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祝!令和元年 夢の創造を!

平成から令和にバトンタッチ。 ブラックホールの観察や探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうにクレーターをつくり確認撮影に成功。iPS細胞が医療現場に応用がなされ始めた。3Dプリンターは歯科技工にあっという間に浸透してきた。遠隔医療に5G利用が始まるなど平成のラストスパートに素晴らしい科学の成果を見ることができた。

何れも技術を綿密に積み上げての成果ではあるが、大きな成功の基は何かと言えば「夢」をもって情熱を傾けた人間にある。

アインシュタインの計算でブラックホールが予言された。しかしながら観えない。観ることが夢として与えられた。地球・銀河系誕生の謎を解明したいとの夢があれば、資金、知恵者の協力が得られる。

 先日、研究仲間のセミナーで金属塑性加工技術開発50年で時代を切り開く技術を開発した人の話を聴くことができた。纏めとして、以下の様に述べている。 全くの同感なので少しだけモディファイして引用すると

    知恵のある者はのある人を使う

    のある者は知恵のある人を使う

    のある者はのある人を使う。  

トドのつまり、夢が必要。 夢があれば金のある人を動かし、知恵のある人を動かし、力を結集する。しかしながら綿密な夢の実現に向けて設計・企画・行動・説得などがことさら重要である。単なるパイプドリームではいけない。全体スケッチを描き、幾重にも色を重ねていく画家の作業と同じだろう。

思いつきに近い夢での起業や、人を動かせない事業では大成しないことを示唆するのだろう。

このブログでも何回も記載しているが、とかく技術者は機能性価値の向上があれば商品は売れると勘違いする。ある機能性で飛び抜けた技術を開発をしたから起業すると多くは失敗する。一方、営業はひと昔流行ったマーケットインを過信していては、今の製品開発の流れでは置いてきぼりを食いかねない。 製品・事業の意味的価値との複視線で見通した夢を描き提案することが重要であろう。それが出来ないと企業では使われる立場に押しやられてしまう。勿体ない人生でもある。

大きな夢は単一企業だけでは成立しないことが普通である。 1980年代の半導体LSIでは日本が最先端を走っていた。ほぼ世界を独占していた。これにはNEC、日立、富士通など四強がチーム一丸となって当時の米国一強からの次世代半導体戦争に備え、凌駕することで一致して当たった。

 高分子材料の分野でも同時期は欧米の巨大ケミカルカンパニーの開発力に対して日本のケミカル会社は規模が小さく、多数の会社が競争している状態であったが、先行き欧米の会社に市場を獲られることを懸念した有志がTPC研究会をセットし、各社の強者を集めセミナーを開催し、相互のレベルアップを図った。現在ポリマーアロイ化、ナノアロイ、複合材料などは世界の先端を走っている。応用として自動車、航空機、電子部品など多岐にわたって浸透している。

半導体の事例は経産省(当時は通産省)が仕掛け人に、高分子化学の事例はカリスマ研究者の夢が各社の研究者の共感を呼んで成立した。現在、半導体も高分子化学の両方で大型の夢を語る人材が枯渇している。

 令和元年にあたり、心機一転、大きな夢を語ろうではないか。

夢を創出できるか、元号が新しくなった今日の記念すべき日に「夢の創造」を考えることは新元号時代へのエネルギーの素になるのではないだろうか。

異方向磁気と異能リンク集団

渡り鳥は大丈夫? 伝書鳩は帰巣するだろうか? 唐突だが、5G時代では3~6GHz、28GHz,78GHzの周波数が割り当てられると聞いている。そうなると鳥は磁気センサーを利用して飛行コースを設定しているが、磁力線が一方向だけでなく縦横無尽に飛び交うことで混乱するのでは?と磁気学に疎い者同士の会話である。当たっているかどうかは、5Gが普及してから分かるので、もう少し先になるだろう。鯨やイルカの集団異常行動は潜水艦やソナーの影響もあるとの指摘があることを考えると満更100%間違いではないだろう。

 さて、その5Gになると大量の映像を瞬時に送信することが可能になる。先日のIOTM2M展では肝臓の手術や歯科支持台の作成を遠距離にいる机の上でメスやドリルを持って動かすと、手術現場では遅滞なく、その動作が行われる様を展示していた。筆者もトライしてみたが、その対応速度に驚いた。身近なところでも変化が起こりそうだ。例えば有料駐車場。踏み台を超えて駐車、精算時には止めた場所の番号をインプットして精算の流れであるが、これからは踏み台無しのETC精算に加え買い物割引きをカウントしたQRコード精算に留まらず、到着時間に変動があっても最適な駐車場を指定するようなシステムが目の前にきている。

 一方、冒頭の鳥の話に限らず磁気の乱れが発生すると、現代の特に5G時代では社会混乱が予想される。太陽風プラズマと空気中の種々の微粒子と反応して発色するオーロラ。北極圏が有名でその為のクルージングが人気である。オーロラは希に北海道でも観測記録がある。オーロラと磁気の乱れとの関係は正確に判明していない。学問的には追究して欲しいところであるが、素人判断では相関があると想定しておくのが賢明である。

 日本は地震・津波・火山爆発など記録が古文書に多く記載されている。地球科学の専門家は古文書とサイエンスを結びつけ研究している。オーロラに関して有名なのが「京都で大規模オーロラ」が明和7年(1770年)に発生したことが明月記に記載されている。

カラフルな図も見つかっている。後年、扇形に広がっているオーロラが計算で求められるパターンと一致していることも記録の正しさを証明している。僅か250年前の出来事。 (文献:極No.17 2018冬号7

 

この図は京都の東丸神社で発見されている。インバウンド観光客が一番多い京都伏見大社の入り口の右側に小さな祠がある。「あずままるさん」と親しまれている。特に受験シーズンとなると参拝客が急増する。決して賢くない小生を憂いたのであろう、父親に連れられて良くお参りをしたものだ。天神さんの牛を撫で、あずままるさんにお参りするパターン。その効果は?そこは神のぞ知る。

 古文書分野/サイエンスの異分野の結合で新しいものが見えてくる。記録が重要であるが、その前に好奇心がなによりも重要である。会社では効率を追求するあまり他分野に興味を示し斥候検討することは、あまり歓迎されていない。特に中央研究所なるものは深耕するには適しているが、他分野との交流を意識的にかき回さない限り出来ない人間集団。

 社長直轄の遊軍組織を有する会社の株価が上昇している。直面するビジネスの調子より、先の将来性を反映するのが株価。異能にして好奇心が旺盛で人に会うのが何より愉しい人々が活躍している。確固たる基礎ビジネスがあればこそであるが、規模に関わらず社外の異能集団とのコワークを進めている。そんな会社が何故か京都に集中している。

これからのビジネスは一方向だけでなく、XYZ A,Bの5軸に感度良好の経営が求められるのであろうとすると5Gが開く世界とも無縁ではない。

日本の生産性

桜一色から新緑を愛でる季節。愛すべき日本の風景。本当にありがたい。この季節になると昔は春闘・メーデーなど労働環境改善を求めて労使の協議の期間となった。特に安倍政権になってから、労働組合が賃上げを要求する風景が目の前から無くなり、政府が企業に最低賃金見直しや給与改善を要請している。経済の素人である小生から見るとエッ?と思う。合化労連、総評、ゼンセン同盟、連合などが春闘に活躍したが、死語になってしまったと小生には映る。政府主導にせざるのを得ないのは2%インフレターゲットに対して依然目標未達状態にあり、脱却の政策だと言われると なるほどと納得する。外国人を格安賃金で雇用することと、全体の経済をどう読むか、それこそ超大型コンピューターAIで計算がなされているのであろう。

しかしながらインプットする条件が正しいか、アルゴリズムは従来の人口増加と経済の関係を踏襲していないかどうか。インプットとして60万人もいる中高年の引き籠もり層や、障害をお持ちで就職ができない人、就職氷河期に卒業時期があってしまった層、スーパーのレジ係も自動精算方式に変更など、従来の職場から変更せざるを得ない主婦層のなどの活用を条件にいれているのか。人手不足を嘆き、即、外国人に依存するのは、将来の歪みを生ずるのではないかと思われる。

 英国がEUから離脱しようとしている原因の一つが外国人を無条件に受け入れ、過去から積み上げている社会福祉を入国と同時に利用できる権利を持つのはケシカランと思うのは素直な反応の結果だ。北アイルランドとの国境問題を英国離脱のポイントとして人質にとっているEUとの攻防は日本とは事情が違うが、英国が今後どのような方向に活路を見いだして行くのか参考になる。

GDPを国力の指標とするのは時代遅れではあるが、ざっくり人口増加率とGDP成長率は相関する。米国は人口増加、日本は人口減少し、2060年頃は8,5000万人程度と予想されている。今のドイツ並み。日本の現在は人口12億。マーケット規模があるので、輸出割合が少ないが、これが人口8,000万人になったらどうするか。デービット・アトキンスは近著「日本の勝算」で、人口減少+高齢者人口=強いデフレ圧力に作用する。その解決策として生産性を上げ、輸出比率を高めることであると論じている。

分野毎の生産性について米国及びドイツとの比較を作表した。

 この表を眺めていると、日本として何をしなければならないか、成長するネタが浮かんでくる。浮かんだら、どのようにするか?の5WHが描ける。

まだまだ、日本が頑張らざるをえないことが分かる。専門科学技術の点数が低い。但し特許出願件数、ノーベル賞は決して少なくない。評価点が低い理由は特許出願が企業の保険・防衛特許的性格が多く、攻めの知的財産が少ないことにあると小生の経験からのコメントである。ノーベル受賞をどのように大型育成企業にするか、あのiPS細胞の山中教授でも金策に走らざるをえなかったことに、縦割り行政の欠点をみることができる。

これらを解決する処方としてアトキンス氏は

*起業化精神・文化 

*過当競争しない ・無駄な脚の引っ張り合いをやめる。価格より品質が日本の特徴を生かせる

*女性の活用

*賃金の緩やかなアップで生産性向上投資をしない企業の尻を叩く

を挙げている。 同氏は、「日本人の優秀さこそ、日本の宝」と持ち上げているが、実質的に持ち上げるには大変だと驚くと共に、目標が分かればバカチカラと団結で頑張る日本人。やってやろうじゃないか。

新型たばこの功罪?

もし、吉田茂首相が葉巻たばこを燻らせなかったら、戦後処理の講和条約はスムーズに成立したであろうか? 英国紳士の佇まいを醸しだし相手を引き込むには葉巻は必要だったのだろう。葉巻を相互に交換して交渉が始まる。コミュニケーションには必要な道具だったと推測する。ただ、バカヤロー解散で有名な吉田茂が生存していたら、「バカヤロー!そんな外見のことより思考回路に葉巻たばこは有益なのだ!」と言うであろう。頭脳が冴える(今風で言えばドーパミンが出る)効果は確かにある。国内反対勢力には曲学阿世の徒として頑として譲らなかった。日本復活成長エンジンはたばこにあった?。愛煙家をヨイショするとしたら、このような想像を差し上げたい。

 それから69年。たばこの健康への影響が徐々に明らかになって嫌煙家が登場すると喫煙率は低下してきた。第二回東京オリンピックを迎える日本では受動喫煙に関わる法律が昨年成立し、努力から罰則のある義務への動きとなってきた。今どき、喫煙しながら歩く人を見かけると品性が疑わしい人とみるか、禁煙が決断できないビジネスマンではね~の評価がされるか、煙がこないように歩くコースを変える人もいる。電車で隣の席にニコチン臭が強いが来るとそっと立ち上がるご婦人も見かける。

それほど受動喫煙の害についての意識が浸透してきた。受動喫煙による病気を雑誌 治療(vol 101,No4.2019)から抜粋すると下記の通り。

1)     軽度の疾病では めまい、吐き気、頭痛、倦怠感、体調不良、うつ病、鼻炎、咳、気管支炎、狭心症、心房細動発作。。。。だとか、どこが軽度なのか。これって十分重度だ。

2)     中度(慢性受動喫煙症)では たばこアレルギー、アトピー皮膚炎、気管支喘息、糖尿病、メタボ、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性肺疾患、気胸、肺結核、肺炎、中耳炎、認知症、身体発育障害、注意欠陥多動性疾患、食物アレルギー、虫歯

3)     重症では、癌(肺、咽頭、副鼻腔、子宮頸、乳) くも膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、心臓突然死、肺気腫など。。。。

など。認識していなかった疾病もリストアップされており驚く。

 尚、ここで注意すべきは、煙だけではない! サードハンド・スモーキングがある。家具、壁、に付着したニコチン、タールやその他成分は半年経過しないと消滅しないともいわれており、家具などを指で触って経口喫煙の形になるので注意が必要だ。ホテルの喫煙ルーム価格はとびっきり高くして、13)の疾病税金に充てるのが宜しいかと(笑)

 そんな中、愛煙家の救世主になるか新型たばこが販売されている。加熱式と電子式がある。このうち電子式は国内では販売されていない。加熱式にも3種類あり、たばこ葉を直接加熱、エアロゾルをたばこ葉カプセルを通過させニコチンを吸入する方式がある。どのみち、ニコチンを吸入する。そこで燃焼と加熱方式で組成がどう違うのか調べた。(単位μg/1本)

気になる化学成分だけ抽出したが、ニコチンの量が加熱方式では50%~10%に低下している。また発癌誘起物質であるアセトン、ベンゼン、トルエン、アクロレインの濃度が低下している。一方、葉を直接加熱する方式やアエロジルでたばこ葉カプセルを通過させる方式ではグリセロールやプロピレングリコール濃度が高い。常温では安全な化合物だけに濃度が高くても問題はないと素人ではあるが考えられる。 専門家の中には加熱中に成分が変化する危険もあるから一概に言えないと主張する声もあるようだが、その主張には裏付けが必要だ。

 さて、 喫煙は頭脳が冴えることを上述した。これを具体的に説明した図があったので引用する。(文献同) 

 喫煙→脳→ニコチン受容体を刺激し大量のドーパミンを放出→幸福感、満足感→ニコチン量濃度低下→不安感・イライラ→喫煙 →スモークチェーン→中毒患者の完成

ここで、オカシイと思うのは加熱方式はニコチン量が少ないので、初めの冴えが少ないとしてもドーパミンの減少量も少ないのであるから不安感・イライラにならない筈だと。

思うに、喫煙を始めるときから加熱方式であれば中毒患者までは行くには喫煙回数が2倍以上必要だろう。だが、従来方式で喫煙してきた人は加熱方式で吸引したニコチンが少量であっても、トリガーとなって次のたばこを要求するようになる。ここが問題だろう。サンプル数は少ないが身の回りの加熱方式たばこを利用している人に聞くと、頻度はかえって増えた。物足りないのでたばこタイムが増えた。。。などの声があり納得した。

「中毒」にはアルコールもある。 現代ではスマホ中毒が追加されそう。スマホがなければ生きていけない人が増加。電車に乗ると約6~7割の人がスマホ操作。首がいつも下を向いていることから頸椎動脈圧迫による疾病が遠くない将来でてきそう。かくなる小生も予備軍。偉そうなことは言えない。現金支払い拒絶でスマホの○□△ペイのお店がでると、都会でも買い物難民となる。それこそ生きていけない。 

(ここで訂正:ブラインドサッカーのブログでANAが支援していることを記載しました。特定のチームを支援していることではなく協会を支援しています。誤解を生じたことをお詫びし訂正します。)

定年後就労と健康

街は地方選挙モード。候補者のポスターや街頭演説が目立つ。地方によっては政令指定都市と府県の二重行政の中で、どの政策が自分に関係するのか分からないことも多い。神奈川は政令指定都市が川崎、横浜、相模原とあり、県は残りの30市町村を所管すると思いきや、共同開催ですと言われ戸惑う。本当に理解している市民は少ないのではないだろうか。

 ラグビー世界大会はてっきり横浜市主体と思っているが、選挙公約をみると県との共催ですとある。県税、市民税がどのような目的で合理的に使用されているか定かではない。元々は政令都市をどうするかの根本的議論がなく、本当は県相当として扱うべきところを道州制の議論の中では決着が先送りされ便宜的に政令都市としたのが本音なんだろうと考えるのが自然。

これを家庭に置き換えれば答えは簡単。家長はとっくの昔から女性である。男性だった時代は概ね不幸な時代であった。現代は女性復活とかなんとか行政が言わなくても家庭は女性が家長を務めることで平和(擬似的平和と自虐の方もおられるとは思うが)である。

父親の出番はホンの一瞬。その時に技を磨いておくことが肝要かと。共催と胸をはるなら。情けない男性が家庭において貰う唯一の根拠は給与を持って帰ること、ぼけないで家族に迷惑をかけないこと、自己管理の拙さ(生活習慣)由来の病気にならないこと。である。

サラリーマンの定年後は給与はゼロ、認知症予備軍的行動、酒たばこ運動不足による病など、、、評価に値しないクラスに転落してしまう。テレビ番組格付けランキングだとフェードアウト的存在かも。

さて、そんな中、日経Goodayが定年退職後も働く人 働かない人より健康で長生きの記事があった。副題が「死亡や認知機能の低下が2年遅くなる」。 これは一石二鳥だと短絡。

でも記事を見る前に、オカシイ?とふと思ったのは、死亡率を取り扱うには定年後にも働いて死亡する相当のサンプル数が必要である。サラリーマンの世界で定年後に働くサンプル数は少ないので、決めつけができるのか?と素朴な考えだった。果たして、その考えは当たっていた。定年があるかどうか分からない自由業のデーターである。タイトルはシニアで働く人は長生きするが適切であろう。

結果は図で示されている。サラリーマンのまま雇用延長されたケースは反映されていない。定年後に起業した場合は自由業の範疇に組み入れられる。その自由業と雇用延長サラリーマンとの違いは肉体的に、精神的緊張など全く違う。社長室にどっかと座っている起業社長はどこもいない。あちこち活動しないといけない。また魅力ある人物は良い意味で引き回される。天から金が振ってくる訳でない。板一枚下は地獄が待っている。上昇か維持あるのみ。

この緊張感とリラックスのサンドイッチ状態が日常生活。肌つやが良いのは当然で若く見える。忙しく、人と交流し、世界に貢献できるなどが愉しいとの境地に至れば寿命も延びるのはなんとなく分かる。

今の雇用延長政策では生き甲斐を見つけるのは難しいのではないだろうか。政府の年金支給年齢を70歳以上にするからといって、雇用延長の年齢を70歳にするには疑問だ。せめて60歳までは企業は人材有効活用と社会安定性もあり協力してくれ、そして60歳以上は企業での経験を踏まえ起業する心構えならば支援策は用意する。というのは如何でしょうか。この政策の先には定年廃止も視野にある。

横並びが精神的に安定である組織が天才を凡才に変換する機関と化している日本。天才を活かす米国との差は思いのほか大きい。将来の日本を考えるには若い人に期待してシニアは補完的分野で起業化精神でフォローする。そんなコンビネーションが好ましいと思うがどうだろう。

 アルツハイマー病防止には筋肉運動が効果的との記事。こちらは納得できる記事である。ピアニストや芸術家は指を動かすから長寿だと信じられてきたが、むしろ大きな筋肉運動が好ましいとのこと。最後にこのデーターを引用する。

ブラインドサッカー

先週のブログで土砂降りでも前の走行車、併走車、追い越し車を正確に把握するにはミリ波、LIDAR, カメラ情報を総合して、もっともらしい位置決めをすることを三菱電機が発表したと報告した。先週、横浜みなとみらいを散歩していたらブラインドサッカーを普及するための活動をしている風景に出会った。

子供から大人まで目隠して僅か1.5m先にあるゴールに向けてサッカーボールを蹴る。目隠しをする前にボールの位置、ゴールの位置を確認してから目隠しをする。そして、ゴールの裏側でスタッフが手を叩く。その方向に蹴ればよいのだが、まぐれを含めても成功率は低い。夏場のスイカ割りでも見事に割るシーンは少ない。京都五条坂にある地主神社の婚活成立占い(二つの置き石間を目を閉じて歩き到達できるか否かをみる)でも成功率は低い。それほど健常者の耳(三半規管)は必要機能を残して退化しているのかと思う。

 ブラインドサッカー神奈川県チームbuen cambio yokohamaのキャップテンに話を聞くことができた。ブエン・カンビオとは「良い変化」の意味だと。この行動を通じて障害者への偏見を解消した上で明るい協奏社会を創りたいとの思いがこもっているのだろう。若い人が参加しているのは好ましい。またスポンサーとしてANAがついている。これは爽やかな会社イメージに相応しいと感じた。国策航空行政に負けずと自主独立で頑張ったANAの生き様に思いを馳せた。

 話が散漫になった。ブラインドサッカーではボールの中に鈴が入っており、音を頼りにボールの位置を検知する。またパスをするにはチームメイトの声を認識して、その方向に蹴り出す正確な足技が必要だ。相当の3次元位置決めセンサーを耳に、そして脳での処理を瞬時に行う。当然相手もいる。声の主を区別することも。そして激しい衝突により鼻を骨折するようなこともあるとのこと。さぞスポーツの醍醐味に良い汗をかくだろう。ルイ・アームストロングのon the sunny side of the streetなのだ。障害があろうが、まさにGold dust at their feet. life is complete.なのさ。と。

 神奈川ではチームは1つ。全国でも20チームと少ない。試合は勿論、練習風景も是非見たいと思って、同チームの練習グラウンドに見学に出向いた。選手、サポーターが軽めの体操をしたあと、フォーメーションの練習から入る。晴眼者でも球出し先の確認や攻撃するさいのスペースの取り方など基本はあっても臨機応変にフォーメーションを変える必要がある。さて、どうやったら可能なのか?と疑問に思っていたら、ネット裏から番号を大きな声をだしているスタッフに気がついた。ゴールキーパーからの指示もある。

イチ!! ナナ! ゴッ!と。休憩時間にスタッフに尋ねた。それは、コートを9分割や12分割してそのコマの数字の場所にボールがあるとか、その位置に入れ!との指示とのこと。これとボールの中にある鈴の音と立体位置を確認していることになる。因みにゴールも9分割して、どのコマを狙え!との指示があるとのこと。これには驚いた。

さて、準備ができたところで試合が始まろうとしていたら、キャップテンから小生にお呼びがかかった。ランドマークの活動を視て来ましたと挨拶すると、プレイヤー、スタッフ、サポーターの歓迎の拍手があり、まさかですが、試合に参加して欲しいと。一瞬ポカンとしたところ、壁をお願いしますと。壁とはグラウンドに白線はあるが、プレイヤーは白線をみることができない。そこで、晴眼スタッフが壁となり白線を越えそうになったときに壁として跳ね返す役目。両サイドに4名の壁が必要。1名がハーフコート分の約25mを担当する。 

立っていれば良いのかと思いきや、25mをプレイの進行に追随して動く壁となることが求められる。なので、ラグビーの線審のように走り回る。さらに壁際では攻守の激しい球争いがあるので、つい壁であるはずだが、球が白線内にあっても脚で蹴る衝動に駆られた。何回かやってしまった。球のスピードと回転が尋常ではない、卓球でサーブの回転を読ないとあらぬ方向にピンポン球が飛んでいくように、ブラインドサッカーでも壁は良く見ていないとゲームを壊しかねない。

7分クオーターの4回で1ゲーム。全日本の経験した選手。流石にこの選手が球を確保したら、鮮やかな球コントロールとスピード。凄い迫力で思わず、本来無口であるはずの壁が人間であるだけに唸ってしまった。実に愉しい壁を経験した。2ゲームめも壁を担当。単に走るというより、カニの横走に似て手を広げて高速横移動(と本人のつもり)と徐々に様になってきた。トップレベルでは無回転として鈴の音が消すこともあるとのこと。想像すらしていなかった技を駆使していることに驚いた。

試合の模様を撮影できれば、、、とグラウンドに来たものの、壁を愉しんだことで撮影することをつい忘れた。毎週日曜に定期練習をしているとのこと、HPをチェックして参加されては如何でしょうか。肉体的な良い汗と、皆さんと交流することでの精神のリフレッシュ。きっと良い経験をされると思います。

香りと発毛センサー

アロマテラピーは副作用が少なく、ストレス抑制効果、殺菌効果あるいは認知症の改善効果等、幅広い効果が報告されている。富山大学 第二外科講師・長田氏はヒバ精油の揮発成分中に食道がん、胃癌、大腸癌、乳癌に対する抗腫瘍効果効果が存在することを確認し、ヒバ精油を用いた新しい治療法の確立をめざした研究を行なっている。昨年秋に発表し、その一部をブログに取り上げ紹介した。檜の香りはリラックス効果があるのは経験しているが、まさか檜葉油の揮発成分が癌に抗体効果があるとは想像もしていなかった。

 ところが、同じタイミングでドイツから白檀の香り成分が薄毛抑制効果があると発表された。こちらの論文をわかり易く解説した抄録が現代化学3月号に新村氏が紹介している。メカニズムの完全解明一歩手前とはいえ、人間、いや哺乳類、魚に至る生物の精巧緻密なセンサー及び制御システムに驚いた。

気が早い人は白檀となれば、お線香の原料だとして、浅草寺や成田不動尊の参拝客が常香炉の煙を頭や体に掛けているのはその為か??。。と考えるか、それとも日本香堂の株を買うか。しかし天然の白檀は効果がないと論文は冷静である。白檀と同じ香りのするサンダロアという化合物である。天然には存在せず、スイスの会社が合成し香水に利用されているらしい。 サンダロアと白檀の香り成分サンタロールの分子式を記した。 

 

 

サンダロアは毛根細胞にあるOR2AT4という嗅覚受容体の一種によって受取られ. OR2AT4はサンダロアと結合し,活性化されることもわかったサンダロアを振りかけることによって,毛髪の成長を促進するIGF_1の発現量と分泌量が増大した。とのこと。

 この記事で知らなかったことは「鼻腔の天丼部分には,嗅上皮とよばれる,嗅神経細胞がびっしりと並んだ組織がある。嗅覚受容体は,嗅神経細胞の膜上で発現してぃる。嗅覚受容体

に匂い分子が結合すると,受容体が活性化し,その情報は脳へと伝えられる。ヒトでは,嗅覚受容体は約400種類存在する。それぞれの受容体はさまざまな匂い分子に結合でき,1種類の

匂い分子は複数の受容体と結合できる。私たちは,400種類の受容体のうち どの受容体が活性化されたかとぃう組合わせによって,数万種類ともいわれる多様な匂いを認識してぃるのだ。」 臭いの分析装置がない理由がこれだ。

 熱分解ガスクロマトグラフで揮発成分を分析しても臭い成分を特定できない。そこで研究室は違うが友人が発明したのは熱分解ガスクロと自分の鼻を並列につなぎ、官能検知した瞬間の熱分解ガスクロマトグラフに現れたピークを臭い成分と決定した。発表した時はサイエンスに遠いと評論する人がいた。だが、これが精一杯の正解に近いやり方だったのだ。精一杯と書いたのは、臭いは単一成分だけではないからだ。

嗅神経細胞が鼻の天井以外に皮膚表面にあることも知らなかった。,角膜,心臓,,肝臓,,精巣,卵巣にもあることも。香り成分が皮膚の特に毛根のあるところのOR2AT4と結合することで、化膿が早く治癒することが知られている。 

この記事を見ての個人的感想であるが、脱毛美容はどうなんだろうか? 暴論・妄想の誹りを免れないが、魚は目だけでなく臭いを皮膚で感じて餌と判断する。とすれば、今問題の海プラは魚が餌ではないと判断する臭い成分を配合することもありか??とも考えた。

 さて、話は飛び、自動車の衝突防止センサー。前走行車に一定の距離を保ち走行する。停止も自動。横に併走する車の存在も知らせてくれる。とても便利である。カメラ、ミリ波レーダー、及びLiDAR(赤外線レーザー光)を利用している。しかしながら、土砂降りの雨となると性能が低下することが知られている。そこで、三菱電機では、それなら3つの手法で測定し、最も確からしい数値に変換することで回避できると悪天候に対応可能な車載向けセンシング技術」発表した。 臭い成分を400のセンサーの組み合わせで特定する生物に比較するには小さい歩みであるが、理にかなっている。 図は三菱電機発表資料抜粋。

エネルギー展より

太陽光発電などエネルギー関連の展示会がビックサイトで開催された。東西展示棟フルの展示会。東棟1~3は主役が展示するところで、今回は太陽光発電関係。4~6は風力、火力、資源リサイクル関連。西棟は水素・燃料電池、二次電池である。

 人気を反映した混雑具合は二次電池>水素関連>>>太陽光発電の順。太陽光発電は閑散で拍子抜けした。電力買取り価格の低下、海外メーカーばかりで日本は代理店の形では、現在のシリコン半導体での太陽光パネルは終わった感が漂っていた。光変換効率の高い半導体(先週ブログのパワーデバイス)が適用できる時まではステイなのだろうと。その時は国産メーカーの復活が期待される。

 二次電池は新開発情報満載で注目を浴びていた。日立造船は固体電解質として硫化物系材料を用いた全固体Liイオン2次電池「AS-LiB」を出展した。全固体リチウム電池は発火危険性がない、高温、真空でも利用可能とあって、宇宙を始め幅広い利用が想定されている。筆者の関係では病院の予備電源として特に有用だと考えられる。

この展示会の直前に東芝は急速充電が可能で、長寿命の新型リチウムイオン電池を開発したと明らかにした。 レアメタルの「ニオブ」を材料の一つとする酸化物を電池の負極に使い、高容量化を実現した。 充電6分・走行距離320kmが可能とのこと(日経)。水素燃料FCVの水素ガス注入速度が約3分なので、いい勝負になる。

 古河電池は正極材にリン酸鉄リチウムのフィルム電池を小型モジュールに充填した開発品を展示。繰り返し疲労が少ない、熱暴走しないなどの特徴がある。EV車に必要な電力まで小型が可能であれば面白い。材質は開発品なので、ポリプロの鉛蓄電池ケースを利用していたが、実際は難燃性が必要である。PPS(ポリフェニレンサルフェート樹脂)が好適と考えているが、耐衝撃、耐熱、寸法安定性、バリ無し成形と課題が多いのも事実。筆者は数年前にこれらを解決した発明をし登録された。その事もあって、ああ時代がやっと追いついてきたか!と感激した。(写真参照)

 水素燃料電池についてはタンクの開発が継続している。自動車は軽量が必須。トヨタは樹脂層タンクの上にガラス繊維/炭素繊維/ガラス繊維のロービングでぐるぐる巻きで軽量化。円筒部をロービングで巻くのは誰でも予想ができるが、口部とタンクの底の丸い部分をどのようにして巻くか、これには繊維の多軸経編み(たてあみ)が利用されていることをフランスの会社がビデオ紹介していた。日本の方が経編みの機械は得意だけに改良はあるだろう。

結婚式でよく謳われる中島みゆきの「たての糸は。。。よこの糸は。。。」は経の糸と緯の糸。が正式な名称。

一方、ホンダは水素バリヤ特殊アルミを採用している。価格は炭素繊維巻きより安価であるが、重いのが欠点。水素ステーションは重量より耐圧が課題である。日本製鋼所はコバルト・モリブデン配合の鋼材を開発している。

 EV車もFCV(水素燃料電池車)も白金触媒を利用している。白金 高価な上に資源がかぎられている。そこで白金代替の研究を進めている東北大の藪准教授は錯体化合物に可能性を追求している。 開発中ではあるが、既に白金よりサイクル性、メタノール被毒がない、製造性に優れる等の特徴が報告されている。業界へのインパクトは非常に大きい。

 写真はトヨタ・ミライの水素ポンプと燃料電池 、 古河電池モジュール、

自動車動向及び新半導体の登場

球春を告げるオープン戦が始まった。日本ハムは二年目清宮の活躍した直後に戦線脱離、後がない斎藤佑樹の力投、中日新人根尾君のデビューと話題豊富。今年ほど監督交代が話題になったこともない。実績のある監督、高いコミュニケーション能力で2軍優勝をもたらした監督など。トップダウンで球団改造を図る巨人と選手のやる気を引き出すことに巧みな阪神矢野の試合は楽しみだ。

 不幸にしてCEOの乱暴狼藉やりたい放題で準備不足のチームがある。日産ルノー三菱自動車連合である。自主トレは各社実施しているだろうが、合同チームとしての開発は暫時休止せざるを得ないであろう。う開発や営業の現場としては離婚希望の声も聞こえてくる。

横浜駅から日産本社ギャラリーまでは遊歩道で直結していることもあり、散歩がてらに歩く。都度、新聞記者、カメラ陣が今日は張り付いているのか?をつい見てしまう。 いつもはE-Power車種が所狭しと展示してあるところが、先々

週の土曜日はステージに模様替えされてジャズコンサート会場に変身。大勢の観客の視線を浴びて山中千尋トリオの演奏。さすが日産だけに洗練されたステージ、音響、照明効果、ナレーションなど一流。山中千尋のパワフルなピアノに圧倒される。 小柄な山中さんのどこに凄いパワーがあるのかと感心した。

 おそらく聴衆はホールぎっしりの500人ほどいた。なんだか、戦う日産部隊への慰問ではないかと一瞬頭をよぎった。ジョージガーシュインのメロディなど演奏の終わりは出身群馬の八木節のフューチャー。民謡がジャズに変化するように横浜地元の日産も変化するように鼓舞しているように聞こえた。軽快なピアノ、ドラム、ベースのトリオの息のあった演奏は3社連合もかくあれとも示唆しているのか。

 そんな3社連合をよそに自動車業界は変化を続けている。ホンダの英国工場閉鎖は脱EUとは違うとは言えタイミングが重なり6000人解雇問題が英国経済に深い憂慮をもたらしている。一方、米国ではGMが2工場閉鎖を決めてトランプと対立している。メキシコからの再関税問題や、米国でのセダン販売は既に30%台で、従来のプラットホーム稼働率は低下し工場維持が困難な理由である。その分SUVにシフトし、かつトランプの環境規制緩和があり、パワフルなガソリンエンジン搭載となっている。ドイツはディーゼルへの回帰が必ずあると、このブログでも予想したが、アウディがディーゼル車を日本でも発売、これをみてイタリア・アルファロメオが自動車メーカーとしての存在価値はディーゼル車だとか妙な理由をつけて、これも日本へ持ち込むと発表。 スポーツカー人気もあり、トヨタはスープラやレクサスのスポーツ仕様も発表した。スープラに関しては生産台数が少ないこともあり、企画、設計はトヨタが担当するが、そのほかは、エンジン、組み立てはトヨタ以外の海外メーカーとのコワークで対応しているなど、なにがなんでも単独での生産よりは合理的な方法にシフトしたことが注目される。レクサスは炭素繊維複合材料により軽量化がなされている。

ここまでは、筆者の予i想通りである。しかしながら、専門外のところで予想が外れたことがあった。それはパワーデバイス。シリコン系から炭化ケイ素や ,窒化ガリウム に移行すると1年前の半導体の常識をお伝えした。 パワー指標を基準のシリコンを1とすると炭化ケイ素が340倍、窒化ガリウムが870倍だからである。 レクサスに炭化ケイ素を搭載して、順次量産車に適用するとの計画がある。ただ、炭化ケイ素ウエハー製造能力があって量産車適用は相当先になるとの観測が出てきた。

予想が外れたのは超大型新人の登場である。 トランジスターには電子を足らなくしたP型と電子をあまらせているN型との組み合わせが必要だが、P型として酸化ガリウムが、N型として酸化イリジウムをそれぞれミスト(霧状)に基盤に吹き付けて反応膜を生成させるという合理的な製造法を京大が開発。シリコンの3444倍高い効率を示すことが発表された。京大ベンチャーのフロスフィアが実用化検討を続けている。さて、これが実用化されるのが早いか、炭化ケイ素のウエハー製造能力整備が早いか、競争が繰り広げられる。どの半導体でも日本がトップで、自動車、電子産業などのもの作りに大いに貢献することは間違いない。

トヨタは炭化ケイ素の実用化を、グループ企業のデンソーはフロスフィアとの共同研究を実施しており、EVの立ち上がりには遅れをとったとしても抑えるところはシッカリ抑える。生産台数はVWにトップを譲ったものの、長期戦略は流石である。

写真はミスト法膜形成法及び直径4インチのサファイヤ基板上に Ga2O3薄膜を形成したもの(フロスフィアWEBより)

翻訳と科学創造性

京都。多くのインバウンド トラベラーズが訪れる古都であるが、グローバルにおいて存在価値が高い先端企業が集中するテクノロジーシティでもある。この短い文章にカタカナが5つ。分かるけど、まだ許せる。次は如何でしょうか。

「京都レジリエンシーシティ・SDGsフォーラム開催」京都市民への広報である。こうなると一体何を伝えたいのか分からない。市役所の役人でも理解している人がいるのか?と訝りもする。開催フォーラムの中にシンポジウムがあり、パネリストとして。。。? フォーラムとシンポジウムの区別は?パネリストのお名前を見て「なんだ座談会」かいなと分かる。

 レジリエンシーを日本語で言えば「災害、犯罪、貧困からの回復が可能な都市であり、サステイナブルで開発の目標を決める大会」である。これでも咀嚼不良となる。サステイナブル=持続可能として形容動詞が開発にかかるのか目標にかかるのか分からない。

 何故こうなるのか? カタカナの直輸入で意味を咀嚼し、わかり易いように意訳する能力に欠ける人が増えてきたことと、単にカッコしいで使っているかも知れないが、使っている人さえ概念を理解していないことが多い。旧制高等学校の学生がショウペンハウエル。イッヒ・リーベ・ディッヒと叫んで、意識が高いぞ!と自慢していたことと変わらない。庶民はカタカナ用語を多様する人は本当は分かっていないと見抜いているものだ。

 空襲と地震で壊滅的破壊された都市がフェニックス宣言したことがあった。こちらの方が一発で意味するところは理解できる。フェニックス=不死鳥は誰でも知っているからである。

 FB仲間の一人はビジネス・マネージメント・コンサルタント。この人が言うには「工業社会が終焉し情報化社会に世界が移行しつつある中で、先行している米国から様々な組織マネジメントの考えや手法(成果主義、目標管理、リエンジニアリング、バランス・スコアカード、360度評価、サーバントリーダーシップ、コンピテンシーなどなど)が紹介 されました。しかし、それをうまく日本の組織に取り込むことができなかった。」と記載されました。

 しかしながら、皮肉なことに成果主義と目標管理は多くの企業が採用した。採用できなかったのは全てカタカナ用語。日本語に翻訳か意訳がなされていない。これで概念から具体的な手法まで理解して実行するには無理がある。江戸時代はオランダからズックやランドセルが、ポルトガルからはカステラの単品商品はそのまま日本語にしてしまったが、哲学・概念はカタカナでは通用しない。逆に日本哲学や宗教を外国に知ってもらうには英語に的確な翻訳か意訳する必要ある。新渡戸稲造、鈴木大拙らが高く評価されている理由は的確な翻訳が出来たからである。

 明治の文豪は意訳することが富国にもつながるとして色々工夫をしている。正岡子規や森鴎外など。。。とFBで返したところ、もう一人の知人がこのような文献があると紹介してくれた。それが福田眞人の「明治翻訳語のおもしろさ」である。

 I love you.をどのように訳するか。意外に難しい。愛と訳すには仏教の愛とは違う。さりとて、恋、色恋、惚れた、ともやや違う。君を愛していると言っても日本人の琴線に共鳴しない。君が大好きだ!がまだ近いのだろう。この本では二葉亭四迷が浮雲の中でラブと表記し「愛=死んでもよい」と訳したとか。漱石は「月が綺麗ですね」と訳した。遠回りだが、前者は熱い情熱が、後者は好きですと平易な言葉では言い表せなく胸がときめいているのを敢えて抑えてやっと口にだした精一杯の言葉と解釈できる。この心の動きが読み取れるような意訳をしないといけないと考えたのであろう。

 日本の科学技術が強い理由として学術用語が日本語であり原理的意味が納得できる言葉であること、日本語で論文を読むことができることが大きく関係している。

全ての科学技術を外国語で対応している国は強くない。表面だけの成果に活用できても基礎技術が育たなくてと嘆いている国がある。日本人のOBがスカウトされて教えても、とどのつまりは結果だけ教えて欲しい。出世には手っ取り早いとのことなのだろう。創造性は基礎分野の掛け合わせが重要である。医学、物理、生物、化学、機械、電気電子、農水産、数学、計算化学などのどの分野においても即概念を理解できることが本当の強みを発揮できるのである。明治時代の翻訳・意訳された方々に頭が下がる思いである。