ある殺菌に関するミーティングで「以前は水銀灯が利用されていましたが、今はその波長領域をカバーするLEDを使用しています」とメーカーの人が説明をされた。その時、隣の人が水銀は危ない!とんでもないものを使っていたのか!と言った。水銀灯(金属水銀)イコール水俣水銀(有機水銀)と勘違い。今でこそ照明はLEDに切り替えたが、以前は蛍光灯がほとんどで電流により微量の金属水銀が紫外線を出し、それを可視光に変換していた。
その人は80歳をゆうに超えた人なのだが、日本人にとって水銀と聞けば危険物と刷り込まれたのだ。水俣案件は産業勃興時代の出来事であるが、それによる甚大で悲惨な被害を引き起こしてはいけないと日本は覚悟を決めた。家庭の常備品である水銀体温計は消えた。 そんな中、千葉大学が20206.05.21に報告した文献に驚いた。
北極から南極まで世界48か所の氷河に蓄積する水銀の実態を解明―氷河上の黒い堆積物の水銀濃縮「ホットスポット」―
まずは調査対象のマップを見た。

「氷河が水銀を作る?」と誤解する人がいるかも知れないタイトル。過去の産業発生由来の排気ガスに含まれている水銀が微生物・粉塵と混合して黒い物質(クリオコナイト)となり、氷河に付着。温暖化により表面に黒点として観測されるようになった。というもの。
文献では以下のように発表している
- クリオコナイトにおける高濃度蓄積:
調査した 48 の氷河(図1)すべてにおいて水銀が検出されました。特にクリオコナイトに含まれる水銀濃度は、周辺の土壌や河川の堆積物より 10%以上高く、氷河生態系における強力な「汚染物質のトラップ」として機能していることが明らかになりました。 - 南北半球での顕著な差:
北半球の氷河は平均して南半球よりも高い汚染レベルを示しました(図2)。特にノルウェーのニガーズ氷河(最大約0.96 ppm)やアラスカ、欧州アルプスの氷河で高い値を記録しました。これは、北半球における過去および現在の産業活動(石炭燃焼、採掘など)を反映していると考えられます。 - 雪氷微生物(雪氷藻類)への蓄積と環境リスクの懸念:
グリーンランドの氷河では、雪を赤く染める「雪氷藻類」からもクリオコナイトと同程度の水銀が検出され、氷河上で繁殖する微生物への取り込みが進んでいることが初めて示されました。温暖化による氷河融解が進む中、これら微生物やクリオコナイトに蓄積された水銀が下流へと流出し、将来的に地域の生態系や人類へ悪影響を及ぼすリスクが懸念されます。

この発表を見て、北欧地区からサーモンをはじめ魚介類を輸入している日本は大丈夫か?と疑問が湧いた。そこで、現地の漁業機関や受け入れ日本の魚介類試験機関について調べた。
- 北欧(ノルウェーなど)現地の分析レベルと生産管理
- 海上の生簀を使った「養殖魚」であり河川生息の魚ではないこと
- ノルウェー海洋研究所(HI)による大規模検査
毎年1万尾を超えるサーモンを対象に、重金属(水銀、カドミウム、鉛など)やPCB、ダイオキシンなどの有害物質のモニタリング検査を実施。
- 分析結果の実態
水銀レベルは、EU(欧州連合)や日本が定める厳しい安全基準値をはるかに下回る極微量(安全圏内)であることが確認されている
- 日本国内での輸入時・流通時の検査実態
日本に到着した北欧産の魚介類は、厚生労働省の管轄のもとで、段階的なチェックを受ける
- ① 日本の水銀規制値
日本国内では、魚介類の水銀に対して以下の「暫定的規制値」が設けられている。
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- 総水銀:0.4 ppm
- メチル水銀:0.3 ppm
(※食物連鎖で自然に水銀を溜め込みやすいマグロ類や深海魚などはこの基準の対象外として別途、妊婦向けの摂食目安などが示されていますが、サケ・マス類にはこの厳しい基準がそのまま適用されます)
- ② 検疫所による「モニタリング検査」
- ③ 精密な分析技術(日本の地方衛生研究所など)
- ④ 民間企業・流通大手の自主検査
ということで、北欧からの輸入魚介類はひとまず安心できるのではないだろうか。
それにしても、北欧は水産物が産業の中心で、排気ガスはドイツ・イギリスを中心とする地域からの風で飛来し蓄積したものであろうと考えると、北欧にとっては迷惑、ドイツ、イギリスは歴史の黒ページを温暖化で捲られた格好になる。戦後の焼け野原から復興として例えば大阪の空は曇っていることが経済成長と受け取られていたことがある。よく似た風景が日本国土を覆っていた。それが四大公害問題を機に目が覚めた。結果においてコスト上昇となり競争力は低下した。それでも良いと環境とバランスの良い構造への作り変えるのだと。
カッコよく言えば
「次の世代にリレーするためには美しく、正しく、賢く今を送る覚悟する日本人及び仲間でありたい」