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私流リーダーの見分け方

徐々に秋も深くなるこの頃、朝方はコート、ダウンを着ても日中は上着が邪魔と温度のアップダウンが激しい。ひんやりするとポケットに手を入れながら歩く人が増加する。

筆者にはリーダーになる人か、なれない人を見分ける指標がある。大袈裟な表現だが、「ポケットに手を入れて歩く人は本物のリーダーではない」。一般的には靴の手入れ、カバンなど持ち物が相応かどうかは判断基準とされる。それより何気ない行動での「ポケットに手」説が当たる確率は高いとみている。特にズボンポケットに両手を“本物の”リーダーがしているのを見たことがない。

その理由は① 姿勢が前屈みで自信がなさげに見える ② リーダーとして重要なコミュニケーションにおいて話しかけづらい ③スーツを大事にしない無神経はその他に対しても通用しているのではないかと推察される ④視野が狭くなり、仕事はルーティンさえやっていれば良いと考えているように見える。クリエイティブ雰囲気は伺えない。など手厳しいが、そういえば、そうだなぁと思い当たるところありませんか?

まさか人前ではポケットに手はしないが、癖になっていると徐々に仕事などへの影響があると思われる。偉そうに言っている筆者は入社直後に注意されたことがある。注意をしてくれた人は当時30人を率いる研究グループのリーダーであったが、その後、事業所長を経て何万人をも率いる会社の役員になられた。筆者は別のグループに属していたが、ポケット手以外にも色々な教えを頂いた。品があり笑顔が絶えないのでこのリーダーは厳しがありつつ人気があった。真似できないがあるべきリーダー像を学んだ(今もできていないことを断りながら)。

そんな些細なこと・・・・ついでにいえば、信号が赤でもクルマが来ないので渡る人、運転免許証がゴールドに一向にならない人、横断歩道では留まらず逆にスピードを上げる人、歩きスマホで道を譲らない人、出張旅費を“ある種の工夫”する人・・・お咎めがないことが積分した結果リーダーとして失格への道を自動選択している。まして会社のトップにその癖があれば会社が被害を受けることになる。

このブログで稲盛和夫氏を取り上げたが、大企業の石川島播磨重工(IHI)、東芝を率い、経団連会長を引き受け、中曽根内閣の目玉である国鉄民営化など辣腕を振るった土光敏夫氏ほど清貧な人はいない。NHK放送で質素な暮らしぶりが紹介された。「メザシの土光」と呼ばれる食事風景、社有車を利用せず、バス・国鉄で通勤などは、難局を打開することができるリーダーとして国民の誰もがその姿を通じて納得した。

その後の東芝はどうなったか? 不正会計の誤魔化しが原因でいまだに迷走している。経営者の個人的性格も反映しているのではないかと個人的には思う。スケールが更に大きい悪はカルロス・ゴーン。日産を食い潰した。給料はトヨタの首脳より4倍でも不足だと文句をつけ、公私混同というより私利私欲に走った。会社の資金を懐に入れて豪遊を繰り返し、豪邸をいくつも有し、不正を追求されると楽器ケースに隠れて国外逃亡。レバノンで国外に出られず国際手配もあり幽閉状態で人生から脱落した。身体的なことを非難するのは避けねばならぬが、日本に登場した時の顔つきに、やり手ではあるが、胡散臭い顔だと筆者は感じた。多くの人も同様に思っただろう。

今はコンプラアンス・ガバメント重視。機能させるにはCEOの個人的な物欲的な癖・保身性が土光さんを見習うのが好ましい。会社に限らず国の運命を決める立場にある国会議員も私利私欲がなく国民に奉仕する意識が必要で、まかり間違っても利権に目が眩んでは議員はもちろん人生から落伍する。政治姿勢が緩むと若手官僚も影響を受けて入省当時の高い意識も萎え物欲に走り、補助金詐欺により逮捕される事態に。小さい時から、些細なことも注意されずにスルーしてきた結果だろうか。

イーロンマスク氏によるtwitter社買収が完了した。と同時にCEOを始め役員は全員解雇された。一部は戻すとの報道もあるが、新役員陣を(政治的スタンスは別として)どのように選択したのだろうか興味がある。雑誌Diamond Harvard business Review11月号にアイーシャ・ディ氏の記事があるのを見つけた「経営者にふさわしくない人材の見極め方」。超要約として「企業はコーポレートガバナンスを経営資源に投入したが、不正行為はなくならない。企業を率いる人に着目し、CEOのライフスタイルを調査。不正行為と相関する資質を2つ特定した」。とある。詳しくは同紙を参照されたい。

軽微な交通違反など規則違反から(金に目が眩んだ)物質主義に溺れたトップのライフスタイルは会社不正と深い関係があるとのこと。我々一般的にはCEOと接触する機会はあまりないので、作業班、チーム、グループ、事業部門のリーダーを眺めてみてはいかがでしょうか。ポケットに手は案外納得されるのでは?と妙な過信の癖。その癖を直せとのお叱りがあれば素直に頂きます。

脳は考えていない?

10月19日のE-テレを何気なく見た。織田裕二MCの脳に関するサイエンス番組。それにしても強烈なタイトル。ご専門の先生を中心にゲストを交えて「脳は考えていない証拠」を紹介。驚いた。人は考えていなく、脳がその前に自動的に行動をしているのだと。その後でその行動について後付けの言い訳を発している。具体的に3つの実証実験を紹介。最もインパクトがあった一つを紹介する。(裏付け文献を見ていないので、そのまま記載します)

男にマジシャンが二人の女性の写真を見せて、どちらが気に入りましたか?と質問し、男性はこちらの人と指差す。そうですかとマジシャンは男性が見た写真を裏返しにして、次にその写真を元に戻したように見せて、「この女性のどこが気に入りましたか?」とマジシャンが質問。

その写真は気に入らなかった女性の写真とマジシャンが入れ替えたのにも関わらず、好きな理由を延々と話す。この実験を三人の男性にしても同じ結果。30人の男性が全て同じリアクションをしたとのこと。

事実無根をあたかも真実のように話す人が(あのTV業界以外の)ある会社にいた。 議事録が間違っていると主張し、面談していた筆者を含めドン引きさせられた。米国なら心理カウンセラーが対応するだろう。だがちょっと待ってほしい。今回の「脳は考えていない」が真実であれば心理カウンセラーの他に何か加える必要がありそうだ。

脳って何? 火傷をしそうな時は体が脳の指令の前にアクションする。その後に脳にホウレンソウする仕組みだとか、腸内菌が考えを握っていて脳はアシストするとの文献もある。 脳科学者の今後の活躍を待たれる。

勝手な解釈だが、過去のアルゴリズムプログラムを体が自動起動する。考える前に決まっている。その後で言い訳を付け足している。 プログラムは個人・個人により生まれてから成長するまでの過程でバージョンアップされていく。社会の組織における活動ではプログラムを選択しながら人間という動物は生きているともいえる。

そのようにできた生物がサバイバルできたとも想像する。

女性が伴侶を求める要因を昔は三高と言われた。だが、美女と野獣の組み合わせもある。野獣=イケメンでなく、低身長・ブサメンもおられる。子孫を残すのが最優先条件であり、伴侶と決めた後で、彼のそこが好きなの・・・と理由を述べていることになる。ペアーで仲良く歩いている女性が見知らぬ男性とすれ違いざまに視線を投げるのは、この伴侶で良いのだと確信する動物的行動だろうと思う。間違ってもすれ違う男性が妙な誤解をしてはいけない(笑)

自己顕示・承認要求を優先にしないと生物体が社会生活で具合が悪い事態になると察したら、自動プログラムが稼働する。後付けはどうでも良い。 議事録事件はそんなことだろうと当時思ったものだ。

そういえば、テレ朝のT-川さんも、長期低落で益々厳しくなる環境のTV社会で生き残るべく目立つ必要を口が脳より先に本人の意思に関わらず作動したとも(擁護する気持ちは微塵もないが)言えるかも。世間的には責任はとる必要はあるが。昔から口から先に生まれたのでは?と言われる人がいるが、それにも通じることなのかと妙な短絡。彫刻家、画家など芸術家も脳より手先が先に動くのだろう。ジャムセッションでの予定調の旋律より、アドリブで指や腕が勝手に動く方が聞き応えがあるのも、そうかも知れない。

それにしても脳科学の解析進化には驚いた。

筆者も他人事ではないと思った次第。だが、脳でなければ、どこで考えれば良いのか。ますますわからなくなってきた。 修験者の如く滝に打たれる、千日回峰など体に新メニュープログラミングと置き換えをしないといけないのかも。凡人である我々にとっては旅やスポーツがそれに変わるのかも知れないと脳ではなく体が納得するだろう。と後付けの言い訳をして街をぶらぶら。

展示会場・新顔登場

朝の東京駅日本橋口フロアに最近5〜6社の旅行会社の旗を見る。集合し始めているご高齢の皆さんは和気藹々と出発を待っている。ようやくコロナの長いトンネルから脱出して、本格的旅行を楽しめる時がきた。新幹線でどこに行くのだろうか。秋の京都・金沢・東北もいいなぁ。

そういえば今年は新橋―横浜鉄道開通から150周年。それにちなんだ行事も見る。横浜は今の桜木町駅が当時の横浜駅であった。東神奈川から桜木町までは海の上に鉄橋を敷設していた。そのような工事をしていたことに驚く。東海道線を建設するにあたり戸塚まで伸ばすには一旦・凹路はまずいとして2回の移動をして今の横浜駅となった。みなとみらいを訪れたら桜木町が往時の横浜駅であったことの展示物を見るのも良いだろう。

さて、交通網は人・モノ・情報において重要なのは当然だ。最近、驚いたことに展示会の場所に新顔が出てきたことだ。羽田イノベーションシティだ。イノベーション拠点は日本に多数存在する。羽田イノベーションシティの展示ルームの規模は決して大きくはないが、アクセスに特徴がある。

先日、大田区ものづくり展の案内がきた。いつもの展示会で見る大田区中小企業だとしたら、過去見たことがあるので敢えて行く必要はないと判断していた。だが案内状を見ると展示会社・大学のほとんどがセミナーを開催とあって、ひょっとして通常より違うテイストかも知れないとして訪問。

展示・セミナーの会社や大学は沖縄・鹿児島・徳島・愛媛・・・・と大田区以外から参加も多数。聞いてみれば、目の前の地元空港から羽田まで直ぐに行けるじゃないの?と逆質問され、その通り! 聞いた方が恥ずかしい。羽田イノベーションシティは天空橋の改札に直結しており、空路、京急、モノレールにてアクセスできる。都内・横浜からは品川か蒲田で京急を利用するのが便利だが、渋谷・新宿方面からはやや不便。東急の線路が狭軌に対し京急は広軌なので相互乗り入れができない。過去何年も交渉などあるも進展しなかったが 最近、方向が見えてきたようだ

話が脱線した。今回の展示会はコンパクトだが従来にない参加大学・企業があり収穫があった。鹿児島大の教授から薩摩弁で話しかけられると一度は行かねばと思う。実に単純。でも些細なきっかけが発展することもある。愛媛の企業にはビックサイトや幕張メッセでお会いしていたものの、コンパクトな展示会でゆっくり情報交換ができた。展示会の規模がどうのこうのより、当然ながら中身が重要で参加者同士の人の繋がりができたことが良かった。羽田イノベーションシティにはロボット食堂があり、川崎重工のロボットがカレーを作り、テーブルまで持ってくる様を家族が既に経験している。その実用化前に、ある案件で訪れたとき、ロボットへのデータインプット作業をしている様を見た。単なる完成品を展示するだけでなく、インキュベートも見られる新しい試みだと感じた。

展示会は東京地区では幕張メッセ、ビックサイト、横浜パシフィコ、大阪地区ではインテックス、名古屋地区ではポートメッセ、福岡など多くある。中規模では東京都産業貿易センター(浜松町)が3年前に出現。今回は更なる新顔が出てきた。何を企画するかの勝負になってきた。これはユーザーにとっても非常に興味あるところだ。

以下は筆者のあくまでも個人的な展示場の印象(住居地域により変わるのは当然だが)

幕張メッセ:規模を生かして自動車・機械産業関係展示が得意。だがアクセスやや不便。筆者は東京駅構内での京葉線乗り場まで辿り着くのが面倒なので大井町から臨海線で新木場に出ている。京葉線乗り場は殆ど有楽町の下なので、ここから暫定切符を貰って行く方法もあるが試していない。広い展示会場巡りで疲労しやすい。元気回復になる飲食店などインフラがもっとあればと思うが、展示がない日を考えると無理。その他の客寄せする複合化があると好ましい。

ビックサイト:東京オリンピック終了に伴い東館が利用可能となり東西多種多様の展示。まさに日本の中心・代表的展示場。南棟を加えて更に充実。新橋からの「ゆりかもめ」はしばし観光気分を味わえる。駅からビックサイトまで徒歩が少なく助かる。だが臨海線の国際展示場を利用する人が増えてきた。ゆりかもめを経験すると、のんびりグルグル回るより、さっさと行ける路線を好む人が出てきたのだろう。

横浜パシフィコ;中規模からノースをつけて大規模に模様替え、周囲には豪華ホテル、レストラン、遊興スポットなど多い。足を伸ばせば中華街と交流する場はダントツに存在している。ビックサイトのあるお台場の開発がなんとなく間延びしているのは青島知事の博覧会中止の影響が尾を引いているのだろうが、横浜のみなとみらい地区の開発は当初予定よりは遅れたものの、着実にビジネス・観光の複合化を見せて、訪れたい・住んでみたい人気地域になっている。東急乗り入れのみなとみらい線でダイレクトにアクセスできるのも強い。

さて、あなたが展示するなら、どこを選びますか? 視察は2時間程度が平均だとすると、アクセスが悪く丸1日潰れるのは困るのが本音だろう。さすれば、新顔の羽田イノベーションシティは注目されるのではないだろうか。

バイオ材料を支える化学

ニュージィランドの首相が牛のゲップに課税すると発表して驚かせた。牛のゲップにはメタンガスが含まれており、CO2の4倍温暖化が理由。畜産農家は価格に上乗せるので競争力低下は避けられないとして抵抗している。対策はゲップが出ない餌の開発に向かっている。牛からみれば食べ慣れている定食を取り上げられて妙な創作餌を食べさせられる訳で、ストレスに繋がり肉質が変化するのではないだろうか? モーTAXサンと叫んだかどうかは知らないが。

先日ビックサイトで開催のTOKYO PACK 展を覗いた。紙によるパッケージ、木粉などバイオ材料を51%以上配合した樹脂製品など環境配慮型のオンパレードであった。100%樹脂に見える製品でも、原料がサトウキビ、とうもろこし、芋などからアルコールを摂り、オレフィンを合成し、後は従来の石油化学の製造法で樹脂を製造する“バイオ由来の樹脂”である。

紙容器に水など液体物を充填すると膨潤するので、内面にポリエチレンやポリエステル樹脂をコーティングする必要がある。一般的に紙の表面は水酸基OH、カルボキシ基COOHなどの官能基があり、ポリエチレンのC H 2-C H 2- からなる分子とは馴染まない。そこでポリエチレンを溶融積層(ラミネート)加工中に分子の一部を酸化させてOH,COOHの親和性を付与して紙と融着させる。そこで完成ではない。というのは融着させるための官能化されたポリエチレンが匂うと感ずる人もおられる。そこで、ラミネートした上から無臭のポリエチレンを重ねてラミネートの2層構造にしている。この無臭のポリエチレンを製造するには工夫がなされている。市場ではポリエチレンを製造するにどれだけ工夫をされているか知らない。裏方に徹しているのは気の毒なところがある。牛乳パックの牛乳の味を不思議に思わないで飲む。北海道産の牛乳が本州まで物流しても味に変化がないが誰も不思議に思わない。その働きを静かに実行しているポリエチレンを少しは評価しても良いのかも。

一方、木粉、竹粉、紙粉を樹脂に配合している製品としてスプーン、フォーク、カップなどがあったが、セルロースを主成分とするこれらは耐熱性が精々150℃まで。一方でトレーなどに使用されているポリプロピレンと混合するには樹脂温度が180℃〜230℃であり、セルロースは分解し着色、異臭を放つことになる。したがって150℃以下で混練や成形が可能なポリエチレンが主役となっているようだ。剛性がポリプロピレンより低いこともあり、相当量の木粉、竹粉、紙粉の配合となる。一般的にこのアイテムに挑戦している企業は樹脂における配合研究の蓄積が少ないケースが多々ある。ここは樹脂メーカーの底力で突破してほしいものだ。

セルロースの分解生成物は化学式で優に30〜50種類があり色や匂い対策は厄介だ。日本は無臭がベストで香り付き洗剤も色々変遷があった。電車でポテチはもとよりクリームを誰かが塗れば一斉に視線が突き刺さる。隣に座る人によっては、そっと他の車両に移動する人もいる。ワキガや加齢臭も本人に罪はないが、自分は臭いに気をつけているつもりで、かつマスクをしていても、体の皮膚からは臭い成分を発生していることを知らない。

“皮膚ガス分析サービス”会社が現に存在する。ニンニク、ニラを食すると皮膚からはアリルメチルジスルフィドが出ている。因みに加齢臭はノナン酸(皮膚が酸化して分解)である。皮膚ガス分析会社の資料によれば皮膚常在菌と紫外線により発臭原因になるもの、血管中の成分と皮膚腺と反応するもの、血液由来のもの 3種類に分類されるとのこと。

逆に血管内成分を皮膚ガスで分析することで例えば疲労度が定量されるようだ。すなわち手首にアンモニアセンサーを取り付けることで、疲労度が測定される。

冒頭のニュージィランド牛に餌の変更前後の皮膚発生ガス分析をしたら、何を読み取るであろうか。腸内細菌の変化が脳にリンクして制癌剤の体内生成に変調をきたしているが、それでも食べる?と言うかも。

ある人に石炭は過去のものを掘削するだけで、今現在石炭はできている?と聞いてみた。咄嗟のことで戸惑っていた。過去にできていたなら、現在はその種ぐらいは見つかってもよさそうだと考えるのが普通。木材、竹など伐採されずに放置され倒れて地面に接触するとヘミセルロースやセルロースを好物とする菌により分解される。この分解によるCO2もバカにならない。やがて何万年前に残りのリグニン(これが石炭の素)を餌とする菌が現れたことで、それ以後、石炭はできなくなったとの説が有力である。

何万年にわたる時間の中で、それまで地球環境が汚染されるままで良いとは言わないが、自然は妙な差配をするものだと感心することがある。

タイパの落とし穴

タイパはZ世代の言葉だとか。タイムパフォーマンスの略と何となく察しはつく。家族にZ世代はいないがTVは録画してスキップか速度モードで観ている。You tubeは5分〜15分程度であるが、それでも尺が長いなぁと筆者でも結論を先に見ることもある。最近はさらに15秒前後のダイジェスト版が見られるようになっている。

答えさえ知ることができれば、前後は省略してもよい風潮がある。答えを沢山知っていることが優先されるようだ。クイズ選手権にでも参加するのならそれも結構かも知れないが、このタイパが通用するには閾値条件があるように思う。

それは創造不要、進歩不要であるとの条件ではないだろうか。それで社会で務まると考えるのならそれもよし。

だが、人間はもとより創造的生物であるから、長ずるに従ってタイパはダメだったと感ずることになろう。会社でも社会でも特に自然災害、経済的混乱、戦争など予期せざることに遭遇した時、過去に覚えた答えの中から探しても役に立たない。

受験勉強で優秀な成績を収めてなったはずの官僚社会に見るように、いざというときに主役にはなれないのは知られている。(勿論、例外がある) 民間会社でも企画部に配属されると、調査会社にオーダーを出して“答え”を要求する社員がいる。それなりの大学との長い関係から、それなりの部署へ配属と会社は配慮するが、変化を求める企画部を任せるには適していない。精緻な分析に基づく計画立案が優秀社員であるとの信念?がある。企業統合して初めて聞いた言葉が精緻・精緻・精緻。なるほど過去問は得意だったのだろう。だが、そこが大問題なのだ。

技術開発部門において、研究のスタートを特許調査から入ると重箱の隅をつつく平凡な案を出してくるか、そもそも案すら出なくストップしている人がいる。膨大な“答え”を見せられると、それ以外に創造することは無理として出来ない理由を考え始めるのだ。そうではなくて創造的案をまず作り、抵触する特許、文献はないだろうなとして調査することが望ましい。自惚でも構わない、このような案は誰も考えないだろうと妙な過信が技術を進歩させることが多いのが筆者の経験である。

精緻な分析ができる人に限って、異質・異能な人物に出会うと「この人の話すことがなんと無駄が多いのか?整理されていない。利口ではなさそうだ」と片づけてしまう。でも異能な人は違う見方をする「なぜこの無駄とも言える話を持ち出すのだろうか?」結論に至る考え方にこそ本当に伝えたいことがあるのでは?と考える。

別の言葉で言えば、前者の整理がデジタル処理、後の考え方がアナログ処理。

アナログ的思考こそが、いざという時に「考え方―考え方」を繋げることで新しい展開ができることがある。それが得意な人材を筆者は知っている。日頃妄想(pipe dream),(chasing rainbow)的なことを言って部署を任せるに足るか訝るような人である。Chasing rainbowとは実現不可能なことを追っかける意味である。だが、太古の時代、いや江戸時代において空を人間が飛ぶことはおよそ実現不可能と考えていたはずだ。創造性のある人物は存在している時代の中では変人扱いされたのであろう。受け取る方が変わらないことこそ変人であるとの自覚が必要なのだろう。デジタルを駆使しつつ、その限界を見据えてアナログ思考を大いに生かすことだと考えると、デジタル苦手であってもシニアが活躍できる場面はあると考える。シニアの方、自信を持って下さい。

You tubeで答えを急ぐ人にはピース又吉の「渦」における文章添削をゆっくり見るといい。作者の意図を深堀し膨らませ新しい作品に仕上げるその様は面白いと感ずるだろう。

今回のタイトルがタイパなので通常より手短にしてみた。如何だろうか。

現場感シミュレーション

10月1日から横浜市の人口が衝撃的に急増した。9月30日からたった1日の出来事にそんなことがあるはずがないが。その理由は次の通り。地下鉄改札出入り口の流れが大混乱しており、あたかも人口が増えたと思わせるからだ。

横浜に限らず他の都市でも老齢者パスが70歳になると配られる。年収により無料〜9000円まであるが地下鉄、バスを利用するには非常な格安システム。

従来は老齢者パスを有人改札で見せるだけでスムーズに出入できたが、10月1日からICカードとなり、特定の読み取り装置①にタッチして○印を確認し、有人改札②で駅員に見せる二度手間システムに変更された。装置は駅の死角しか置けない事情なのか、どこにあるのか案内人を2〜3人配置する必要があり、普通の自動改札から出入りする人の流れを邪魔しないと辿りつけない。

図中の①→②へ移動。この図で左から来る人は2回人の流れを横切ることになる。(図は地下鉄桜木町駅 みなとみらい地区、市役所関係で乗降客は絶えない。)

若い人は押し並べて背が高いので読み取り装置がどこにあるのかウロウロ。改札から吐き出される怒涛のような流れの中で、なおさら高齢者は漂流するのみ。漸く辿り着いたところは一種の集団状態に。Suica、pasmoと同じパスカードに入れないで別にするように注意されているらしく、いざ読み取りになるとパスカードの出し入れに手間取って渋滞している。

係の人に聞いた。高齢者は何も通勤などの時間帯に行動しなくても良いのでは? すると駅員の答えは非常に簡単なもの「通院!」。なるほど。読み取り装置案内の人に話を聞いたところ、高齢者の苦情にホトホト参っている。苦情が的を射ているだけに市役所の意思決定システムが壊れていると思うとまで言い切った。苦情の電話をして下さいとコンタクト先の紙を渡された。ここで役所は現場感がなく適当に決めたのだろうとは推察はできるが、言いたいことは、決めた役所も苦情を電話で受け付けるシステムもこの時代に合っていないのではないだろうか。

先の国葬でデジタル献花が50万人を超えたとのこと。横浜市老齢パスに関する意見をSNSなどを通じて集める方が“統計学を専門とする”市長には有益ではないだろうか。決める方については流動解析エンジニアリングソフトで人の流れの中に方向と速度の違う人物を置いた場合の流れの混乱(乱流・渦)が計算できる。横浜国大をはじめ、横浜には工学部を有する大学が多くある。そこを利用すればシミュレーションできたはず。

最適な読み取り装置の場所も計算で求めることが普通にできる時代。現場感とシミュレーションの重要性の具体的事例を見た

ここまでお読みになられた人は「普通の自動改札を利用できるようにするのが本来やることではないのか?」 全くその通り。 自動改札の改造は不要。子供用のカードで反応しているのだから、それを利用するのだ。子供表示が出るが、高齢者はウイットがあって良いと喜ぶだろう。子供なのだからもっと勉強しなければ・・・と受け止める高齢者は明るくて長生きすると思う。

話はそれるが、ウイットに欠けるマニュアル社員ではユーザーから疎遠にされると明言してもよい。

最近の出来事だが、試験用に500g程の材料が必要となりメーカーに依頼。普通はサンプル程度を所持しており試験結果を聴取し商品戦略に活かす。このメーカーは総合商社の取次店に案件を回した。25kg製品なら販売する。発注書はFAX。時代遅れのアクションに驚いた。と同時に取次店の置かれている立場も分かった。

残りの24.5kgは不要だが、廃棄処分するとSDGs面でも拙い。入荷したことの連絡メールをした文の最後にPSとして、残り24.5kgはSDGs面からもなんとかしないと・・・と記載して送付。その返信が「当社は25kgが最低販売量です。の一行のみ」。この返信で、この会社は当方を一過性ユーザーと判断したとして、次は違う代理店か担当を逆指名する。

次に繋がりそうだからのシミュレーション、ユーザーの履歴など調べた上で対応するのが普通。答えるなら 「A:新用途が見つかったら当方も会社も嬉しいです。B:新用途いいですね〜。出荷ローリーを手当して待っています。」

昔、樹脂袋から竹箒の小片が発見されたと会社にコンプレイン一報があった。時の担当者は平然と「次はチリ取りを入れておきます〜」で相互爆笑。親密度は以前より増した。明日は今日より成長できるとの社会的前向きの時代背景はあっただろうが、ユーモアは時代によらず、人がビジネスをしている間は必要だろう。それも広い意味でのシミュレーション。

ささやかな地理の愉しみ

以下の内容は日々の出来事を淡々と書いている軽さなのでご勘弁を。

さて、

なぜか駅や道路でよく尋ねられる。逆に尋ねられない人を想像するに、イケメン、美人、高い身長、ビシッと服装が決まっている、紳士淑女の雰囲気の人には気後れするので聞けない。筆者はどの一つも該当しないので尋ねやすいのだろう。若い人ならスマホで検索することで対応することができるが、そうでない人も結構おられるのだ。

先日、あまり利用しない田園都市線のホームに立っていたところ、目を不自由されているご婦人から「次の電車は宮前平に止まりますか?」と聞かれ、次の6分後の普通に乗車してくださいと返答し、幸い当方も急がなかったので急行を見送り同行した。宮前平駅は川崎市で全国区的に言えば二子玉川と多摩プラーザの中間に当たる。

別の日、北海道物産の行商をされている人に溝の口に行きますか?と聞かれた。 デパートの特売場で1週間〜10日間の移動販売をされているとのこと。いつもの定宿から、今回は溝の口を指示されたとのこと。たまたま、当方はその街に行く目的があったので同行した。

全国のデパートを次から次へと移動は「寅さん」のようで、そんな雰囲気も見えてきて面白かった。寅さんと違うのは、3ヶ月分の物産展スケジュールが決まっており、路線案内のコピーもファイルされている。寅さん恋人のリリーさんがいないのだろうか。初めての土地には戸惑っている。それで尋ねやすそうな雰囲気の筆者に聞いてきたのだ。移動中しばし特売に関わる裏話などを聞いた。デパートが無くなり活気が失せた街。同時にこの人の仕事も影響を受けたとか。でもちゃっかり商品のPRをされて、筆者の住まいするデパートの日程での再会を約束して別れた。

横浜、埼玉、千葉の住民は外部からの流入組とあって自分の土地より東京23区の方が圧倒的に詳しい。東京での活動には縦横無尽蜘蛛の巣のような路線・道路事情を頭に入れておく必要がある。スマホの地図を見ながら乗り換えや見ながら徒歩移動は見栄えがよろしくない。

一方で、地理に少し明るいと思わぬ効果がある。例えば展示会には大手企業から中小企業、外国企業がブースを設ける。各地から集合していることもあり馴染みのない土地からも参集する。

デンマーク関連のブースで会社の資料を見ずに安城ですか?と質問したところ「その通り!日本のデンマーク」って言葉を安城以外の人から聞くなんて・・・と妙な感心をされ、一気に初対面にも関わらず旧知の仲になりスムーズな話題に展開。

次に面白い包材を展示する会社があった。名前の一部が埼玉の都市の名前だけに、てっきり本社は埼玉だと思って聞いたところ、摂津と返答。お客さんから摂津?それ何処?と聞かれ、関西で摂津といえば説明するまでもないだけに、他所の人への説明は意外に難しい。摂津は吹田と茨木に隣接して・・と説明しても、今度は茨木が茨城にイメージが飛んで????の人が多いらしい。筆者はダイキンがありますねと話すと、「そこです、ダイキンの前です」とやっと分かってくれた人だとして、ここでも一気にくだけた仲に。次期商品の開発について具体的な打ち合わせをすることになった。地理というか土地勘はこのような効能はある。スマホを開いて「大阪ですね」では熱が伝わらない。阪急相川駅・正雀の雰囲気、千里ヶ丘などの空気感を共有できることがポイント。

子供の頃、地図を眺めるのが好きだった。行ったことがない所だが何故か気になる都市のいくつかがあった。入社しての初勤務地が正にその気にしていた都市だった。何かの系に導かれているような感じがしたものだ。そう考えると出張で初めて訪れたところでも、将来に向けての必然性があると思うと印象に残る。たとえその時は空振りであっても、縦横無尽蜘蛛の巣の中での社会活動において後で有効な交錯点であったと思うだろう。

最後は柔らかい話題。横浜みなとみらいを歩いていた時、Nissekiは何処ですか?と英語で聞かれたので、 Red Cross Hospital …と話し始めたが、首を傾げるばかりで通じない。日赤病院への行き方を教えようとしても、先方は戸惑うばかり、よくよく聞いてみると「日石」ビル。で大笑いしてビルまで同行。ささやかな国際交流も また楽しからんや。

経営理念比較

京セラ設立、KDDIからAUへ拡張、瀕死のJALを再建された稲盛氏が逝去されたとの報道を受け、メデイアは一斉に同氏の活躍、とりわけ経営理念について紹介されている。鹿児島大から松風に就職されての独立は歯科関係者として縁を感ずる人もおられよう。

稲盛経営12ヵ条、六つの精進、従業員をやる気にさせる7つのカギなどはなるほどと思いつつ、なかなか実践するとなると厳しいと思うのが正直なところではないか。これらはWEBを通じて詳細を知ることができるので、あえて記載しないが、側近や指導を受けた方々のエピソードが面白く役に立つ。

その一つが接待は牛丼。大事な相手であれば、それ相当の格式のある場所で、それなりの費用を負担しての接待が普通。だが有楽町の吉野家が定番とのこと。偉くなられた人だから、時間を共有してもらうだけで光栄と思うレベルに到達していればこそであり、そうでなかったら「あいつは世の中を知らない、ケシカラン!」と怒るだろう。

きゅうりを買う時のエピソードも思い当たるところがある。数字は忘れたが、10本300円を買うか2本100円を買うかの選択では、後者を選ぶとのこと。将来利用するかどうかわからない設備に投資する方よりは現在の設備の合理化を徹底することが収益につながる。確かにその通りだが、大型設備をすれば仕事が来るとの考えは昭和40年までの話だが、案外今もこれに囚われている経営者は多いのではないだろうか。

中小企業の経営者が稲盛氏に状況説明した「全部借入金で設備を新設する」。それを聞いて、借入金はやめなさい。自己資金で賄える範囲が好ましいと説得した。確かに右上がりを期待しがちであり、自社の技術を強く信ずるほど、そうなりがちだが、稲盛氏は右下がりの確率もあることに注意が必要と諭されたとのこと。その後の相談者の会社は自己資金率の改善を図ったとのこと。

経営者だけでなく技術者は技術に惚れ込むところから何倍も期待値を高く持つところがあるので、仲間内だけでなく冷静な判断をする人と知り合っているかどうかがポイントとなる。幸い、筆者にはありがたいことに以前の上司だったF氏がおられる。何度か救われた。

筆者が知る京セラ勤務の人は転職組だがスキルもさることながら、人柄が良いことで社内にて重宝されそれなりの立場になった。決して給料が高い会社ではないが、更なる転職する意識はないとのこと。

人柄が良くて周りから頼りにされるほど、新しく未知の分野でも勉強して頑張ることを経営者も見てのことだろう。12ヵ条には努力する・燃える闘魂など精神面の文章もあるが、どこかの会社と違ってギスギスしていない。それだけに闘魂の文字はあるがジワジワと心に浸透して、いつの間にか有益な人材になるのだろう。あの笑顔も触媒効果が大きいのだろうと思う。上述の筆者に対するF氏。よく聞けば厳しいコメントであるが、笑顔と相溶化し、微細にコメントを微分することで、心に浸透溶解させてくれる。

笑顔(明るい姿勢)は良い成果をもたらせてくれる。コスモサイン加藤社長も笑顔が素敵な人だ。

さて、タイトルは経営理念比較である。「比較」に何を持ってくるか、相当規模の会社で社会にインパクトのある会社となると(例えば)今話題の会社の○通になる。その社員行動規範はWEBでは見ることができるので。興味ある人はチェックされたい。女性社員が自ら命をたたれた会社の背景や、今話題の案件で疑惑がもたれている(現段階ではあくまでも嫌疑止まりなのでブログでは、それが目的ではないので取り上げない)

1952年当時の社長が作成されたものであり、今なら彼を責めることもあると思うが、当時は戦後の闇市が幅を利かせていた時代。空襲で焼け野原になったが土地区画帳簿も消失した当時はどうなったか? 成金が跋扈し、腕力のある人物が区画を勝手に拡張して杭打ちをするような乱暴狼藉が罷り通ったところもある。

そんな社会背景があり、生き残るためには悠長なことは言っていられないとして、この行動規範ができたのであろうと解釈していた。だが、残念なことに改定し現代バージョンにしなかった。改定文章はたとえあったとしても経営陣のDNAは受け継がれていたものと推定できる。

経営理念の改定と徹底が待ったなしであるが、社員がそれに遵守するかどうかは経営者の哲学を見ている。その意味で稲盛氏の六つの精進とは非常に重要だと思う。ここにネットから抜粋しておく

 

電力・コモディティ物価

幕張メッセに向かう京葉線に乗り込んだのはいいが、車両間のドアの隙間にリュックの紐が挟まった。ドアの開閉にお手伝いしていただいたご婦人とお礼挨拶をかわし、最近の物価高について話題が転じた。6Pチーズが薄くなった、納豆は豆の量が減った、野菜の代わり?にもやし利用の新メニューなど。納豆はピンキリだが、売れ筋は98円が最も売れている。最近、つゆ、辛子パックを無くして49円の納豆もある。さすれば50円ぶんがあの味付けパックだったのか?と妙な驚き。この物価高をやり過ごすには経験豊富な主婦はできるんだからと色々面白い話をして頂いた。米国のインフレ対策のために円安に触れてはいるが、このご婦人のノウハウで乗り切れるかも知れない。

そんな中FBに面白い図を紹介した人がいた。欧州の8月末の電気料金(円に換算)である後述の資料によれば昨年同期比でドイツは213%、フランス451%ととんでもないことになっている。この図ではイギリスは記載ないが147%。水力発電の多いスエーデンは増加率が小さい。

ドイツはロシアからの天然ガス停止によるもの、フランスは原電の冷却を河川に頼っているが渇水問題で運転できない理由による。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこで、興味は電力以外のコモディティー商品はどうなっているのか?である。先物買取引をしない限りこのWEBにアクセスすることはない。

https://tradingeconomics.com/commodities

結論を言えば、この統計データからいろんなことがわかる。エビデンスに基づくのであって、誰かの受け売りでない自分の考えを持つことができる。古い考えを改めるにも良い資料だ。日、週、月、年別の増減率が表示されている。(数字は9月9日のデータ)

エネルギー別、金属別、農産物別、鉱工業別、酪農商品別、商品先物指数、そして電力各国別である。眺めているだけで30分は有益な暇つぶしはできる。

冒頭のご婦人の納豆(大豆)は対前年+16%だが小麦粉の+26%に比較すればまだ軽傷部類。納豆の豆を15%減量すればトントン? それよりつゆ辛子パッケージ抜きだろう。小麦はウクライナ侵攻を直に影響している。

コーヒー、オレンジも+25%だがこれは寒波・旱魃など異常気象による。変動が大きいものはバター+79% 、ポテト+52% コーン+39% とモロあの食品が影響を受けそうだ。鉱工業では意外にも瀝青(アスファルト)が+48%。最近の道路修復ではアスファルトは珍しくなっているのと一致か? 同じ表の石油化学原料のナフサがマイナスだけに、コンビナートからのアスファルト生産量も減少とリンクした。

一方で、昔は戦争になると弾薬製造のため銅、鉛が高騰したものだが、約20%ダウンしている。これは意外だった。今や電子戦で命中率が高いので「下手な戦車砲も数打ち当たる」時代では無くなったのか〜と。もしくは在庫処分なのか。リチウムは+256%と大きく値上がり。EV競争を背景に伸びているものと容易に想像できる。歯科でも問題のパラジウムは依然として高止まりだが、ロシアが産出国だけに厄介だ。パラジウムはクルマ排ガス触媒に多く消費されているので、歯科としてもそれに影響を受ける

金、銀の貴金属は戦争や経済危機になると高騰するが、いずれも直近ではマイナス。おかしいなぁと金の価格推移を田中金属のHPで見ると前年同期で+32%と平時の変動よりは高いもののこの32%はウクライナ侵攻に関してもシナリオが出来つつあるのかとも読める。また銀の落下率が−21%と大きい。これは何を意味するか、考えると面白いのではなかろうか。銀については写真がフィルム時代には富士フィルムだけで世界の1/3〜1/2を消費していたが、今は抗菌材料として利用されているので量は減少している。時代の変遷を見るようで面白い。気がつかないところで大幅に高騰しているのが肥料(尿素、ウレアアンモニア)で+78、+115%である。もっと気がつかないのは米の+31% 日本の米作りは儲かる環境にあるのかも。さすれば工業化もありうる。

経済についても門外漢の筆者。日本や某国は財政破綻しそうだとSNSやワイドショーについてコメンテーターが煽っても、ネットでCDS (Credit default swap)を見に行けば実態がわかる時代になった。200,400を超えると警戒領域と言われているが中韓も巷間で言われるほどの深刻なレベルにはない(6月までは)。だがロシアは世界の経済封鎖で10,000と桁外れ。これでは国体維持は厳しいだろう。貿易統計にも乗ってこないので物価は想像するしかないが連動はしているはず。冒頭のやりくり上手のご婦人は習志野市のプールでひとお泳ぎするとのこと、厳しい経済事情を泳ぎきる術をロシアに教えてあげては如何だろうか。

樹木剪定伐採・CO2循環

街では台風シーズンに備えて、樹木の剪定伐採風景が早い時は6月から開始され8月末まで、あちこちで行われている。中には頂点に僅かな葉を残して丸坊主のような伐採も、刈り込んだ枝葉が地面に山積みになっていると、炭酸ガスを吸収して酸素を出す役目をしている植物に対して思いやりがないなぁ〜と思う。葉の数が見た目で10万分の1にまで減少した場合の炭酸ガス吸収や葉の表面から蒸散する水の量、結果として根本から吸い上げる水の量はどうなのかな?とその場所を通るたびに思っていた。尤も倒壊して被害が出るのは避けねばならないのは当然であるが、素人目にも丸坊主・枝もほとんどない状態までする必要があるか? 業者都合の部分はないだろうか。

先日、東京都産業技術研究センターでの打ち合わせまでの時間調整のため併設図書館で雑誌をザッピング。そこに森林総研発行の「研究成果選集2022」の中に、疑問の半分を解消してくれた記事があった。研究成果を3つにまとめてあり、1)大気中の炭酸ガス濃度が上昇すると樹木からの蒸散量が減る 2)樹木が水を利用する効率は上がっている。3)蒸散量は樹木の成長とともに増える。 このうち1、2)には驚いた。言われてみると納得。

炭酸ガス濃度が高ければ炭酸同化作用の式に当てはめれば、製造量に合わせた炭酸ガスであれば良いこと、水も然りである。葉の表面の気孔の開口率を高くしないで、絞っていても十分だと。でも丸坊主に近い剪定というより伐採は樹木に過剰なダイエットを強いているようでいいのだろうか? 3)では樹齢の高い方が蒸散=地面の保水性も高いとなると人間も最近ではコレステロールが高い方が死亡率は低いとの前向きコホート研究もある様なので妙に納得してしまう。勘違いが甚だとのご指摘はあろう。本音は樹木医に聞いてみたい。

ところで、植物はどちらの炭酸ガスがお気に入りかご存じでしょうか? 子供の頃、周期律表のどこまで言えるか競ったことはありませんか? C 炭素は12番目。O 酸素は16番目に決まっている。だが炭素にも酸素にも同位体が存在している。炭素C13が存在しており、大気中にはC12のCO2が約98% 同位体C13のCO2が1%程度、その他は酸素の同位体を含むCO2。改めて聞くが植物はどちらが好物か? 答え:食物はC12のCO2が好みである。森林に吸収されなかったC13は大気中で濃度が高くなる。

この炭素の同位体の割合変化で地球環境がどのように変化しているかの研究は古くから行われており、南極観測隊の研究テーマの一つになっていた。古い2013当時のCO2の発生(化石燃料、都市生活等)対 吸収(緑化土地、海面)などの図がHPにあるので図示する。これによると同位体C13のCO2は大気で濃縮される形になること。発生と吸収の差し引きが増加分になることがわかり易い。この同位体C13の濃度を90年にわたって観測(その間、観測の精度研究の成果もあって)されてきた。多少複雑なので結果を示す。(引用・JST発表東北大)

 

現在では蓄積炭酸ガスが増加しているので吸収する森林面積を広げるのは当然として灌木などが放置され朽ちる場合、逆に炭酸ガスを発生することになるので、森林管理が極めて重要となる。当たり前のことを殊更いう必要はない。日本には広い海がある。海水による吸収を増加する方法はないだろうか。

火力発電や工場からの炭酸ガスをパイプで圧送する、貝の養殖による炭酸ガス固定はどうか。貝殻を粉砕しセメントに混合して新島誕生の面積拡大に利用する。それとも、潮流を利用した上下の撹拌? 海の実態を知らない妄想と片付けられそうだ。

 

話を森林に戻して、先日、海浜幕張で開催された環境を含む複合展示をみてきた。相変わらず太陽光発電が大きな場所を占めていたが、それに比肩しうる規模が日本木質バイオマスエネルギー協会のブース。木質ペレット発電などの説明がなされていた。だが、この光景どこかでみたぞ? デジャブ? 確か北川三重県知事当時だったか、和歌山に近い紀勢町で木質ペレット発電を開始したことを記憶している。その後、原料が集まらないことで廃止されたと記憶していた。今回も轍を踏むのか?との印象があったが、どっこいビジネスは甘くはない。多分だが、2024年からの国による森林環境税と関係があるのではないかと推察している。今でも地方自治体ではグリーン税が徴収されているが、2024のそれは人頭税のように課税されるとあって巨額になりそうだ。それだけに使徒についても注視していく必要がありそうだが議論百出の模様。それこそ木を見て森を見ずだけは勘弁してほしい。