自動運転レベル3解禁・レベル4視野

自粛期間のクルマ利用はゼロ。多くの国民は春の季節にも関わらず遠出することなく我慢、我慢を通した。 5月に入ると自動車税納付の案内がきた「4ヶ月分差し引いてくれ!」と愚痴を言う人が側にいた。まったく同感だ。 その一方で、4月1日付けで限定条件付きではあるが、自動運転レベル3が解禁になった。国際的にもレベル2止まりでレベル3に踏み切る国はないだろうとの予測を、何かと後追いが得意の日本が先行するとは予想すらしなかった。

まず、条件とは何かを記載すると(当面であるが)

*高速道路

*一定速度60km/hr で左車線走行

*その間は手放し運転が可能。 携帯電話、画面(TV、WEBなど)注視OK

*追い越しはシステムを外れ運転者が実行。

システム搭載のクルマは2020~発売開始。情報ではホンダ、ベンツなどが先行との噂。

高速道路で実績がでれば一般道路でも走行可能となる。 従来、自動運転の場合に事故責任はシステムにあるのか、それとも運転者なのかの決着が付かなかったが、今回は(日本では)自動運転中でも安全運転義務は運転者に課せらる。ただ、条文を読んでも分からないのは「物損の場合は被害者が加害車両の運転者の過失を証明する義務を負う」とあり、作動状態記録装置が物損で破損した場合はデータ証明ができない。 航空機のブラックボックス並の難燃で頑丈な筐体が必要だが。。。。などを妄想する。 この条例では人身事故に対しては被害者救済が徹底され、自賠責保険で最大3000万円までの保障となっている。これで済む話ではなく、多くは外の保険で1億円以上を掛けているのが実態なので漸く追いついてきた。また自動車税が高くなるが。。。の愚痴がでそうだ。

 

世界に先立って自動運転レベル3許可したものの、はたして、左車線走行のトラックより遅く、トラックに下手すれば煽られかねない60km/hrで我慢してドライブができる人は何人いるだろうか。筆者の場合、3密防止もあり某大学までの片道400kmを日帰りすることがある(メイン高速)。サービスエリア休憩をいれて5時間。60km/hrでは7~8時間もかかる。 公共交通では3時間半。を考えると今のレベル3は取り敢えず敬遠か。

 

さて、一方で研究段階ではあるが、面白い試みがされている。それは、完全に自動運転(運転手がいない)無人のクルマが都市一般道路を走行した場合で右折・左折するときに、対面車が道を譲るか、譲らない自己中の車か運転手の心理をデジタル化する研究がマサチューセッツ工科大学(MIT)コンピューター科学・人工知能研究所と、オランダにあるデルフト工科大学・認識ロボット工学研究所の研究者たちは、この「複雑さ」を自律走行車に教える方法を考え出した。 対面車線を走行する車の自己中の心理反映運転状況を2秒程度で判断し、良心的なドライバーであれば右左折するが、自己中車であれば見過ごす。とのことだが、本当のところ2秒間で車はどれだけ走行するか? 40km/hrの速度で11m、止まろうかなぁと速度を10km/hrで落として走行してきたとしても3mとなるので、これでは衝突する。 高速道路走行では取り付け道路から高速への入り口で自動運転はモタモタして追突事故が多いとの報告もあり、人の心理を読むことでは解決しない。さりとて、運転者の履歴を車から発進しながら走行するのも日本では海外でコロナ騒動で携帯電話に行動履歴を紐付けしてフォローしたようなことはできない。

ともあれ、非難は誰でもできる。だから対策としての研究が進むのであるから、むやみに、それこそ自己中な非難・批判はさけ、建設的な提案が望まれる。

参考までにレベル1~レベル5までのステップをAutomobile 6月号から抜粋した。

この図で「あれ? 俺のクルマはレベル2だと思っていたが、レベル1か」と落胆した人が多いのではないでしょうか。 (AEB 衝突軽減ブレーキ ACC 先行車自動追随 LKA レーンキープアシスト)

 

 

 

 

 

ところで、レベル4の規格について 米国国家規格協会(American National Standards Institute、ANSI)と米保険業者安全試験所(Underwriters Laboratories、UL)は、完全自動運転に向けた初の安全規格となる「ANSI/UL 4600」を日本でレベル3を解禁したその日の発表。ULは材料屋として難燃規格認証機関としてお馴染みであるが、今回は完全自動運転認証機関として昨年10月にコンセプトを発表し2020の1Qには試案を出すと発表していた。

米運輸省など政府自治体の外にインテルなど半導体、ウーバーテクノロジー(トヨタなど出資)、アメリカ日産、ボッシュなど自動車メーカー及び部品メーカーが審議委員会に参加。

完全運転の中でも歩行者(いかなる態様においても)事故にならないことを強調している。

今後は世界標準になると予想されるが、米中冷戦が予想される中、採用する半導体、ソフトを巡っての政治的渦潮に巻き込まれ混沌とすることなども予想され、技術以外の面も注目される。

PMMA

ピーエムエムエー。6月1日からコスモサイン合同会社はPMMAディスク販売を開始致します。7月末までのお客様にはBUY 2 GET 1 FREEサービスを展開中。是非この機会のご応募をお待ちしています。また6月12日にはAiditeのWEBセミナーで戸田様が全世界に向けてのレビューがありますので、是非ご参加下さるようお願い申し上げます。

このブログではPMMA材料の基礎を改めてご紹介致します。

【分子構造】

歯科関係者ではお馴染みのPMMA。右のn(分子量)が非常に大きい超高分子量PMMAとn=1 のMMA(モノマー)を混合してシロップ化させた後で、加熱・注型成形。今回のディスクは高分子量PMMAを複合材料化して異型押出成形により製品化している。

【特徴】 PMMAが他樹脂に比較して圧倒的な特徴を有している物性は多岐に亘るが、

  • 透明性

ガラスより光線透過量が大きい。不思議かも知れませんが、人間の目での波長領域では全光透過率は93%。これが「透明材料の女王」と言われる理由である。

  • 耐傷性

表面硬度が高い。鉛筆硬度では4H。長期的に摩耗強度を評価する方法としてテーバー摩耗があるが樹脂中では圧倒的に高い。匹敵するのはテフロン。因みに同じ透明樹脂のポリカーボネート樹脂はFB程度。自動車内装材に利用されているポリプロピレン樹脂もFB~Bと低いので表面を塗装するか、ウレタンなどで被覆している。

  • 寸法安定性

基本的に100℃までの線膨張は7x10-5と小さい。PMMAディスクでは切削性や強度改良手法が織り込まれているので、更にこの値より低い。このことは歯列寸法が安定することを意味する。

  • 耐熱性

樹脂の耐熱には融点、軟化点、ガラス転移点などがある。PMMAは結晶性ではないので融点はない。だが軟化点やガラス転移点はポリエステルより高く、100~110℃近傍にある。スープやラーメンがいくら熱くても常時口腔内でこの温度になることはない。

【用途】

  • 導光板

パソコン、ディスプレーの光源は実はLEDが背面に並んでいるのではなく端面に線状の光源があり、PMMAの板(プリズムを刻む、又は超微粒子を配合して端面からの光をディスプレー全面を均一に照明している。基本的に透明性・導光特性が利用されている。

  • 照明器具

天井のスモーキーで大型照明器具。光拡散材を配合して中にある光源が見えない。

  • 台所・家具・トイレタリー

耐傷性と透明性を利用して洗面ユニット、テーブルなど多い。また無機フィラーをシッカリ多く配合すると「人工大理石」としてキッチンに利用されているのもPMMA。

  • 自動車

パネル(速度計、タコメーターに加え、カーナビも同一パネルに装填されている。この視認性はPMMAが優れている。リアランプカバー ストップランプ、方向指示など急なアクションへの応答性が優れていることから自動車後部に多く採用されている。(フロントは衝撃の高いポリカーボネート製)

  • 大型水族館パネル

PMMAシートを屈折率が同じアクリル系接着剤で積層。接着面で空気が残ることをうどんで周囲を囲ったら成功したとの逸話は有名。今はシリコンラバー

  • レンズ・ミラー

表面をアルミなど蒸着することで、軽量で割れない鏡ができる。建材や道路資材に利用されている。尚、コンタクトレンズはアクリルの親戚で柔軟性があり、親水性もあるアクリル共重合樹脂が利用されている。

【歯科材料】

  • 圧縮強度、耐傷性、寸法安定性などは上記の通り。

一方で、切削性についてはガラス転移点温度が高く、適切な充填剤を配合することで、ドリル巻き付きが押さえられ、切削先端部の発熱を除熱ができるよう工夫がされている。

  • 耐薬品性

水、酒、ビール、牛乳、酢、ソース類に安定、酸(塩酸、硫酸、硝酸)アルカリにも安定であり、食品衛生適合材料であることも安心できる。

  • 着色性

歯科技工品にはカラーリング処理が施される。PMMAは冒頭の分子構造に見られるようにカラーとの親和性が優れている。鮮鋭性のあるカラーリングが得られるのもメリットが大きい。

感染者数・地域別特徴

漸く新型コロナも終息しつつある。ロックダウンしなくても自粛要請に対して、ほぼ忠実に守ったことは本当に誇らしい。感染数は毎日報告されており、多くの人は報じられている図表を基に独特のプロットをして眺めて時間を過ごすことをしていた。 人口にほぼ感染者は相関するなのは当然だ。高齢者がいる地域は感染し易いはずだが、接触機会は少ないか?。などの要因探しをした知人が多かった。 誰でも考える影響の大きい要因はざっくり

・人口・人口密度     東京・大阪・福岡など第一次自粛要求地域・・・影響大大大

・年齢構成                   終盤になると20代が多くなったことから・・・・・関係が薄い

・インバウンド要因         韓国、中国、台湾、香港の東アジアで70%・・影響大大

・交通インフラ               従来とはビジネス圏が変わった。・・・・・・・・・ 影響大

・気象(紫外線量)         冬場の晴天日が少ない地域・・・・・・・・・・・・・ 影響大

・環境PM2.5              世界では該当しても、日本に限定すると関係が薄い。

などが直ぐに思いつくところである。

この要因のうち、人口、インバウンド、交通インフラ(人の流れ)など経済的な面から整理することを考えた。地域別の生産性(一次産業、二次産業、サービス産業)と感染者数との関係をプロットしたところ面白い結果となった。

(図-1)に横軸に生産性(2018年)、縦軸に感染者数をプロットした。

 

その結果

・概ね地域経済生産性が大きくなるにつれ感染者数は増加する。(人モノ金流通と関係)

・経済生産性規模が小さい場合は感染者数は少ない

・目立つのは北陸3県はこの相関帯から外れ、生産見合いで患者数が多い

人口10万人あたりの感染者数は当初は福井が東京についで2番目と多く、福井を知らない人から、妙だ、まぁ人口が少ないと少数の感染者数が敏感に反映するのだろう。そのようなフィーリングだった。ところが終盤になると石川が東京を抜いてトップとなった。(表)

 

人口が少ない地域の多くは感染者数は低い事を考えると、北陸地区は特別な要因があると考えられる。何故北陸3県は異なるのだろうか? ある人は北陸の特徴として共稼ぎが多いからと言うが、それは今や全国共通になっているので、該当しない。

これを

【医療面インフラ】でみると北陸や山陰地区はIPCの検査能力が高い地域である。 感染の早い段階で陽性を検出したと見るのが妥当性があるのではないだろうか。

 

図-2に人口10万人当たりのIPC能力を示した。ダントツ徳島、鳥取、和歌山、長崎、島根、福井、石川が上位にある。因みに東京、埼玉はお寒い状況で、これで検査数を増やせと非難している声があるが、そもそも無理難題を言っているに過ぎない。 平素の予算配分がイザとなると露呈するのが見える。 それにしても徳島の感染者数が少ない。別の理由もありそうだ。徳島といえば大塚製薬、徳島新聞、貯蓄高。 地元に詳しい人に聞いて見よう。

 

【経済面の変化】からみる北陸

北陸3県の従来経済圏は富山=東京、石川=(東京・関西)、福井=関西・中京 と大別されていた。 これが北陸新幹線が金沢まで延伸すると東京からの金沢へのアクセスが急増した。ビジネス面での交流増加に加え、インバウンド客も増加した。インバウンド客全体4000万人のうち、金沢に宿泊したのは1000万人。

北陸新幹線の長野、上越新幹線の新潟もインバウンド客が増加しているが、金沢に吸収された格好になっている。

年末から3月の間は、カニ(越前かに、香箱かに、)のシーズンでもあり、海の幸が豊富であり

国内旅行客が増加、インバウンドも金沢を意識している調査資料がある。

北陸新幹線は現在、金沢から福井を経由して敦賀までの工事が進んでいるが、元々福井に関しては在来線で敦賀―網干(兵庫)に通勤新快速が走っているように大阪との関係が密であり、インバウンドより平素のビジネスによる人の交流の影響が大きいとみる。

北陸と一口に言っても半世紀前の教科書は織物・農業県だったが、現在は最先端産業地域である。地震頻度が少ないこともあり多い地区から移動する企業もある。

富山 アビガンの富山化学のように現在も医薬は盛んな土地

石川 機械、半導体製造、炭素繊維と先端産業に衣替え

福井 3Dプリンター複合切削大型機械、炭素繊維複合材料で自動車関連、繊維産業は経編(たてあみ)など高機能化が進んでいる。ラグビーの機能性ユニホームが記憶に新しい。

さて話を転じて、一連の感染情報過多の中で考えたことがある。

【商社は何を伝えたか】

インバウンドは各国も日本も鎖国状態で3月にはピタリと止まった。 産業規模・構成により人の流動性があることが感染の根本であるとすれば、ストップをいかに早くするか。それは情報戦が重要だ。今回はWHOが感染に対して急ブレーキを踏まなかった。WHOを非難する声はあるが、不思議なのは、日本の商社活動は大使館や領事官よりネットワークが充実しているハズなのに動いたとの声は聞こえてこない。 ビジネス取引相手の状況、街の様子、病院の様子など、異常を感知する筈である。政府に届いていたのかも知れない。無責任なことは言えないが、商社のセンサーにもIT、AI重視で肌感覚能力が低下しているのかも知れない。 両方に秀でた人材はいると信じたいがどうなんだろうか。 随分昔のことになるが、経済評論家で“どぶ板経済”を標榜していた人が居られた。街の様子を肌感覚で嗅ぎ取って情報発信していた。今はAIの時代としてスパコンのデータだけに重点を置くようになったのか。

【医師と医者】

冒頭でIPC装置能力の地域別特徴を挙げたが、巷間言われているように陽性・陰性判断精度は高くない。 NHKが以前に各医大のインターンを集め患者のデーターや状態、問診から正確な病名をあてる番組をやっていた。 指導教授が問診状況を続々提供するにつれて病名が変化することを知った。検査と問診の尤度比の問題でもある。

分析データーだけで判断しているとは思いたくないが、コロナの場合は嗅覚・味覚変化があると患者が感じた方が確度が高いとの結果もある。問診能力の高い医者。「医師と医者の両立。かつ命がけの体力勝負」 大変な職業だ。次の感染まで暫時休息ができることが早く訪れることを念じて。あと少し頑張って医療従事者の皆様。

他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス

コロナで多くの有意な人材が逝った。 志村けん。まさか。岡江さん。まさか。 岡本行夫さん。まさか。である。 岡本行夫さんの米国との外交調整能力は日米双方から高い評価があった。また、ダンディでわかり易い口調での講演はご婦人の圧倒的な人気があった。講演中にスマホを主婦が向けると「この角度がよろしいですか?」とポーズをとる。モテモテ・シニア。討論では安定した論陣を張った。グローバル視点で日本の成長・危機を下支えしてきた実績に安定感・信頼感があった。 スーツはいつもブルーで、若い印象があった。

岡本行夫氏は橋下・小泉政権を総理補佐官として支えた。沖縄問題の普天間基地問題、沖縄振興策に尽力された。

 この訃報を聞いて、沖縄返還を実現した佐藤内閣。この時に密使としてキッシンジャーとハードな交渉をした人物を思い出した。若泉敬である。 沖縄返還にあたり佐藤内閣の核3原則に対して米国から事前通告で持ち込むことができるとの要求に対して、事前協議に落とし込んだ。

佐藤―ニクソン会議で沖縄返還が決定した。佐藤栄作はノーベル平和賞。一方の若泉敬は政界から京都産大などに活動拠点を移した。だが、沖縄返還交渉を通じて沖縄の人々に対しては完全完璧の決着とは言えないことに強いこだわりがあった。沖縄戦没者お墓の前で自裁をするところを沖縄の太田知事に、十分立派な使命を果たされたとして制止されたが、その後、故郷に戻り服毒自殺をされた。 

現在の沖縄が抱える諸問題を解決することができないと予見しての身の処し方。政治の正念場交渉での命掛けの凄みを見る思いである。筆者の卒業した高校出身でもあるだけに、今の自分の仕事に「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」の言葉は重い。確かNHKで沖縄返還交渉から自裁まで活動記録が放映されたことを覚えている。

自分の能力を何に、誰に、活かしているのか。 決して表舞台でスポットライト浴びなくても。

 もし活かすことができない事があったら、それを世界が変わったからなど言い訳していないか。 今回のコロナがもたらす経済的変化は以前より相当変化する。 米国、日本も超大型経済出動したことで、株価は実体経済とは関係なく、上昇をしている。だが、ミニバブル弾けた後の実体経済は正社員の給与削減程度では済まないデフレが待ち構えている。まして年金を頼りに退職後の生活は以前より、様変わりになるだろう。その時に向けての新ビジネスを経済界は用意しているか、コロナ渦をやり過ごす瞬間は補助金、給付金、失業保険割り増しなどで対応可能。会社経営での対策が瞬間刹那的な人員整理策は愚策であったと過去が教えている。

「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」と言い切る程の経営者の覚悟とそれを支える社員のミッション実行能力が問われている。 

 今日5月13日はコロナ自粛解除か否か知事にとって、ギリギリ決断が迫っている日である。 自動継続では経済的犠牲者があまりにも多い。さりとて第2波がいつ来るかも分からない。その中で諸条件を吟味し最後は政治決断をしないといけない。 十分過ぎる程検討した上で「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」として情報公開するなら国民は従うだろう。

 次世代に明るい世界をもたらすことが出来るチャンスでもある。日本人はできる。それを信じて。 

MMT(実験Ⅱ)

大阪造幣局の桜の通り抜けは今年はできない。残念だ。子供の頃、造幣局へ見学に行った。その時、子供心に造幣局で働く人は帰る時に身体検査があること。これは納得。だが分からなかったのは「お金が不足すれば印刷すればいいんじゃない?」と聞いても分かったような分からないような回答だったのを覚えている。

 日本は借金漬けにある。負債が1100兆円だ。こんな国はよそではないの声が強く国民にすり込まれてきた。だから増税だとして3%、5%、8% 10%と消費税がセットされてきた。国民の多くは年金や医療が崩壊したら大変だとして、しょうが無いとして従ってきた。 一方貸借対照表の左側に資産の項目があり、それとの差額は500~600兆円であり、負債額をオーバーに言い過ぎているとの識者もおられる。後者だと思いたい処だったが、そこに来てのコロナ禍である。

 自粛への金銭的手当として政府は数種類の緊急補正予算を国会通過させた。その財源は巨額の国債発行。その上限を従来の80兆円を撤廃して、無制限に買い取るとのこと。日銀が刷って市中銀行が購入し、それを日銀が買い取る。あれ? お金が不足したらお金を(見かけ上)刷ればよいのか。 子供の頃の疑問が浮かんでくる。経済音痴の典型的な頭のままである。 

それを理論的に組み立てたのがMMT(現代金融理論)。米国大統領民主党のバックボーンである経済学者が提唱。撤退したサンダースほどではないが、大きな政府論者のバイデン候補。ざっくり言えば国内で回るとの限定条件であるが、お金は刷って刷りまくってもインフレが起きなければ良い。 なんだ理論は難解だが結論は子供の頃の答えと同じじゃないか。

既に日本では1100兆円までMMT実験(そのⅠ)をやってきたとも言える。今回は一気の実験(Ⅱ)に相当する。

ひょっとすると、これだけだと景気の底支えするどころか、バブル再来もありうるようなバズーカ/キャノン砲。いずれにしても、倒産寸前の企業もECMO的処理で生き返る可能性はある。

 勿論ブレーキはインフレ、日本の場合は今の国債も対GP240%あるのに平気で、インフレ2%目標に異次元の金融緩和をしても到達しなかった。なので国債発行して260%になったとしてもインフレ幅は小さい可能性はある。普通の考え方では、日銀の国債金利見合いで市中銀行の購入ブレーキとなるので青天井とは行かない。 子供のころのぼんやり経済音痴からみると、今回の巨額な国債は何れ償還することなので、年金・医療保険の3割分に税金を投入しているのが限界になるのではないか? サラリーマン厚生年金や自由業の国民年金だけの70兆円で到底い賄えない。さりとて税金も国債償還に取られる。。。。とどの詰まり、年金額が少なくなるか、それとも75歳以上から受け取るようなことになるのどちらか。 年末から1月にかけてWOWOWで草刈正雄扮する総理が国家財政危機改革として年金医療費の福祉予算をゼロとする青山仁原作をドラマ化放映した。コロナ渦前に撮影されたにしては、妙に当たっている。ドラマの構成材料として「ディストピア」。(ユートピアの反対造語)も印象的だ。

年金を受け取って余命までの5年間を愉しく過ごしてくれ、ただ、定年後は現役時代に鍛えた腕で自前で稼ぎをしてくれ。 副業の勧めなる書籍が多く最近見られるのは、この前兆かも。

そうは言っても今回のコロナ不況でGDP落ち込みが30~40%だとしたら失業者300万人は出るだろうとの予測(高橋嘉悦大教授)からすると、副業に預かれるのは一握り。

なので、大きな政府でバラマキするよりは国も効率的な予算の使い方を工夫して欲しいものだ、その意味ではトランプ大統領の民間活用大型投資政策の方が今の日本が見習うことではないだろうか。国土交通省などの公民連携(PPP)が大きく成長することが期待される。

個人に視点を移すと。

日本の会社は採用の時は大きく文系、技術系に分けるが、係長、研究員から課長、主任研究員への昇格あたりから、文系、技術系の区別が曖昧になり、出世の早道としてジェネラル管理者を目指す技術系が多い。技術のエキスパートとして生きる道を選ぶ人は少ない。

問題は彼らは法経商の専門家ではない。中途半端。昨日までは技術用語を駆使しているかと思いきや、ROEを始め覚えたての経済用語を話すようになる。で、その答えは?となると、無いか調査会社に委託して答えを待っている。調査費用は馬鹿にはならない。そんな人を企業が雇用継続するには無理がある。まして腕がないので副業もできない。詰まりは大学と企業の関係を維持をする人事部の意地で持っているようなもの。それも限界。コロナ禍にもたらす能力重視賃金体系がソニーのみならず浸透していくと予想される。さて、何で生き延びるか?長期的な視点で考えることが企業も個人にも求められている。ROE重視の会社は長期視点は分かっていても、その前にROE対策として借入た返済に追われる。個人だけでは何が長期的にありうるネタなのか、その信頼性も不安だ。その時こそ仲間とのゆるい連結であるとすれば、今の自粛においてはTV会議等、自粛明けにではface to faceでの情報交換が頼りに今以上重要になる。

民間対症療法 スペイン風邪そして今

外出自粛対策として平凡社が粋な計らいで「流行性感冒」455頁を4月30日までの期間限定でオープンにした。スペイン風邪を取り上げている。前後の世界の疫病の歴史年表と日本の当時の厚労省の対応などが詳細記述されているので参考になる。スペイン風邪は1918〜1920。 友人の認識では、ウイルスによる疾病は当時、不可視の病毒とされ、電子顕微鏡でないと観えないスケール。時代的に同じ頃の野口英世氏の数々の功績も光学顕微鏡スケールの細菌レベル。今では漸く、ウイルス学、遺伝子学が認知されて来たが、当時は恐らく、不可視の病毒素があるとの医学的提唱でさえ、否定された時代であったのではと想われるとおこと。まして民間ではと。

時代は違えども、現在のコロナウイルス禍と事情はよく似ている。当時は世界大戦もあり、各国は通信規制があり、発生源がどこかも不明、スパニッシュ・インフルエンザ・パンデミー情報隠蔽がちの中、ウイルスのなんたるか不詳ゆえ、対処療法をせざるを得なかった。(尚、スペインの名称がついた疾病であるが、発症源はこの時も中国)

書籍から一文を引用する。

「予防及び治療に関しては報告少し。心身の疲労、寒湿中の曝露、栄養睡眠の不足等身体抵抗力の原体に関連すること大なるを以て成る可く之をさけ、居室の容積を大にし、各人の臥床を隔離し、食器を消毒し、咳嚏噴を注意し、異常あるものは直ちに入院加療せしめ、健康診断を必要とす。いまだ特殊な療法なし。凡て対症療法のみ。鴉片及び酒精をさけ、換気を十分にす。患者及び看護人共にマスクをかく可べし。」 (筆者注:鴉片とはアヘン)

如何ですか? 今の我々の常識になっていることばかりのみならず識者が発言している内容はスペイン風邪とそっくりです。尚、食器の消毒は食洗機が利用できる現在は大いに活用した方がよさそうです。また陽性かどうかは鼻の中から採取し、、、、肺炎合併症、、、、

これも同じ。英国のワクチンの開発が、、、、。

ただ、対症療法の中で出てこなかったのがある。それは「手洗い」である。今、手を一生懸命に洗うより、こまめに洗うのが重要と説得している。当時は知らなかった? そうではなく、既に日本人の常識になっていたからであるとの説がある。真偽の程を筆者は判定できない。ただ、日本書紀時代の疫病対策の一つとして、各地にある神社の「手洗い」が感染防止に役に立ったとの話もある。 湧き水での手洗い、口腔内洗浄は神にお参りするには必須マナーであるが、疫病対策の側面も否定はできない。

スペイン風邪で欧州では6割の人が亡くなり、中国でも1億2000万人が2500万人まで減少と日本のスペイン風邪で亡くなったのは人口6000万人中35万人(1回目ピークで25万人、2回目で10万人:死亡率は1回目が1.5%、2回目が5%) 今回の新型コロナウイルスが2回目があるのか現時点では分からないが、それにしても死亡率が欧州各国とは違うのは特筆される。今回の新型コロナウイルスについて、日本だけ罹病率が低い理由として各国はPCR検査数が少ないからだ、国内でも妙なマスコミも同様の主張をしているが、死亡者数がこのブログ作成時点で372人(感染者13,441)と圧倒的な少ない数字に検査数は理由にならないことは明白だ。

クラスター対策としては3密が効果大であるとほぼ証明できつつある現在だが、手洗いの重要性については常識の上にも新常識を重ねて実行することがポイントであろう。

具体的には京都大学の宮沢准教授(再生医科学研究所)が提唱する「新型コロナウイルスを100分の1に減らす作戦」 を紹介する。本来は著作権問題があろうかとは思うが、ウイルス禍を乗り切るために、(無断)拡散引用する。

*手を一生懸命に洗うよりこまめに洗う(15秒ほどの水洗いでも可)

*手洗い後にタオルについたウイルスは微量なためほぼ感染しない

*外出時はウエットティッシュで手を拭う

*1枚で拭いたあと、更に1枚で拭けばなお良い

*濡れた手ぬぐいをジップロックに3つぐらい入れて持ち歩いて拭く

*濡れ手ぬぐいについたウイルスは数時間経つとこわれるので気にしない

*帰宅時は手洗いだけでなく、蒸しタオルで顔を拭く

*帰宅後は風呂に直行するのがベスト

*トイレに行ったら蓋をしめてから水を流す(ウイルス拡散を防ぐ)

さて、外出自粛が5月7日に解禁になるかどうか、我々の意識が試されている。だが、日本人は日本書紀のころから、しなやかに疫病を克服してきた。今もこのDNAを日本人は引き継いでいる。誇りに思いつつ、しなやかに誠実にこの難病を克服しようではないか。

 

テレワークとポストコロナ

突然金沢の人から携帯に電話。「5分後にPCスカイプするから」。 以前はスマホのスカイプは利用したことがあったが、時間差と会話が途切れるので利用していなかった。Windows10にはソフトは入っているのでインストールは不要。でもどうやったら通じるのかドタバタ3分。漸くヘッドセットを被りスカイプ開始。相手の顔と声を確認。ホットする。PCスカイプの画質が良好なことに驚いた。従来なら横浜から金沢へ出張する場合は新横浜からひかりで米原へ、北陸線に乗り継ぎ金沢と実に3時間を要する。日帰りだとその繰り返し。工程・時間・費用を計算するまでもなくスカイプを利用するのは凄く合理的である。コロナ騒動により双方とも外出自粛で身動きできなくなったことで利用した。

海外著名人のセミナーをWEBを通じて参加をした。コスモサインでは4月14日のAidite第一回WEBセミナーを開催した。筆者も聴講。パスポート不要で長旅フライトも不要。いきなりセミナー会場に電子媒体で到着する。英語圏以外の参加者を意識してだろう、口調がゆっくりで簡潔な英文説明もあり分かり易いセミナーであった。FBでは都度参加者の質問も表示されるので、セミナー参加者は何にイイネだとか何の質問をしているのかを知る意味でも役に立った。第二回は4月17日に開催。これも聴取。なんだか無料で申し訳なく当該分野の先端情報を聴取することができる。 このような便利なツールとシステムを利用しつつ、ポストコロナの風景はどんなものだろうかと考えた。Aiditeセミナーは継続中。コスモサインはリアルセミナーを7月に予定しているので、予習としてWEBを観ることでリアルセミナーが充実すると思われる。

今回のコロナは語弊のある表現が許されれば、「第三の戦後」とも言うべき変化があると思われる。大手調査会社勤務の友人の専門家は「いや、そう簡単に日本人は変わりません。暫くすると元に戻ります」と言っていることから、日本は半分はそうかも知れない。だが、

世界の方が変化が大きいとなると、時間経過と共に日本も当然影響がある。アメリカファーストの米国が世界のリーダーたる地位が怪しくなるかも知れない。EUは今回は各国境を封鎖し医療格差が顕著となった。ドイツ一人勝ちが明確になり、あの一体感は何だったのか。その間隙をCが云々などの政治的な動きもあれば、COP26温暖化問題より重要な事は人類にとって優先事項は「生きること=医療の充実」が必要だと分かったことなどベース意識が変わった。経済全体もデフレ突入など専門家に任せて、身の回りのビジネス風景を考えると、これも光景が変わるだろう。まず、

① パソコンがおぼつかないオッサンは置いてきぼりになる。定年延長で残っても仕事らしい仕事にありつけないかも知れない。余程のパソコンを越える能力が評価されないと残ることができない。現役でも上司へのヨイショ調子持ちで地位を確保している管理職にとっては、仕事の成果が厳しく問われ居心地が悪い。夜遅くまで残業で頑張って「努力を評価してほしい」は過去のモノ。今どきヨイショはないだろうと思われるかも知れないが、結構その類いの生物は組織の中で棲息している。テレワークの洗礼で全ては「結果重視」となると役員と言えども首が安泰では無くなる。

従来の会議体では声の大きな人がとかくリードしていたが、テレワークでは画面は参加人数により画分されるので声だけでは説得できず、中身勝負になる。まだ参加呼び掛けられるだけでもマシ。呼ばれないこともあり得る。単なる声と顔の表情や手振り身振りだけでなく主張すべきポイントをフリップに書いて表現する人も出てこよう。

録画機能を活かせば、「あの時は・・・」と前言を翻すこともできない。いやはや従来型サラリーマンにとって拙いことになってきた。でも経営者はパレートの法則があるので、むやみに出来ない人を排除すると、生き残ったグループから出来ない人が出てくるので注意が必要。

テレワーク以外の影響として

②接待文化  1~2ヶ月夜の接待場所閉鎖に伴いストレスが溜まって再開と同時に利用が元に戻るか、それとも、米国のように夜はなく、ランチョンミーティングで済ますか。日米欧の同時TV会議の頻度が上がると日本時間帯で飲んではいられない。

③オフィス空きスペースが増える。 オフィス賃貸料見直し。逆に人気の都心オフィスに集中などオフィス間格差が生まれる

④交通網  鉄道・地方空港乗車率低下 インバウンド回復見合いだが、ビジネス客は減少。採算面問われる。レンタカー、シェアカーなど誰が利用したか分からないクルマを利用するには余程の衛生管理の徹底しているかで選択される。逆に簡易清浄装置があればヒットする。

⑤男物衣料の更なる不振。 スーツ・ワイシャツ・ネクタイ・鞄など使用頻度が少なくなる

⑥たばこは肺に気遣い益々減少

⑦現金から即時決済カード・スマホ決済に重点が移動。 清潔の癖がついたことから紙幣・コインにタッチしない。お店の人も触りたくない。

⑧ 事業再編

先端RDイノベーターを今以上に探し出し傘下に入れる動き。それに必要な資金のためにポートフォリオの見直しの結果、事業毎他社売却などが今以上に頻発するであろう。豊富な研究資金で身分安泰環境下での研究より、厳しい環境で研ぎ澄まされた研究の方が育て甲斐があることが今回のコロナウイルス製薬と期待されている富山化学と富士フイルムの関係にみることができる。

⑨ 学生進路・大学学部編成の変化

15年前は環境を冠につけた学科・学部は人気があった。でも卒業しても活かされる場は少ない。このコロナ騒動でいかに基礎が大事か分かった。医薬品開発といっても、量子化学・スパコンを駆使しての医薬分子設計、及び生体内活性の観察など広範な基礎研究が必要で、短時間でできる仕事ではない。有能な人材の集合体をマネジメントするパワーも当然必要。

これを機会に文科省も変化せざるを得ない。と思うが如何であろうか。

無形資産コメント(2)

ついに非常事態宣言が東京周辺、大阪周辺及び福岡に出された。内容はご承知の通り。宣言から1週間経過。潜伏期間14日なので、まだ効果を確認は出来ない。でも押さえ込みに期待したい。
日本より米国の感染者数・死者数は日本を遙かに超えた。では何故なのか?
BCG接種しなかった、マスク文化がない、手洗い励行がない、ティッシュもガサガサで鼻をかむときはハンカチ。なので、ハンカチが汚い。毎日風呂やシャワーを使わない。土足で部屋に入り、その上ベッドにも横になる風習がある。 (日本のホテルでベッド掛け布団の足側に帯がある。あれは土足対策であり、日本人には不要)。 靴に付着した塵埃を部屋に持ち込み、PM2.5汚染度が高く、湿度が低いのでウイルスはPM2.5に付着しエアゾルとして生き延びるなど好適環境にあるのだろう。 また、医療保険制度が充実していないので、多少体調が不良でも病院に行かないので重症化するなど、経済格差も原因として考えられる。

さて、無形資産のブログをアップしてから、先週は読者からの反響事例を取り上げた。果たして、この反響を更に深く掘り下げた人がいる。 「ケイレツ」の言葉に触発されたのであろう、ケイレツが垂直分業とすれば、米国企業(それもエクセレントカンパニー)は「水平分業」になるのは何故だろうと考えて、表を作成した。 実に好対照である。

冒頭の米国はなぜ感染者数と死者が多いのか?について、あれこれ考えらることを列挙して結論としてウイルス生存に都合はよさそうなのが米国だと論ずるのが帰納法的説明である。
これに対して、ウイルスのRNAと分子骨格は**であり、体内に入った場合の増殖のパターンは***であるから、このウイルスは多くの米国人がもっている***と反応しやすい。だから米国の方が感染者数と死者数が多いのだ。 これは演繹法の説明である。

日本は帰納法的論調になりやすい。それは小学校で読書感想文を見れば明らかで、作者の心理・心の襞を読み解く力に重きを置いている。欧米では学習到達度調査として自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させ、社会に参加するために、テキストを理解し、利用し、評価し、熟考し、取り組む力が読解力の基準としている。 演繹法に子供の頃から習熟しているのとは日本と好対照である。ビジネスとしては米国のやり方が優れている。日本は苦手ではなく訓練を受けていないだけ、そこで組織で対応せざるを得ない。 少人数からスタートするベンチャーはホラクラシーにならざるを得ない。始めはフラットな組織で自由闊達に自分のプロ技量を提供することで成長することを狙う。

初めから組織でないと動かない企業はたちまち資金面で立ち往生する。分かっているので逆説だがベンチャーが起こり難い。 閣僚も日本式で育っているので論理的な答弁ができる人は少ない。 論理的発想に習熟している役人に依存する大臣を幾度も見てきた。野党も論理よりも印象で追い詰めようと貴重な時間を費やしている。予算委員会でプラカードや委員長席にダイビングするなどして体を張っている姿を選挙区に届くように“頑張って”いた。野党が政権を取った時の国会を思いだした。エビデンスを基に論理的な質問を矢継ぎ早に出されて立ち往生していた。 野党といえどもPDCAをしたかったのであろうが、C(選挙チェック)で止ってAまで経験できなかった。健全な野党の存在があって成長できる機会を自ら放棄した。

一見関係なさそうなスポーツ分野においても日本人らしさが見られる。例えばサッカー。日本はゴール前で、玉回しをして自分でゴールネットを揺らすことをなかなかしない。和をもって尊しとする日本人DNAがここでも発揮される? 連帯責任もあり独走できないのであろうか。 陸上競技は個人力量に依存するが、短距離リレーは日本は得意である。100mで10秒を切るランナーは2名のみであるが、バトンタッチを工夫して戦う様はこの表のような民族の特異性が表れている。

話を戻して無形資産にはエクセレントカンパニーが多いの表現は逆であり、無形資産を増やした結果エクセレントカンパニーになったとの言い方があう。 有形資産の代表的機械装置にしてみても、発展途上国は先進国で利用している装置を導入すれば追いつくことが可能である。先行していた企業はレッドゾーンに突入する。 半導体、造船、鉄鋼などは発展途上国が人件費の安さで日本から奪って行った。

ベンチャーはホラクラシーにならざるを得ないが、既存の大企業でも今回の新型コロナウイルス騒動においてテレワーク、(セキュリティ問題も指摘されているが) スカイプ、TEAM会議などで従来の仕事のやり方が変わるチャンスでもある。TV会議では声の大きさイコール画面の大きさにはならない。人数分に画分される。発言は自動的に記録される。 議事録は電子ホワイトボードに纏められるシステムもある。
新型コロナウイルス騒動がもたらす良い面もあると考える。それが何か?を考えるには外出自粛を活かして考えようではないか。

 

無形資産ブログへのコメント(1)

新型コロナウイルス。強烈なパンチだから意識も直ぐアクションする。手洗いの頻度、駅前でのポケットティッシュは冬場の需要があるも受け取らない。下手にウイルスが付着していたら大変の意識。通常ならわざわざ配っているところまで近づいて行く人も結構いるのに。マスクは足らないのでリユース。使用後次亜塩素酸ナトリウムか二酸化塩素水を噴霧して屋外に干して紫外線をあてないと気が済まない。部屋の埃にウイルスが付着してはダメだと、暇な時間が増えたことで断捨離と徹底した掃除、窓開け頻度も増えた。 ハイタッチもグータッチもしない。袖タッチもしないで今は2m遠距離ジェスチャータッチ。まぁ意識は変わった。

それに対して、ジワジワと目に見えない変化率で変わったのが無形資産が有形資産を上回った経済を紹介した先週のブログ。 毎週水曜日にアップしているが、土曜日に読者からメールが届いた。日頃は多忙の人ではあるが、それでもブログに目を通す時間はあったことで、貴重なご意見を頂いた。

引用する。
「無形資産に早くから気が付いていた企業は米国に多いですね。コカコーラも古いですが、ちょくちょくエクセレントカンパニーに挙げられる3Mもその一つですよね。近年ではアップルですね。アセットを最小限にし、知的財産を持って、アウトソーシングにより時代の変化、ニーズに追従し易い様に身軽にしている。得意な技術、知的財産を上手く深耕拡大、飛地には決して行かず、機軸から離れずに、それでいて多角的に異分野、新分野に上手く展開して来ている様に想います。
強欲さを反映してか、短絡的思考のゴーンさんは有形資産を優先していましたね。部分最適を積み重ねても全体最適にはならない事を身をもって理解していなかったのでしょう。
日本企業は、相変わらず無形資産化が下手ですね。そもそも知的財産を、否、発明者を大事にしない傾向が未だ残っていると感じます。そう言う変わり者を異端児として排除する傾向さえありますね。未だに「士農工商」的価値観、村意識を引き摺っている様に想えてなりません。
一方で徐々に物作りからパソコンさえあれば出来るビジネスモデルに取り組む若い人達が増えて来ているのは、もはや物作りの国ではなくなったせいでしょうか?産業構造がグローバル化に伴い、随分と変わってしまいました。物事、行き過ぎれば、必ず揺り戻しがあります。
変わらぬもの、大事な事が何かを見つめながら生きて行く様に心掛ける必要があると感じる今日この頃です。」 と長文を頂きました。

ここで、実は先週のブログで記載しなかったことがある。それは日本のモノ作りにおいて「ケイレツ」がイノベーションには重要な役割を果たしていたということ。発明だけではモノ作りは不可能で、実際に製品となるには部分を積み重ねての全体最適化が必要だからである。これを実は系列・組み合わせがしていることに他ならない。ケイレツは悪の根源のように誤解して切り離した結果、Tier 1, 2, 3 のそれぞれが、路頭に迷うことになった。

今、米国で日本のケイレツを見直そうとの意見が出ているのを知っている。以前のケイレツの悪とするところは除去して新しいイノベーション融合体として様変わりすることを期待する。

「発明者を大事にしない。」 会社のインフラのお陰で発明したのだから報酬は会社の物の意識が未だに根強い。ベンチャー発明もあるが、共通して安い労賃・低報酬。 最も大きいのは日頃に好奇心をもち、他分野も専門家顔負けに議論できる技量をもち、そして実用化への企画マンと営業のセンスが問われる。逆コースもある。技術者でありながら営業センスで市場とタッチしているからネタが生まれる。「必要は発明の母」コースである。なので発明者が厳めしい顔つきと口調で人付き合いが下手だと、誰か奇特な人が拾って育てないと成功しない。誰かれの意見や声に耳を傾けながら「ああ、これならプロのあの人も巻き込もう」との人脈形成に長けた人だと自然発明も多く、レベルも高くなる。独り研究室で籠もっての発明は限界がある。物理数学の世界ではありえるが。
それにしても、発明者の処遇は日本ではおろそかである。会社では発明出願時に1万円前後、登録して5万円程度が支給される程度である。青色LEDの中村氏と日亜間の裁判以来、発明者への利益還元を実際にしている会社は出てきたものの実際は極々僅かである。 会社に属しないで発明した場合の発明の受け手からの報酬は知的財産の無知もあり更に悲惨なものである。メールにある士農工商の世界では技術=工と文系から低く見られている。

この発明分野において、新型コロナウイル級のショックは3Dプリンターである。実は日本人の発明なるものであるが、出願した後で審査請求をしないで米国に渡った。しなかったのには理由があるのだろう。米国はインフラの強みがあり、瞬く間に応用され、米国、イスラエル、ドイツの3強に3Dプリンターは制覇されてしまった。歯科技工を始め、航空機、自動車まで3Dプリンターが適用されようとしている。この大きなトレンドに日本は発明に対して冷たかったこともあり、海の底に沈んだ。 この揺り戻しをどうするか、筆者および仲間でこの問題を違う角度から攻めたいと考えている。

明るい話題がある。それは理化学研究所は頭脳集団である。今回の新型コロナウイルスでもスパコンと量子化学(分子軌道法)を駆使してウイルスRNAの分子形態を明らかにした。日頃の深耕技術が広く世界で利用されることが本質的な科学であり進歩となると確信しているからである。発足当時の理化研は事業化を種々進め理研7奉行とまで言われたことがある。その後やや学問の塔の色彩が強くなったが、今また民間との事業化にチカラを入れている。良い揺り戻しである。

無形資産

確定申告の準備に国税庁のHPをチェック。新型コロナウイルスの影響をうけて国税は納税猶予制度を設けたとある。但し、猶予条件は「担保物件があること」。これを見て15年前にR&D(研究開発会社)を立ち上げた時を思い出した。

まず、銀行口座開設窓口で

銀行員 「経理とか簿記をご理解されていますか? あのね基本はね、仕入れ原価があり、売値があり、その差額が大雑把な営業利益! 分かります??」

当方「はい分かります。」

銀行員「あなたの事業計画には仕入れに相当するものがない。これで事業と言えますか?」

当方「仕入れは知識と知恵・工夫などの無形資産の活用です」

銀行員「理解できません。無から有へ?そんなことありえない。基本はね、、、と繰り返す」

当方「シンクタンクの会社って存在しますけど、同じじゃないですか?」

銀行員「・・・・」「ともかくダメです」

当方 そうですか一週間後にまた来ます。

そして一週間後、身元を調べたのであろう支店長室で頭を下げられ通帳を渡された。無形資産しかない会社から融資を申し込まれても担保物件がない場合は融資できない。

無形資産はサンク(失敗すれば埋没・蒸発)して差し押さえができない。銀行に無形資産を評価する機能がない。引当金も積みました上で、自己資本率低下なんぞの危険を回避するのは当然である。当時の銀行は日本でのものづくり成長成功体験を海外で再現すべく主軸を移していた時だけになおさら、国内の無形でしがない会社を相手にはしている暇はない。そんな雰囲気だった。当方も銀行員であれば同じような対応をしただろう。

 そして一年後、国税の査察があった。普通は5年毎に査察があり初年度にあるのは珍しい。

査察官「決算報告書に理解不能な箇所があるので査察する。」

「基本的な簿記の知識が無いようですので、まず聞いて下さい。

基本はね。。。。。と銀行員と同じことを言う。

定型式にあてはまらないのは理解不能。官吏に式が違うと理解して貰うのは大変だった。あれこれ議論して漸く理解してもらったが、それまで5時間。これを岩盤というか、システムの硬直と言うべきか。最終的に査察官も「税制のあり方がR&Dの性格と合わないことが分かりました」で落着。

こんな風景が15年前の当たり前・常識だった。機械や原料など有形を購入し加工して製品とし販売して利益を出す。もしくは、製品を購買し小売りする商売、それが規模の大小に関わらず「事業であり会社」 。GDPは経済指標としては有効であった

 トフラーがポスト工業化として未来は非物質的なものが経済に重要だと指摘してから60年後の現在、目の前の実態を見て初めて、自分だけでなく日本が置いてきぼりされたと痛感する日が来るとは。

 今や無形資産が有形資産を上回っているのが現在の経済。その事例はマイクロソフト社。総資産のうち有形資産は4%、時価総額では1%である。有形もほとんどが現金で簿記でいう有形資産はコンピュータ、机の類い。稼ぎネタは頭脳の集約であるソフトやブランド力。コーラも配合リストの紙一枚だけの無形資産で稼いでいる。有形資産は世界各国のボトラーが製造設備として所有している。ボトラーは装置インフラの費用はかかるが、コーラ本体は無形資産で稼いでいるのだ。日本での高収益企業キーエンスも設計は自社であるが、製品製造をするのは外注で、有形資産は所有していない。この企業の年収は他を圧倒しているのは有名だ。さらにスケールが大きいのはGAFA。マイクロソフト、コーラ同様グローバルに無形資産を活用できる強みがある。有形資産では機械を設置した場所に限定されるが、無形は空間を飛び越えて収益を獲得する強みがある。

ここで無形資産について整理した表があるので引用する(ジョナサン・ハスケル著「無形資産が経済を支配する」東洋経済)

 

 

 

 

 

 

 

米国では既に無形資産が有形資産を超えている。中国や地中海地域は典型的な有形資産が主流で、イノベーションが浸透していない。筆者の感覚であるが、韓国は大型生産設備は最新機を日本から導入してスケールメリット活用コスト競争力で勝負してきたが、足下の研究開発は日本人のスカウトで対応するという、基礎力が低いこともあり無形資産としては小いとみる。

冒頭のベンチャー起業は無形資産での勝負であるが、それでも資金は必要。そこで銀行はみてくれないとなると投資家エクイティに依存した経営になる。ここで問題は短兵急の収益獲得となると見かけは5年程度の新規RD経費を抑制すれば達成可能でも、それ以上の年月には息切れしかねない。

また、無形資産は頭だけあれば可能との誤解を生みやすい。筆者の感覚で申し訳ないが、元南海ホークス(現ソフトバンク)の名監督「鶴岡親分」は「ゼニ(銭)はグラウンドに落ちている」が研究開発にも適用できると考え、その体験は多くあった。研究現場、市場の現場などフロントにタッチしていないと研究ネタも浮かばず、浮かんでも長期的研究としての価値、市場価値から乖離する。そこを考えることが無形資産資本主義ならこそ強く要求されるものと思う。

 新型コロナウイルス問題で理化研が薬効に向けての機作を続々発表している。これこそ無形資産である。理化研はこの研究成果を発表すると同時に世界の科学者、製薬メーカーに利用して欲しいとも。無形資産は利用されてこそ価値があると考える。航空機分野で特許に拘るあまり囲い込みで失敗したライト兄弟。ハイブリッド技術公開のトヨタ。違いはあきらかだ。さて、ナノサイズ企業の筆者の選択も迫られる。

 上述の書籍を読んで面白いと思ったのは都会と冨の偏在。 無形資産は相互シナジーで大きくなる。それは分かる。この著者は金持ちの隣に家を持ちたがるのも、これが一因であると述べている。都会は満員電車など不便極まりない、ましてコロナウイルス温床になりかねない。ただ、それを遙かに上回るだけの無形資産蓄積に好都合な条件がそろっている。SNSが5Gに移行し、インターネットがどれほど進歩してもだそうだ。これから有形から無形に向かう日本は都会集中は避けられないとも読める。