできないので、動物などの危害を回避するための忌避成分を含むことがある。アトピー疾患の木材もある。またCLTの接着剤もホルムアルデヒドような成分は今はないが、硬化剤の動向などにも注意が必要である。健康面でも先進国である日本が果たす役目はある。

出典
新国立競技場https://www.jpnsport.go.jp/newstadium/
航空機 天童木材
圧縮プロセス 天童木材カタログ
CLT構造 日本CLT協会

パーセント泣き笑い

嘘のようなホントの話。量販店の入り口で5割引きのチケットをもらった人が、ある売り場で「あっ!ひゃぁ~」と大きな声をあげた。一緒に行っていた知人が「どうした!?」と声掛けしたら「ただやッ!」と。賢明な諸氏は既にお分かりのとおり、この人は商品には5割引きと表示されていたのを見たのだ。5割と5割チケットで合計10割=無料 の式が成立したのだ。念のためこの人は大卒。数学が嫌いで数学を扱わない文系の道を究めた??にしても、小学校で算数は勉強しただろうに。で知人は面白がって、「では塩濃度10%の水がコップにあるとして、この半分を外のコップに注いだら、残りのコップの塩は何%になった?」と聞いてみた。結果は首をかしげるだけだったと。もはや、落語の熊さん八っさんと同じ。落語が成立するには、それをバカにして笑うだけの学力ベースが庶民にあってのことなので、嘘のようなホントの人は江戸時代の庶民より学力が低いことになる。大卒でありながら。
文系を馬鹿にしてはいけない。就職率が高いことで有名な工学系私大がある。入学してくる学生に小学校の分数から教え直しをしている。入学当時は1/3+1/2=2/5を回答する学生も珍しくないようだ。分子同士、分母同士の足し算をしている。分数の本当の意味が教えられていなくて、形式で答えをだすような訓練をしてきた結果なのだろう。この大学の名誉のために付言すれば、卒業性は企業から引っ張りだこなのだ。指導教官のご苦労がよく分かる。

昨年12月10日日経に%が分からない大学生の記事があった。記事になるからには相当の事例があるのだろう。引用する。

「%」って何でしたっけ?
日本人の数的思考力に関しては、20年にさらに危機的状況に陥る可能性がある。そう訴えるのは桜美林大学教授の芳沢光雄氏(数学・数学教育)だ。19年4月に『%が分からない大学生』(光文社新書)を出版。大学や中高の多くの教員と接する芳沢氏が、実際に学生らから「%って何でしたっけ?」と問いかけられる事例を聞く機会が増えたことに、危機感を示したものだ。」

どうりで、消費税10%に変更になったときに、計算できないのか、意図的なのか正しい数字とは言えない商品やお店があった。スーパーでは夕方になると5%~20%引きの商品がある。主婦は計算が速い。割引き後の値段を頭に入れながら、かごに食品を入れていく。予定していたより余りそうだとわかる自分へのご褒美のアイスを余計に買うこともできる。女性は財布が膨らむことや重いのは嫌う、そこでレジでは小銭分を上乗せして区切りのよい100円玉でおつりを貰うようにしているのが普通というか、今までの風景だった。レジが間違うことなく精算するのも凄いなぁと感心していた。大きなお札を出しているのは、申し訳ないが相当のお年を召して計算できないand買い物を経験が少ない男に決まっていた。
それが、いまでは①○○ぺいのスマホ頼りか ②レジ係はバーコードを読むだけでお金は隣の支払機にて客が操作することに変わってきた。因みに客が自動支払いさせるショップで、バーコードだけ読み取るだけの従業員に、これで働き方改革はできるねと聞いてみたところ、「いや大変なんです。自動支払いの方法を教えるに時間を取られるのです。。。」と何じゃこりゃ状態。

でも、偏微分や量子力学を毎日苦も無く駆使していた工学系の人が会社に就職し、専門職からジェネラリストに変わると、途端に算数ができなくなる。勿論加減乗除の算数はできて当たり前だが、ビジネスで最も重要なのが限界利益率の中身が分からない。職種によって一律ではない。そこも理解できない。初歩の簿記程度で商業高校ならおそらく初年度でマスタ-するのであろうが、まず、商業用語・簿記用語で躓く。資産の箱と負債の箱も分からないので、これは経理・財務のお仕事。第一経理ソフトが豊富だから処理は任せておけばよい。
なんて、考えているようでは勢いで起業しても潰れる。技術士になるには国家試験があり合格率は低い。それだけ専門性を求められるが、起業して繁盛しているのは少ない。現役当時に人脈と考えていた人は会社人脈であり、個人由来ではないことが大きな理由であるが、一方で、経理に疎く特に限界利益率を理解できない人が多いようだ。長期テーマで戦略的に当面は低くても耐えられるように、短期で限界利益率の高い商材をミックスさせて長期テーマのクライアントにも信頼をおいてもらうことを考えることが重要である。
その前に変動費、固定費など内容を精査しておき、バランスをとりながら成長させることの胆力が経営者にとってのイロハなのだろう。そこから課題抽出とアクションプランが見えてくるはずだ。

今週のブログは笑い話に終始した。しかしながら頭よい人はこれを上手く利用している。超ハイレベルの人材が集中している霞ヶ関の省から「日本財政は破綻している、負債は赤ん坊でも800万円を抱えている」などの説明をすり込むのが上手い。さすがである。でもそれではBS(バランスシート)の左側の資産は?となると言わない。右側の数字は間違いがない。嘘ではない。でも算数程度の話なので、我々庶民もついて行き意見をもつことは重要だ。愚民政治とは言われないように。

冬虫夏草って何?

日経1月11日記事に「70歳超えても働く」60代の54% 日経郵送世論調査。

(右図参照)

経済的理由が最も多い。男子の平均寿命81歳。健康年齢が72歳なので、ほぼ体が動けるうちは働きたいとの思いがあるとのこと。健康を崩してから旅行・スポーツ、趣味にと活動する余裕がない程になっている。

一方、定年延長がジワジワ延長され70歳も現実的に見えてきたことから「今のうちに」と45歳になったら、いや30歳台でも。。。と希望退職を募る一部上場の会社が増えてきた。 割増し退職金を払える体力のあるうちに整理し、次世代事業へのシフトを図りたいとの経営側の思惑を隠さない状況になっている。

働く側からみれば、本当の実力がないと若いから大丈夫とは言えないので、本気の実力形成にと刺激になるのは当然だが、経営マネジメント側には、貴重な人材を無駄遣いにしないで将来性を見抜く慧眼とそれまで耐える胆力が要求される。短期収益改善の人員整理するようでは尻すぼみしかないが、本当に会社の将来を熟考し、その上で人を整理することの苦しみを本当に味わった人は優れた経営者になることがある。

若い人より問題児になりかねないのがシニア層。 筆者がつい最近遭遇したのは某役所。シニアの担当者が困惑気味に画面とキイーボードを睨めっこ。ソフトが変更になって、どのFキイを押せばよいのやらと。気の毒になって「働き方改革のためのソフト変更でしょうね。そのうち効果がでますね」と同情。だが、隣の机ではサッサと処理。若い担当者。

かくいう筆者も名前がでてこないことが多くなった。「あの人、そうこんな感じ。。。」で、済むはなしと済まない話がある。 株式で認知症改善医薬品のニュースに超敏感に反応し急騰する銘柄があり、マイナスデーターが知らされると急降下、反証があると上昇のパターン。それだけ巨額の利益がもたらされるのであろう。ましてシニア層の対象人数は増加を背景に。

前振りが実に長い。長すぎる。 でも認知症がジワジワと進行する症状ならば、粘り強く時間を掛けて慎重に、なにより患者、対象者の人間性を尊重しながら、かつ目先の利益を優先しないでも研究開発をやり抜くことが天命だと長い時間を覚悟して取り組む必要がある。前振りもつられて自動的に長くなった。

暮れの漫才M-1で優勝したミルクボーイ風に言えば

ミルク「おかんがな ある老人ホームで服用している健康食品があって効き目が違うとか。でもその名前を思い出せないんやて」

ボーイ「なんか特徴がないか? 一緒に考えてみようよ」

ミルク「服用する前に、あてはまる項目にチェックを入れるんやそうな」

ボーイ「よく有るパターンやな。おかんはどれにチェック入れたん?」

ミルク「*やる気が維持しにくい *捜し物が多くなった *疲れやすい*目覚めが悪い、*興味引くものがない *身だしなみに気を遣わない*部屋の片付け面倒 *笑顔が少ない *部屋にこもりがち*名前がでない」

ボーイ「そんだけ覚えていたら、おかんは問題がないがな」

ミルク「でもな、孫の名前は覚えているのに、お年玉を渡すのは忘れとんねん」

ボーイ「そりゃあかんがな!」

ミルク「なんでもな。虫のようで草やって言いよんねん」

ボーイ「冬は虫のようで、夏になると草になると古来言われているものとチャウか?」それ虫と違うがな、カイコ蛹に生息する菌の一種や、草のように見えるんよ」

ミルク「えらい物知りの相棒やなぁ、冬虫夏草って言うのか」

以下は冬虫夏草の認知症改善に繋がる健康食品(医薬品のポテンシャルあると筆者は考える)の研究に携わった岩手大学 鈴木名誉教授を中心とする大学連携で文科省の科研費申請資料の一部から抜粋した。

カイコ蛹(さなぎ)に寄生するハナサナギタケから熱水抽出画分を老化促進マウスに経口投与したところ、空間パターン認識を司る(脳の)海馬CA3領域に発生した神経膠症が濃度依存的に消失し、老化促進マウスにおける文脈・空間記憶学習機能が改善することを明らかにした

(文献 機関番号11201 研究課題名 カイコ冬虫夏草由来のマウス海馬修復因子の構造解析とヒトへの応用開発)

 

要旨の引用を続けると、「培養アストロサイトに新規生物活性因子を添加することで、神経成長因子と神経成長因子油胴体の遺伝子が発現し、さらに神経初代細胞への効果として神経突起形成を誘導、このin vitroの分子構造に基づいて、老化促進マウスの脳機能は向上し、ヒトのアルツハイマー型認知症患者の前臨床試験でも改善効果が確認され、新しい機能性食品と医薬品候補を提案した。」 水溶性ペプチド誘導体構造を有する新規化合物を「ナトリード」と名付け。実証実験が行われている。

文献中 図4はナトリードの有無による2つの遺伝子発現の時間依存性を表している。

化合物の同定についても最新の分析装置により行われて、逆にそれぞれの各成分を反応により最終品を入手できることは他大学との連携で判明した。まずは、ラボから実用段階へ、その後の将来については合成も視野に入れるのであろう。もとより、健康食品としての成果を地道に、精度よく積み上げての、研究と同じ情熱で仕上げることが期待される。

因みに、この商品は第一工業製薬(本社京都)から発売されている。一袋はコーヒーの値段より安価な設定にして、長期継続服用を期待しているようだ。 大袈裟な宣伝は苦手な企業文化であるが、京都は土地柄、確かなものしか認知しないので長い目でウオッチが必要であろう。