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EVから大転換の流れか

だから言ったじゃないの♪ とのメロディがエンジン製造会社周辺で流れているとは思わない。がしかし、EV一辺倒の欧州において、特にディーゼルゲート事件を引き起こしたVWの会長が9月で交代と報じられている。排除に近い社内事情があったようだが、新会長はポルシェ社長兼務とあってエンジン車回帰に軌道変更ありうると報じられている。

理由の一つはEVによる雇用の問題との情報もあり、トヨタがかねて主張していることと部分一致する。外部要因としては、天然ガス不足による電力供給力不足も根本にあるだろう。ドイツでは電気使用時間制限もあるとか、充電場所までの非常に長い列の光景。これでドライバーが怒らない方が不思議。停止している古いタイプの火力発電所を再稼働してCO2を排出しているのを目撃すると、何年か前に、これからはe-fuelで行ける!との記事を読んだ人であるなら尚更らだろう。ドライバーの立場ではエンジンレスポンス(含サウンド)がやはり欲しいと思うだろう。日本ではオートマが殆どだが小生の知るイタリア男は頑なにミッション車じゃないとクルマではないと主張しているようなことだから、EVを喜んで受け入れるとは思っていない。

このブログでも何度も取り上げてきたテーマであり、EV一辺倒はないと論じてきただけに、“だから言ったじゃないの〜♭”は開発した技術者に向かってはとても失礼で言えない。EVバッテリーが全固体電池で走行距離が伸びても、電気チャージには変わりがない。環境のための解決法には従来のエンジンを利用した1)e-fuel  2) 水素 最後はユーザーが決める。

まず、水素エンジン。トヨタは水素エンジンを開発で2回サーキッドを走行した。2回目は前回利用したヤリス搭載エンジンをカローラに乗り換えて走行している。1回目の水素チャージ回数、時間を大幅に改良したと発表。

水素はガソリンより燃焼速度が異常に速いことからインジェクタータイミング、水素タンクの流量コントロール、ガソリンと違って潤滑油成分がないのでシリンダ耐摩耗問題や、タンク重量など技術課題に取り組んでいる。なんと言っても実用化には水素インフラ整備が焦眉の課題であることは間違いない。180リッターの水素タンクへの水素充填速度は3分。ガソリン給油と同じだ。

一方のe-fuel本命の声が欧州であるも何故か抑えられてきた。既存のエンジンをそのまま利用できる。燃料を合成するだけの問題でありまさに化学の世界だ。ドイツは戦前には超巨大化学メーカーIG(イーゲー)が君臨し、戦後に解体したものの、BASF, Bayer, Hoechst(バスフ、バイエル、ヘキスト)それぞれは現在も巨大化学メーカーである。ドイツ=化学のイメージが強く、e-fuelもこれらの会社以外でも検討されてきた。

勿論、日本も化学3強の一つである。(ノーベル化学受賞者の多さでもわかる。)

この合成e-fuelの研究開発は日本でも行われている。基本技術はCO,CO2と水素から炭素数5〜12の直鎖につながった炭化水素化合物を合成する。簡単な図を資源エネ庁資料から抜粋する。

発電所など工場から排出されるCOと飽和炭化水素化合物の分解や水の電気分解由来の水素を反応させて合成するプロセスにおいて、ネックは水素の価格をどう見るか。現在レベルでは800円/l前後になるものと思われる。水の電気分解による水素はもとの電源を太陽光パネルに求めるようではバランスが取れないだろう、結局は水素を牛耳るところがe-fuelでも握ることになると思われる。e-fuelの排気ガスは従来通りであるのがカーボン循環とはいえ弱点になるかも注目される。

カーボン循環でサステイナブル面では満足なのに、何が弱点なのかの理由はお隣のオランダの動きが気になるからだ。オランダはサステイナブルからリジェネが理想だとして、農業(畜産)における窒素排出を削減すると言う。これには畜産関係者が食糧不足による生命を犠牲にすると猛反発。大豆など植物由来の人工肉の生産規模が畜産と同等になる見込みと、投資補助金など整備が不十分の中で畜産を制限すれば、お怒りごもっとも。

ドイツ前首相メルケルの超理想主義が破綻して、火力発電、原電稼働に戻って、その間プロセス改良を放置したことで、前より環境悪化した。どうも欧州は超理想を掲げ猪突猛進し諸国を振り回すところがある。そんな欧州には2700年前の孫子の兵法をお読みされることをお勧めする。

「智者の慮は必ず利害に雑う」 一番実践しているのはトヨタかも知れない。

 

賃金と待遇

最低賃金が10月から大幅にアップするとの報道がある。現在の全国加重平均時給930円が31円アップの961円になる模様。東京や神奈川は既に1040〜41円を突破しているので1071〜72円/時となる。大阪も1023円と1000円を超える。僅か31円だけではないか。もっと上げるべきだと言う人も居られよう。中小企業の経営者から見たら、このアップ率(3%)は想定外の厳しいレベル。最低賃金が給与ではないにしても、毎年4月になるとベースアップとボーナスに頭を悩ませるのが経営者。どうしても最低賃金アップ率を横目に決めざるを得ないからだ。政府は中小企業への打撃緩和策として助成金と抱き合わせを考えているものの、ベースアップに対しては利用できない。

今、中小企業が新技術開発、新規ビジネスを企画する際には、補助金・助成金の調査から始まる。補助金の中の人件費をどの程度賄えるかが非常に重要なのだ。それほど人件費の経営におけるウエイトは大きい。補助金の資料作成が面倒・厄介にして、成果確度が承認者に納得できるくらいに開発レベルが到達していないと補助金獲得は困難である。1回のチャレンジで合格するほど甘くはない。大学や有名研究機関と共同でも厳しいのが現実。

最低賃金の決定は前年の失業率を計算に入れて算出すると聞いた。(嘉悦大髙橋教授説明では5.5%-前年失業率)。ではコロナ禍に見舞われた3年の間の失業率はといえば、雇用調整金、休業補償、休業手当てなど手厚いコロナ対策により維持されたのが実態で、もしなかった場合の真水の失業率がどうだったかわからない。失業者増加、企業倒産の嵐だったと思われる。コロナ7波が越えれば2類から5類に移行する考えだとすると、手厚い補助は無くなるはずだ。最低賃金のアップの皺寄せが解雇の形に出るのが怖い。某国の事例があるだけに他所ごとではない。

そんな中、機械工作メーカーのDMG森精機が博士課程卒は年収3割増の682万円を発表した。Face bookでは、この記事に刺激を受け「日本は、総じて海外企業に比べて博士号取得者が軽視されている」と投稿。他の人も「その通り待遇改善が必要だ」・・・が続いた。所謂「エコーチェンバー現象」が発生した。

森精機が高額で優秀な人材の獲得は一つの成長戦術であるのは当然。だが何故そのような措置をしたのかが気になる。筆者は機械加工業には門外漢なので、わからないが。1)過去の蓄積技術(属人化している技術)の解析を通じての見える化(e-ラーニング)に繋げる数学的高度レベル 2)ものづくりとして指示通りの切削加工をするのではなく、例えばトポロジーを活用したデザインを提案できる数学レベル 3)素材の開発・改良につながるような基礎研究が可能で金属以外にも精通している 4)ある専門が好きで好きで寝食を忘れ没頭した結果として与えられたような人物 特に4)であれば大大大賛成だ。

FBに投稿した人によれば「博士は文献査読に始まり未踏の分野に挑戦するなど修士などとは比較にならない努力をしている。」などの理由が述べられていた。面白い理由だ。本当に未踏の分野を極めたのなら起業すれば自らの待遇を決定できるはずだ。日本の博士号取得して起業した実際の統計数字は見たことがないので、コメントはできないが、フィーリングを許されれば、皆無か極々少数だろう。企業では技術研究部門における最高峰としてフェロー制度を設けている場合に、どれだけの人がフェローを取得しているのか、その割合も博士の価値判断になるだろう。

そう、「経営から見ると結果が全て」なのだ。結果までの時間軸の取り方は違うだろうが。経営に貢献大でFAされては困るのであれば更に高額を出すだろう。ダメなら閑職にも甘んじなければならない。米国は博士が多い一方で、突然ダンボールを抱えてオフィスを出るのも普通の光景。クビにしないで次回登板や異業種を展開するには必要かもと思いつつ残す日本がよほど社員を厚遇していると思うがどうだろう。

活かされていないとしたらスキルを発揮する場面に呼ばれない要素があると考えられる。努力しているのは誰でも同じで、技工士もプロ。プロフェッショナルな人は努力+アルファがあるから成功している。社会ではアルファが非常に重要なのだ。ホンダを世界の巨大自動車メーカーに育てた本田宗一郎は類まれな現場力・人間力で「あの人には尽くしたい」と周囲を思わせた。好きで好きで寝食を忘れて集中没頭する、その結果として新しい1ページを拓いたとするとそれが授与するのが大学でなくとも“博士以上”の称号が相応しい。

プロ野球然り、サードといえば長島。男らしさと華麗なフィールディング、ここぞと言うときにホームランと華やかでファンを唸らせた。ショート広岡の前で捌いてしまう。普通は遠慮するモノだが天衣無縫なナガシマだからと納得させてしまった。最近では日ハムとオリックス戦で杉本が2連続死球をくらった場面で、乱闘まではならないまでも、両軍の選手は恒例のごとくマウンドに集合した。その時ベンチからゆっくり杉本に近づく男がいた。Big Bossである。杉本に一言二言謝ったのだ。杉本は気分を取り直して1塁へ。ベンチに帰る途中で次バッターの宗にも一言。これに宗は笑顔で応え、それを見たスタンドは喝采。エンターテイメントの粋を見せたBig Bossだった。このようなことが、北海道北広島の新球場へ観客を呼び込む一つのスキルだとすれば金を出す価値はある。

長島が活躍した頃に全盛期を誇ったのが西鉄ライオンズ。セカンドを守ったのが仰木彬。のちの近鉄、オリックス、ブルーウエーブの監督。データー野球の先駆けとして冷酷な場面もあれば選手の長所を伸ばす名伯楽であった。野茂、イチロー、長谷川、吉井、田口など多くのMLB選手を輩出した指導・経営力。その一方で当時のニュースステーション放映中に小宮悦子さんを口説く艶っぽさもあり幅広い人間力など魅力があった。何より神戸淡路大震災の時「がんばろう神戸」を掲げて地元を団結させ優勝へ導いたことは後年になっても語り継がれている。

待遇云々は言わずともついて来る。ましてシニアになって退職・退官しても人は集まる。それが何よりの待遇だと思うが、如何だろうか。

 

夏休み自由研究の大人版

小学生の夏休みの自由研究を大人がやるとこうなる見本のような記事があったので紹介する。小学生レベルとは大の研究者を捕まえて何を言うか!と叱られそうだが、本人にしてみれば、半分当たっていると笑うだろう。 タネ証をすれば食塩水の電気分解の応用。 陰極からは水素ガスが、陽極からは塩素ガスが生成する。マイナス電極にNa+ナトリウムイオンが陽極にはCl 塩素イオンが引き寄せられる。 誰でも聞けば思い出す。学校で教えてもらって、自宅で電池、配線、アルミ箔を用意して実際水素が泡になって発生するミニ実験をした人もおられよう。

Naイオンは陰極の周りに引きつけられる。これを応用したのがキリン。明治大学と組んで、減塩食を美味しくする「箸」を開発した。微弱な電流を流すデバイス(箸)を用いてナトリウムイオンの箸の先端に高濃度ゾーン:一種のクラスターを生成し、次に放出させることで舌の味蕾に強い塩味を感じさせる仕組み。発表資料によれば塩味は1.5倍になることで、減煙食が無理せずに摂取されるとのこと。 今は箸デバイスの先端には電気波形発生装置がついているので、直ぐに利用できる訳には行かないが、いずれは家庭にレストランには小型電気波形モジュールがテーブルに内蔵され、マイ箸を持参しての会食、食事をする風景が予想される。病院の採用が早くなることも容易に想像できる。無線で飛ばすこともできる(そこは日本人は得意)。文献:日経クロステック2022.07.12

 

 

 

 

 

さて、この文献から、学ぶべきことは減塩に苦しむ人がいることにキリンが着目したことである。では自分なら何をするか。そこを考えるのが実に愉しいのだ。このブログを書きつつ思いついたことが1件。 実験で確かめた上で実用化に耐えうるのかマーケティングで確かめる長い開発工程が頭に浮かんでくる。 本来は退職したシニアの方々の格好のテーマだと思う。我こそと名乗りを上げるのをお待ちしています。あくまでも“思いつき”ですので、話し半分か1/10か考えて下さい。(笑)

小学生の頃は模型飛行機ばかり作っていた。やがて超小型エンジン(OSエンジン)をつけたラジコン前世時代を過ごした。現在、ドローンが流行している。ペイロード(運ぶ荷物の重量)はバッテリーや発電機の重量とトレードオフになっており、これに滞空時間が強く絡んでくる。

で、ある時、子供の頃を思い出して、小型エンジンはダメですか?と提案したことがあったが取り上げられなかった。そうかなぁ〜と未練たっぷりの中で、なんと川崎重工がバイクNinjaエンジン搭載の小型ヘリコプター(ペイロード200kg 高度3,100m 航空距離100km)の発表があった。きっと川重の社員にも子供の頃、ラジコン模型飛行機を追いかけたメンバーがいると推定した。山岳への物資輸送を目的としてドローンの各種規制外の扱いではあるが、省令で変更は可能なのでドローンから見れば強敵になるだろう。 垂直離陸方式となれば、ホバリングができる。そうするとドローンは何で勝負をかけるか。そこに戻って考える必要はありそうだ

平和利用を前提として、案外 子供の頃の発想・行動の中にヒントがあるかも知れないとすると、毎日をどう過ごすか。面白くて、重い課題。

 

マイナポイント

このブログをお読みいただいている人から見たら、既に実行済みで、何を今頃?と呆れた方もおられよう。筆者はマイナンバーカードを所有しているがポイント移行作業はしないままなので反省を込めて本文を書き起こした。

最近、ショッピングモールなどでマイナンバーカード作成コーナーが目立つ。浸透率は低いのだろうか。ただし、仮デスクの数及び役所の人の数は多いが、足を止める人、デスクの前で手続きをしている人は見ている間では皆無。

住民基本台帳で個人番号がついたのは知っているが、使う頻度もなく確定申告にコピーを添付するだけの役目になっていた。ナンバーカードになっても同じだろうとの気分は拭いきれない。その前にも消えた年金問題もありデータ取り扱いの杜撰さに慎重にならざるを得ないのもあるだろうか。個人情報云々と否定的な声に影響を受けている人ゼロではない。

そこは新しい物好きの筆者としては、マイナンバーカードが登場すると即作成した。しかし利用することはなかった。市民窓口で確か住民票をとる時にマイナンバーカードより従来の方が早く出ると言われたことがある。行政府窓口さえこの状態。落としたら大変なカード持ち歩く気分はなかった。確定申告にはカードリーダーを使ったが、送信または受信不良で読み取り不具合。結局、番号記入で対応した。つまりは半手動半自動で送信。

カード導入を促進すべくマイナーポイントをセット。第一段階では作成すると5000ポイント分がSuicaではさらに1000ポイントが追加される。そこでPCでトライした。だが途中で諦めた。非常に分かり難い。JREのパンフを見ても解決できず放置したままであった。パソコンができない人は区役所で代行してもらえるとあるが、小さなプライドが邪魔をした。

それが、今回は第一段階で対応しなかった分を含めて保険証、銀行口座との紐付けで20,000ポイントが付くとあって(どうせ同じだろうと思いつつ、捨て置くには勿体無いので)PC作業を進めると、あっけない程の作業で登録完了。余程のパソコン・スマホ音痴でも対応できる様にソフトが前回と今回の間で改良されている。これは良い仕事をされたと感心した。対応していない家族に早速勧めることにした。Suicaにポイントが直接チャージされるのではなく、JREのアカウントにアクセスしマイページからチャージ手続きをする。あ〜ぁなんとも面倒臭いシステム。ショートカットすると困ることがあるのだろうと邪推した。保険証が利用できる医療機関は現在30%程度ではあるが、診療状況が他の医療機関に移動しても共有できるなどメリットはある。

と感心をしていた丁度そのタイミングで税金に関するレターが届いた。引き落としの筈で何かの間違いかな?と思いつつ区役所へ。理由は判明したが1回限りの調整特別税で引き落とし対象ではないとのこと。珍しいと区役所担当者の談だが、レターにその理由を記載すべきだ。これからは苦情もPDCAに折り込むことが可能AIが対応するとしたら人よりデジタルの方が信頼性高いのかもと思わせる一件だった。

一方でgBizID (各種行政府の連絡・申告書類のやりとりに使用するID)の開設はPCからダウンロードした資料に記入し、かつ印鑑登録証を同封して郵送するシステムとなっている。現段階のセキュリティの面から致し方ないところがあるが、依然として手作業が残りそうと見た。 電子契約書などデジタル化が進み印鑑不要となるはずだが、街の印鑑屋さんは健在で閉店した様子は見ない。電子署名の証人作業など面倒で、かつ量子コンピュータの能力からすると現在の暗号は解読容易とも聞くと、本格導入は先送りになっているのだろう。

新入社員の頃、研究開発業務に携わっていた。上司から言われたのは、既存技術、現行商品を置き換えるには最低3つの要素が必要だとのこと。1)従来にない機能 2)利便性 3)価格も品質と認識することであった。 技術者・研究者は1)を特に集中しがちで失敗パターンに終わることが多い。

マイナーポイントをこの3要素でチェックすると。1)はクリヤー 2)は今後の動き次第 3)価格は行政府の合理化には寄与するも、利用者にとっては不明。が正直なところだろう。行政府は2)に力を入れることで、マイナーポイントがなくてもマイナーカードを所有希望するようなシステムが好ましい。

 

前九年の役・後千年の役

このブログは政治に関わることは取り上げない。ただ世の中は人から成り立っていることから、人に注目することはあって当然だと思う。あの時から約1ヶ月が経過した。和光市に向かう車中で何気なく開いたスマホに唯ならぬことが。しばし絶句した。昼食を摂らずにお客さまのところへ行きTVを凝視。なんとか一命は取り留めて欲しいと希望しつつ、発生した場所が奈良西大路と聞くに及んで、我が脳は前九年の役にBack to Futureした。あまりの衝撃と咄嗟のことで記憶神経回路が間違って違う回路に短絡したのである。

前九年の役・後三年の役は教科書では簡単に触れるだけで、多くはNHK大河ドラマの“炎立つ”藤原三代の物語の冒頭での印象が強い。以下3行は仙台出身で歴史に詳しい同僚のチェックを受けて記載した。

奥州陸奥国を治めていた安倍大俘囚に対して、朝廷は陸奥守として源頼義を派遣し安倍氏(頼時、貞任親子)と戦を始めた。源頼義の弟頼清の郎従であった藤原清経は頼清が陸奥守として赴任した折に陸奥の国に下向し、安倍頼時の娘を妻に迎えていた。都から陸奥・出羽に対して金など税の圧政に堪忍袋が切れた安倍貞任が多賀城を攻撃。軍事派遣されていた源頼義は劣勢になったが出羽清原武則に援軍を要請し、清原氏は渋々参軍。経清は国か陸奥(安倍)か悩んだ末、最後は安倍と合流し戦ったが惨敗。今では放送できないシーンだが経清が川辺で斬首されるところは強く印象にある。その後、頼時の娘は息子(清経の子)を連れて清原武則と再婚することになるが、その息子こそが、のちの藤原清衡である。かくして安倍一族は滅び、九州松浦(説)や青森へ落ちていった。20年後に後三年の役となり最終的には安倍の血を受け継ぐ清衡が藤原姓を名乗り栄華を極めたのはご承知の通り。

長い、実に長い前置きになってしまった。平安時代後期の時の流れに乗ってしまった。

平安時代の大陸の玄関は若狭の国の気比(敦賀)か小浜であり、小浜には滅亡前から陸奥安倍氏から支援を受けていた芳賀寺がある。行基の開設と言われ重要文化財の仏像がおわす。火災により消失したが安倍康李が再建したと小浜の観光紙に記載がある。東北地区との交易は関係が深いのだ。

記憶では何年前に今回亡くなられた安倍氏が訪れたことをニュースが報じていた。

ここ、小浜市は京都への通じる鯖街道で若狭の海産物を物流する拠点であり、京の街に入るには大原の里での京野菜と合流して海、農産物を届けていることはよく知られている。寧ろ今後は(10〜20年後開通の北陸新幹線の駅として脚光を浴びているかもしれないが。

冒頭の記憶神経回路の混線に戻していえば、小浜は「お水送り」の拠点である。もうお分かりだろう、「お水取り」は奈良・東大寺二月堂。正確に言えば、お水送りは神宮寺で芳賀寺ではない、また東大寺と西大路は奈良県にあるとはいえ違う。だが、なんとなく安倍一族の栄華と無念にリンクしてしまった。筆者は小浜には小学校の頃に海浜学校に行った程度ではあるが、市民であれば何人かは「あっ!」と思っただろう。

そう、あれから1000年の経過した今、陸奥の人は「後千年の役」と言うであろう。

菌のスポンジ培養&蚊が好きな色

サイエンス雑誌はエビデンスがあり有識者による査読があるので安心して読むことがわかる。(当時のレベル範囲内であることに留意しての前提ではあるが)。 雑誌記者の腕の見せ処の一つにタイトルで人を惹きつけることにあるとすると、今月の日経サイエンスには2つの記事に編集者の意図が生きた。何故か。科学に縁遠い人であっても、生活に密着した記事だったからである。(日経サイエンス8月号)

1つ目のタイトルは「細菌の培養は台所スポンジで」。微生物学で菌の培養といえばシャーレに寒天など菌の栄養となるものをセットし、そこに菌を置き恒温チャンバーにて2〜3日培養して、菌数の測定、顕微鏡による形態観察をする。そんな風景がTVで放映されているのはお馴染みだ。

タイトルにある台所スポンジが培地!?? 食器洗いはケミカル出身だけに得意の一つであるが、使用後は水切り、自然乾燥。スポンジの交換は1回/月程度。この文献通りだとすれば、食器から食器へと菌があれば移動させていたことになる。あ〜ぁ怖い。食器洗浄機での加熱処理が好ましいことがわかる。スポンジも見直さないといけない。

 

微生物学者の悩みは実験室では増殖しない細菌種をいかに培養するかであり、細菌の好みに合う棲家としてスポンジの多孔質が適していることを発見したとのこと。発泡体の製造には物理発泡と化学発泡があるが、いずれも孔のサイズは均一に見えても細菌から見れば多種多様サイズの部屋が用意されており選択の自由度が高いのか。孔の分布、孔が連通しているものなどある。弾性があり微細孔のウレタン発泡体は洗剤で落ちないところを擦ることで綺麗になる重宝しているが、使用後も再度使えるとあって、汚くなっても何故か保管している。皆さんのご家庭では毎回新品をお使いだと思うが、表面から半分程度を切り取り即捨てることにした。そういえば、最近は目が極めて粗い発泡体が出始めた。何か関連するのだろうか。

 

最近、知人が細菌撲滅研究に凝っている。分析を専門機関に依頼すると回答まで時間がかかり、高額であり、実験点数に支障をきたしていると相談を受けた。スポンジでの培養はできてもその後の処理が門外漢には無理。そこで思い出したのは熊本大学が微生物検査シートによる空中浮遊菌の検出した文献(Earozoru Kenkyu vol.30 2015)

当時はJNCのサニ太くんを使用していたが、今は食品用のMC-Media Padとして商品化されている。一般菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、真菌(カビ)、サルモネラなどの専用シートがある。

詳しくは同社HPを参照願いたい。100枚シート入り1万円前後と安いのも助かる。同社の宣伝ではないが、筆者は過去において、ケミカル他社の研究・技術者を横串で連結することをしていたことがあり、当時の仲間の業績なので取り上げた次第。

ところで、電車ではよく「抗菌」の文字を目にする。除菌、殺菌、減菌、消毒、無菌って区別していますか? 抗菌:菌が今以上に増殖しないようにすること。除菌:石鹸などで洗い流すことで菌数を減少する 殺菌:微生物を死滅させることであり量的な条件がない。消毒:人畜に有害な微生物(対象微生物)だけを殺滅する(生存微生物の数を減らすこと)、減菌:すべての微生物を殺滅、除去する行為でSAL10-6 の規格がある。無菌:生育可能な微生物が存在しない状態。医療関係者はこの区別を遵守している。注射器、手術器具などはγ線照射かEO(酸化エチレン)処理をして減菌、無菌状態にしています。筆者はγ線照射によるプラスチックの製品寿命と殺菌の両方を満足する材料を開発していました。注射器、輸液ボトル及びコントローラ、血液透析機器(ダイヤライザ)など。自分ではお世話にならないように願いつつ、毎日大量に生産され出荷する様子は強く記憶にある。

さて、2つ目の記事。タイトルは「人肌の色を求めて」。なんだ「色」がなければ艶っぽいのだが、サイエンスは事実を伝えるのが基本。

蚊は30m離れたところからでも人間の吐くCO2を感じたら、目の色が変わり(筆者の誇張表現で、ご容赦)、赤いものに特に反応し飛翔するとのこと。人肌も蚊には赤く見える。

一方で緑や青には反応しないとのこと。白も蚊の好みではないとのこと。

我が家の網戸は窓枠内収納タイプなので専門業者に修理を依頼した。皮肉なことに今年は蚊が少ないようだ。何故だろうか? こんなところにも隠れた要因があり研究のネタがあるのかも知れない。

量子コンピュータにかける熱意

シニアの技術・研究者が定期的に集まって最新テクノロジーをセミナーする会がある。10人前後の小さな会である。

1年前に幹事から量子コンピュータのセミナーを依頼された渡邊氏は膨大な資料を力づくで整理し発表資料を作成。さてセミナー当日になって参加者の反応は氏の期待とは全く反対。参加者は全員が会社、大学等で活躍し今も現役並に活躍されているだけに日曜の夕方になると疲労もあり目を閉じる人もいた。当方も理解不能だが発表者とは1mの距離にいるだけに、眠ることはしないことだけに注力していた次第。誠に情けない。

参加者にIBMと特許裁判で活躍した専門家がおられ、参加者の理解にアシストになるように、短いコメントをするも、参加者の頭脳を励起することなく終了。

アナログ世界にどっぷり浸かり、30歳台からデジタルも0、1(00.01.10.11)の世界に対応してきた者にとっては無理。電子スピンは自己回転しながら方向は↑、↓でありながらその方向は2つだけでなく、中間に違う方向が数多くあり、それらの組み合わせた計算が同時になされる。化学専門家はスピンにはお馴染みだが方向は2つの意識が強い。方向は中間にいくつもあり・・・で躓き、計算結果を導くアルゴリズムが更にわからない。手法の一つアニリングは化学用語なので、なおさら理解不能の????マーク。

タイトルにある「量子コンピュータにかける熱意」はここから!

このセミナーを失意?のうちに終えた渡邊氏は凄い行動に出た。参加者がどこで躓いたのか、質問を分析して量子コンピュータの書籍を出版することに情熱を注いだのだ。原稿を書き、出版社周りをしては説明するも理解を得られずの日々が続いたとのこと。セミナー参加者は筆者を除いて国内トップクラス大学卒がメインにも関わらず反応しなかったのだから無理もない。でも量子コンピュータは世界を変えうる。その時、日本は・・・の情熱が氏の行動を支えていたと思う。

その努力が報いる日が来た。講談社サイエンティフィク社から「入門講義」として出版することを約束された。セミナーの時に参加者が理解できないところを例題として取り上げ、模範解答を記載することで理解し易い工夫がされている。編集者の力量を見る思いだ。

そして2021秋に出版。現在、増刷も進んでいる。7月の日曜日のセミナーは再チャレンジになった。参加者に書籍を無料配布。財布を取り出す人が続出したが氏の説明によると、奥様が理解できなかった人が入門書を出版するに無言の応援をしたのだから無料で受け取ってもらうべき」と言われた。凄いなぁ、この人ありて奥様も凄い。かくなる上は入門書とは言え筆者のレベルを超えて難解ではあるが、最後まで目を通すのが責任と感じた。アルゴリズの方法の一つアニリングの発明は日本。アニリング発明者の西森氏が本の帯を書いた。その通りだと思う。

高齢化の範疇に入らない=入っている意識がないから若者が到底できない活躍をやってのける。当日の出版記念に幹事の肝煎りで琉球舞踊を披露。琉球お菓子サーターアンダギーと量子コンピューターの本を手に家路に散っていった。サータアンダギーの割れ目の方向がランダムにあることに、確かにスピンの方向が多くてもありかと妙な理屈をつけながら。

貼る人工膵臓

最近、我が家の夕食で異変が起こった。ご飯が既にお茶碗に盛られている。従来、ご飯は自分で「よそう」スタイルだった。既に盛られているのは良いとしても量が少ない。よく言えば京都の料亭風、別の言い方では糖質制限食。幸いなことに家族は自分を含めて糖尿病、高血圧、心血管症などは患っていない。となると物価高の影響がついに来たかと長嘆息。

そんなに嘆かなくてもと言われるであろう。「健康に気を遣っている、予病の意味でも良い機会ではないか」の声が聞こえてきそうだ。

そんな中、近くの図書館で雑誌「日本医事新報 No5123 7月号」を目にした。タイトルは「緩やかな糖質制限の疑問に答える」北里大学・糖尿病センター長の執筆によるもの。

超要約すれば、1日の糖質量は70〜130g であり、毎食20〜40+間食10のパターンを継続すること(図―1)。さすれば体重は(文献中の図―3)のごとく変化する。肥満度が高い人ほど効果があり、痩せすぎの人は逆に体重は増加すると記載してある。毎食や間食にはロカボ(Low Carbohydrate)でありコンビニではロカボ食品があるらしい。

 

 

 

小生は英語を略するよりは「低糖質」と日本語表記したらと苦々しく思っていることと、コンビニには滅多に行かないので初めて知った次第。糖尿病患者や家族が医者に言われて知るような言葉は一般的に普及するには問題だろう。

そう、遅れているのかもしれない。最近流行(バズっている)のメタバースにもついて行けない。ビル・ゲイツやザッカーバーグは時代遅れと言われても、それすら追いついていないと反省なのか落ちこぼれ感が少しある。

話を戻して、「〜の範囲」があるのは人の活動状況(消費エネルギー、脳の利用度)の分布を反映しているのであろうか。脳の活動は糖質分解性生物のブドウ糖に依存する。そうか冒頭の白米の量は家族による小生の頭脳活性指数だったのか。

過剰摂取は中性脂肪としてお腹周りに蓄積される。浴衣姿では恰幅がいいねと言われたのは、はるか昔のこと。一方で高齢者はやや太めが長生きするとも言われている。

従って糖質量についての最適解は中性脂肪量、血圧、年齢などの要素を入れた分布が好ましいと思った。解を求めるにコホート研究に協力してくれる人数、個人情報と処理能力が問題であり、おそらく量子コンピューターを必要とするだろう。また上記文献の著者は糖質が抑制されれば肉には脂質が0だから満腹感まで摂っても良い。と記載されているが、これは脂質ご専門家の文献をチェックする必要はある。

早くタイトルのところを書け! それが頭脳の動きが遅い何よりの証拠。とお叱りを受けることは、枯れ始めている脳でもわかるので、次に糖尿病になった場合の新しいインスリンの投与について、これも最近話題になっている講演会から引用し紹介する。

研究者グループを代表して最先端医療技術紹介を東京医科歯科大の松元亮教授が「貼るだけ人工膵臓」を講演された。当日はZOOM講演でありスクショ禁止なので掲載はできない。その代用として、電気学会論文誌2012 年 132 巻12 号 p. 455-458に題名:「自律型インスリン投与デバイスの開発状況と将来展望」を掲載しているので要約から引用する。

「糖尿病は感染症ではありませんが、その急速な世界的流行は「パンデミック」と認識されています。インスリン依存性糖尿病の治療には、継続的かつ正確な血糖コントロールが必要ですが、現在の緩和治療は、ほとんど患者自身によるインスリン注射に依存しており、患者のQOLを損なうだけでなく、過剰摂取を厳に慎まなければならないインスリン量を正確にコントロールできず、重症低血糖を引き起こすことがあります。自己制御型インスリン送達システムの開発は、材料科学の長年の課題であり、グルコース酸化酵素と糖結合レクチンを利用することが、グルコース感受性の機能を取り付けるための有力な戦略である。しかし、これらのタンパク質は変性や細胞毒性があり、長期保存に耐えられないため、埋め込み型医療には適さず、現在も臨床応用には至っていない。本総説では、フェニルボロン酸誘導体化ポリアクリルアミドゲルを用いた完全合成の代替品開発の現状を概観する。」として

フェニルボロン酸のイオンと2種類のポリアクリルアミドを共重合してゲルを生成。その中にインスリンを内包さておく。表面に糖質(グルコースが近寄ると、直ちにインスリンを徐放して血糖値抑制させる仕組み。皮膚に塗布する仕方にも細かな突起物で固定と拡散を助ける工夫をされている。費用も安価で何より会食の前に一人席を外してお腹にインスリン注射する恥ずかしさはしなくて済むのは何より。

原理原則は次の反応式による。グルコースが近づくとゲルが収縮してインスリンを放出する仕組み。

松元教授はこの基本となる高分子ゲルについて2003年の高分子論文誌に投稿されており、現在のほぼゴールが見えるまで実に少なくとも20年以上の熱意で開発・研究をされている。彼らの最終目標は「貼るだけ病院」。研究は地道だが待っている市場は大きい。頑張ってほしい。

酷暑モード

先週は40℃超えの悲鳴が各地から報じられていた。その他の地域も35度近傍の亜熱帯。節電要請に協力するから、原発なんとかしろ!と叫んでみても時すでに遅い。休止中の火力発電の稼働を進めている。ドイツの天然ガス輸入できず、背に代えられず火力発電を稼働。環境先進国を自負するドイツがやるなら日本も止むを得ない。

今週は一転台風・温帯低気圧と太平洋高気圧のため豪雨と変化が激しい。歩数計で見ると3週間前に比較して6割にダウン。酷暑・大雨+それまでの体力消耗も影響している。マスクをしての酷暑は辛い。道行く人のマスク着用を見るに本当に日本人は耐えているなぁと感心する。 一足早い土用の丑を食したので頑張らねば。

節電要請を受けての駅のエスカレーター節電停止には本当に参る。誰だ!こんな地下深くに駅をつくったのだぁ! 延々と続く長い階段を下から仰ぐだけでゲンナリする。若者でも頂上に近づくにつれて速度は減速。大丈夫か投票日。熱中症対策の看護コーナーをセットする必要があるのかもしれない。いや、熱中症の危険がある高齢者はいかない可能性もある。リベラルの人が多い層だけに結果に反映するかもと素人ながら思う。関西風に言えば「知らんけど」。

酷暑は服装に影響する。クールビズが普及した現在だが、スーツが必要な訪問先があるのも事実。上着を手に持っていても鞄はリュックで背中に汗をかきながら傍目に気の毒だ。それに対してフリーの人、退職した男性では短パンを履いているのを見かけるが、申し訳ないが外人はサマになるが日本男子はそうでもない。短足・不潔感の毛脛の男性の横には女性は座りたがらない。そのような男性に限って足を組んで靴底を隣の席にむけている。まさに迷惑^3乗。

そんな中、東横線 武蔵小杉から長身イケメン黒づくめの男性が乗り込んできた。ガウチョパンツを着こなしている。なるほど、今は40代以上の男性はスリムタイプのパンツだが、若者はゆとりのあるパンツであるのは知っていたが、ガウチョ(ぱっと見、長いドレス風か、袴風)なれば脚部からの水分蒸発の効率が高くなって、スリムよりは快適になるのだろうと推測した。ガウチョは似合わないのはわかっているので、フレアワイドパンツに留まるかもしれないが、試してみたいと思う。その素材がリネンであれば買ってみたい。どうみても体操服の延長にしか見えないだろうが。

ここで思ったのは、縫製は日本から中国へ、そしてベトナム、カンボジアと移動して生産されている。亜熱帯地区なのだ。 日本が亜熱帯入りをしたのなら、涼しく過ごせて、その衣服を彼の地において着たいと思わせる商品ができないか。糸に加えて多種多様の織りの技術はまだ日本には健在。日本の縫製技術が活かされ繊維産業が国内回帰のきっかけになればよい。平織、綾織は海外生産にまかせておいて、経編(たて編み)はスポーツウエアでも発揮しているように伸縮性に富む、汗吸収(兼消臭)繊維を組み合わせることで快適ウエアができないだろうか。

政府の節電対策の一つに冷蔵庫の温度見直し、ぎゅうぎゅう詰め込まないこととある。特に海外スーパー(コ○○コ)は販売単位が大きい。これを冷蔵・冷凍しようとすると電気を消費する。本当を言えば、昔の商店街にあった量り売りであれば、使う分だけ購入することで冷蔵庫が小さくても生活はできる。スーパーに行くにはクルマが必要となるとLCAの面からできないが、駅前スーパー、コンビニは本来の利便性から言えば対応しても良いのだろうがフランチャイズが許さないのだろう。この業界にスマートで、そこのお店で買うことが格好良くステータスになるような仕組みを作れば案外ヒットするかも。これも酷暑モードの一つになろう。

前回のオイルショックに伴う節電では昼間及び11時以後のTV放送はお休みしていた。受信機も昔より4K,8K、有機ELの大電気消費タイプでかつ大画面。しばしTV放送局は昼寝をして頂くのが良いのであろう。キャスター、ゲスト、アナウンサーがクールビズでなくネクタイ着用背広であるのも気になっていたが、相当批判を浴びたのであろうかネクタイは無くなった。それでも熱い照明の下で汗をかかないのは相当の冷房がなされているであろう。だらだらと尺を取るだけのコメンテーターの話はカット。甲子園高校野球中継はしない。ラジオ放送かスマホ・PCで省エネする。それが嫌なら秋の大会にする。スポーツのラジオ中継はアナウンス技術を磨くにはもってこいの材料で、聞く方も想像力を高めるに有効だ。小野アナウンサーがNHK鳥取時代に「大きな当たり・・・・キャッチャーが取りました」なんて逸話を聞くに微笑ましい。

TVが低落しているのはコンテンツにある。この酷暑をうまく利用して見直すのも良いだろう。この文章がだらだらしているのも酷暑のせいと言い訳をしつつご勘弁を。

 

家庭内バランスシート

「家庭内バランスシート」って聞いたことありますか? 勿論ないですよね。と語る定年を過ぎたシニア男性にお目にかかった。奥様が怖くて帰宅できない弱い男の物語ではない。バランスシート(B/S)は会社の健全さを示すことで、資産の部と負債の部が比較対象となっている表のことで、1年に1回から四半期で1回、上場企業はIR報告として提出している。これの家族内バージョンのことだとしたら、ああなるほどと気がついた人は救われるが、何言っているの?と怪訝に思う人は続きをお読み下さい。

ここで注意すべきは「家庭」ではなく「家庭内」とあることだ。「家庭」とした場合、資産の部には現金、株、投資信託、不動産が入り、負債の部には社会保険、食費、維持費、家ローン、進学子供のローンなど借金が、及び親からの援助・相続などの会社でいう資本金と剰余金が入る。左右が同一金額になる。ところが「家族内」となると資産の部に何が相当するのだろうか?がわからなくでも、負債の部はすぐ理解される。専業主婦、短時間のパートなどは家事・育児・就学問題に毎日・毎日取り組んでいる。旦那が単身赴任をされていると、負担がさらに追加されてくる。

定年までのこれらを金額に換算したら恐らく2億円といった人がいたが、少なく見積もっても1億円は超えると言える。そんなことはない、「毎日洗濯もせず、ソファーに寝そべりポテチを食べて韓流ドラマにハマっている。」と漫画のようにいう人もおられようが、それでも夕食の献立を考え、スーパーのチラシをチェックし、遠くとも厭わず出かける。それも“労働”の対価に算入されるのだ。

ところで、家事においてゴミ出し程度しかしていないシニアの方はこの家庭内旦那名義バランスシートにおいて、奥様に対して1億円〜2億円の半分は負債を負っていることにお気づきであろうか。これからの相当の期間、家事をこなさないと負債完済とはならず債務超過になっていませんかと。

冒頭に筆者に語ったシニアは仕事をしながら、家事をまだまだやらないといけないと話してくれた。調理(簡単な下拵え程度)、食器洗い、掃除、片付け、洗濯干し、アイロン掛け、お風呂掃除とお湯張り、アッシー君などの業務をルーチンワークとしてこなしている。本人はイチローのルーチンと同じだと言うが、大谷の二刀流に相当するではないか。確かに、負債の部は返済が進むだろうが、では資産を増やすにはどうするか? 賢明な読者はすでにお分かりのように(日本人には馴染まない“愛”)ではなく慈しみあう雰囲気による明るい家庭運営と言えるだろう。

先日、スーパーに入居している保険統合呼びかけるお店の前で、80歳以上と見られる老夫婦が今からでも入れる保険はありますか?と大声で問いかけていた。厳しいのだろうと素人目には思ったが、お互いに労わる様に金銭的には裕福ではなさそうだが、仲良しで来られているのは家庭内バランスを積み重ねてこられたのだろうと思った。

と同時に現在の医療保健は以前より建て付けが変わっていることから我が身も検討しなければと思い付いた。医療技術の進歩により手術や入院も短期で終わることに対して、従来タイプは短期では保険適用にならない。

筆者の生命保険をチェックしたところ、男性(稼ぎ中心者)に重き、配偶者は付録的な位置付のままであることを改めて確認。生命保険会社としては支払い能力のある人を対象にするのがビジネスの常識になっているのはわかるが、家庭内の分配で対処できることから見直しをすることにした。専業・パートで働いている人が倒れた場合の命の価値は男女問わず同じはずだ。まして年金だけしか収入がない定年退職者の夫婦が従来通りのパターンになるのはおかしい。

男子が育休や短時間勤務を要求し難いのは上司が男子たるもの働くのが本懐だとの家庭破壊理論がある。家庭内バランスシートが浸透すれば、その上司も家庭あっての会社であることに気がついて最後には社会も変貌するのではなかろうか。あなたもB/Sをつけてみてはどうでしょう。他人に言う前に自分も。