伊賀・甲賀といえば忍者の里。子供の時、糒を入れた袋を腰に纏って忍びをする様子を映画や漫画でみたことがある。忍びの仕事中では食事はできない、さりとて相当のエネルギーを消耗する仕事。糒(ほしいい)を口に頬張って静かにエネルギーを補給。漢字から見るとコメ由来のインスタント食品かな?と想像はできる。 この糒にはIgAが多く含まれ、目、鼻、口、腸管などの粘膜で病原体の侵入を防ぐ「粘膜免疫」の主役となる抗体(免疫グロブリン)であるとWEBに表示。最近話題の腸内環境にも関連するようだ。
ここで、糒なるものは普通の炊飯したものを乾燥したものと勘違いされるが、さすが忍者だけにそれとは違う方法で加工し保存食としている。 石川県立大がリリースした「加工方法で変わる食品のチカラ ― 焙煎と蒸しで異なる腸内作用を発見 ―」2026.06.10 をみて、子供の頃を思い出した。本文から抽出引用する。
サンプルはWE米(もち米遺伝子とアミロース伸長遺伝子の非遺伝子組み換え二重変異体。難消化性デンプン(RS)が豊富で、機能性主食としての可能性を秘めている)。
実験:WE玄米の加熱処理(焙煎 vs. 蒸し)が、マウスにおけるその物理化学的特性および腸管免疫・バリア機能に及ぼす影響を調べた。
結果 以下の図に要約されるが、 焙煎した米では腸内細菌数が増加したことも報告している

ところで、我々はお米といえば炊飯、お餅の煮る・蒸すだろう、お米の焙煎?食べたことがないなぁ?と首を傾げる。でも冒頭の忍者のように昔はあった。ここで焙煎のお米について考えた。漢字の煎とついている煎餅は果たして焙煎工程を得て商品となっているのか?
結論から言えば、
1 生の米を「直接」焙煎するケース
水分を加えずに、生の米を直接火にかけて焙煎する。
香ばしい風味が強く出るが歯がダメになる程硬い。香り付け向き。
2 一度「加熱(炊飯・蒸す)」してから焙煎する
水分を含ませて一度しっかりお米のデンプンを柔らかくし、それを乾燥させてから焙煎する。一度ご飯になっているため、焙煎したときにパッと膨らみ(ポップコーンのようにはじけるイメージ)、サクサク・カリカリとした軽い食感。人間にとっても消化・吸収が非常に良くなる。
主な用途: おこし(和菓子)、ポン菓子。煎餅はこの範疇になる。
これを腸内環境面から難消化澱粉として分類すると
- 蒸した米: 水分を含んで加熱されるため、澱粉の結晶部分は解けて非晶状態になることからンプンがふっくらと柔らかい「α(アルファ)化」状態になり、ラットにとっても人間にとっても非常に消化しやすくなります。
- 焙煎した米: 水分が少ない状態で高温加熱(乾熱処理)されるため、デンプンの一部が「難消化性デンプン(レジスタントスターチ)」に変化したり、分子が小さく分解(デキストリン化)されたりします。これにより、消化のスピードが緩やかになり、血糖値の上昇が抑えられるなどのメリットが報告されることがあります。
・煎餅は一旦蒸した米を練り乾燥して焙煎することから澱粉の結晶性は低くなり、かつ高温で焼かれるため分子量も低下することから消化が胃袋段階で終了するのではないだろうか。
忍者の糒から子供時代に街にきたポン菓子を作るおじさんが来るとお米を持って駆けつけた風景を思い出した。 炊飯したご飯で腸内細菌の餌とするには前のブログで記載したが、冷飯が良い。冷える過程で澱粉の再結晶化が起こるからである。
ところで築地や横浜で販売されている天麩羅煎餅は焙煎なのか蒸しに属するのか?が残る課題。結論はどれにも属さない。揚げ煎餅とでもいえようか。一旦炊飯したものを練り煎餅状にして油で水分を一気に抜けるように揚げることから澱粉の結晶性は非晶性のまま。なのでサクサクとして胃袋で消化できる。実に面白い。天麩羅煎餅のお店の前をいつも素通りしているが、このブログに取り上げたからには一度は食べてみることに。ひょっとしたら虜になるかも。ムチンかな? IgAが増えたかな?と思うのも楽しいではないか。