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自動車動向及び新半導体の登場

球春を告げるオープン戦が始まった。日本ハムは二年目清宮の活躍した直後に戦線脱離、後がない斎藤佑樹の力投、中日新人根尾君のデビューと話題豊富。今年ほど監督交代が話題になったこともない。実績のある監督、高いコミュニケーション能力で2軍優勝をもたらした監督など。トップダウンで球団改造を図る巨人と選手のやる気を引き出すことに巧みな阪神矢野の試合は楽しみだ。

 不幸にしてCEOの乱暴狼藉やりたい放題で準備不足のチームがある。日産ルノー三菱自動車連合である。自主トレは各社実施しているだろうが、合同チームとしての開発は暫時休止せざるを得ないであろう。う開発や営業の現場としては離婚希望の声も聞こえてくる。

横浜駅から日産本社ギャラリーまでは遊歩道で直結していることもあり、散歩がてらに歩く。都度、新聞記者、カメラ陣が今日は張り付いているのか?をつい見てしまう。 いつもはE-Power車種が所狭しと展示してあるところが、先々

週の土曜日はステージに模様替えされてジャズコンサート会場に変身。大勢の観客の視線を浴びて山中千尋トリオの演奏。さすが日産だけに洗練されたステージ、音響、照明効果、ナレーションなど一流。山中千尋のパワフルなピアノに圧倒される。 小柄な山中さんのどこに凄いパワーがあるのかと感心した。

 おそらく聴衆はホールぎっしりの500人ほどいた。なんだか、戦う日産部隊への慰問ではないかと一瞬頭をよぎった。ジョージガーシュインのメロディなど演奏の終わりは出身群馬の八木節のフューチャー。民謡がジャズに変化するように横浜地元の日産も変化するように鼓舞しているように聞こえた。軽快なピアノ、ドラム、ベースのトリオの息のあった演奏は3社連合もかくあれとも示唆しているのか。

 そんな3社連合をよそに自動車業界は変化を続けている。ホンダの英国工場閉鎖は脱EUとは違うとは言えタイミングが重なり6000人解雇問題が英国経済に深い憂慮をもたらしている。一方、米国ではGMが2工場閉鎖を決めてトランプと対立している。メキシコからの再関税問題や、米国でのセダン販売は既に30%台で、従来のプラットホーム稼働率は低下し工場維持が困難な理由である。その分SUVにシフトし、かつトランプの環境規制緩和があり、パワフルなガソリンエンジン搭載となっている。ドイツはディーゼルへの回帰が必ずあると、このブログでも予想したが、アウディがディーゼル車を日本でも発売、これをみてイタリア・アルファロメオが自動車メーカーとしての存在価値はディーゼル車だとか妙な理由をつけて、これも日本へ持ち込むと発表。 スポーツカー人気もあり、トヨタはスープラやレクサスのスポーツ仕様も発表した。スープラに関しては生産台数が少ないこともあり、企画、設計はトヨタが担当するが、そのほかは、エンジン、組み立てはトヨタ以外の海外メーカーとのコワークで対応しているなど、なにがなんでも単独での生産よりは合理的な方法にシフトしたことが注目される。レクサスは炭素繊維複合材料により軽量化がなされている。

ここまでは、筆者の予i想通りである。しかしながら、専門外のところで予想が外れたことがあった。それはパワーデバイス。シリコン系から炭化ケイ素や ,窒化ガリウム に移行すると1年前の半導体の常識をお伝えした。 パワー指標を基準のシリコンを1とすると炭化ケイ素が340倍、窒化ガリウムが870倍だからである。 レクサスに炭化ケイ素を搭載して、順次量産車に適用するとの計画がある。ただ、炭化ケイ素ウエハー製造能力があって量産車適用は相当先になるとの観測が出てきた。

予想が外れたのは超大型新人の登場である。 トランジスターには電子を足らなくしたP型と電子をあまらせているN型との組み合わせが必要だが、P型として酸化ガリウムが、N型として酸化イリジウムをそれぞれミスト(霧状)に基盤に吹き付けて反応膜を生成させるという合理的な製造法を京大が開発。シリコンの3444倍高い効率を示すことが発表された。京大ベンチャーのフロスフィアが実用化検討を続けている。さて、これが実用化されるのが早いか、炭化ケイ素のウエハー製造能力整備が早いか、競争が繰り広げられる。どの半導体でも日本がトップで、自動車、電子産業などのもの作りに大いに貢献することは間違いない。

トヨタは炭化ケイ素の実用化を、グループ企業のデンソーはフロスフィアとの共同研究を実施しており、EVの立ち上がりには遅れをとったとしても抑えるところはシッカリ抑える。生産台数はVWにトップを譲ったものの、長期戦略は流石である。

写真はミスト法膜形成法及び直径4インチのサファイヤ基板上に Ga2O3薄膜を形成したもの(フロスフィアWEBより)

翻訳と科学創造性

京都。多くのインバウンド トラベラーズが訪れる古都であるが、グローバルにおいて存在価値が高い先端企業が集中するテクノロジーシティでもある。この短い文章にカタカナが5つ。分かるけど、まだ許せる。次は如何でしょうか。

「京都レジリエンシーシティ・SDGsフォーラム開催」京都市民への広報である。こうなると一体何を伝えたいのか分からない。市役所の役人でも理解している人がいるのか?と訝りもする。開催フォーラムの中にシンポジウムがあり、パネリストとして。。。? フォーラムとシンポジウムの区別は?パネリストのお名前を見て「なんだ座談会」かいなと分かる。

 レジリエンシーを日本語で言えば「災害、犯罪、貧困からの回復が可能な都市であり、サステイナブルで開発の目標を決める大会」である。これでも咀嚼不良となる。サステイナブル=持続可能として形容動詞が開発にかかるのか目標にかかるのか分からない。

 何故こうなるのか? カタカナの直輸入で意味を咀嚼し、わかり易いように意訳する能力に欠ける人が増えてきたことと、単にカッコしいで使っているかも知れないが、使っている人さえ概念を理解していないことが多い。旧制高等学校の学生がショウペンハウエル。イッヒ・リーベ・ディッヒと叫んで、意識が高いぞ!と自慢していたことと変わらない。庶民はカタカナ用語を多様する人は本当は分かっていないと見抜いているものだ。

 空襲と地震で壊滅的破壊された都市がフェニックス宣言したことがあった。こちらの方が一発で意味するところは理解できる。フェニックス=不死鳥は誰でも知っているからである。

 FB仲間の一人はビジネス・マネージメント・コンサルタント。この人が言うには「工業社会が終焉し情報化社会に世界が移行しつつある中で、先行している米国から様々な組織マネジメントの考えや手法(成果主義、目標管理、リエンジニアリング、バランス・スコアカード、360度評価、サーバントリーダーシップ、コンピテンシーなどなど)が紹介 されました。しかし、それをうまく日本の組織に取り込むことができなかった。」と記載されました。

 しかしながら、皮肉なことに成果主義と目標管理は多くの企業が採用した。採用できなかったのは全てカタカナ用語。日本語に翻訳か意訳がなされていない。これで概念から具体的な手法まで理解して実行するには無理がある。江戸時代はオランダからズックやランドセルが、ポルトガルからはカステラの単品商品はそのまま日本語にしてしまったが、哲学・概念はカタカナでは通用しない。逆に日本哲学や宗教を外国に知ってもらうには英語に的確な翻訳か意訳する必要ある。新渡戸稲造、鈴木大拙らが高く評価されている理由は的確な翻訳が出来たからである。

 明治の文豪は意訳することが富国にもつながるとして色々工夫をしている。正岡子規や森鴎外など。。。とFBで返したところ、もう一人の知人がこのような文献があると紹介してくれた。それが福田眞人の「明治翻訳語のおもしろさ」である。

 I love you.をどのように訳するか。意外に難しい。愛と訳すには仏教の愛とは違う。さりとて、恋、色恋、惚れた、ともやや違う。君を愛していると言っても日本人の琴線に共鳴しない。君が大好きだ!がまだ近いのだろう。この本では二葉亭四迷が浮雲の中でラブと表記し「愛=死んでもよい」と訳したとか。漱石は「月が綺麗ですね」と訳した。遠回りだが、前者は熱い情熱が、後者は好きですと平易な言葉では言い表せなく胸がときめいているのを敢えて抑えてやっと口にだした精一杯の言葉と解釈できる。この心の動きが読み取れるような意訳をしないといけないと考えたのであろう。

 日本の科学技術が強い理由として学術用語が日本語であり原理的意味が納得できる言葉であること、日本語で論文を読むことができることが大きく関係している。

全ての科学技術を外国語で対応している国は強くない。表面だけの成果に活用できても基礎技術が育たなくてと嘆いている国がある。日本人のOBがスカウトされて教えても、とどのつまりは結果だけ教えて欲しい。出世には手っ取り早いとのことなのだろう。創造性は基礎分野の掛け合わせが重要である。医学、物理、生物、化学、機械、電気電子、農水産、数学、計算化学などのどの分野においても即概念を理解できることが本当の強みを発揮できるのである。明治時代の翻訳・意訳された方々に頭が下がる思いである。 

地域産業技術研究センター

「産学官」連携に金融機関が加わり「産学官金」連携になりつつある。日本の産業は中小企業に支えられている。ただし先端技術をフォローするには産学官連携だけでは実用化が困難である。一方、特に地方の金融機関は貸出し利ザヤで利益を出す従来のビジネスでは通用しなくなっており、中小企業を金融面でフォローし育てざるを得なくなっている。

大企業は比較的財力に余裕はあるものの、最先端技術の間口が広すぎることもあり各方面で開発できる力量のある研究者に枯渇している状態にある。

このような諸事情の中、地域産業技術研究センターはもっと知られて良い存在であり、活用されることをお勧めする。ある産業技術研究センターでは大学・高専・隣接県の技術センターをプールした運用をするところもあり、大学から博士過程の学生を産業技術センターに派遣して実用技術を習得させることで、地に足がついた人材育成も実行されている。

各県の産業技術研究センターの発足は概ね明治時代の中期から後期に掛けて発足している。多くは繊維産業、窯業産業から出発している。繊維産業が発展して近年では炭素繊維複合材料となりロケット、自動車、ロボットに展開。織機が工作機械に展開し、現在では3Dプリンターにまでつながっている。

各県の技術研究センターの特徴は明治初期の産業を反映している。事例を挙げると山形県は蔵王・出羽三山からの美味しい水を利用した酒醸造へと展開、福井県は繊維から炭素繊維及びデザインセンターへ、鳥取県ではカニからキチン・キトサンバイオナノファイバーへと発展している。岩手県は南部鉄の歴史を踏まえ、鋳造材料を東北各県と協力しながら鋳造でありながら鍛造品レベルへの材料開発を実施するなど地域ならではの活動を見ることができる。

 それでは、大企業が集中している都会はどうか。産業技術研究センターが不要な大企業が多く存在している。さらに地域の特徴が取り立てて無い、と思われ勝ちである。しかしながら、中小企業は東京でも存在する。太田地区、多摩地区、葛飾墨田の城東地区などは、機械加工、繊維産業、江戸文化の新時代へのバージョン転換など工夫を凝らした技術で生き残りをかけている。太田区の城南支所は精密三次元寸法測定、CAD/CAMシステム、3D プリンター、最新電子顕微鏡SEM,TEMを揃え、金属、セラミック、樹脂の解析には相当のチカラを有している。多摩支所では繊維を中心としているが、コンピューターシミュレーションの開発にはレベルの高い人材を配している。城東地区はやや雰囲気が異なるが、例えば漆の原木を粉砕したパウダーに漆の液を混合し熱プレス成形すると一気に漆食器ができる。見事な仕上がりである。指導されたのが城東支所。お台場・青海に全体コーディネート機能と基礎研究センター機能を有している。

当方が良く利用するのは材料分析、熱力学的物性評価、形態観察などである。依頼する場合もあれば、単独で利用できる場合がある。共同研究も可能である。一番のお勧めは技術専門家との事前相談と結果に対する議論ができることにある。相談員の多くは博士、修士を取得し、大学や企業で専門職を勤められた方もおられる。民間分析センターは存在するが、例えば分析では赤外線でこれを調べて下さい。と要望すると、その通り回答がある。ただ、よく利用している都立産業技術センターでは、本当は何を知りたくて相談しにきたのか?の背景をよく聞いて、それなら、赤外よりも熱分解ガスクロが効果的ですね。とアドバイスがあり、それが的を射ていることもあった。また相談を受けた者や、実験に携わった人からみれば、現在の業界の実態を知る機会ともなり、双方にとって有りがたい存在となる。

 東京都に肩入れする訳ではないが、中小企業で料金が別体系になっており中小企業にとってはありがたい。他府県の企業でも都内企業と同じ条件で利用できる。また被災に遭われた地域に製造・開発センターを所有する東京都本籍の企業の場合は、無料にすることも(アイテム次第ですが)ある。これは石原知事の時から実施しているが、さすが東京だけの財力に預かっているが、でも、その決断には驚いた。 東北地震に続いて現在は熊本地震での被災者起業救済が行われている。

写真はお台場にある都立産業技術センターに展示してある3Dプリンターによる樹脂製バイオリンである。その製造までの工程で関わった技術は次の通り。(パンフより抜粋)

 *XCT 3Dスキャナーを用いたバイオリン構造データーの採取

 *3D-CAD ソフトによるリバースエンジと3Dデーターの構築

 *コンピューターシミュレーションによる構造、振動、音響の解析

 *3Dプリンター 粉末ベッド積層法

 *音色など各種測定

かなり広範囲なインフラと人材が必要であることが分かる。

そこまで対応できないこともあるが、例えば国の産総研やNEDOと組みサテライトを技術研究センターに置くことで迅速にして広い要求に備えるネットワークを構築したところもある(福井)。官ではあるが、なかなか民営のセンスがあると関心している。

♪ゆ~き~が~降る。あなたは来ない~。東京に雪が降ったので口ずさみたいところが、直ぐ降り止みトピーカンの翌日。情緒がない。友人からは「雪が降ろうが降らなくても、あなたはには来ない!」と言われたことも。空を見上げどこかにきっと と乙女チックな男は他にもいるだろうに。

雪国ではこんな暢気なことは言えない。毎朝、除雪してから通勤・通学する風景が当たり前で重労働の割に生産性は全くない。豪雪地帯がある。積雪量が多いのはわかるが、理解されないのは雪質。北海道や長野では粉雪で家庭でも買えるミニ除雪車で吹き飛ばすことで除雪が可能。だが、北陸地区では水分たっぷりなので吹き飛ばすことはできない。サンパチ豪雪(昭和38年)の時はスコップよりは氷屋で使う大型ノコギリでブロック状に雪の塊を立方体に切り取り、チェーンを掛けてお城の石垣のように積み上げたと聞いたことがある。それほどガッチリした固さの雪塊。日本海側を走る列車から田んぼの真ん中に高層マンションが建っている風景を良く見る。買い物には不便だろうにと思うが、さにあらず、雪かきをしないで済むことが最大の理由なのだ。北陸地区は豊かであるが、それにしても鉄筋コンクリートの建物が多い。これも除雪頻度を下げたいことにある。

雪のない地域に慣れ親しんでいると、この感性がない。湘南平塚選出の河野太郎のお爺さん河野一郎が建設大臣(今の国交省)だったとき、珍しいことをした。自衛隊に出動命令をしたのだ。隊員は北海道、三重、鹿児島の陸上自衛隊。火炎放射器を帯同しての突撃命令である。戦争でもない平時に隊員が一列に並んで雪の壁に火炎放射。大臣は半日もあれば解決すると談話したが、連絡がこない。雪は火炎放射に耐え?僅か半日で10cm溶けただけ。午後には燃料も尽き、火炎放射器をスコップに持ち替えての作業。ここでも誤算。雪慣れしている北海道部隊は活躍。雪を初めてみる鹿児島と三重県久居ヘリコプター部隊は足をとられ無駄な体力消耗で効率ダウン。

それ以来、道路には融雪パイプや道路ヒーティングシート(カーボンブラック配合樹脂)の敷設が進んで、往時の豪雪トラブルは解消した。。。。と思っていたら、一昨年は極僅かな時間に集中豪雪があり、それでは間に合わなくなってきた。 このときの国交省及び防衛省は反省をして精鋭部隊を送った。北極からの冷気吹き出し異常現象変化。酷寒の地に赴任している友人から試しにバナナで釘が打てましたなど報告があった。

さて、こうなると、自然天候との知恵比べが開始される。またとないビジネスチャンスの到来でもある。30年ほど前は雪雲が発生したら銀粒子を空に撒けば核となり雨に変わることを実証した事例がある。銀粒子に変わるものは何か??。そこは感性のある地域の大学などが研究しては如何かと。

春になると雪国の道路は地方自治体の経済状態のバロメーターになる。リッチな地方自治体はブルトーザーで傷ついた道路が直ぐ修復されるが、そうでない自治体が増えているように思う。田中角栄は新潟はどうして雪に見舞われるのか、越後山脈があるからだ、それならいっそのこと山をなくせばと考えても不思議ではない。列島改造論には豪雪地帯ならでは想いがあるように想像(妄想)している。

最後に、雪質のよい北信越スキー場で華麗なターンや雪をかき分けてのスラローム。ゴーグルを外さなければモテる。ところが中部飛騨高山や北陸のスキー場ではターン技術が未熟だと綺麗に曲がらない。ゴーグルを装着したままでもモテない。それほど雪質が違うのだ。長野オリンピックのルージュのワックスを設計した某大学教授は自信満々だったが、試合当日は朝からの雨、これで残念な結果。雨でも優勝できるWAXを開発すべきだったとは後の祭り。外見以外にもモテる要素が必要だと分かるのは年齢を重ねる必要がありそうだ。

因みに、雪面とそりの界面の摩擦抵抗を解析するにはトポロジーが差配している。このトポロジーを上手く利用しているのが3Dプリンター。 滑って転んでもただでは起きない感性も技術進展には必要だ。

剛と柔

入社して配属された研究室には115人がいた。5つの研究室でひとつの樹脂関係の研究所を構成していた。海外との交流もあり、文書作成にもそれなりの格調が求められていた。英語が嫌いで文系には向いていないので技術を選択したはずが、それでは通用しない。分かっている。だが、先輩が室長に提出した書類を窓を開けて外に放り投げられる様を目の前にすると指が硬直して動かない。 

 具合が悪いことに外国の技術者と情報交換する機会が来た。四苦八苦して作成した資料を上司に加筆修正して頂き、これで用意万端と会議に臨んだ。しかし、先方は書類のある一点を見つめている。英単語が理解できないとみた上司は厚さ15センチの古色蒼然たるウエブスター英英辞書を開きながら、「ほら!これですよ」と指し示した。格調のある単語には間違いがない。本当に知らなかったようだ。その時は上司の知識に驚いたものだが、あとで考えると日本人だって古文書を急に理解しろと言われてもお手上げで解説が必要。通じてなんぼのモノと思ったが、上司には新人だけに逆らえなかった。 言えば当方の稚拙な文章を説教されかねなかった。

英国人が感心するとは凄いですね~と。 持ち上げたのが災いしたのは、その冬にスキーに出かけたときに事件が起こった。T大スキー部出身の上司はチャラチャラした流行のストックは使わず、伝統のトンキン竹製にこだわる。かなり使い古している。環を止めている皮が切れかかっている。楽して頂上まで行けるゴンドラやリフトは使わない。ひたすらハの字スケーティングで山やゲレンデを登る。そして滑走。もう読者は想像できるとおもいますが、滑走中にストック先端の環が雪に取られてしまった。麓付近まで降りてきてから探してくるようにと指示。山が暮れるのは早い。雪に埋まっていてどこかも定かでない。またスケーティングで登り始めた。この無茶ぶり。今ならパワハラで訴えられるところである。今にして思うと世の中や会社のなかにも無茶・苦茶・理不尽は山ほどあるとの教訓だったのかも知れない。千本ノックなければ長島はミスター長島にはなりえなかった。

 時は20年経過し、プラスチックスの成分が川のオスの魚をメス化するとの小説がカナダの作家から発表された。社会にとって衝撃的な事案であった。関係する諸外国企業も憂い、協調して真実を追究しようと研究組織を立ち上げた。錚々たるメンバーが会議や夜の寿司バーで話し合う。医学用語が飛び交う場で、またまた小生の頭は???マークで埋め尽くされた。だが、面白いことに英文そのものは中学英語程度で会話している。それでいて皆さん上品。無理して格調高い単語は使用していない。相手の話をじっと聞き、間髪入れずに意見を述べる。当時の社長は医者の家系であるが、その雰囲気だけで言葉は平易であっても格調に化学反応で変化するものだと気がついた。 側に控えていた小生に医学用語をそっと解説してもらうことで、共通の場に居ることができた。 新人のころは「剛」をたたき込まれ20年後に「柔」を学ぶことができた。 「柔は剛を制す。ただし剛があっての柔」。

その事案から随分と経過した今。あの当時交流した会社・人脈とは全く異なる案件でも、「あの時の」の一言で例え初めてあった人も一瞬にして邂逅。そして本音で話しができた。これは有りがたいことだ。先日来日の客人。銀座もやや外れの串揚げ屋でざっくばらんなランチ。立て串だけでなく横串でも互いに協力しましょうと約束して別れた。

川柳・俳句・プロ魂

サラリーマン川柳100選が紹介された。そこで私的にも作ってみた。

「ヤバイの語源調べてマジ・ヤバイ」。 若い人の言葉は「悪い意味」なのか「良い意味」なのか区別がつかないことがある。「ヤバイ」とはその筋の業界用語だったはずなので、普通の人は口にするのも憚れる言葉だったはず。

「怖~、こわっ!」も驚いているのか、凄いと言っているのか分からない。TVで芸人コメンテーターが盛んに発している様をみると、正鵠を射た言葉を使って欲しいと思う。歯科技工の方が心をこめて作られた作品を患者が装填した結果「ヤバイです」と言われたら、ウ~ン??。この人には日本語よりGJor NG?と聞いた方がよいのかと歯科医。それとも本当に怖い「鬼のような怖~い歯」を作りましょうか?と突っ込みたくなるでしょう。

♪ちょっと前なら覚えているが、、、的な意味不明言葉に「シャレにならない」があった。上司の指示に対して意見が言えないで自分を無理やり納得させつつ上司にも一矢報いるために利用していたように思うが、「洒落」という言葉に失礼だといつも感じていた。もう聞くことはない。だからヤバイやマジも何れ消滅するだろう。

 川柳は人にまつわる悲喜こもごもを詠むのに対して俳句は風景、季節が人の心をどのように感動し行動したのかを詠嘆する。同じ五七五であるが内容が全く異なる。TVでの夏井先生とタレントの掛け合いが俳句人気を底上げしている。完璧な俳句よりも凡人の句を先生が詠み人の本音を聞いて句を因数分解のうえ加筆する。その工程の鮮やかさと、そのような発想があるのかと驚く。風景や心情を浮かび挙がらせる様は3Dプリンターの作品と同じだ。無駄がない。また無理にこじつけ感の言い方で恐縮であるが、拙作な文章を見事な切削で修正し本来の姿を表現しているとも言える。いつもながら感心する。キリに「や」なのか「に」なのかで俳句の趣が変化する。まさにプロフェッショナルの称号に値する。

 先日の豪州オープンテニスで優勝した大坂なおみ選手。プレーはまさにプロフェッショナルは言うまでもない。ランキング1位!。でも驚いたのはチャレンジ精度。審判・線審の判断が違うのでは?と再審査を要求する。その精度に驚いた。チャレンジは12回可能。肝心なところ(点においても、相手への心理作戦面)で使う。滅多矢鱈使っていいものではない。審判への尊敬と試合コントロールで決まっている。大坂選手のチャレンジは当たっていた。目で判断しているよりも、何千回、何万回もの体で覚えたストロークがアウトであるはずがないとのプロ意識がさせていると思う。

 これらのプロ意識は業種は異なるが参考にすべきだろうと思う。スポーツは元々dis port が語源と見たことがある。文字通り、port その場をdis 離れることが転じて運動になった。なにも運動だけでなく、お客様の場所に立って、もの作りの方々への場所に立って、技術開発の立場に立って、上司になったつもりの場所に立って、、、、いろんな角度からリフレッシュ感を現業に活用していくことは重要だと考える。

筆者もそうありたいと願うが、、、で句会に勤しむ家族に向かって、下手な川柳を最後に。

「句会の部屋、会食準備は俳句無縁のこのワタシ」

「あの人俳句のセンスあると先生言い」対句で「が・と・はの意味知り傷つくワタシ」

 

米国の原油とプラスチックス事情

<はじめに>

米国は国内シェールガスの生産量が増加したことで、①中東からの原油輸入に頼る地政学から距離を置き始めた②シェールガスの価格に引っ張られ原油価格はOPECが以前よりコントロール出来なくなってきた ③プラスチック原料としてシェールガスが利用され、大規模なエチレン、誘導体生産プラントの能増、新プラント建設が米国に軒並進展している。このところ強気の米国であるが、根本的に自前でエネルギー確保も原因の一つである。シェールガスについては2017.12.06ブログで触れたので参照して下さい。

今回は海ゴミ問題でプラスチックスが敬遠され新規大型プラントなどありえないとのイメージがある日本からみて、米国の事情を眺めた。

          参考)2019/1/14付日本経済新聞

3R意識>

日本ではレジ袋有料化やエコバッグ持参が進んでいる。海ゴミ問題でプラスチックへの潜在意識の流れが変わりつつある。如何にもプラスチックスは環境に悪いとのイメージが消費者の潜在意識があるようだ。このテーマについては、このブログでも取り上げたが、プラスチックはトータルのエネルギー消費、炭酸ガス発生量で計算されるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)では決して環境に悪い材料ではない。但し、より良い方向としては、3RReuse,Recyle,Reduce)を従来よりを進めることが重要であることは言うまでもない。

環境立国先進国を自負していた欧州の国は現実はゴミを中国に輸出して、自分の目の前はクリーンだと主張していたが、中国から拒絶されると頭を抱えている状態。フィリッピンでも某国に返品する動きもあるなか、日本のリサイクル商品は消費者の分別意識、業者の徹底した選別と洗浄など工程が優れクリーンだけに中国のプラスチック加工業者からの引き合いが非常に強い。プレスチックスペレット(粒)製造のコンパウンダー業界の稼働率が100%を越えている。日本以外の国とは対象的である。日本は環境先進国などと空威張りはしないが、着実に実行している。国際スポーツ大会で敗けても観戦後に掃除をしてゴミ持ち帰る若者は世界に衝撃を与えた。環境とマナー意識の高い国柄であるとの認識が海外に浸透してきた。嬉しいことである。

<米国プラスチックスプラント能力増強>

さて、日本でのプラスチックス製造能力はここ20年は横ばいである。中国、台湾、タイ、インドでの製造能力拡大が著しいのはご存じの通り。一方、米国についてはシェールガスを生産をしているから、安価なプラスチックスを製造するのだろうと漠然と思っていたところではないかと。

その漠然イメージがクリヤーになってきた。北米でのエチレン生産や誘導体のレジ袋メイン材料の高密度ポリエチレン(HDPE)の製造能力拡張・新設計画が目白押しである。

2013~2015年までにガルフ地区でのHDPEの能力増強分90万トン/年は稼働済みであり、2017年から2021年までに能力増強するのは295万トン/年と驚異的に伸びを予定している。2025年までに更に150万トン増強と、留まるところはない。この背景にはシェールガスが関係していることは言うまでもない。

米国は従来は中東からの原油を輸入してクラッカーにてエチレンなど誘導体を製造する一方で天然ガスからのエチレンを利用してのHDPEや低密度ポリエチレン(LLDPE)を生産していたが、シェールガスの生産量が増加するにつれて、中東からの原油輸入は減少し、むしろシェールガスを輸出するとの立場は変わってきた。

それでは米国は日本の製品構成群と似たようなプラスチックス用途に向けるのだろうか疑問が出てくる。

<新増設プラントのプラスチック用途>

先のHDPE(日本ではショッピングバッグ・薄肉高強度フィルムがメイン)だが米国のそれは中空製品とパイプで圧倒的パイプ用途とのこと。鋳鉄管では錆問題と地震に弱い。継ぎ目からの漏水があるなど欠点はあったが、大口径では樹脂では出来ないものもあり、依然鋳鉄管が利用されている。大口径パイプには機械設備投資が必要であり、かつ樹脂への信頼確認が不十分であることから見送られてきたことは事実ある。信頼性試験については北海道での埋設試験が漸く2年目で、日本ではまだまだ先ではあるが、ISO規格制定の作業はおそらく今年中には終わると勝手ながら予想している。

そうなると、パイプは大型需要となること、海ゴミ問題とは無縁であることが一層進むことが予想される。

かって塩ビはダイオキシン問題やなんだかんだと非難され目の前から消えたが、パイプは国内より米国の活発な需要に支えられ信越化学の収益率は化学メーカーの中でいつもトップの位置を占めている。

これのHDPEポリエチレンバージョン。でも哀しいかな日本の石化メーカーでシェールオイルに対抗するようなコスト構成、製造規模から競争力は低い。 

パイプ加工メーカーもトップ3強を除けば、弱小で大型パイプを供給する能力がない。各家庭へ供給する細い水道パイプの製造設備はあるものの、大型パイプ製造は試作段階にある。一方、鋳鉄に限らず鉄は安価である。なので、安価な製品を価格の高い(原料及び大型投資見合いでの加工費用)プラスチックパイプで置き換えことは、疲弊している地方自治体からみると、即置き換え実行とは行かない事情がある。

プラスチックパイプは①錆ない ②漏水がない ③地震など地盤が変形しても伸びて破断することはない ④極端にいえばトラックの荷台にパイプ成形機を設置して加工しながら現場で敷設することが可能 ④製品寿命は電力ケーブルなどと同じ添加剤配合をすれば100年は持つ設計が可能 とメリットは大きい。

事故、地震などで給水できないと水のありがたさが分かるが、長期的な経済性を理解して手を打つのも予算の使い方だと思う。

アクティブシニアとキョウイク

ある大学の卒業生で会社や大学を定年後も活動している勉強会がある。大学が違う小生が招集されたのは訳があるが、いつも皆さんの活発な活動に圧倒される。3ヶ月に1回の頻度で開催されている。持ち回りで研究発表をする。2時間を超える講演もあり、活発な質疑応答が繰り広げられる。議論が熱くなると英国テイストのティータイムとなり、後半のもう一つ発表を聴く。半導体の過去と将来をわかり易く、かつ次世代デバイスを解説し展望する人。国家戦略上負けることができないコンピューター特許係争を凌いだこと。工学部出身ではあるが芸術ディレクターとして活動している人は日本と欧州の芸術文化の違いを解説。つい最近はホーキング理論について。タイムカプセルの理論解析など学生時代をいい加減に過ごしてきた身としては、難解な理論をさらりと説明する人の粋で余裕のある姿勢は輝いて見える。なかなか高いレベル。

覚悟はしていたが、ついに小生の番となった。そこで、進展が速い「3Dプリンターのよもやま話」のタイトルで基礎からメディカルへの応用などを発表。コスモサイン加藤社長と共著の歯科技工紙連載2018年1月号~5月号)からもネタを利用した。進展が速い分野だけに、次の講演を依頼されてしまった。3Dプリンターが製造世界をどのように変えるのかに皆様の関心がある。

会社の現役を退いた人もいるが微塵もそんな雰囲気はない。講演・発表のあとは恒例の飲み会。質疑の続きや、近況報告など実に明るい。ほとんどは会社経営層や大学教授職を退いているが、起業や別の機関で現役を続行しておられる。何かの仕事をしていることが元気の素なのか、元気だから仕事ができるのか?多分前者であろう。

ある会社の懇親会で「キョウイク」が話題に。「教育」ではなさそうな話の流れ、やがてこれが「今日行くところある?」の略だと判明。定年で自由の身になったものの、やるべきことも無く、行くところも無く。行くところを考えるのもシンドイの話の流れ、やれやれ。アクティブシニア層と大変な好対照だ。女性なら「キョウモイク」でしょう。

幼児教育の型、お受験の型で小中学校を選択し、それなりの高等教育の型を経て、有名な会社に入り、会社の型の中で活躍する。しかしながら、定年後は「型がない」。さて、どうしたものか? 手許には会社時代の名刺だけで、もはや関係が薄いどころか顔を出せば迷惑顔をされる。第一男のプライドが許さない。大雑把に言えば、こんなところだろう。

昨今、副業を認める会社が出つつある。同じ業種ではなく異なる世界にタッチすることで視野が広がることを期待してのことだろう。そして定年後にも活躍できるようにと。至れり尽くせりの制度?それとも給与対策なのか。ひねくれないで前者だとして足を一歩踏み出すのも有益ではなかろうか。

尚、この大学は面白い経緯があって設立されている。江戸時代の各藩では特有の陶磁器があり技術を他に漏洩すると処罰の対象であった。鍋島、伊万里、古九谷、清水などは独自の技術と商圏を確保していた。それが新政府になったとき、各藩の技術を解放し集大成すべく愛知の瀬戸・多治見にセラミックセンターを設置、大学を東京は蔵前に設置した。

なので流派が多少違う小生でも受け入れる素地があったのだろう。陶磁器は主要産品として輸出を請け負った。蔵前は東工大となって有意な人材を世に送りだしている。東急の大岡山が手狭になって長津田すずかけ台に広大なキャンパスと最新鋭の設備がある。大学開放の時に訪れるのも良い。技術の融合が根源にあるのか、工学と医学の境界を融合させて新境地を開く諸先生方がおられる。

話は飛ぶが京都・清水焼では最先端のセルロースナノファイバー利用で新境地を拓こうとしている。その京都は陶磁器技術の統合・発展に貢献している。淀川から清水坂まで燃料運搬の拠点が松風発祥の地でもあり歯科とは無縁ではない。

おまけ 冒頭のホーキング勉強会資料より抜粋。 完全なAIで人類滅亡と予言。厳しい時代になりそうだ。

床屋談義(Ⅱ)サブスクリプション

床屋談義が好きな街のスーパー経営者オヤジが今日もやってきた。

なじみの理容師Aさんに挨拶もそこそこに

(オヤジ )  

2019年はサブスクリプション」するぞ!

(A)        

エッ急に英語で言われても、オヤジさんホントに分かってんの?

(オヤジ)  

知識がない人とは話しができないね~。 年の初めになると、お偉い人が、今年は○○だというではないか、その一つがサブスクリプション。波に乗らないと置いてきぼり食うからね。

(A)     

ちょっと前はオムニチャネルが新商売の道具だと言って騒いでいたが、どうしたの?

(オヤジ)  

そうなんだ。うちの店は名前はスーパーだが、全部の商品はない。で、お取り寄せできますので、後日取りに来て下さいとお願いするんだ。それがオレ流チャネル。

(A)     

なんだ昔の本屋さんと同じで、何にも変わっていないね。今の若い人はお店に入って製品を確認する。そしてアプリで最安値のストアを探して注文。受け取る場所を帰宅途中のコンビニや自宅配送もしてくれるって話だ。ポイントカード代わりにお店のアプリで特典がつくようにして客を囲うところもあるらしいよ。

話を戻してサブスクリプションって真面目な話、なんなの? また妙な講釈を垂れるんじゃないでしょうね。

(オヤジ)         

前回は俺がいろいろ教えたのに、今回は立場が逆だなぁ。年齢には勝てないなぁ。でも「サブスクリプション」は自信ある。予約定期購買だ。美味しいかどうか分からないから味見をしてもらう。納得したら定期的に品物を買ってもらう。デパ地下では一瞬の単品販売だが、これは継続して販売できるので安定経営ができるってものだ。 年賀状ソフトを一旦気に入ったら、次の年の干支に合わせて追加料金で新バージョンが送られてくる。 ソフト更新・バージョンアップする度にDVDでスタートアップしなくてもいいし、第一最近のパソコンはDVDが外付けで面倒だから、予約購買サブスクリプションは便利だ

A     

もうカタカナ英語は良いよ。立派な日本語があるんだから。そういえば、ビックデーターなんて言うけど、以前といっても50年ほど前は富山の薬売りは、定期的に訪問しながら、補充の置き薬を販売していた。その際に家庭環境も全部把握され、縁談までしたっておばあちゃんから聞いたことがある。

(オヤジ)            

確かに富山の薬売り、伊勢神宮の神楽での御札売りなど、個別データーを利用しての農作業アシストなどしてたなぁ。この横浜駅の隣の高島が発祥の高島易団発行の暦などを謝礼に置いていったものなんだ。ビックデーターって言うけど日本古来のビジネスをベースにコンピューター、インターネットを組み合わせただけとも言えるな。そんな知恵を出すことはAIには出来そうにもない。

A     

この理容・美容業界も同じですよ。昔はアメリカ女優にあこがれてケバい化粧品を販売すれば売れたが、地道に家庭を中年女性が訪れて、お互い皺を隠すにはどうしたものかと相談しながら販売した。それが今や立派な化粧品会社になっている。 現場を知らずに事業計画立案なんて絵に描いた餅という客がいました。おんなじですね。

(オヤジ)             

ところで、年末年始はTVを見なくなったなぁ。昔は紅白でどちらが勝つかも景気を占う目安にさえなっていたが、今は見ない人も多くなった。結局はCMカットした録画かネットフリック、WOWOWなどの動画配信。自由な時間にみることができるので現代の生活にあっているんだな。俺でさえそうなんだから。

(隣の客)  

へエ~。ネットフリック知っているんだ。 ネットでは配信される音楽や画像を次から次へと聞かされ、見させられる。しだいに、考えることの重要性、書くことの重要さを忘れさせ、さらには感情の表現すら他人にコントロールされるような人間ができるような気がする。

思い出したぞ。大宅壮一がTVは一億総白痴化すると言っていた。一方、立花隆はパソコンできないと時代遅れになると。どっちも当たっているが、スパコンで管理される前に自分軸をシッカリもたないと、さまよえる生物に成り下がるような気がする。。。

この一言でシュンとなったオヤジと理容師Aさん。

その顔を見てニヤニヤしながら、話は飛躍するけど。あの大学駅伝ってどうよ。「大学」って冠がついているんだったら、途中で大学教養部の問題を解くようなコース設定もあって良いような気がするな。点数でタイム調整なんて。面白いぞ。文武両道が真のリーダーになれる。その試金石だ。

また、床屋談義に変なオヤジが加わった。悪気はなさそうだが、床屋談義だから可愛いところもある。ご容赦を。

 

 

 

歯科医の感性、クルマ設計の感性

歯科医の感覚は凄い。事例を挙げる。歯科医が歯科治療で訪れた患者の口腔をチェックする課程で、口腔癌の疑いありと診断。専門病院を紹介したところ一命を取り留めたと知人から聞いた。おそらく生針検査を歯科医がする訳がないので、患者の息や唾からの臭いが歯槽膿漏由来の口臭ではないと感じたに違いがない。最近、北九州市立大工学部の李教授が口腔癌患者と健常者の吐く息や唾からの揮発成分を分析することで、口腔癌マーカーの可能性を研究していることを知った。

この研究は実は大変な労力と根気が必要で、揮発性の僅かな成分を濃縮する装置の開発も伴うのでMEMSMicro Electro Mechanical Systems工学的知識と技量が必要とされる。歯科・医学と工学の学際での相互協力があって成立する。

まず、健常者A群でも息の中に数多くの成分VOCがある(体内の代謝経路を介し細胞から分泌され、血液を介し、呼気や唾液、尿などの体液中へ転送され、生体内の生化学的変化を反映)。癌患者C群にもVOCが存在する。その両方に共通しているB群もある。対象者から採取した唾液をゼオライト膜を通して濃縮・高感度処理をしてGC-MSガスクロマト質量分析法にてスペクトルを採取。C群だけに存在するVOCを特定している。

 

これの実用化には課題がありそうだが、糖尿病は呼気からアセトンが、肺がんは呼気からブタノールが、大腸癌は呼気からノナナールが検出されマーカーになり得るとの先行研究があることから、簡便な方法で安価にスクリーニングできることは非常に意味がる。

話が堅くなった。誰でが好きなクルマの話題でリラックス。

自動車愛好家にとって興味深いクルマが発表になった。日経記事を抜粋する。

「タジマEV1214日、東京大学で電気自動車最新テクノロジー成果発表会を開催した。そのなかで田嶋伸博会長兼社長は「環境だけでなく、走りでも安全面でも電気自動車の良さを証明したい」と述べ、6種類のEVモビリティを出していく考えを明らかにした。」

2輪後4輪のハイパーEVだ。6輪独立制御で、自社開発のモンスターバッテリーとモンスターモーターを搭載。その最高出力は2020馬力、0-100km/h1.95秒「モンスターE-ランナー コード6」全長は4850mm、全幅は2100mm、全高は1190mmで、重量は1950kg。一体価格はいくらになるのか、当方が心配することはない。当方の車庫には寸法でアウトの苦しい言い訳がある。

 しかしながら、クルマに詳しい諸氏にとって、2004年に慶應義塾の清水名誉教授が開発したクルマは車輪の数が8個、ホイールインモーターで最高速度が370km/hr超であった。クルマの名はElica 。覚えておられるだろう。

 

 この14年間に何が、どう向上したのか、製造工程が合理化されたのか、バッテリー、モーターを自社開発されたのか、クルマを買えないが興味はある。先のブログでEVやハイブリッドの特徴は低速時の高トルクで立ち上がりが速いとは書いたが2秒を切るとは凄い。モンスターを人間のスキルで制御するには無理がありそうだ。安全を謳うからには、そこには配慮されている筈と想像する。

筆者がこの発表でこれ良いなぁと感心したのは車椅子である。不幸にして歩行に障害がある人が外界と自由に交流できるツールとして車椅子は必要である。しかしながら電車に乗るには駅員の方の補助板の助けを借りる。これが無ければ、もっと自由に動けるはずだと。

当方では車椅子を開発している業者、大学関係者にはキャタピラ内臓の車椅子を開発して貰えないですか?と依頼していた。今般の仕様の詳細が不明ではあるものの、コンセプトが活かされることを期待している。それには軽量にしてパワフルなモーターとバッテリーが必要。田嶋EVが可能になれば障害をお持ちの方には福音となる。また海外からインバウンドの人に対しても人に優しいテクノロジーを見せることもできる。これが技術者の感性だ。