3Rと海マイクロプラ問題

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古事記の弥都波能売神は水の神様である。読み方は「ミズノハメノオオカミ」。古来日本は水を清浄なものとして大事にしてきた。琵琶湖が界面活性剤で泡に埋め尽くされた時は素早く改良品を開発し、滋賀県も下水道設備改良を行った。 船舶衝突でオイルが流出するとオイルフェンスの素早い設置や油吸収不織布の投入回収、地域住民の献身的なボランティアで浄化してきた。例え外国船であっても、海鳥保護や海岸汚染浄化の奉仕的作業はなされ、賞賛されている。その大事な水であるが、海マイクロプラ問題が大きくクローズアップされてきた。

ことストロー代替やレジ袋の有料化の対策は超々微々たる効果しかないことは分かっている。もっと根本的なことを実行する必要がある。 それには官民及び消費者一体の意識改革と予算化を必要としている。

ゴミ収集車ボディの横には3Rの文字。消費者の多くは生ゴミ、プラ、ボトル、金属、ガラス、木製品など自治体により分類は異なるがキチンと実施している。また、不注意で混合してもマンションの管理業者さんが開封して分類し直すところもある。

だが、プラといっても透明な樹脂製であれば、同じプラとして袋詰めする。これはしょうが無いが、消費者の善意に対して申し訳ないが、再生リサイクルは困難である。

なぜならば、食品容器を例にあげれば透明で印刷していなくても、材質がポリエステル(PET)、ポリプロピレン(PP)及び延伸ポリスチレン(OPS)の3種類ある。単一素材の製品もあれば、多層製品もある。これらは見た目には分からない。

一時、廃棄物処理センターではベルトコンベアで流れる品物を赤外線分光装置で分類しそれぞれの製品毎に分別することをトライしたことがあった。でも測定速度が遅いことと分類インフラに費用がかかることから、トライに終わっているのではないだろうか(最近事情に疎いので間違いかもしれないが。)分別機械でなくてもハンディ赤外線装置で人が仕分けをトライしたことがあったが、その装置メーカーは倒産した。思いと現実のギャップがあった。

結局、材料メーカー 製品メーカー 回収メーカー が一体となった製品は分別し易く、再生し易い。例えばリースがメインの総合複写機などは国内でも大手が実施している。

筆者は15年前に3Rロードマップ2030作成に関係したことがあり、その後もウオッチしている。残念ながら景気と連動して3Rの動きはReduce(薄肉、軽量、省材料化)は進んだが、Reuse,Recycleは遅滞した。熱回収に頼ってきたのが正直なところ。

それでも、キチンとゴミ処分場に届けば吉。海ゴミ問題は、それ以前の問題。湘南鵠沼海岸を毎日出勤前に清掃している友人がいる。集めた廃棄物をFBで知らせてくる。バカにならないボリューム。 国民の環境意識に分布があることは分かっているが酷い状態だ(中には犯罪の臭いがする品物もある。こうなると警察の出番だが)。

国は先のG20大阪サミットで海洋プラスチックで日本が先進的役割を果たすとしてプラスチックごみの流出による海洋汚染が生じないよう(プラスチックゼロエミッション)をめざした方針を発表した。

マイクロプラスチック流出抑制対策

(2020年までにスクラブ製品のマイクロビーズ削減徹底)

ポイ捨て・不法投棄撲滅・適性処理

海岸漂着物等の回収処理

海洋ゴミ実態把握(モニタリング手法の高度化)

代替イノベーションの推進

筆者はこの最後の代替イノベーションの中身が問題だと考えている。

  • プラスチックスを木材由来材料に切り替えると需要と原生林伐採のバランスが崩れ、地球は丸裸になり、何の為の炭酸ガス問題なのか分からないこと、
  • さらに海水で生分解するプラスチックスは見かけ良さそうだが、魚が餌として間違ってマイクロビーズを食べかねないまでの時間はどうなのか? それに加え、海水もしくは魚の内臓内での分解物は生物循環系にどのような影響があるのか丁寧な説明が必要であること。

このような問題がある。

ここで、高校時代にフィラデルフィアで教鞭を執られていた方が臨時講師でこられ弁証法について教えて頂いたことを(ある人からのメールで)思い出した。弊衣破帽の雰囲気が微かに残る藩校の流れだけに「アウフヘーベン」。

プラスチックスは消費者の生活を豊かにしている(正)。海を汚染している原因はプラスチック由来のマイクロビーズである(反)。なので、プラスチックスを目くじらにするのではない解決法があるはずだ。それが***(合) の知恵をだすことを求められている。 ご一緒に***を考え、実行しょう。 例えば食品トレーの装飾印刷もしないで見栄えのよい商品にする知恵もあるだろう。過剰な印刷よりシンプルが受けるようなトレーデザインもあるだろう。

筆者も弥都波能売神への恩返しも含めて考えることにしよう。

 

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