2026年 8月 の投稿一覧

水素還元法による製鉄産業CO2排出削減

街を歩けば風船のように膨らんだ作業服の人を見る。ファンの音はすれど普通の服にも採用して欲しいと思うほど暑い。これも工業地帯および都市から発生するCO2及び牧畜地域からの牛のゲップも要因だとか。温暖化により偏西風の流れが蛇行停滞することでなおさら酷暑となった欧州と日本。愚痴を重ねてもCO2は減少しない。愚痴を言いながら牛丼を食う。それが人間のサガ。

そんな中、新エネルギー・産業技術総合開発機構が非常に将来を明るくする技術を発表した(2026.07.31)

日本初、グリーン水素を使用した還元鉄試作に成功しました鉄鋼分野で、CO2の排出削減に貢献します

要旨を引用する「引用文」

「NEDOのグリーンイノベーション基金事業「製鉄プロセスにおける水素活用」プロジェクトの「水素だけで低品位の鉄鉱石を還元する直接水素還元技術の開発/直接水素還元技術の開発」において、日本で初めてグリーン水素を用いた還元鉄の試作に成功しました。」

「この試作は、NEDOの水素社会構築技術開発事業で建設した水素製造設備からグリーン水素の供給を受け、本プロジェクトで建設した直接水素還元の試験設備を使用したもので、グリーン水素の製造技術開発と利用技術開発が連携することにより実現しました。」水素は山梨県米倉山で製造した水の電気分解グリーン水素利用とある。

専門家ではないので還元鉄と言われてもピンとこないので高炉(従来法)と水素法の反応式を復習しておく。

1 高炉法の反応式

鉄鉱石の主成分である酸化鉄(赤鉄鉱:Fe 03)から純粋な鉄(Fe)を取り出す反応で次式の通り大量の二酸化炭素(CO2) が排出される

 

 

 

2 水素還元法の反応式

 

 

副産物として出されるのは「水蒸気」のみであり、製鉄時の  排出量を劇的に減らすことが可能。

なるほどと理解したが、これは商業的に実現可能だろうか?が疑問になる。

超概算は次の通り

              世界        日本

・年間還元鉄需要    13~14億トン     8,000万トン

・必要水素量      8,000~1億トン    1,000万トン

・必要な電力(水電解) 4~5兆kWh      5,000億kWh

・原発100万kW級   600~1,000基.                 70基

となって、水電解方式による水素供給は水力発電、原発の基盤がある地域に限定されるのではないだろうか。

水素源としては豪州での褐炭からの水素製造に発生するCO2を地下埋設によりグリーン水素として日本に輸送する(川崎重工)が安価、供給量安定性では採用される可能性が高いと見る。極低温(マイナス253℃)二重タンク構造の輸送船を日本が製造可能であることも心強い。

時間はかかる、だが、徐々に移るビジネス環境を先取りして必要技術を磨いて準備万端にする、それが縄文時代からの日本のものづくりの気質といえば言い過ぎだろうか。今、量子コンピュータが花開きつつある。だが、すでにポスト量子コンピュータを考えている研究者が身近にいることも心強い。

温暖化・植物気孔閉鎖・CO2吸収減少・そして山火事

国立環境研究所から「北半球中高緯度の陸域生態系でCO2吸収量が減少、 2023—2024年の大気CO2濃度上昇に寄与 —GOSATデータを使ったCO2放出・吸収量推定から—」(2026.07.22)と報告があった時、何かの間違いかと思った。産業活動によるCO2は増加が常識だと思っていたが、地上の植物にとってみれば違うアクションをとったのである。植物は水を根から吸い上げ、葉から蒸散することで温度を維持し内部のタンパク質が変化しないようにしている。光合成によりCO2を吸収して酸素を出してくれる。

ところが、植物は温暖化では蒸散する水分を確保が最優先であり、気孔を閉鎖する事態に。暫時、植物はじっと環境が改善するまで耐えるのであるが、それが限界にきたところで、タンパクは劣化し、やがて枯れる。

植物が枯れると森林は可燃物の集合体となる。今、欧州南部では大規模な山火事が発生している。精力的な鎮火作業もちちと進まない。それほど可燃物が多いのだ。特に欧州の植物はオリーブ油、テルペン(松根油など)を含有する松など植物が多い。枯れて可燃物化した上に燃料油が燃焼に加わるのである。

一般的に欧州では30-30-30の条件が重なると山火事になると言われている。

温度が30℃以上、湿度30%以下、風速30m以上。着火は雷、キャンプ火種後始末などと言われている。 この3条件は日本では当てはまらないと思いきや、日本は特に冬から春にかけてフェーン現象がある。日本海から湿度が高い気流は山岳に降雪したらカラカラ湿度の空気が森林をおそう。タバコの不始末、野焼きなどが重なれば日本も山火事を起こす。今年も岩手、宮城の森林火事が発生したことを覚えておられよう。

日本は森林割合が78%とCO2吸収能力は世界のトップクラスだけに火元にならないよう注意すべきだろう。

日本にとって具合が悪いのは竹の存在だ。竹は節と節の間は空間である。山火事になるとこの節間の空気が相当の圧力を発生して着火するや否や飛び火(まるで鉄砲玉のように)遠くを延焼させる。観光に適した竹林がある一方で、土壌を弱体化して地震が発生すると崩壊の原因とも言われている。

農林水産省の分類で竹は雑草扱いなので、除去には補助金の対象ではない。が、今回の欧州の山火事を他山の石として、竹の伐採に目を向けても良いと思う。

松、杉もテルペンを含有する。少ないのは桜。植林の際に松、杉だけでなく防災の観点から桜を植栽するのもありかと。アート田圃ならぬ春になるとアート山になるのも良いではないか。

【命を守る最新技術】家屋が倒壊しても生き残る!「開放型アルミ耐震シェルター」の凄さと未来の防災素材への期待

この度の熊本地震で被害にあわれた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。​​​​​​

また、被災地域の一日も早い復旧をお祈りいたします。

 防災や住まいのテクノロジーに関心がある皆さんに、注目のニュースをお届けします。

「命があってのQOL(生活の質)」。 直近の熊本地震をはじめ、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震、全国各地で相次ぐ地震への備えが叫ばれる中、「古い家だけど改修工事をするには費用も時間もかかる…」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

そんな中、非常に心強い最新の耐震シェルター技術の実証データが発表されました!

古い家屋を壊さず「部屋の中に最強の安全地帯」を作る!

 2026年7月29日、金沢工業大学から興味深い研究報告が発表されました。 福井県敦賀市のアルミ加工会社「株式会社堤サッシュ工業」が開発した「開放型アルミ耐震シェルター」の実証実験に関するレポートです。

このシェルターの最大の発想転換は、「家屋が倒壊することを前提として、リフォームなしで屋内に設置する」という点。

震度7クラスの激震&2トンの落下・積雪荷重に耐える!

金沢工業大学の須田達教授(耐震設計)らのチームが、大型振動台を使って以下の4つの巨大地震クラスの揺れを再現して実験を実施しました。

  • 震源地・激震の再現:
    • 能登半島地震(走出)
    • 熊本地震(益城町・震度7相当)
    • 東日本大震災(築館)
    • 阪神・淡路大震災(神戸)

さらに、豪雪地帯の積雪や「2階の屋根や家具が落ちてくること」を想定し、屋根の上に2トンの重りを載せた状態でテスト。 その結果、どの激震に対してもシェルターの骨組(筐体構造)はしっかりと耐え抜くことが証明されました!

従来の「閉鎖型」から何が進化したの?

実は2022年にも同社は「閉鎖型」の耐震シェルターを開発していましたが、今回の「開放型」では利用者の声を取り入れて大幅に進化しています。

  • メインフレーム(アルミ構造体): シェルター全体の基本骨格を成す頑丈なフレーム。
  • 壁体(CLTパネル): 木質系の直交集成板(CLT)を採用し、強靭な剛性を保ちつつ重量を従来比50%(半分)に軽量化
  • 4辺中央の開口部: 4方向の中央があいているため、地震時にサッと素早く逃げ込める避難経路を確保。
  • 耐荷重屋根: 2トンの重みにも耐え、家族4人程度がしっかり難を逃れられる広さ。

昔は「逃げ場がなければトイレに駆け込め(四方が壁で囲まれていて頑丈だから)」と言われましたが、このシェルターはまさにリビングや寝室に設置できる“絶対に潰れない最強のトイレ型空間”を作るようなイメージです。

将来への展望:2階にも置ける「炭素繊維複合材料(CFRP)」の時代へ?

ここで個人的にすごく期待したいのが、「2階への設置」と「さらなる軽量化」。

自分はCFRTPの開発に関わったことがあるので、特に提案したい。

老朽化した木造住宅の2階に金属や重い部材のシェルターを設置すると、床が抜けたり建物自体のバランスが崩れる危険があります。 もし今後、壁パネルや天井・フレームに炭素繊維複合材料(CFRP)が使われるようになれば…

  1. 鉄の1/4の軽さで、2階の床補強工事なしに設置可能!
  2. 部材が軽いため、狭い階段や室内でも移動や組み立てが圧倒的にラク
  3. 上部からの強い衝撃・落石・崩落にもびくともしない高強度!

昭和初期のお風呂が「重いセメントや石」から「アクリルや樹脂の軽量浴槽」に変わって団地や家庭へ一気に普及したように、シェルターも素材革命が起きれば、もっと身近で手軽な防護空間になるはず。

福井県や石川県はアルミや木材だけでなく、炭素繊維の産業も非常に盛んな地域。 産学官の連携で、「2階用超軽量CFRPシェルター」が登場する未来もそう遠くないかもしれません!

 まとめ

熊本や能登をはじめ、日本全国にはまだ多くの活断層が存在します。 特に避難所への移動が難しい高齢者の方や、住み慣れた自宅を離れられない人々にとって、こうした屋内設置型シェルターは命を守る最後の砦になります。

個人の備えとしてだけでなく、政府や自治体の復興・耐震事業や補助金制度にもどんどん取り入れてほしい技術!

参照情報: 2026年7月29日 金沢工業大学 発表資料「南海トラフ等巨大地震に備える『開放型アルミ耐震シェルター』の耐震性を実証! 〜株式会社堤サッシュ工業が開発〜」

関節運動で脳活性化

ピアニストや画家はスポーツやジムをしてはいないように見える。が、高齢まで頭脳活躍されている。誰でも名前をあげることができるだろう。もちろん、年齢を重ねることで種々の経験を織り込み芸術性が深まるのもあるが、本人の肉体的にどうなのか? 不思議に思っていた。ピアノに限らず縫い物、編みものを習慣にされている人もほとんど座っての作業。そんな中、面白い研究の発表があった。

それは札幌医科大学が2026.07.09にリリースした文献である。

「関節を動かす運動で、運動後の脳活動がより活発に ~脳波・脳磁図を用いて,関節運動を伴う随意運動後に β帯域事象関連同期が増大する」

 文献を読む前にβERS(Beta Event-Related Synchronization:ベータ帯域 事象関連同期)が何かを調べた。運動や感覚刺激などの「特定のイベント(事象)」が起きた直後に、脳波のベータ波(約13〜30Hz)のパワー(振幅)が一時的に強く高まる(同期する)現象

30Hzは聞いたことがある。例の認知症を改善するために聞く音の周波数である。 それならば、この文献を読む価値があると感じた。

本文から引用する。『引用』 「ヒトの脳活動には様々なリズムがあります.なかでも,β帯域(13~30 Hz)の脳活動は運動の後に増大することが知られています.この現象はβ帯域事象関連同期(βERS)と呼ばれ,運動に伴う感覚情報の処理に関与するとされています.しかし,運動様式の違いがβERSに及ぼす影響は十分に明らかにされていませんでした.研究グループは示指伸筋を収縮させる課題を,関節運動を伴わない条件と関節運動を伴う条件で実施し,その際の脳波と脳磁図を記録しました.その結果,関節運動を伴う条件では,関節運動を伴わない条件よりも運動後のβERSが増大しました.この成果は,関節位置変化に伴う感覚入力が,運動後のβERSに影響する可能性を示す基礎的知見となります.」

 

 

 

それではβERSの数値が高い(強く現れる)と何が起きるのか?

βERSが強く出現する(数値が高い)ことは、脳の運動野や感覚皮質などの神経ネットワークの働き方に大きく影響する。

  1. 脳の「リセット」と次の準備
  2. 現状維持モードへの切り替え
  3. 運動学習とフィードバックの評価

しっかり高い(正常な範囲で高い)と脳のスイッチのON/OFFがクリアで、集中して動かした後に正しく脳を休ませてリセットできる効率的な活動となる。

甲野 善紀さんの古武術に確か手の関節を折り曲げ腕を捻りながら万歳する運動があった。肩こり解消かと単純に思っていたが、実はこのβERS効果で、瞬時に対応する運動・頭脳の切り替えを促進しているのか??と勝手な解釈をしたしだい。信ずるか信じないかは読者の判断にお任せします。