デパ地下をぶらぶらしていたら懐かしい肝油を売っていた。小学生のころ冬休み前に先生から注文書を渡されて、購入したことを覚えている。サメの肝臓から採ったものだと聞いてかつ、金属缶が赤と黒のおどろおどろしいデザインだけに、サメの肝臓と疑わなかった。寧ろ、甘く味付けしてあったので、何粒/日と決められていてもおやつ代わりに食べてしまったものだ。今はサメの肝臓ではなく、ビタミンE,C、Dも分子構造が判明しており、合成できることからサメではなくなった。缶のデザインも明るくなった。懐かしさもあって1つ買い求めた。変わらぬ独特の甘さは昔の通りだった。もっとも子供のころは親が支払っていたので比較はできないが、買い求めた商品の値段は高価であった。
ビタミンEは酸化防止剤としてプラスチックスの劣化防止に配合されている。ポリフェノール類の一つであり、人体においても酸化防止(=老化防止)として作用する。ビタミンCはプラスチックス(高分子化合物)の分子一次構造の研究者でノーベル賞をとったライナス・ポーリング博士がビタミンCは風邪に効果ありと発表して注目された化合物である。
プラスチックス(高分子化学)と医学分野は離れているようで、実は相互に化学グループ範疇のなかで利用関係にもある。
プラスチックスの酸化防止剤の多くは(ポリ)フェノール基を有している。酸化防止剤は高分子や人体が劣化するのを防止するに自らの分子構造が変化することで防止作用がなされている。その為劣化の結果としてプラスチックスは劣化しないが、色が黄色に変色していることが多い。色が無色から黄色に変化しているのはフェノール分子のOHのHが外れて残りの分子が電子共鳴の発色基となったことを示している。
固い話はここまでにして、2ヶ月ほど前、コスモサイン加藤社長が赤ワインと完熟巨峰カルピスをブレンドすると美味しいとFBにアップしていた。ワインも巨峰もポリフェノールが含有されている。さらにカルピスはご承知のようにカゼリ菌(CP2305株)が含まれており、心理的なストレスを和らげ睡眠の質を高める機能があることが知られている。ワインとカルピスの組み合わせが偶然にしても面白い。
日経ヘルス9月号にワイン、緑茶、コーヒーなどに含まれるポリフェノール濃度が記載されている
コーヒーの代表的なポリフェノールはクロロゲン酸類、緑茶はカテキン類。緑茶、紅茶は蒸しの工程が入るので、ポリフェノールは減少するのだろう。なので勤務時間帯は珈琲と抹茶の併用が、飲食では赤ワイン+珈琲の組み合わせが推奨されるのであろう。日経ヘルスでは両方併用した場合のシミの程度を評価している。
なるほど、抹茶ロール、抹茶ショコラ、抹茶アイスも人気、秋になると栗抹茶と珈琲の組み合わせか。
COV-19による各種展示会も部分解除になった。横浜パシフィコではバイオ関係の展示があった。やはりWEB展示とは違い、質問―応答の速度が違う。多くを学んだ。幾つかは別の機会で報告するとして、今回のテーマに近いポリフェノールについて石川県立大・生物資源環境学部・食品科学科が「食による感染症予防の可能性」「抗インフルエンザウイルス作用に関する食品機能性評価の紹介と実例②として蜂蜜の抗インフルエンザウイルス活性に関する研究を紹介していた。蜂蜜も多種類のポリフェノールを含有しており(表参照)この中で抗インフルエンザに特に強い性能を示したのはキュウリョウトウ、ホワイトであるとして詳細の検討をしている。フェノール総量だけでなく、他成分の寄与(相互作用)もあると結論されている。
石川県立大の前身は農業大学。自然に学ぶサイエンスに農業からのアクセスは今は非常に重要になっている。今回の蜂蜜分析ベースデータが医薬・食品など開発に貢献するだろう。実は筆者は煮小豆に蜂蜜をかけて朝に摂っている。今年、風邪をひくか否か蜂蜜が証明するか愉しみだ。