環境対策の短期・中長期テーマ

皆様、明けましておめでとうございます。旧年中はコスモサインをご愛顧頂きありがとうございます。本年も何卒宜しくお願いいたします。

日本海側のお客様におかれては除雪作業をしつつのお正月だったのではないでしょうか。関越道でトラックが豪雪で動けないことが年末の話題になった。同じ光景が2018年の北陸道であった。東京では降雪5センチで交通網がズタズタになるような脆弱さを露呈する。日本海側の降雪量は豪雪となると一夜で90センチ積雪になることもあるが都市生活は大きな影響はなくなっている。昭和38年(サンパチ豪雪)以来融雪設備(散水)の拡充や雪下ろし頻度が少なくなるような建築の推進などインフラ拡充により格段に住みやすくなっている。新潟大の親子二代に亘る教授のカーボン利用による道路や屋根ヒーターの息の長い研究も地方に根ざしているテーマだ。

一方道路となると、一台でもストップし渋滞発生中に豪雪が来ればクルマは閉じ込められる。燃料メーター、バッテリーメーターを睨みながら救援を待つことになる。ガソリン車やHEVには給油支援は可能でもEV車は厳しい。ホッカイロ、寝袋とスコップを持参することをお勧めする。スコップは何故かと言えば車内にいるとエコノミー症候群になるので車外で体を動かし救援自衛隊の方々と一緒にワークする為。食料と蔵書を積み込み読書三昧でその時を待つのもありか。給油問題はEVもFCVも同じなので、そこは道路側での改善が求められる。

2050年排出ゼロ宣言があってから環境ニュースが俄然多くなった。暮れの12月28日の日経によると社長100人のアンケートでは自社で達成可能9割との記事が紹介された。その手法として(1)次世代再エネ発電 (2)水素の活用技術 (3)電池の高効率化 (4)デジタル技術を活用した電力ネットワーク (5)電動モビリティとある。 普通ならこの記事を素直に読み、「非常に心強い回答である。それを達成する蓄積技術や手順を保有しているからこそ言い切ることができるはずだ。」と反応をしたであろう。だが、日本の半分は降雪の気象条件下にあることを考えると、違うソリューションも用意しないと不完全ではないかと考えられる。それとも社長は記者が用意したアンケートの中で選択するとの条件で回答したのかも知れない。本当の社長なら「これらの項目にはない重要な要開発の技術がある」と答えたと思う。質問した記者のレベルが問われるものと思われる。

次世代再生エネルギー発電の主力が太陽光発電だとしたら日本海側の冬期は発電量が低下する。電動モビリティも降雪には弱い。太陽光発電の蓄電・電池の高効率化がリチウム電池(固体も含め)に依存するならば、現在の40ドル/KWHを政府目標の20ドルにしてても尚高い、かつ全世界とのリチウム取り合いになると資源枯渇問題が懸念される。

揚水発電やフライホールに加えて圧縮空気によるエネルギー保存&再生電力に注目されると予想する。雪国秋田出身の首相ならでは指示を省庁にされてはどうかと思う。新潟出身の田中角栄は列島改造論と唱えた。その発想の背景は雪国であっても経済発展するにはどうしたら良いのかを考えたことも含まれている。

小生がもし首相なら2050年と2100年の計画を出しなさいと指示するだろう。恐らく2050で達成したインフラは2100年では通用しない事態になることは予想される。バズワードに駆られて走りだすと落とし穴に落ちる危険がある。長期的な視点が必要だと考える。

列島改造によって新産業都市ができたものの、グローバル化で地盤沈下したのと同じ道を歩みかねない。寧ろ日本への逆の流れを起こさせたい。折角の正月においては視点を遠いところに馳せるのもよいのだろう。

今の技術の延長の2050には日本海の荒波を利用した潮流発電や暴風でも稼働する風力発電や温泉地区での地熱発電もあるだろう。抜本的な技術で2100年を迎えるには、例えばプルサーマル、核融合、マントル発電などが思いつく。過去検討したが技術未達でペンディングになっているテーマもある。再度取り上げるには覚悟が必要だが、それこそ民間企業ではなく国のお仕事だ。大学が官民提携しないと研究室が維持できないような今の独立法人大学システムではなく、長期的な視点で大学に取り組ませる予算措置と人材の態勢を敷くことが官に求められる。

今後の歯科・歯科技工の世界も例外ではない。どのようになるのかと受動態で待つのか・どのようにするのかと能動的に動くのかエキサイティングなテーマであり考え提案し実行できればと考えている。

アルミニウムの自己修復

街は静かな年末商戦模様。買い物をすれば抽選券をもらってガラガラ抽選機を回して賞品をゲットする風景を今年はあまり見ない。その代わりQRコードのシートを手渡される。HPも記載されているのでパソコンを立ち上げ応募しようとしたら反応しない。ウン?とあらためてシートをみるとスマホ限定とかいてあるではないか。パソコンを持っている人よりスマホ所有者が多い現在ではこれが新時代のツール。たかが抽選どうせ当たらないのだから無視しても良さそうだが、スマホの取り扱いを敬遠していると、知らず知らずに時代から置いてきぼりを食う。それが、人との交流や興味を持たなくなる前兆となるだけに怖いので辛うじてついて行っている。

Always 三丁目の夕日時代(東京タワー建設中)にはパソコンすらなかった。街のいたるところでトタン屋さんがあり、オート三輪トラックからトタン(亜鉛めっき鋼板)やブリキ(錫めっき鋼板)シートが降ろされ、翌日になると波板、煙突やシンクなどの製品が出荷されていた。木炭ストーブの煙突では真円度が確保され、エルボや屋外のT字煙突との接合が行われる。平板から器用に円柱形にする職人さんがいないとできない。シートを裁断して、型に合わせてひたすら叩くことで製品化していた。物置小屋の屋根はトタンの波板が利用されていた。バケツは独特の光沢があるブリキだった。おもちゃもブリキ製。

やがて高度成長を迎えて、トタン屋さんは板金屋さんとなり、トタン以外の金属加工業を営むことになった。自動車部品加工、電子部品シャーシなどの企業下請けから独自商品の開発をするまでになった。大企業は全体の企業数の0.2%、残りは中小零細企業からなる日本の製造業。毎日現場で製造に汗水たらしているからこそ見つけることができる知恵の例を友人が紹介してくれた。

アルミ板の冷間加工では翌日になると変形していることがある。あれほど条件を振って加工したにも関わらず再トライを余儀なくされることがあるとのこと。ゴム(架橋)も同様に一晩寝かせないと安定な組織にならないとのこと。樹脂の材料評価の多くはJISで規定されている。プレス加工や射出成形加工後には24時間静置してから物性評価をすると決められている。石膏でも加工後は膨張・収縮、結晶化が動くことからこれも24時間後に測定と厳密なアカデミックなデーターが求めらるときは実施している。樹脂やゴム、アルミや石膏にいたる材料は温度、時間、取り扱い履歴によって寸法や物性は変化する。

そんな時に面白い情報が飛び込んできた。長い引用になるが(出典:脚注)

「オーストラリアのモナシュ大学の研究チームが、アルミニウム合金の疲労を最大25倍向上する手法を考案した。その為には使用される前に予備的な振動応力を与える「トレーニング処理」をすることで疲労亀裂の発生源になる粒界隣接部のむ析出物帯(PFZ)に、応力誘起の微細析出物を生成して強化、疲労亀裂の発生を抑制するもの。粒界隣接部に合金元素の空白地帯が生成する。粒界から離れた粒内マトリックスと比較して低強度となり、実際の使用段階における振動応力の下でひずみが集中し、疲労亀裂発生源になることが知られている。そこで、標準的なピーク時効に達する前の亜時効状態で、数百サイクルの少し強めの予備的振動応力を与える「トレーニング処理」を行うことで、疲労亀裂の発生源になるPFZに応力誘起の微細析出物を生成し、高強度化することで疲労亀裂発生を遅らせようとする」 (時効:エージング 組成安定までの時間)

自動車の外板は鋼板からアルミに変わりつつあるなか、これは有益な研究である。また、自動車内のハーネスは銅からアルミニウムに変わりつつある。軽量化であるがハーネスも曲げ・振動による疲労が考えられるだけに、この大学の試みは広く応用されるだろうと思われる。

この際、どの程度のトレーニングをすれば良いのか、それに取り組んだ研究が日本にある。九州工大の美藤教授は非接触(渦電流)による導電性の変化で時効(硬度や引っ張り強度の飽和までの処理)対応できないか検討している。発表はアルミ/銅(4%)の合金組成で略機械的強度時効と一致している。製品を破壊しては元も子もないが、非接触での測定は製品出荷検査としても有用だ。(12月10日九州工大JST技術説明会WEB発表より抜粋)

つい、この記事やWEB発表を見聞きすると、これって人材育成と共通するものがあるのでは?と呟いた。賢明な読者諸氏も納得されるだろう。ジャイアン/のび太、初恋(片思い)、受験、スポーツ競技、就職、仕事、恋愛などにおいて傷を負わなかった人はいないだろう。小さな傷を多く経験した人は大きな衝撃に遭っても乗り切れる自信がある。苦手な人と空白をもって後になって反省したこともある。

この文献をみて、アルミニウムが目には見えないがトレーニングにより自己修復に励んでいるのだと考えるとアルミニウムに急に親しみを覚えた次第。

(*文献 Monash engineers improve fatigue life of high strength

aluminium alloys by 25 times)

社会を支える下水処理場メガターボエアブロワ

「下水でコロナ検出実施」のニュースをみて目の付けどころが凄いと感心し、分析インフラが進んでいることで安堵した。NHK6月16日放送要旨は「富山県立大学と金沢大学の合同の研究グループが、処理されていない下水から新型コロナウイルスを検出することに国内で初めて成功したと発表しました。下水に含まれるウイルスの量の変化を見ることで、感染拡大の兆候を察知することが期待できるということです。」

童話・桃太郎の時代では川でお婆さんが洗濯など不浄なものは川を通じて海に流れても環境に影響は無視レベルだったろう。しかし、人口が何億十倍の現在では環境・医療リテラシーの低い国の中には今でもポイ捨て垂れ流しがあり、環境への影響は大きい。下水設備が未だにない国もある。衛生環境が劣悪なところに病原菌は棲息する。

上水だって整備されていないのに、まして下水処理は二の次になる。東南アジアでも上水設備が不十分だ。笑い話になるが、上水設備を新設したいので相談に乗って欲しいとアジアの某国から12年前に話があった。日本のメーカーは最新の濾過設備であればコンパクトで高性能が確保できますと強調。限外濾過膜、、、、先方は困惑した顔つきで「狭い日本なら、この装置・設備でしょう。我が国は広い土地が準備できるので従来方式で結構です。」

それに対して、現在の下水場は海外の方が巨大である。日本で最大の下水処理場の約8倍規模の場所も海外にはある。下水処理場のキイポイントは微生物が入った活性汚泥と下水を混ぜ、微生物の活性を活かす為に空気を汚泥槽に送り込む工程にある。下水処理の流れを図に示した。

生物反応槽にエアブロワが設置されている。下水処理場のサイズが年々巨大化していることもあり、従来のエアブロワでは能力不足。また、日本でも過去に設置したブロワの経年劣化もあり置き換えの時期になってきていることから、静かにそして巨大メガサイズのブロワの新機種開発と増設が行われているのだ。先のブログで陽があたらない地味な仕事であっても骨太インフラを実行する企業・技術者は明日の日本には重要だと述べた。その一例がこのメガブロワの開発であろう。

東京の下水処理場はどこにあるか東京の小学生なら施設見学に行ったこともあろう。都内に20箇所ある。いずれも広大な土地が必要。異臭もなく見学することができる。今の50歳前後の人ならば新宿西口あたりにあったと言うだろう。今は都庁を始め高層ビルが林立している。東口に比較して整然とビルが建築されるには元々広大な土地だったからでもある。四谷に住んでいた少年がバットとグローブを持って新宿東口、歌舞伎町を抜けて西口の野球広場に行ったとの話を聞いたことがある。

脱線した。メガエアブロワの渦に巻き込まれた。大型になるにつれて使用電力もウナギ登りになる。そこで革新的な方法を川崎重工が開発した。2004年のことである。ブロワは磁気軸受型高効率曝気ブロワである。インバーター制御式高速電動機の軸端に羽根車をつけ、電磁力でローターを浮上させて高速回転をさせ圧縮空気を送り出す。電力消費を15~30%カットする画期的な技術。メガ規模エアブロワではローターの重量が極めて重くなるが軸受けを浮かす許容は20ミクロンと極めて厳しい。(出典川崎重工11月号特集抜粋) 重量が重くても精緻な制御ができることは事業部は異なるが手術ロボットへと繋がっているのだろう。

2回目の脱線。

先日、NHKの番組で「魔改造の夜」を放送。魔界をイメージさせるおどろおどろしいナレーションと共に、アイデア、技術の粋を競う番組である。この日は床掃除ロボットが掃除しつつ走行して、走り幅跳びの踏切のところからジャンプ。その距離を競争する。

3社が挑戦した。1社目は癒やしロボットの開発会社。2社目は金属精密加工を得意とするメーカー 3社目はH技研でジェット機など開発チームが挑戦。1社目は助走から足で蹴る方式で人間に近い仕草で好感もてた。2社目は二重バネを考案、僅か1センチを1社目を越えたがほぼ同位。二重バネは外の製品に応用が期待できる。横展開は日本得意のはずだ。3社目は炭酸ガスボンベの噴射口を工夫して音速4の噴射方式。見事な放物線を描いて計測想定外まで飛翔。だが、いずれも本番前まで試行錯誤の繰り返し。複雑な理論式などで詰めても、テストは簡単には許されない壁の連続と苦悩。細部に拘った結果、重心が肝心とテストをしてみて分かった。それから立ち直る技術者の模様を放映していた。

脱線から戻って、川崎重工のメガエアブロワもサイズアップ(重量増大)になるにつれて軸の形状など多くの試作の結果ノウハウが蓄積されているのだろうと推測できる。陸用機械営業部ブロワ課長とはバイクの展示会で“ニンジャ”のインペラーの件でお会いしたことがある。非常に明るい人柄だけに、技術での壁がいくつもあろうが乗り越えるチームへの支援力となったのであろう。

コロナ渦の陰に食中毒ありご注意を!

コロナ第三波襲来の年末となった。大正7年のスペイン風邪も三波まであったが、第一波における患者数は2,116万人、第二波 241万人 第三波22万人。死者/患者比=1.22 , 5.29, 1.65 となっている。大正7年の日本の総人口5,667万人の約50%が罹患した。お亡くなりになった人が合計38万人。(平凡社・東洋文庫 流行性感冒 内務省統計より)。 手洗い・マスク・ソーシャルディスタンスが当時も奨励されていての数字だが、家族構成が違い大家族での看病や、喫煙もうもうのエアロゾルを通じての感染、まして隔離するホテルもなかった。食事栄養状態も今とは違う。医療設備・知識も違う。 人口増加、三密であっても100年後の今コロナ患者数が少ない背景にこのような経済的成長に伴う社会成熟度と深い関係がある。でも家族で看病風景はどこかに精神的なモノを忘れている今をあぶりだしているとも言える。

さて、本題

100年前の食材は国内産品だったが、グローバルの現在では驚くような遠い海外産地から珍しい食材も手にするようになった。産品=産地の水や環境と関係する。そこがポイントとなる食中毒のニュースが専門雑誌に記載されていたので紹介する。アメリカ・シアトル在住で食品産業コンサルをされている吉田隆夫氏が食品の開発 vol.55 No.11に投稿された資料によれば。アメリカで食中毒が増加しているとのこと。野菜・葉物による中毒患者(CDC疾病貿易センター)によると毎年4,800万人が罹病して、12,800人が入院。3,000人が死亡と報告されている。 具体的には

もやし、グリーンハウス 大腸菌 O103

エノキダケ(記事には具体的国が記載) リステリア菌

サラダ、赤オニオン、寄生虫サイクロポラ

ピーチ サルモネラ、エンティディディス菌

何れも汚染水や農産物収穫~輸送工程中の汚染が原因である。生鮮野菜・果物の栽培、収穫、包装、保管について「農業での食品安全規則」FSMAが知られている。

赤オニオンはミックスサラダとしてサイドメニューには彩りがよく、健康によさそうのイメージもあり普通に摂る。 家庭で料理する場合包装袋表示で、どこの産地で保管法はを知ることができる。因みに料理番組で もやしを袋から直接フライパンに投入している画面をみることがあると違和感を覚える。加熱するから良いだろうだが、我が家では、もやしは面倒だが根と頭は手で取り除き、次亜塩素酸ソーダーが辛うじて残留している水道水に浸漬し水切りをして使う。

葉物は包装形態に配慮する。処理は同じ。外食では不潔そうなお店は敬遠するか、怪しい原料を使用したと話題になった店には当分避けた。包装していないパンを買うには躊躇する。それぐらいしか対策はないが本音を言えば

対策として高価にはなるが葉物は植物工場が好ましい。スーパーの空き地にプラントを作って提供していたことがあった。デフレと外国産でも問題ない状態の継続もあり、植物プラントは拡大していない。競争力ある生産性にするために、農業以外の産業からの知恵(資本)が必要だろう。植物工場では同じ種類の葉物ばかりでバラエティ化していないのも消費者に向き合っていなかった。某大学が実業まで進出した意欲は買うものの、民間の知恵と組み合わせが必要だった。倒産したが再起を期待したい。

その2 熱を通すこと。殺菌処理だ。

関東では「おばんざい」ありますと銘をうってのお店がある。でも京都では「おばんざい」とは言わない。普通の“おかず”だから言いようがない。

九条ネギ、賀茂なす、堀川牛蒡、京筍、聖護院蕪、えび芋、金時にんじん、万頭とうがらし、丹波栗や黒大豆に湯葉。薄味ながらそれぞれの味が融合して実に美味しい。暖かいおかず、冷めても美味しいおかず。堀川牛蒡は太いが柔らかく甘い。別々に煮るなり、炊いたり、ゆがいたりして小鉢に盛る。それだけで風景になる。

「おあげさんのたいたん めっちゃ美味しいねん」。子供から言われてほっこりします。京都ではこれらの野菜ばかり食べている訳ではない。牛肉消費量、パンの購入量が多い土地でもある。関東ではトンカツ、京都では牛カツなのだ。

余計なことを書きすぎた。素材のみならず調理法が注目される。即ちレトルト食品の殺菌温度120℃、4分処理と同じ条件か近い条件で調理することが本来良いと考える。

具体的には圧力鍋(110℃前後)、過熱水蒸気加熱がお手軽で好ましい。圧力鍋では調理時間が短縮でき、かつ無水鍋のように素材の水分で煮込むことから美味しさがある。過熱水蒸気加熱は大量にハンバーグを製造する工場では一般的でパッケージに包装された肉を連続過熱水蒸気加熱炉に通すと焼き上がりとなって製品化される。この家庭版を最初に製造したのがシャープのヘルシオ。工業用過熱水蒸気加熱は1000℃まで加熱することができるが、家庭用でも300℃までは対応可能で、その後家電メーカーから販売されている。食品工業、素材産業にも注目される装置の一つだ。

食べ物の話は長くなるのでこの辺で。コロナ渦・在宅・運動不足・健康体力低下の中、良い食材を食べて元気に年越をしましょう。

鬼滅の刃と骨太日本への期待

鬼滅の刃の映画収益が凄い。禰豆子にあやかって竹輪が売れているとか。話題に枚挙がない。歌舞伎発祥の地と言えば京都河原町。先月、京都南座の前を通ったら鬼滅の刃ギャラリーを観るべく行列ができていた。歌舞伎衣装を纏った炭次郞などがロビーに展示と受け取ったビラに描いてある(写真)。

歌舞伎出し物「源頼光と四天王」とのコラボだと気がついたのは寺町で夕食を摂りながらである。相当、鈍い頭と言われてもしようが無い。

日本のアニメパワーは圧倒している。映画配信のソニーは収益上方修正している。半導体・イメージセンサーの落ち込みをカバーするほどに頼りになる。電車の中や歩きながらみているスマホやタブレットの画面の多くは漫画、Line、ゲーム、ダウンロードした音楽。アニメなどソフトパワーは大きい。

しかしながら、コンテンツの受け身で成長した大人に世間から喝采をあびることが少ない社会インフラ開拓など可能であろうか?やや心配のところがある。理系や医学方面に進む学生の減少と無関係ではあるまい。そんな時、目を宇宙に向けさせる出来事があった。民間ロケットスペースX社のグルードラゴンによる地球ステーションへの輸送が実現したのだ。日本人野口聡一さんがパイロット兼研究者として搭乗した。宇宙ステーションの実験棟の実物模型が三菱重工のみなとみらい科学館内に展示してある。意外に狭い空間である。無重力だから比重が重い金属でも空間に浮く。当然ながら容器は不要である。この重い金属と別の比重の異なる金属アロイを地上で製造するのは無理だが、宇宙なら可能である。医薬品の開発も期待されている。若田さん、古川さんも順次搭乗の予定で長期滞在ならではの成果が期待できる。宇宙飛行士の宇宙服も相当軽量スマートになった。特別訓練を受けない民間人の搭乗も夢ではなくなった。

さて、目が宇宙に向いたところで、こんどは海。宇宙より攻略は難いチャレンジし甲斐のあるアイテムだ。海洋開発研究機構(横須賀)がビックサイトで開催の粉体工業展のフロアにJAXA と並んでブースを設けていた。展示会の趣旨とあっているのか不思議な感覚だった。それだけ、市民や企業への注目してほしい意味があると理解した。同上の三菱みなとみらい科学館で深海探査船“しんかい”は6500mまで有人では最高の潜水能力があることを展示している。だが海洋開発研究機構の目標はマントルの内部を調査することと聞いて驚いた。マントルまでは3~5万メートル。そこに調査船から掘削棒?を下ろして海底を削るのだ。調査船が波や風で揺らがない技術や、深海まで超高圧に負けない鋼材・真円パイプ成形技術、何をさておき、マントル温度は表面が500℃、内部は7000℃とか言われているが、どの深さまで掘削するかによるが耐久性・耐熱性のある材料を必要とする。

それまでして探索するかと言えば“未知”だからに尽きる。マントル内は海水より多くの水があると言われていると展示会の説明員から聞いてエッ?と驚いた。“どうして分かるのか?”と質問しなかったのは迂闊だった。ニュートン・リンゴの感性がないことを痛感した次第。多分、小学生なら質問しただろう。大陽と同じく核分裂による発熱だとか、地表にない岩石組成物から有用な材料開発が可能になりそうだとか、、、、夢がある。

船が揺れないようにする技術の一つをとっても面白い。ご存じの方もおられようが、高さ634mの東京スカイツリーの建設において資材をクレーンで上げる時に揺れ抑止する装置を開発した。筆者が関係する会社が試作を重ね納入したことを知っている。船は左右だけでなく上下にも揺れるだけに簡単ではなさそうだが、開発の過程で海上風力発電の足場ができたり、やってみる価値はありそうだ。秋田や山口に設営予定だった案件も解決するだろう。必要は発明の母。

だが、JAXAも海洋研究開発機構の説明員両名とも政府予算が。。。。と嘆いておられた。相当のギャップがあると言わないで、波及効果を考え利用する民間の知恵を活用して財政当局を説得することをお勧めする。宇宙も海洋も国家として発展・維持するための要素が数多くある。その夢を語ることが出来ないようでは、元は人間だったが長じて夢を持てなくなって人間界に害を及ぼす鬼に化身するぞと言えば言い過ぎだろうか。今の日本には明日の骨太インフラ構築する人材が必要としている。竈門炭次郞の刃は日本の堕落しそうな日本人精神を救済のために使うと(勝手ながら)妄想した。大の大人がアニメを観て感動した。。。との感想を言うにはコロナ渦がもたらした社会断層化も遠因の深層心理が作用しているのではないだろうか。

化粧品を科学する東京都・SUSCARE設立

化粧品メーカーのポーラが美肌県グランプリ2020を発表した。それによると総合1位は石川県、2位秋田県、3位山梨県が入ったとある。部門別にもトップの県が紹介されている。それによると

石川(水分量、コラーゲン) 鳥取(皮脂毛穴レス、エイジング毛穴レス、ホルモンバランス、透明感)島根(肌ポテンシャル) 新潟県(しみレス) 青森県(キメ) 宮城(黄ぐすみレス) 広島(ニキビレス) 沖縄県(ストレス耐性) 宮崎(タフ肌) 島根(肌ポテンシャル) 北海道(皮膚バランス)

情報の真偽はここでは問わないが、石川県に縁のある知人にこの話をすると理由を詳しく教えて頂いた。申し訳ないが大幅に端折ると。①湿度が年中高い。②紫外線量が少ない。③発酵食品(かぶら寿司、大根寿司、フグの糠漬け、魚汁醤油、日本酒等々)④加賀百万石の伝統文化に培われた生活習慣も関係(お茶やお花などの稽古事)らしい。愛妻家ぶりが覗えます。サイエンス面から興味ありヒントになる。

さて、冒頭のポーラの調査について、統計処理するに十分なサンプリング数は?どうやって調べたのか?、判断指標は何をつかったのか? そこが知りたい。 人口流動の激しい都会を抱える都道府県の名前がないのは先天的な要因と後天的なものの区別がつきにくいのは確かなので除外しているのか。

化粧品の業界では定性的・感性的な表現が使われる。美肌調査にある多くは皮膚表面の形態で判断するのが多いようだが、門外漢にはサッパリ分からない項目もある。講演会で質問があったのは「もっさり感」をどのように評価したらいいですか?というもの。業界内では通じる言語が沢山あるようだ。今まで科学的アプローチをしてこなかった訳ではないだろう。多分に競争相手に手の内を開示しないことが絶対だとの会社方針もあるだろう。

日本の化粧品はインバウンド商品として競争力がある。知財が重要視される今後に「もっさり感」では特許要件(新規、進歩、実用)を満たさない。そこに化粧品を科学の目を通して理解することを助ける支援組織が作られた。東京都産業技術センターにSUSCAREを発足させたのだ。(ゆりかもめテレコムセンター駅前)。4月オープン予定がコロナ渦で11月11、12日に開設記念講演と設備見学会があったので参加した。 三密対策もあり応募者数が限定されていたが、ラッキーなことに参加が許可された。大手化粧品メーカーには装置など整備済みであろうが、SUSCAREの設備をざっと紹介すると、培養、分光分析、レオロジー(粘弾性)測定、エマルジョン分析、粒子分布、小角X線回折による結晶や層の配向などが観察できる。研究員も充実している。

数値化することでAIデーター蓄積が可能である。中小企業が新規材料をベースに化粧品業界に進出するには便利な設備である。東京都は中小企業には利用料金が(装置にもよるが)半額であることも嬉しい。幾つか事例紹介をする。

水分 皮膚の含水率深度分布 (in vivo 共焦点ラマン分光 レーザー波長671nm)により測定。皮膚深層の水分測定で角質の層厚み結果を報告。この事例では15~18ミクロンと評価できる。

これを共焦点レーザー顕微鏡1.5ミクロンの層毎に角質層にあるメラミン濃度を測定して、この結果、角質層厚みは18.4ミクロンと判明した。

この共焦点レーザーラマン分光や形態観察は化粧品の組成物が皮膚のどこまで浸透しているのかを調べることも実施している。

*化粧品の塗りごこち

冒頭の「もっさり感」に通ずるのか、乳液の塗り心地を評価する方法として動的粘弾性測定装置を使って評価している。2枚の円盤状の中に乳液を夾み、一方のディスクを固定して反対のディスクをゆっくり回転させると、乳液の粘度は回転速度につれて低くなり、一方乳液のプリンプリン性とでも言うべき弾性は2枚のディスクの中で反発する力として検出できる。手の上に乳液を落としたときは動かないので剪断速度がゼロだが、乳液の(ジェル)弾性はある程度高い、それを手で延ばしていく速度で乳液のは粘度は低下して、弾性も変化する。ある乳液の事例(図が示されている)。塗り心地の外に化粧品の流れやすさなども同測定装置で評価できる。

筆者はコロナ対策のアルコール消毒に手が荒れたので皮膚科を受診。保湿クリームと軟膏を処方してもらった。ところが、薬剤師から、クリームを先に塗り、後で軟膏をと言われた。クリームは保湿の為だけでなく、軟膏の粘度調整(浸透助剤)としての作用で併用しているのだと理解した。面白い。この併用の場合の粘弾性は気になる。配合比率によっては単なる加重平均ではなさそうだが?レオロジーオタクと言われそうなのでこの辺で。

SUSCAREでは30にものぼる事例を紹介している。東京都産業技術センターのHPをチェックされたい。

経験値がサイエンスの言葉に翻訳されることで新規材料開発している異業種からの化粧品へ参入もありうる。素人の発想だから許されるならば、アトピーと深い関係のあるランゲルハンス細胞層の形状や組成変化を共焦点レーザーラマン&その他の装置で観察され、免疫を阻害しない相乗化粧品が可能ならば医薬・化粧の境界が交流促進され発展するのではないかと思うが如何であろうか。

日本建築とクルマにひかれても平気な甲虫の類似点

先日、奈良斑鳩に出張した。先端ナノ材料開発に必要なテストを実施するため装置のある斑鳩の会社を訪問。京都からのクルマルートを紹介すると大原野インター(京都縦貫道;京大桂キャンパス近く)から大山崎で名神に乗り→八幡京田辺から新名神→城陽から京奈和(和までは未開通)大和郡山→斑鳩。 いつの間にか京都南部から奈良へのアクセスが高速道路で繋がっていることに驚いた。斑鳩といえば法隆寺。聖徳太子ゆかりの寺院。金堂、五重塔、夢殿など世界最古木造建築として世界遺産になっている。小学2年生のとき訪れた記憶がある。聖徳太子は同時に何人もの話を同時に聞き分けることができることに驚き、十七条憲法発布をした日が筆者の誕生日とあって親近感があった。(余談だが国民の祝日案になったときもあった)。 木造建築の極意は釘を使うことなく「ほぞ」で組み立てる。

製材の立体交差や木材を継ぎ足して長い長尺物を作るときは複雑なほぞ形状をつくる(金剛継)。宮大工はノコギリ、各種形状のノミ、カンナ

を駆使してピッタリ接合させる。墨打ちで粗々の切削形状は製材に描くものの、最後の数ミクロンの調整は職人の腕に依存している。奈良は地震が少ないとは言えないが最古の木造建築が現存している理由は木材の高弾性結晶セルロースをリグニンで接着した繊維の配向による強靱さと、揺れを緩衝させる「ほぞ」部が大いに寄与していると思われる。

 

さて、その「ほぞ」を持っている甲虫を紹介する記事があった。車にひかれても無傷。「ディアボリカル・アイアンクラッド・ビートル(悪魔の鋼鉄甲虫)」10月20日の記事によればhttps://nazology.net/archives/71860

「アメリカ・カリフォルニア大学の研究チームは、この頑丈さの秘密を解明するため、外骨格の構造をナノスケールで詳しく調べました。その結果、2枚の前翅(昆虫の前部の翅)が互いにくっついて、インターロッキング式に組み合わさっていたことが判明しています」

 

 

 

 

 

“インターロッキング”って日本建築の上述の「ほぞ」そっくりに筆者は思えるが如何でしょうか。 「研究チームではX線を用いて圧縮中の構造変化をリアルタイムで調べてみると、パズルのような接合部は、圧力に応じて固く組み合わさるのではなく、ゆっくりと剥離して衝撃を和らげ、壊滅的なダメージを受けないようにしていた」と報告しています。更に3Dプリンターでインターロッキング形状を作り高い強度と耐久性が実証されたとのこと。 キサイラス氏は「この構造や生物学的システムを応用すれば、より強固な人工材料を開発することも可能でしょう」と指摘しました。インターロッキング構造の実現により、ネジや留め具を使わない頑丈な自動車や建造物の開発も期待されています。」

ちょっと待って! 日本では推古天皇のころ(607年)には法隆寺に代表される建築で利用しているのですが、、、サイエンスにも掲載されたこの文献の査読者に日本人が存在していれば、インターロッキングは1600年前から日本にあったと指摘し、インターロッキングが作動するための潤滑剤があれば分析しておけば、さらに有用だとアドバイスをしただろう。多分蛋白質の量が関係すると推定されるが、化石原料に依らない潤滑剤の開発になるかも知れないのだ。

肝心の先端ナノ材料の実験は前半は50点の成績。実験前の根拠のない期待値75点を下回った。テストを実際に担当された方とデーター解析とアイデアを組み合わせ夕方になり90点をマークすることができた。きっと「和を以て貴し」と聖徳太子が囁いてくれたのだろう。

ワークマン女子とEコマース

近くにワークマン女子のショップがオープンした。人気だとは聞いていた。ワークマンと言えば軍手の束や、独特の鳶のユニフォームなどを陳列してあるモノトーンのイメージの店だった。最近では扇風機内蔵の上着など進化系も多いとか。でも女子との繋がりは想像していなかった。作りがシッカリしているのが作業衣の原点だとして、色彩などデザインの味付けすれば女性に受けるはずと考えた経営者は大したものだと思う。

近くのお店はオープン以来1ヶ月だが、整理券が入店には必要とあって人気。整理券は店内の密対策でもあるのだが、年配の男も並んでいるので聞いてみたら、少ないが男物もあるのだとか。筆者は気後れするタイプなので並んで整理券をもらう度胸はなく、店の外から見ていた。(写真)。

それだけでも商品がワークマン店舗イメージとは違い女性が普段着に利用しても良いようなデザインと見受けた。実際、買い物袋を手に店から出てくるリアル買い物である。

 

従来のアパレルは対象的に特に紳士物には厳しいようだ。アメラグチームを抱えたこともあるレナウンは倒産した。バーバリーとの契約を継続できなかったSANYO商会は残りのマッキントッシュ、スコッチハウスなどで生き残るべく店舗整理しつつEコマースにチカラを入れると発表した。だがEコマース万能とは行かないと思う。画像でみる商品では柄は分かっても質感(手触り、温もり、ストレッチ性など)は分からない。リアルショップで購入することが出来る地域ではショップで購入することになる。Eコマースでは買い物が記録されるが、リアルでは採寸データがあり試着する手間が省けてパンツの長さ調整をしておいてくれる。また最近はスーツではなくてもビジネスでブレザーが多くなってきた。そうするとセンスの無い男はチグハグなコンビネーションとなりがちだが、リアルショップではユーザーの持ち物を把握しておりマッチする提案をしてくれる。

結局、Eコマースもリアル店舗の両方が充実する必要があるのが現状のようだ。若者の買い物パターンといえばネットで調べるか、リアル店舗で品物をチェックした上でアマゾンなどEコマースで購入。リアル店舗で初めて商品をみて購入するのは今や年配者と区別していた。ところが、若者は商品に関する知識はネット検索などで十分に持っていて、あとは実際のお店がどこにあるか調べて出向いているとか。若い人に聞いてみたいところであるが想像するに?

  • 買い物は友人、家族とワイワイ愉しみながらしたい。画面だけで購入は早いがなんとなく味気ない。
  • テレワークで閉鎖空間で長い時間居ると、気晴らしが欲しくなる。
  • 商品知識は十分あり店員さんに聞くことはない。大型店舗でも店員は少なく聞けない。あとは触ってみて、持ってみて重いのかを最終チェック。
  • 新規参入した見知らぬショップや新商品も序でにみることができる。
  • チョットしたテレワーク中の菓子類なども買える。テレワーク頑張りへの自分ご褒美。

などであろうか。

一方でEコマースで購入で、 おや?と思ったのは「無地のボトル」。どこのメーカーか分かって購入しているのでPETボトルの表面に商品名記載のPETシュリンクフィルムでラップする必要はない。(コカコーラの“いろはす”など)PETフィルムを剥がして瓶・缶収集するゴミの日に出すには面倒な作業がなくなる。包装容器法によりPETボトルをリサイクル際に作業員の方が選別して、PETフィルムやラベルを剥がすことは不要となるだけに、これからのBottle to Bottle のリサイクル比率が高まる時には有意なことである。

 

芋で発電?

3Rと聞いてReuse , Reduce, Recycle 。その他にある?と言うのが普通だが、若者は違うらしい。Reality , Real time , Remote ソニーの3R Challengeテクノロジーを指すようだが3Rの同じワードだけに紛らわしい。テニスや野球のチャレンジではお馴染みの「人間審判の紛らわしい判定」をデジタルで処理することは既に馴染みになっている。ピッチャーの投球フォーム、手の握りからベースに届くまでのボールの回転が事細かに画像化される。ヤクルトは既に採用しているとのこと。さすが南海ホークス時代にブレイザー監督からthinking baseballの神髄を教えられた野村元監督がヤクルトに根付かせた証拠なのだろう。今年は間に合っていないようだが期待しよう。CEATECの模様は別の機会にして本題へ。

芋、イモ、さつまいも。“ひらがな”で表現すると焼き芋のほっこりした雰囲気になるから不思議だ。これと発電と同関係するのか? 菅首相は所信表明演説で2050年にはカーボンニュートラルで排出炭酸ガスゼロを達成するとの方針を明らかにした。このブログでは森林面積が旧来測定値は間違っており、実際は1.7倍も多いことが分かり、森林の炭酸ガス吸収量が日本は多いことを紹介した。 では、この森林から木材を伐採してチップに加工しバイオ燃料として発電に利用したらカーボンニュートラルになる筈だ!と考えた。平成12年 固定価格買い取り制度(FiT)がスタートしたことで三重県は木材バイオ発電所を紀勢地区に建設した。

しかしながら、木材チップの入手が継続しないことになり停止した。原料のサプライチェーンが切れては何ごとも成功しない。また、山から伐採し、トラックで輸送し、チップに加工するまでにエネルギーを消費する。それとの差し引き(LCAでは負荷)で具合が悪いと報告している文献がある。

近畿大学・鈴木高広教授は森林が固定する太陽光エネルギーを計算している。要約すると

年間木材増加率 68百万m3(水分50%)=34百万m3トン(比重1として)

木材発熱量   20MJ/kg     山林固定する日射エネルギーは

=34×10^9 X20MJ/kg   =68 億MJ   ・・・・(a)

一方で日本の発電は 石炭消費量  5.04 兆MJ 石油消費量7.81 兆MJ 天然ガス5.00 兆MJの合計17.88兆MJ (b) なので (a)は3.8%を代替しうるが上述のように木材運搬、乾燥工程、及び発電効率が25%と低い。 (化石は42~45%)

その上、日本森林全熱量 52兆MJ(c)なので、(c)/(b)=3 となり、日本の森林は3年で丸裸状態になる。 植林に50年かかるので、間に合わない。

困った時は“さつまいも” 享保の大飢饉を救った“さつまいも” 280年後の脱炭素エネルギー飢饉を救うか!? 近畿大・鈴木教授の提案に注目したい。(化学装置 10月号p75-79,2020)

露地栽培平均収率 2.4    kg/m2 (固形分33%)乾物熱量 17.5  MJ/kg

∴ 芋熱量 13.9  MJ/m2茎・葉2 kg/m2 (固形分12%)

 トータル  18.1  MJ/m2   

5月~10月 積算日射エネルギー3000 MJ/m2 とすると、芋の日射エネルギー変換率=0.6 % (太陽光発電は約19%) 森林からの変換率0.05%の10倍。 木材をチップに加工するより遙かに粉砕化は容易と思われる。

大量生産に対して先生が提案しているのは「多層栽培と日陰や痩せた土地でも栽培できるので太陽光発電パネルの下の地面で栽培する。多層栽培を和歌山で実施しているとのこと(図)

いも掘りは幼稚園・保育園の土に馴染む空きの風物詩であり、多層栽培は思いもつかなかった。ヒントさえ貰えればいろいろな応用を考えるのが日本人。冒頭のCEATECと農業がリンクして効率的な“さつまいも栽培収穫自動化”のようなシステムができるか

 

 

 

?楽しみだ。いや、それだけではない。スイーツでも愉しめるぞ。

 

【謝辞】近畿大学 鈴木教授様から参考資料を頂きました。有り難うございました。

水素ディーゼルエンジン

カリフォルニア州は山火事が多い。炎が家を舐めるように焼失させる光景を良くTVで見る。州知事は気候変動が原因であり、その主原因は自動車排出炭酸ガスによる温暖化であると断定し、2035年の自動車は炭酸ガスゼロのクルマで無ければならぬと主張。日本も気象変動を受け温度は高いが山火事は少ないので自動車排ガスで山火事ホント?と疑いたくもなる。尤も、湿度は日本は高い。森林での水蒸気量(蒸散)の差=土地が含む水量が強く関係しているのだろう。小学校か中学校の地理でカリフォルニアの水源はシェラネバダ山脈の水源を延々と引いていると習った。水不足気味気味の土地なのだ。また作物もワイン向け葡萄とあって水分を果実に取り込む。つい自動車による炭酸ガスを主原因にするには気の毒だと思う。

だが、カリフォルニアに同調する州が11もあるので、自動車メーカーも動かざるを得ない。筆者が州知事なら森林から山火事は発生するものとして、居住を森林から10km離れた土地に限定するような措置をとるのだが。

ついに来たか!

欧州のクルマはディーゼルゲート事件があってEVに振っている。筆者はこのブログにおいて、ドイツのもの作り企業群がエンジンを頂点にTier 1,2,3と構成されている国柄では雇用維持面も含めエンジンを無くしてEVに転換するには抵抗が大きいのではないかと記載した。どうやら、その動きが見えてきた。灯油・ガソリンの化石燃料を燃焼させてCO2や窒素酸化物を排出するなら、化石の代わりに水素を燃焼させる「水素ディーゼル」をさせれば良い。単純な理由は別にもある。即ちEVはとどの詰まり中国にPHEVは日本に対して競争力がないこともありできるなら回避したいことが根本にある。だが、EVもPHEVも安心できないことは2030年以後はクルマ作りにはLCAが適用されること。(Life Cycle Assessment)にある。EVに使用されるレアメタル(Li,Co)の発掘、精錬工程に消費されるエネルギー(発生するCO2)もクルマ製造過程エネルギー(CO2),そして走行時のCO2の全部をトータルしてのCO2量が規制される。 現在はtank to wheel (燃費)、これがwell to wheel になり、2030以後はトータルLCA。話は飛ぶが自動車軽量化を目的としてボンネット、フェンダー、ドアパネルの外板はアルミに替わっている。そのアルミは実はボーキサイトの採掘から精錬までの環境負荷が極めて大きい。かつ、アルミニウムは不純物を嫌うのでリサイクルは制限される。自動車では鋳物にダウンせざるを得ないが、その用途も自動車ではもはや少ない。外板を樹脂で成形した方がLCAからみた環境には良いと思うがどうだろう。

話を戻して、クルマに詳しい人ならば、マツダがロータリーエンジンを利用して研究開発していたことがあることを覚えたおられよう。2000年に開発をしていた。

欧州ではBMWが同じ頃ロータリーではないディゼルエンジンを水素燃料適用の開発をしていたが中止した。最近はボッシュが水素エンジンに関して開発を進めている。(日経Xテック8月3日号)

技術面で最大の課題が、過早着火(バックファイア)と冷却損失である。水素エンジンの冷却損失が大きいのは、水素混合気の層流燃焼速度がガソリンの約7.6倍と非常に速く、水素燃焼火炎が燃焼室壁面に勢いよく衝突してしまうからだ。バックファイヤーの研究をしていたのが武蔵工大(現:東京都市大学)の元学長で古浜庄一氏。精力的に水素エンジン車を研究していた。(1970年)。再び話題は現在の学術会議のテイタラク。当時に50年後の環境を考え、武蔵工大に大型科研費を出すように進言勧告したことがあるのか? 当時のオイルショックがあろうが長期的視野で学術は進歩させるべきである。

欧州で水素ディーゼルを手がけたBMWは現在何を注力しているかと言えばe-fuelである。水素と炭酸ガスをフィッシャートロプシュ法で反応させて炭化水素(ガソリン類似化合物)を合成を試みている。化学を知らない自動車メーカーらしいが筆者は、到底経済的に合わないプロセスでありフィッシャートロプシュ法で消費するエネルギーとのバランスを欠いている。無理してでも現在のエンジンに拘っている証拠ではある。

自動車メーカーではなく化学メーカーの冷静な判断に委ねた方が好ましい。

欧州の自動車メーカーはe-fuelをありたがって担ごうとしている一方で、パーツメーカーのボッシュが水素エンジンをの研究開発していることは面白い。将来の水素ディーゼルエンジンはガソリンエンジンを凌駕する目標を置いている。水素燃料電池の水素より純度が低いようなので現実的なソリューションかも知れない。

期待したい。マツダ頑張れ! 本来の研究のあり方の手本を示して欲しい。日本技術再興だ!